『仮面ライダージオウ』第26話は、諸田監督&下山脚本によるアナザージオウ編の後編。などという2話前後編構成で進んできた『ジオウ』ですが、ここにきて全然「終わっていない」後編がきました。2話構成を本格的に崩してきた感じですね。来週までのを含めて3話で一区切りなのか、その次までいってしまうのか。『ジオウ』第二章もクライマックスとのことで否が応でも盛り上がります。
さて、今週もすっかり放送前日となる土曜更新になってしまった訳です。しかも、「この時間にジオウの感想書くぞ!」と決めていた時間帯の、その直前に映画館で観た『劇場版ウルトラマンルーブ』があまりにも好みの作品過ぎて、勢いでそっちの感想を書いてしまった、という。そんなこんなで本日は珍しく2記事更新となっております。
『劇場版ウルトラマンルーブ』、とにかく映像がすごくて。「フルCGによるウルトラマン」をここまでの完成度で観せられて、そりゃあ、感極まってしまったんですよ。平成ライダーにおけるCGの話も語り始めたら長くなるのですが、最近はアクロバティックなアクションにおけるワンカットでフルCGモデルが登場することが多く、「おお!」となる瞬間がありますよね。ウルトラマンも、ライダーも、戦隊も、継続シリーズを追うと映像技術の堅実な進化を実感できて、それも楽しみのひとつ。
脱線ついでに、新戦隊『リュウソウジャー』もついに明日から放送開始。私が注目しているポイントは先日の記事にまとめましたが、もし「ニチアサ特撮はライダーしか観ていない」という方がいましたら、これを機に戦隊もいかがでしょうか。
ということで、『仮面ライダージオウ』の感想を綴る「ZI-O signal」(ジオウシグナル)、今週もいってみましょう。
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ゲイツの覚悟
ゲイツリバイブ登場回ということで、今回のメインとなる流れは、ゲイツがその覚悟を決めるまでのくだり。
彼の認識でいくと、まず前回の25話で「ゲイツリバイブウォッチを起動できない」というシーンがあった。これは白ウォズによると、ゲイツ自身のジオウを倒すという覚悟が足りないから。ソウゴという将来の魔王を倒して歴史を変えるために過去に来たゲイツですが、なんだかんだでソウゴの王を目指す信念や人柄の良さにほだされてしまっていた。決意の矛先が、鈍っては尖り、尖っては鈍り。
年末の放送回で「魔王になるようなら俺が倒す」と決意するも、その直後に、自身が救世主としてジオウを倒した未来の可能性を知らされる。そしてその手段をも提供され、またもやグルグルと葛藤の日々を送るゲイツ。こうやって書き並べてみると、本当に不健康な日々を送っているな・・・。
そして、その堂々巡りは誰よりも本人が自覚している訳です。このままではいけない、でも、決意に至ることができない。ソウゴを殺すことが本当に自分にできるのか。そんな中、バス爆発事故の背景を知るべく2009年に飛んだツクヨミとの通話で、「ゲイツリバイブウォチを使えなかった」ことを告げると、彼女は落胆したようなリアクションを返す。ここが本当に演出が上手くて、ツクヨミの表情を絶妙に捉えない辺りが不穏だし、推定ミスリード(後述)への導入として巧みなんですよね。
追って2009年に来てみると、ツクヨミがバスの中でソウゴを狙って発砲し、その末にバス爆発が起きた、という(ゲイツの目に写った)真実を突きつけられる。それもこれも、ゲイツの決断が至らなかったから、ツクヨミは痺れを切らして強硬手段に走った。ゲイツには、そういう理解なんですね。そりゃあ、ショックですよ。彼も彼なりにずっと苦悩してきて、そんな苦悩し続けていることにも苦悩して。自省を繰り返していたその最中、自身の不甲斐なさが戦友の凶行を招いてしまった。しかも、ツクヨミはジオウⅡの時間操作・未来予知能力に恐怖して「ソウゴを早く倒さないと!」モードに入っていたタイミングでもあり、ゲイツとしては「本来自分がやるべきだったのに、やれないせいで戦友の手を汚させてしまった」、と。同時に、無関係の乗客を巻き込む大惨事に。
そんな背景があるので、ゲイツが目をギラつかせてジオウⅡとアナザージオウの前に現れたシーンには、鬼気迫るものがありました。遂に覚悟を決めたゲイツ。自分の不甲斐なさ、そして戦友の凶行には、自分自身でケリをつける。一方のソウゴは、予知夢で見ていたオーマの日の情景とも重なって、直感的に、ゲイツとの衝突が避けられないことを悟る訳です。
この一連のくだり、緊迫のシーンなのに、白ウォズの「祝え!」でコメディな空気を入れ込んでくるの、下山脚本の巧みさが光ります。
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ゲイツリバイブ!剛烈!疾風!
