ジゴワットレポート

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アナログ地獄だった職場にSlackを導入するまでの一部始終

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今の会社に転職してきて驚いたのは、仕事の細々した部分がアナログで回っていたところだ。

 

「細々した部分」というのは、例えば伝言メモとか、社内・部署内回覧文書とか、そういう類のもの。有給を取った次の日に出社すると、デスクの上には沢山の付箋と紙が置いてある、という感じ。そして、データの受け渡しに実物のUSBメモリが行き来する。ゲーッ!今はもう平成も終わる2018年だぞ!!

 

また、「△△さん、株式会社〇〇のAさんへ電話を入れてください」といった伝言を伝えるのに、該当部署に内線をかけるも不在、その折り返しをください、そしたら今度はこっちが離席・・・ といった無様なキャッチボールも頻繁に発生する環境。

自分の部署全員で共有する仕事も、「みなさんちょっと聞いてくださ~い」みたいに呼びかけて、資料を配って、説明して、そしたら途中で電話が入って説明が中断して、といった具合。非常に効率が悪い、というか、やっていて嫌になる。

 

ということで、約半年前、グループチャットの導入を(勝手に)決意。Slackに目星をつける。

 

Slack

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さあ、ネットでSlackの導入事例や成功例を探して提案書をこしらえて上層部にアタックだ!! ・・・となると、ものの見事に失敗しそうな予感しかなかったので、回りくどくも作戦を練ることに。私は社長でもお偉いさんでもないので、下っ端なりの根回しと段取りが必要になってくる。

 

まずはゲリラ的に自分が所属する部署(10人ほど)で使ってみる。かといって本当にゲリラだと後々やばそうなので、部長の了解を取りに行く。

 

「これこれこういうやつで・・・ 基本的には我々の日常のメモ合戦を全部PC上で済ませる感じで・・・ 部長もそのやり取りを眺められるので常時情報共有ができるかと・・・」などと説明し、挙句には「要は業務用のLINEっすね!」という雑な説明に着地。結果、最近娘さんに薦められてガラケーからスマホに変えてLINEを導入しその利便性に感動していた部長、快諾。

 

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ということで、まずは言い出しっぺが汗をかくところから。

 

自分が管理責任者となり、アカウントを作り、ワークスペースを整え、部署の全員に招待メールを送信。アカウント取得に戸惑う人のデスクに出かけて行って、Windows版のアプリを入れたりして、半日かけて全員の登録が完了。必要と思われるチャンネルもいくつか作成。念のため、「セキュリティ的にこういった情報は載せないように」「こういうやり取りはOK」という簡単なガイドラインを作り、それも共有。

 

しかし本当の壁はここから。いざ環境を整えても、真の意味でアクティブなユーザーが増えなければ意味がない。これも同様で、まずは言い出しっぺが積極的に使う。「〇〇さんから内線きたら△△って伝えておいてください」的なやつをどんどん放り込んだり、定例飲み会の幹事を引き受けて日程調整をSlack上で行ったり、部内回覧文書を紙の回覧板からデータ共有に変えたり、日常的に使っていく。

 

非常に体質的に古い会社なので、それが便利か否かに関わらず、「新しいもの」を受け入れることにアレルギーを示す人が多い。今一瞬、ちょっとだけ好奇心を働かせて取り組めばその後ずっと楽になるのに、その「ちょっとだけ」をやけに億劫に感じてしまう人。「今まで通り」を信奉してやまない方々。Slackを広めたい私にとって、真の敵はこういった体質と風土にあった。

 

哀しいかな、「そういう人」は、年齢を重ねるごとに多くなる。私も、おそらく新社会人の頃よりは好奇心が減ってしまい、自分のやり方に良い意味でも悪い意味でもプライドを持ってしまっているのだろう。大事なのは、「老害がッ!」と貶して新しい型を押し付けるのではなく、いかに「便利そう」と思わせて引き込むか。その「仕掛け」である。だって、今や還暦を迎えた人だってスマホを使いこなす時代なのだ。やってやれないことはない。

 

とはいえいきなりその層の方々にアタックすると惨敗しかないので、まずは抵抗感の薄い若い層を中心に活用していく。私と同年代、もしくは私より下の若い層は、ちょっといじっただけでどんどんSlackの機能を把握していく。「こういうことはできるのかな?」「こんな機能はあるのかな?」、疑問は自分でググって解消してくれる。非常にありがたい。そうやって、若手から少しずつアクティブなユーザーを増やしていく。雑談チャンネルで何でもない話を振ったりして、ジワジワと使用頻度を高めていく。

 

先に「仕掛け」と書いたが、ユーザーが増えていけば、要はそれが「仕掛け」として機能してくる。「みんなが使っている」というシチュエーションに、良い意味で追い込んでいく訳である。「はい!今日から連絡は全部Slackで!」とせずに、面倒だと感じながらも、紙のメモや回覧板と同時進行で情報共有を行う。移行はグラデーションでやらねば反発が起きる。

