『仮面ライダージオウ』第13話は、諸田監督再登板のゴースト編前編。と言いつつも、読了感(観了感?)は実質「ディケイド編」といったところ。
『ディケイド』放送当時、私は大学生。半生を共にした平成ライダーシリーズを総括する作品が放送されるとのことで、アルバイトで貯めた貯金を解放して録画機器を買ったのをよく覚えてます。待ちに待った第1話、各主役ライダーだけでなく、カリスやゾルダといったサブライダーたちが次々とやられていく様に仰天。衝撃の幕開けでした。一方の『ゴースト』は、社会人となり結婚を経ていたタイミング。こうやって書き並べると、本当に歳を取ったなあ、と感慨深くなりますね。
そんなこんなで、『仮面ライダージオウ』の感想を綴る「ZI-O signal」(ジオウシグナル)、今週もいってみましょう。
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歴史改変されたゴーストの物語
天空寺タケルを主人公とする『ゴースト』の物語は、アナザーゴースト出現により偽史に放り込まれる。以前、「仮面ライダーの力を失うということは、タケルは死んでしまったままなのでは?」という感想も書いたけれど、ファイズの巧が偽史でも無事に生存している以上、「主人公が普通の人間として生存する」という修正力の方が強い模様。タケルは、不可思議現象研究所を生業(?)としながら、ゴーストハンターとして活躍していた。
元よりタケルの父親がゴーストハンターとして活躍しており、そんなタケル父は仮面ライダーにならずとも超人的なパワーを有していたので、今週のラストでタケルがスッと印を結んでソウゴを助けたのにも納得がいくところ。あれはゴースト関係なく、タケルというゴーストハンター自身が持つ能力で、念を飛ばしてソウゴの幽霊体を避難させたのかな、と。そう考えると、偽史に放り込まれた主人公の中でも、かなり主人公然としているな、タケル。
そんなタケルと、予告で登場していたマコト兄ちゃん。予告では変身シーンが披露されていたけれど、果たしてふたりの無事の変身は叶うのか。まずもって眼魂を手に変身ポーズを取っているということは、アナザーゴーストを何らかの形で除去し、偽史から正史に復帰させたと考えるべきだろう。警官である彼を説得してアナザーウォッチを吐き出させるのか(そもそもそれは可能なのか?)、普通に2015年でゴーストアーマーを使ってアナザーゴーストを倒してしまうのか(ゴーストライドウォッチの生成タイミングがそこから先の未来であるならば、理論上、まずは普通に正史が復帰するはず)、この辺りは来週のお楽しみですね。
しかしまあタケル、あまりにするっと登場したというか、ナチュラルすぎて可愛いというか。なんという孫オーラ。TV本編ではずっと悩んでいる印象も強かったけれど、その後のレジェンド客演では毎回すごく頼もしくて、親戚のオッサンのようにその成長を微笑ましく見守ってしまう・・・。
ちなみに『ゴースト』は小説版が色んな意味で衝撃の内容なので、未読の方にはオススメです。
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アナザーゴーストの所業
アナザーゴーストはその変身者が警察官ということで、あくまで善意に基づいて行動を起こす。不用意な人間の事故を未然に防ぐために原因となる人を襲うが、それはその背景を知っている神の視点での理屈であり、一般人的にはただ襲い来るモンスター。「善意故の行動なのに第三者からすれば怪人」という構造が、まさに「仮面ライダー」という感じ。妹を守るのはマコトらしいし、頑なに「みんな」を救おうとするのはまさにタケルといった印象。
ジオウ第13話終了。ジオウゴーストアーマー、1話からゲイツが使ってますがジオウでは初になります。アナザーゴースト、黒いシールド状の中にちゃんと眼があります。デザインは出渕さんです。
— 山口純一 (@junichi_yama) December 2, 2018
そしてディケイドの登場 、ディケイドライバーが一新されています。今後の能力もお楽しみにです✨ pic.twitter.com/evG6bGWvnK