といった流れで登場したゲイツリバイブ。顔の「らいだー」の「い」がアンテナになっているマスク造形がとにかくかっこいい。なるほどその落とし込みがあったのか、と感心。剛烈モードは胸が大きくて、鳩胸といったところ。筋肉質でマッチョなシルエット、加えてオレンジ色というのがその能力に沿ってますよね。対する疾風モードは、胸のパーツを羽のように展開させることで、高速移動が可能。思っていたよりずっと「疾い」描写でした。
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「ジオウⅡという未来予知が可能な敵に、どう対抗するのか」。救世主であるゲイツのアンサーは、「それより疾く動いてパワーで倒す」。なんという単純明快、シンプルな答え。発想が脳筋。でも、シンプルが一番強いのはフィクション作品の常です。未来予知より疾く動き、シームレスにモードを切り替えることで常に最適な攻撃を繰り出すことができる。ゲイツリバイブ、こりゃあ、相当強いですよ。
しかし、剛烈が赤系統の色で、疾風が青系統の色味でついでに羽もあって、どことなく『龍騎』のサバイブを思い起こしますよね。
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諸田監督の絵作り
今回すごく良かったなあ、と思ったのが、諸田監督の絵作り。正確にはロケーションかな。アナザーウィザードの彼の力を加古川飛流が奪取するシーン、例のマジック小屋跡地なんですよね。これ、ソウゴがちゃんと思い立ってそこに駆けつけるのですが、ウィザード編も諸田監督が撮っているので、しっかり過去の回を踏まえたチョイスになっているんじゃないかと。加えて、その小屋を出た道端でのアクションシーン、ここも、ウィザード編で戦ったところと同じ。「この場所の外にはこの場所がある」という連続性をしっかり引き継ぐ、こういう細かい配慮が嬉しい限り。
そして、以前クイズ編後編の感想で明暗の使い方が良かったと書きましたが、あの回も諸田監督で。続く今回は、前述のマジック小屋跡地での光の演出。これが良かったですね。同じようなことを書きますが、光が射して空気中のホコリが見えるようなあの感じ。ピリッとした空気感。バス爆発事故の原因をめぐる会話も相まって、不穏な質感にゾクゾク。
特撮でいくと、やはりゲイツリバイブのアナザージオウふっ飛ばしがすごかった。ちょっとびっくりするくらい、飛んでいく速度が速い。いや、まさに「疾い」。タイミングを合わせた爆破もドンピシャで、ぐっときたカットでした。公式サイトでも、その舞台裏に言及されていたり。
ふっとばされたアナザージオウは、ものすごい勢いで、壁を貫通していきました。。。
漫画でよくみる、ふっとばしが、実写で上がってくるとは・・・すごすぎます!
この画力が衝撃的で大好きです。ずっと見てたいです。今回の試写のあとに、アクション監督の宮崎さんに、「あのカットは凄かったです!ゲイツリバイブ強すぎます!!」とお伝えしたら、「良い間隔で、爆発してくれました」と笑顔で答えてもらいました。アクション部と操演部が、ゲイツリバイブの強さを引き出してくださったのは、言うまでもありません。
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バス爆発事故の真実は!?
