『仮面ライダージオウ』第44話は、山口監督&下山脚本による、アクア編(ということで良いのか?)の前編。ついに『ジオウ』の物語の本筋に切り込みながら、同時にアクアやダークライダーといったお祭り要素も盛り沢山の、バラエティ豊かな回でした。
そして、昨日、ついに夏映画も封切り。運良く初日に鑑賞できたので、感想は以下の記事にまとめております。『ジオウ』という番組の根底に触れるストーリーと、「平成ライダーらしさ」がぎっちぎちに詰まった平成最後のパーティー。いやぁ、なんというか、実にすごいものを観ましたね・・・。
ちなみに、まだ映画を鑑賞できていない人も多いと思うので、今回のジオウシグナルでは、映画の内容については全く言及しない形で書きたいと思います。
ということで、『仮面ライダージオウ』の感想を綴る「ZI-O signal」(ジオウシグナル)、今週もいってみましょう。
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仮面ライダーアクア登場
湊ミハルくん、久しぶりですねぇ。彼が変身する仮面ライダーアクアは、『MOVIE大戦MEGAMAX』に登場。2011年公開の映画ということで、もう随分と前のことになる・・・。時が経つのは早い。
ただ、オーズと明確に関係するというよりは、オーズに変身する映司や相棒のアンクといった「オーズファミリー」をしっかり描くためのピースなんですよね。そもそも、『オーズ』最終回にてアンクが消滅してしまったため、その続編となる『MEGAMAX』オーズ編にどのようにアンクが登場するのか、当時からファンの間では色々と議論がありまして。あまりにも「消え際」が素晴らしかったこともあって、そう易々と復活されては興ざめだし、かといって、アンクが出てこない訳にもいかない・・・。
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そこに示されたアンサーは、「いつかの未来で復活したアンクが過去にやってくる」というもの。ファンの矛盾する願いをしっかり叶えつつ、同時に、未来に希望を抱かせるやり方。なんとも絶妙なポイントを突いてきたものだと、当時映画館でびっくりしたのをよく覚えている。
そして、そのシナリオと絡めて登場したのが、湊ミハル。彼は未来で仮面ライダーとして戦う定めにあったが、どうしても勇気が足りず、変身することができない。結果、体を乗っ取られて仮面ライダーポセイドンという悪の身に堕ちてしまう始末。そんな彼が映司らと出会い、「仮面ライダーとして戦う」精神性を継承する。そういう構図な訳ですね。
この手のプロットは鉄板というか、非常に王道で、間違いがないんですよ。というのも、「本編の後の後日談」というのはそもそもが難しい。主人公たちはすでに本編で沢山の苦難を乗り越えてきたので、ほとんどの場合すでに伸びしろが残っていない。ここで新しい苦悩が用意されても、「なんだかなぁ」となってしまう。「そういうの、本編で沢山やってきたじゃない」、と。
ここの解消法として、主人公サイドはそのままレベルMAXで下げることなく、新参者を投入し、その人物が主人公含めた「ファミリー」から何かを学び取るパターンがある。これだと、主人公たちの格をしっかり保ったまま、上手い具合に「後日談」として仕上げることができる。
このやり方は、『さらば電王』も同じですね。NEW電王を登場させることで、良太郎やモモタロスたちの精神性が継承されるパターン。もっと定義を広げると、『響鬼』なんてある意味一年間ずっとこの構図をやっていたようなものですが。
そんなこんなで、ミハルくんは映司たちから「明日のために戦う」精神性(と、明日のパンツそのもの)を継承し、晴れてアクアに変身。戦いの末に、未来に帰っていくのである。『オーズ』にタイムトラベル要素が持ち込まれると知った時は驚いたものの、驚くほどに『オーズ』と精度が高かった、『MEGAMAX』オーズ編。数ある平成ライダー映画の中でも、トップクラスに面白いですよね。
仮面ライダーアクアは、実はその出自はほとんど分かっていない。まあ、『MEGAMAX』においても、そこはあまり重要じゃなかったので、深く語られることはなく・・・という感じですね。特徴的な涙ラインに、シンプルながら造形の凝ったデザイン。実に「仮面ライダー」らしいフォルムは、「未来の1号ライダー」を目指して作られたようで。なので、今回ゲイツがひと目見て「仮面ライダー!?」と呟いたのは、なんだがグッときましたね。そうそう、アクアってすごく仮面ライダーらしい見てくれなんだよ、と。
今回ミハルくんが持っていたパンツはMEGAMAXで映司から貰ったものとは微妙に柄が違うので(かなり寄せてはいるが)、彼が未来で独自に購入して御守り用として携帯している、と解釈できますね。映司から貰った本命パンツは神棚にでも飾ってるんじゃないかな。
— 結騎 了 (@slinky_dog_s11) 2019年7月21日
しかし、厳密に考えていくと、オーズの正史は『ジオウ』序盤の時点で偽史になってしまっているはずなので、ミハルくんが映司と関わった過去を持ちながら2019年にやってくるのは、矛盾に思えてしまう。映司が仮にオーズに変身していなくても、国会議員の彼と関わることでアクアとして成長した、という解釈も考えたけれど、ご丁寧に「仮面ライダーに会って・・・」という台詞が。
