ジゴワットレポート

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感想『仮面ライダージオウ』第41話「2019: セカイ、リセット」ZI-O signal EP41

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『仮面ライダージオウ』第41話は、諸田監督&毛利脚本による、最終章開幕・・・ ということで良いのかな。あえて名付けるなら「アナザージオウⅡ編」? 兎にも角にも、ドライブ編を夏映画に回したことで全てのライドウォッチを継承したジオウことソウゴは、ついに最後の戦いへ臨む。OPのナレーションも新しいものに変更になり、グランドジオウも加わっていましたね。近年、毎年7月末には新ライダーの発表があるので、本格的に『ジオウ』もエンディング。このジオウシグナルも、もう41回目・・・。よく書いてきたなあ、自分。

 

今回のストーリーにあった、ちょっと新鮮な空気、つまりは、「やるべきことが終わって次に何をやるか」というワクワク感、好きなんですよね。平成ライダーで言えば、『ディケイド』響鬼編の後だったり、例えば『フォーゼ』の仮面ライダー部が集まった次の話だったり。大まかなストーリーラインが視聴者も想像できるからこそ、それを終えたあとこそが、本領発揮とでも言うのか。その点、『ジオウ』はさすが20作記念作といった感じで、もうラスト1クールを割っているタイミングですけどね。

 

ということで、『仮面ライダージオウ』の感想を綴る「ZI-O signal」(ジオウシグナル)、今週もいってみましょう。

 

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ソウゴの目的、『ジオウ』のジレンマ

 

そもそも最近の展開においてちょっと引っかかっていたのが、主人公・ソウゴの目的意識。最近どうやら、「オーマジオウに勝てる?」とか「オーマジオウに対抗できる力を・・・」とか、そういう言動が見られるのだけど、オーマジオウって別に倒したからハッピーエンドになるようなラスボスじゃないんですよね。むしろ、オーマジオウを倒しても「その時点までで支配されたゲイツたちの歴史」は不変な訳で、更にその先の未来の可能性を救済する結果にしかならない。

 

『ジオウ』の物語の肝は、むしろここにあると思っていて。オーマジオウは確かにラスボスの風格だけど、仮に彼を倒したからといって、「オーマジオウが行ってきた破壊行為や蹂躙」がリセットされる訳じゃない。むしろ倫理的に、常磐ソウゴという人間が未来の自分を殺めることができるか、という問題もある。だから、ポイントは「オーマジオウにならない」ことで、概念として「オーマジオウを倒す」部分にある。ソウゴは最高最善の魔王を目指すことで、最低最悪のルートからなんとか逸脱しようとしているはずなのだ。

 

しかし最近のソウゴは、どうやらオーマジオウを倒そうとしている。今回も、突然未来に飛ばされてオーマジオウとの戦闘が始まっていたけど、この戦闘がロジック上は無意味だということは、ソウゴ自身が分かっているはず・・・。まあ、彼は「最高最善の魔王になる!」という目的を強く念じるがあまり、相対的に、「そうでない自分」=オーマジオウを必要以上に敵視してしまっているのかもしれない。ちょっとした、「我を忘れた」状態。

 

仮面ライダージオウ ライダーヒーローシリーズ11 オーマジオウ

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だからこそ、今回オーマジオウが「まだ分かっていないようだな。お前は私なのだ」とソウゴをたしなめる流れはとても良かったな、と。ソウゴが必要以上にオーマジオウを敵視しようとも、シナリオはそれがあまり意味のないことだと分かっている様子。もちろん、オーマジオウとグランドジオウの平成ライダー入り乱れ大乱闘は観たいんですけどね。それはそれ、ということ。

 