さて、最後に思いっきり話題をさらっていったのは、最後に名前が登場した門矢士。2009年にバス爆発事故が起きたということで、『ディケイド』との絡みを疑ってはいましたが、まさか本当に出てくるとは。しかも、バスの運転手ときたもんだ。『ディケイド』本編、士は世界をめぐる度に衣装を変えて様々な職業に就いていたので、「バス運転手やってました」という突飛な登場にも一応の納得があるからすごい。本当にこのキャラクターは、トリックスターすぎるぞ・・・。
そしてバス事故の真相ですね。まあ普通に予想していくと、ツクヨミの発砲によるバス爆発はミスリードだと思うんです。ソウゴを倒したいモードに入っているツクヨミでも、さすがに、乗客を巻き込んだ凶行には至らないだろう、と。ヒロインにそこまでさせるのもちょっとあんまり、という盤外な予測もありますが。
となると、「ソウゴ!」という銃を構えたあの一連の流れは、「ソウゴ、伏せて!」的なやつだと思うんですよね。次回予告ではバス車中にスウォルツも登場しているので、彼に向けられた銃だったんじゃないかと。ミスリードだとするならば、自然と、ツクヨミの「殺そう」が反転しますからね。もし「殺そう」の反対なら、「守ろう」。そして、バス爆発自体には別の要因があるんじゃないかな、と。
完全なる妄想も入りますが、例えば、①スウォルツがバス車中に登場、②ツクヨミがソウゴや乗客を守ろうとスウォルツに銃を向ける、③スウォルツが怪人態か何かになってソウゴに襲いかかる、④ツクヨミはやむなく発砲してソウゴを守る、⑤最終的にスウォルツがバスを爆発させる、とか、こういう感じでどうだろう。この場合のスウォルツの行動原理としては、「アナザージオウとなるソウゴに恨みを持つ人間を生み出すため」という仮説も出てきます。つまりは、加古川飛流の眼前で、「ソウゴが原因でバス爆発が起きた」という寸劇をやってのける。恨みを抱いた加古川飛流を、その未来である2019年で裏の王にさせる。
もっと掘っていくと、次回予告でのスウォルツの服装、ソウゴの夢の中の謎の男に似ているんですよね。ソウゴに、王になることを勧める人物。こうなるといよいよ、ソウゴという魔王を作り、そしてアナザーな魔王を作り、その果てに何の目的があるのか、という「スウォルツ諸悪の根源説」が一気に浮上してくる訳です。
今回ウールが焦っていましたが、彼によれば「ジオウが魔王になる」という未来をアナザーライダーによって変えたいのに、「(アナザーとはいえ)ジオウを生み出す」という行為はその目的に反している、と。もしかしたらスウォルツは、「オーマジオウとは違う王を擁立する」という大義名分でウールやオーラを操り、その実、アナザーライダーを介させることでジオウにライドウォッチを集中させる狙いがあったのかもしれない。もし彼の目的が「魔王を創る」ことにあるのだとしたら、それは黒ウォズと同じとも言える訳ですが、果たして・・・。
しかしまあ、再三触れてますが、タイムジャッカーという存在が何なのかさっぱり分からないので、想像の確度を上げきれない感じがあるんですよね。とはいえ、タイムトラベル物の王道である「最善の行動こそが最悪だった?」「未来からきたアイツこそが原因を作っていた?」というストーリーラインは、やはり観ていて面白いです。こういう面白さをちゃんとやってくれるのが良いですね。
さて、そんなこんなで『ジオウ』26話でした。次回、というかもう明日の放送ですが、バス爆発事故の真実は描かれるのか。通りすがりの仮面ライダーも再登場し、第二章である未来編もクライマックス。加えて、遂に黒ウォズも変身。盛り上がってまいりました・・・!!
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