というより、オーズの正史云々以前に、アクアがいること自体がおかしいんですよね。以前ゲイツだったかの台詞で触れられていた、「未来に仮面ライダーはいない」という事実。つまり、オーマの日に世界を破壊したオーマジオウの後の時代に、新しい仮面ライダーは誕生しなかった。だからこそ、「ゲイツリバイブ未来」からやってくるシノビやクイズが特異な存在だった。「オーズと出会った経験があるか」以前に、そもそも、「仮面ライダーアクアがいる」こと自体がおかしい。
例えば、お決まりの「時空の歪み」の結果なのか、スウォルツやツクヨミといった別時間軸からの干渉の余波なのか、もしかしてソウゴがトリニティやグランドジオウと定められた未来を変えていったことで正史(あるいは未来の仮面ライダー誕生の可能性)が復帰しつつあるのか、その真相は不明・・・。本編で説明されるのかなあ。まあ、そもそも『MEGAMAX』のアクアが別時間軸の未来からやってきていて、オーズの正史が消えたところでその延長線上にいない(そもそも時間軸が違う)ので影響を受けない、という解釈もできなくはないけれど。
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アナザードライブ強襲
ついに登場しましたね、アナザードライブ。これにてアナザーライダーがコンプリート。いやぁ、全員が見れて良かった。そんなアナザードライブは、完全に「事故車」のアプローチ。体中の至る所でパーツがむき出しになっていたり、顔なんかもう完全にひしゃげていたり。相変わらずアナザーライダーはぎょっとする見てくれだ。
そんなアナザードライブの正体はオーラ、という引きでしたが、これはもしかしてロイミュードなのかな。『ドライブ』に登場する、人間の姿に擬態することのできる機械生命体。スウォルツの何かしらの策略なんだろうけど、ソウゴの同級生の彼のこともあるし、色々と判断するにはまだ情報が少ない・・・。「これ以上走れない」「躓いたまま」「時が止まった状態」という陸上選手、ドライブの波動がありすぎるけども。
しかし、アナザードライブの変身者が女性かもしれない、というのも良いですよね。『ドライブ』のヒロイン・霧子が、以前ドライブに変身しようとしたけど出来なかった、という展開があったので。どこまでも「アナザー」という感じで面白い。
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ツクヨミの名は
彼女の本当の名前は、アルピナ。ミハルの口から語れる、真相っぽいけどギリギリ届かない情報の数々。うーん、実にもどかしい。
しかし、ここを観ていて思ったのは、もしかしたら色々と逆だったのかもしれない、ということ。これまで、スウォルツがバスジャックを起こし、ソウゴに王の思想を植え付けることで将来的にオーマジオウが誕生した、と理解していたけれど、これがもしかしたら違うのかな、と。
そもそもまず、オーマジオウが全く別のルートで自然発生的に誕生していて、スウォルツはそこに横槍を入れた形なのかもしれない。つまり、本来の未来はオーマジオウなのに、スウォルツの一連の横槍によって、正史に向かわず(分岐し)、ジオウはトリニティやグランドジオウという新しい姿を獲得していく。スウォルツは、「魔王」より「魔王もどき」の方が御しやすいと思っているのかもしれない。その力を最終的に手中に収めるために。
となると、ゲイツやツクヨミは「本来の自然発生したオーマジオウが君臨する未来」から来ているので、彼らが2019年のソウゴに干渉すると、それは本来のオーマジオウへの道筋の確度を高めてしまうのかもしれない、と。そういうことを、今回観ていてぼんやり思ったり。
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脅威、アナザーディケイド
そして登場、アナザーディケイド。一気に2体のアナザーライダーが出てきたので、画が豪華で良いですね。そしてその能力は、ダークライダーたちの召喚。G4とかかなり久しぶりに観た気がする・・・。どの時間軸から誰をどうやって召喚しているのか、という疑問はあるものの、何の説明もなくアナザーディケイドの指示に従って攻撃してきたので、ある程度使役の関係にあるのかな。もしくは、グランドジオウのように概念的なコピー体なのか。
そしてこの流れで、次回、仮面ライダーエターナルが復活!いやぁ、最後の最後までレジェンド登場の手が緩みませんね。演じる松岡充さんは『ドライブ』のOPテーマも歌っていたので、そういう意味で、確かにここしかなかったタイミングかもしれない。相変わらずノッリノリで大道克己を演じてくれそうで、期待が高まります。
ということで、次回、ゲイツやツクヨミは未来に帰ってしまうのだろうか。タイムジャッカーたちを自軍に迎え入れていくソウゴの器の大きさも見どころでしたが、次回予告では結構険しい表情をしていて、そちらも楽しみですね。そして何より、ここまできたら次回予告の破壊力がより一層高まってくる訳ですよ。
ラスト数話、どう話が展開するのか。着地は決まるのか。
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