というか、私としては、未だオーマジオウの未来が揺らいでいないことに恐怖を覚えるんですよ。トリニティが成立して「オーマの日」が本来のそれから逸脱しても、グランドジオウという存在が出てきても、オーマジオウの存在は消えない。ウォズの本に記されていない出来事を発生させる、それ自体はソウゴが定められた未来を変え始めている証左なのに、それは結局「オーマジオウがいない未来」には全く届いていない、と。つまりは、ここまで本来の歴史と違った行動を取っているのに、結果が変わっていないんですよ。物語のクライマックス、もしくは映画で、ソウゴを最低最悪に沈める大きなイベントが待ち受けているのかなあ、と。

 

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リセットされた世界

 

オーマジオウにドライブを操られ、やはり適わない結果を突きつけられたソウゴ。ドライブライドウォッチを「継承済み」とする判定にモヤモヤしていた人も少なくないと思うんですが、こうやってしっかりと「本当はまだノルマを満たしていないよ」とやってくれると、ちょっと安心感がありますね。夏映画、どのようにドライブライドウォッチが現代のソウゴに継承されるのか。

 

そうして現代に戻ってくるタイミングで、スウォルツの策略が発動。彼いわく「強硬手段」ということで、それはおそらく、加古川飛流をアナザージオウⅡに祭り上げ、その能力で歴史を改変してしまうこと。

 

アナザージオウⅡの歴史改変は、ソウゴの未来創造能力に近い印象を受ける。ジオウⅡは未来をあらかじめ余地することができるが、アナザージオウⅡはその一歩先、未来を自在に創り変えることができる。いくら予知してもその未来が変わるんだから、ジョジョの能力バトル的に言うなら、どう考えてもアナザージオウⅡに軍配が上がりますね。

 

そんなアナザージオウⅡの能力らしい、世界のリセット。ジオウがアナザーライダーを従え、人類を攻め立てる。一部の人間はレジスタンスを結成して、それに立ち向かおうとする。そう、まるで、ゲイツやツクヨミが元いた2068年のような状態。そして、この場合の「ジオウ」は「オーマジオウ」ではなく、おそらく「アナザージオウⅡ」。便宜上、同じ「ジオウ」と呼称されているけれど、「アナザージオウⅡ」こそがこの世界を支配する存在として認知されていると思われる。

 

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ちなみに、加古川飛流の変身の像、後ろ姿だけだけど、アナザーディケイドとアナザードライブらしきものが写ってましたね。デザイン画のみの存在なのか、この後の展開や映画で登場するのか。ここまできたらアナザーでの20ライダーコンプリートも観てみたいけど、どうだろうか。アナザーディケイドあたりは、今度の冬映画とかで出てきても面白いのかも。

 

そんなこんなで、そんなリセットされた世界に戻ってきたソウゴ。彼が改変の効果を受けていないのは、それが発動された瞬間はまだぎりぎり未来にいた判定になっているからかな。とはいえ、未来が書き替えられた後もオーマジオウが普通にウォズと会話しているので、「改変後の未来もオーマジオウ(常磐ソウゴ)はジオウとして君臨」=「加古川飛龍による改変は一時的なものでじきに本来の歴史に修正されるはず」が確定していることに・・・。飛龍くん、可哀想に。

 

「未来から戻ったら違う歴史になっていた」展開は、SFとしては王道ですよね。やっぱり『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』あたりを思い起こすところ。

 

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攻め立てる世界、責められた男

 

ソウゴとしては、実に辛いですよね。これまで1年弱をかけて積み上げてきた、最高最善の魔王に向けてのピース。ゲイツやツクヨミとの信頼関係、ウォズとの関係性、それが全部、一気に無に帰してしまった。

 

しかし、「絶対ジオウ倒すマン」に戻ってしまったゲイツくん、驚くほどにキャラクターとして面白くない。そこに厚みが感じられない、血気だけが盛んなペラッペラな男になってしまった。番組開始当初がこれだったんだよなあ。ここから、40話をかけて、厚みをずっと作ってきた訳で。ゲイツ、最初はこんなに面白くない存在だったか、と、思わず遠い目をしてしまったほど。蓄積ってすごいなあ。

 