 

50代の大先輩が半日後にデスクに戻ってくると、机が連絡メモの山。そこで横の席の20代の後輩が、「この前入れたSlackなら、メールチェックみたいに自分のタイミングでポチポチって見れるんすよ~」とアシストパス。「え?これ(メモの山)全部それに入ってるの?」「みんなそれで見てますよ~」。そこで私も登場。「〇〇さん、さっき頼まれてたデータ、Slackのダイレクトメッセージで送ってますので!」「え? もう貰ってるの? ボクのUSB渡してないよ? どこを見たらいいのか教えてよ」。もちろん、事前に後輩とはDMで密談済み。ふたりで使い方をゆっくり教えていって、じわりと理解を促す。簡単なスティングである。

 

といった姑息な手を使いながらも、ひとり、またひとりと年齢を重ねた先輩たちをSlackに引き込む。彼らは、「新しいこと」には拒否反応を示すが、同時に、「仕事がはかどるもの」「効率が良いもの」「自分のペースで仕事ができる方法」を好む。上手くそっちをくすぐる方向で、アクティブユーザーに誘い込む。何度か触ってもらえばそう難しくないので、数日後には「あのスラック?とかいうやつ? 便利だな~」という言葉を頂戴する。「同僚が便利な環境で楽をする」ということは、回りまわって自分が楽をすることになるのだ。

 

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同じ年齢層の方が使えば、「仕掛け」の効果は倍増。半月後には、部署内全員がSlackを使うことになった。もちろん、細かなテクニックを活用しているのは若年層だが、部長も「眺めてればみんなの仕事の流れが見えていいね」といった感じ。やはり、直接関わらなくても、「各々が何をやっているか」が「見える」のは良い。挙句には、50代の大先輩は孫の写真を雑談チャンネルにアップし始める始末。

 

一ヶ月も経てば、皆の机上からはメモや付箋が消え、心なしかオフィスもすっきりした感じ。良かった良かった。これを求めていたんだよ。言い出しっぺの私自身も、非常に仕事がやりやすくなった。

 

さてお次は、最終目標である全社導入だ。しかしこれもまた「仕掛け」を打ちにいく。

 

部署をまたいだ案件は同年代と組むことが多く、「うちの部署でSlackを導入しててさ~」と話すと、ノってくれる同僚が多い。一応各々の上長に許可だけ取ってもらって、まずは案件ごとにワークスペースを作る。最終的にはチャンネルで分けたいところだけど、それは最後のお楽しみ。

 

後は同じ流れで、①若年層を中心に活用 → ②上の世代に便利さをさり気なくアピールして引き込む → ③便利なものはどんどん広まっていく → ④ユーザーが多くなれば最初は警戒していた人も参加してくる、という段取り。もちろん、ヘルプがかかれば面倒でも他部署まで出かけて操作方法をレクチャーする。地道な繰り返し。これをじわじわと数ヶ月単位で推し進め、ユーザーを増やし、ついに各部署の責任者たちが「それ、全社員でやれば便利では?」と気づき始める。HAHAHA、待っていたぜこの時をよォ!!

 

あとは、『グループチャット全社導入に関する提案書』を作成し、最初に了解をくれた直属の上司に提案。一緒にいくつかの部署を回って根回し。後は自動で事が運んでいくはず。すでにユーザーがいたるところにはびこっているので、気付けば止められない流れ。一度これを覚えた人をアナログ仕事に戻すのはやはり難しいのだろう。

 

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そうして、発起から約半年、間もなく全社導入が叶う感じ。やっとここまできた。長かった。いや、うちの会社の風土からすれば、半年でこぎ着けられたのは御の字かな。結局は自分が仕事をはかどらせたいからやったことだけど、仕事しながら仲の良い同僚と飲み会の密談ができるのも一興である。便利便利。

 

こういう話をネットで書くと今更感が溢れて笑われそうだけど、うちのように、「嘘だろ・・・」という超絶アナログな仕事論がまかり通っている会社は、まだまだ結構ある。それが技術系と距離がある業種なら、尚更。トップがそういったものに興味を抱かない人なら、尚更。そういったフィールドに正面から反旗を翻そうとして火傷した経験もあるので、今回はちょっと姑息に立ち回ってみて、無事に成功っぽい感じに落ち着いた。正論棍棒で攻撃を仕掛けて逆に殴り返された経験も無駄じゃなかった。良かった。

 

しかし、出張先の風景を写真に撮って報告がてら雑談チャンネルにアップしたら、お土産の指示がアホのように舞い込んだのには参った。

 

チャットワーク【公式】活用ガイド

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