『仮面ライダージオウ』5話はフォーゼ&ファイズ編の前編。というより、大まかに、今週がフォーゼ中心、来週がファイズ中心、という感じなのかな。4話の感想が仕事やらに追われて5話放送直前の更新になってしまったので、今回は早速日曜日にChromebookを起動させて打鍵してます。
ということで、『仮面ライダージオウ』の感想を綴る「ZI-O signal」(ジオウシグナル)、今週もいってみましょう。
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フォーゼとファイズを混ぜるという発想
何より、この2作品を同時にやるというコンセプトが今回の目玉。考えれば考えるほど、ここが素晴らしい。以前の感想にも書いたように、『ディケイド』のファイズ編で学園モノが扱われ、ロケ地云々も含めてそれが後の『フォーゼ』成立の試金石にもなった、というのは広く知られた話。
それ以外にも、今回のストーリーでも扱われたように、「流星」「流れ星」で「流星塾」とか、もっと言えば「小さな地球(ほし)の話をしよう」とか、オタク的に挙げようと思えばいくらでも挙げられる感じ。
その最たるものが、アナザーライダーの設定だ。アナザーフォーゼを倒したら、中から現れたのはアナザーファイズ。怪人スーツの制作費を抑えたい大人の事情もあるとは思うが、この二段階のパターンは非常によく出来ている。
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フォーゼの体に走るオレンジのラインと、ファイズの体に散りばめられた赤いライン。それを重ねて解釈することで、「ファイズがフォーゼを着ている」かのようなデザインを実現している。フォーゼのスーツはもちろん宇宙服がベースになっているので、「着る」「脱ぐ」という発想とも相性が良い。加えて、「二段階進化」を可能とするゾディアーツのラストワン、「死んでからが真の姿」であるオルフェノク最大の特徴も込められているっぽくて、いやあ、考えれば考えるほどに舌を巻く設定ですよ。
ロケ地は、『ディケイド』ファイズ編と『フォーゼ』本編で使用された群馬県の大学が今回も登場していて、懐かしさもばっちり。私もコズミックエナジーが導いてくれた縁があって訪れたことがあるんですけど、本当にマジで天高なんですよね・・・。どこをどう切り取っても天高すぎる。
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坂本監督が再び描く仮面ライダー部
大方の予想通り福士蒼汰の出演は叶わなかった訳だが、彼に「行方不明の生徒を探して奔走している」という状況を与え、ライブラリ音声と後ろ姿を組み合わせて擬似的に本人出演させるやり方は、非常に良かったと思う。ここまでやってくれたら、もう御礼の域ですよ。
坂本監督は先日発売されたインタビュー本でも「オリジナルキャストのタイトな出演スケジュールをカットごとの替え玉を組み合わせて成立させた」と語っていて、その東映妙技が炸裂した回でもありましたね。
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弦太朗本人からのライドウォッチの譲渡は観られなかったものの、「ダチの絆」が現在にまで受け継がれてソウゴの手元にやってくる展開は、実に『フォーゼ』らしいフォローの仕方。「ダチのダチは俺のダチだ!」などと、弦太朗がいつもの超理論でドンドンカーンしてそうな幻聴が聞こえてくる、良い塩梅だったと思う。
また、坂本監督も久々のライダーTVシリーズへの参加だった訳だが、非常に観やすく作られていて、感心してしまった。坂本監督は時にサービス精神が旺盛すぎてずっと画面が忙しくなる時もあるのだけど、今回はアクションパートとドラマパートの緩急がしっかりついていて、とっても分かりやすく整理されているように感じた。
更には、監督が得意とする「サービスカットの乱れ打ち」が『ジオウ』の設定とよくハマっていたのも良かった(懐かしいユニフォームや園田先生の写真、コアスイッチの登場など、分かる人には分かるやつ)。終盤の洋館を訪れるツクヨミのカットで「2018年」をクレジットしたのも親切だし、「アナザーが現れるとオリジナルのライダーが消される」というその瞬間をしっかり絵で観せてくれたのも良かった。
怪人同盟のオリジナルキャストに関しては、『MOVIE大戦アルティメイタム』の時間軸設定が2017年だったことを考えると、3年間の在籍の幅を考えて現在の2018年と大きく矛盾しない出演なのが巧い。アナザーフォーゼが出現した影響で「仮面ライダーが在籍していた部活」から「都市伝説である仮面ライダーを追う部活」に歴史が改変されていたけれど、そこをあまり深く描かずサービスシーンに留めているのが良いバランスだった。自身がライダーになっていなくても、弦太朗はライダー部の顧問になっている。ちょっとジーンときますね。