自らの蓄積がリセットされたソウゴは、ゲイツやツクヨミというよりは、世界そのものに攻め立てられる。そんな彼を援護するのは、我らが門矢士。彼も、昔は自らが悪の親玉であるという運命に責められた過去があり、『オールライダー対大ショッカー』ではボロボロの状態でライダーマンことGACKTに喝を入れられたり・・・。そんな士が、今やまるでGACKTの立ち位置となり、後輩であるソウゴを導こうとする。なんというか、こう、どうしようもなくグッとくるシーンでしたね。

 

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以前も書いたけれど、士は、ソウゴが本当に平成ライダーの歴史を破壊してしまう存在なのか、それをギリギリまで見極めたいのだと思われる。この時点で手を貸しているから、少なくともソウゴという人間のことは認めているっぽいけれど、ジオウという存在を彼がどう見ているのか。次回、久しぶりのディケイドへの変身があるので、とても楽しみですね。

 

そして、「運命に責め立てられる男」としては、加古川飛流も忘れてはいけない。彼も、王の選別儀式に巻き込まれて以降、過去に囚われてしまっている。そういう意味では、今回のストーリーラインは、「運命に翻弄される男」が「運命に囚われる男」によって陥れられ、そこに「過去に運命に立ち向かった男」が現れるという、かなり『ジオウ』の本筋に迫った構成になっているんですよね。

 

タイムトラベルや歴史改変というSFのギミックを用いながら、ソウゴが本当に立ち向かわなければいけない不定形の「敵」そのものを「現象」として描いている。ソウゴの真の敵はオーマジオウではなく、彼の前にある運命そのもの。さて、ここにどんな答えを用意するのか。期待もあり、不安もあり。

 

 

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リプレイ召喚の応用

 

相変わらず強者っぷりを発揮するグランドジオウ。金の装飾、暗がりで観ると一層映えますね。細かく陰影がつくから、造形美が際立つ。実に眼福。

 

そして、先週の感想でも長ったらしく言及した、リプレイ召喚。私の解釈は「グランドジオウライドウォッチに記録された全平成ライダーの戦いの記録を自由自在に召喚できる」というものだけど、今回の41話の描写を観るに、そうして複製召喚したライダーは、ある程度の使役が可能な模様。更には、アギトのようにその力そのものをジオウに重ねがけすることもできる。これはもう、ソウゴの解釈次第でどのようにも応用できる感じなんでしょうね。今後、この能力を応用した「こんな使い方もあったのか!」みたいなシーンに期待したいところ。

 

しかし、リプレイ召喚されたライダーにライブラリ音声を使うか否かは、各監督の裁量任せなのかな・・・。うーん、ここはライブラリ音声で演出を統一して欲しかったのが本音。『平成ジェネレーションズ』で坂本監督がこだわったライブラリ音声が、『平成ジェネレーションズFOREVER』でも本格的に実装され、前回のグランドジオウ登場回でもそうだったので、その路線かと期待したのだけど。

 

といった感じで、今回も5,000字オーバー。土曜更新で恐縮ですが・・・。次回、ディケイド変身と、ライダーと戦隊の頂点に立とうとした男の参戦。ツクヨミの出自も本人に明かされるということで、いよいよ本筋が進んでいきそうですね。素直な前後編じゃなさそうなので、アナザージオウが出た辺りぶりの3話以上構成かな。

 

最後に、宣伝させてください。来週、7月8日に洋泉社より発売される『別冊映画秘宝 平成大特撮 1989-2019』というムック本に、レビュー執筆で参加しております。平成ライダーだと、『オーズ』『ビルド』の本編、映画は『剣』『さらば電王』を担当。表紙は平成初期の作品でデザインされていますが、ちゃんと平成後期の作品までフォローされてます。平成の特撮文化を総括する資料的価値も高い一冊になっていますので、何卒、購入をご検討いただければ幸いです。

 

 

www.jigowatt121.com

 

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