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ジオウのフォーゼアーマーは、「自身がロケットそのものになる」というフォーゼらしい型破りな能力。坂本監督お得意の爆発とアクロバティックなカメラワーク、更には大盛りのCGで宇宙にまで行ってしまうのも、さすがのフォーゼという感じで納得感がすごい。草葉の陰でパワーダイザーが泣いているような気もするけど。
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ファイズにおける友情
さて、そんな物語は、ファイズに軸足を移していくことになる。アナザーフォーゼにさせられていた青年が元来から謎の能力を持っていたようだが、キーとなる例の少女の命を持続させるとか、そういうオチなのかな、と(その力を補充するために同じ星座の少女の命を吸収して回っていた、とか)。「死の運命から解放させる力」という意味では王であるアークオルフェノクを思い出すし、「死ぬ運命にある人間がそれを受け入れるべきなのか」というアプローチならものすごく『ファイズ』らしいとも言える。
さて、すでにアナザーファイズが発生していたということは、ファイズの歴史は改変済みということになる。
その影響か、滅びゆく運命にあった巧も、オルフェノクと戦って命を散らした草加も、2018年に生存している。つまりは、「正史に戻ると2人とも途端に死ぬのでは?」という非常に儚い運命に放り込まれているのかもしれない。改変された歴史では、この2人はどういう関係性にあったのだろうか・・・。(まあ、オルフェノクという根幹設定すら改変されている可能性もあるけど)
少しぶっちゃけてしまうと、私は、近年のSNSを中心とした草加ネタにはちょっとだけ違和感があって。そりゃあ、彼は物語を利己的に掻き回すひどい奴だったけど、彼には彼の信念というか、どうしても譲れない目的とそれに根ざした危ういプライドがあって、必死にそれを折るまいと行動している哀しい男でもあったんですよね。だから、単に「変な奴」「とにかく邪魔してくる奴」という理解には若干の抵抗があって。もっとかっこいいんですよ、草加って男は。
そんな草加の弱い部分、プライドを守るために強く出てしまう側面を巧はどこか察していて(自身にも心の弱さがあるからかも)、だからこそ彼らは、対立しながらも有事の際には抜群のコンビネーションを発揮してくれる。すごく屈折した男の友情がそこには確かにあったと思うんですよ。『鳥人戦隊ジェットマン』における竜と凱の関係性を、もっとナマモノとして提供された感じ、というか。
ご覧頂けましたでしょうか?
— 半田健人【公式】 (@handakento) September 30, 2018
次週、がっつりとよろしくお願い申し上げます…! pic.twitter.com/R9pNw6EUyE
だから、今回の草加も、単なるお邪魔キャラ&自己中キャラ的な扱いではなく、「彼自身が持っている屈折しているけども強い信念」「それをどこか察している巧」という描き方がされれば良いなあ、と。予告を観る限りそこに期待が持てそうで、しかも「友情」というキーワードで『フォーゼ』と繋げるあたり、上手く技が決まりそうな予感もしますね。楽しみ。
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補完計画とネクストレジェンド
今回の補完計画5.5話は、ファイズフォンやソウゴの名前の話。ファイズが2003年ということで、まさに演じているキャストたちは幼すぎてマジで観てなかったっぽいのがなんかもうやばい。そりゃ私も歳を取るはずだ・・・。(ちなみに、ソウゴとトキワ荘は偶然らしいですね。白倉プロデューサーのインタビューによると)
仮面ライダージオウ 補完計画 5.5話「トキワ荘ゴと謎電話」#仮面ライダージオウ #仮面ライダージオウ補完計画 #補完計画 #nitiasa #TTFC https://t.co/TjNqxF665h
— 東映特撮ファンクラブ (@tokusatsu_fc) September 30, 2018
「仮面ライダージオウ」“ウィザード編”、仮面ライダービースト役・永瀬匡が出演 #仮面ライダージオウ #nitiasa #仮面ライダーウィザード #仮面ライダービースト https://t.co/Qe4PyOGAHA pic.twitter.com/3GXVx4oaqm
— 映画ナタリー (@eiga_natalie) September 30, 2018
また、フォーゼ&ファイズ編の次は、どうやらウィザード編の模様。登場するのは仮面ライダービーストこと仁藤。彼のあの大味なキャラクターがまた観られると思うと、楽しみですね。ビーストはウィザードとは別規格の魔法使いだったので(それが本編でもカウンターとして活躍したのが印象深い)、アナザーウィザードが誕生してもビーストはビーストとして戦ってそうな気もする。さて、どうなっているのかな。
ソウゴ役の彼の表情がものすごく良くなっていたり、ゲイツくんのアフレコにどんどん脂が乗っていたり、加速度的に面白さを増していく『ジオウ』。来週は半田さんのイケイケ低音ボイスが見どころです。