とはいえ、「その原因を取り除くことで大勢を救う」という観点で見れば、ゲイツがやろうとしていること(打倒ソウゴ)と大して変わらないんですよね。このブログでも幾度と書いてますが、やはりゲイツとツクヨミが抱える大いなる矛盾については、後々の展開の柱になるんじゃないかと。
つまり、「歴史を変えてはいけない」というルールに縛られながらも、「オーマジオウが支配する歴史を回避しようとしている」、という点。今回で言えば、厳密にはゴーストやドライブのウォッチを盗んで2018年で使用すること自体、歴史を変えているとも言えてしまう訳で。そりゃあ、これだけかき回していけば、ウォズも警戒し出すよね、と。
話を戻してアナザーゴースト。毎回、イマジンやファントムよろしく契約関係でアナザーライダーが生み出されていたけれど、今回は瀕死の人間を無理やりアナザーライダーにするパターン。こういうのも有りなのね。よって、今回の肝は、「アナザーライダーになることで生存している人間を倒してよいのか」という部分。ウールがわざわざ指摘し、中盤では実際に一度死体を見せることで、その問題を印象づけてましたね(倒した相手がガチで死亡して戸惑うゲイツが何とも可哀想だった)。ある意味先のファイズ編とも近い展開だけども、ここをどう決着付けるのか。
原典である『ゴースト』は、肉体を捨てて完全なる管理社会を作り上げる眼魔世界と、個性を主張して清濁飲み込んででも人と人の繋がりを大切にするタケルら人類の、禅問答バトルがテーマとなっていた。そんなタケルの口癖は、「命を燃やす」。精一杯、何事もやり切り、やり抜く。語られる英雄のように、生きた人生を全うする。そこに人間の可能性を見出すのが、『ゴースト』の物語のキーなんですよね。
しかし、アナザーゴーストは、全うするための「命」がすでに失われている。『ゴースト』のテーマは、タケルは、そしてソウゴは、彼にどんな「救い」を差し伸べられるのか。
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世界の破壊者、襲来
そんなゴースト編の「命の物語」に、バケツをひっくり返すように、いや、もはや消防車を隊列組んで出動させるレベルで水を指してきたのが、我らが仮面ライダーディケイド、門矢士である。『ディケイド』以降、『スーパーヒーロー大戦』『ウィザード(特別編)』『仮面ライダー大戦』と、客演を重ねてきたディケイド。毎回、完全なるイレギュラーなライダーとして、盛大に場を引っ掻き回し、そして、現行の主役ライダーにその矜持を説いてきた。
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思えば、士という人間は、非常にソウゴという人間に近い。それは、アニバーサリーライダーとして他ライダーの力を使える、という意味ではなく、キャラクターの背景を指しての話。
士は、「自身の物語(過去)が無い」状態からスタートし、どの世界を渡り歩いても破壊者と罵られ、遂にはその出自がショッカー側にあったことまで明かされる。そんな、「ディケイドに物語はありません」といった最悪の状況から、自身の仲間と物語を紡ぎ、旅を続けるまでに至った。
一方のソウゴも、将来は魔王になる運命を背負わされている。「将来が決まっている」ということは、そこに至る前の2018年のソウゴにとっては、「物語がない」こととほとんど同じだ。自分がどんな可能性を提示しても、望まない結果に向かっていくことが決定されているのだから。
つまり『ジオウ』の物語は、ソウゴという主人公が、「決められた未来から脱出し、自分自身の物語を紡ぐこと」を目標にしている、と言い換えることもできる。
自身の物語性を否定され、それでも抗い紡いできた男が、物語を未来に運命づけられた後輩と出会う。士は、ソウゴに何を説き、どう導いてやれるのか。事前情報によると単なる前後編のゲストではなく15話以降も出演してくれるようで、そんな、「物語性」をめぐるふたりのアニバーサリーライダーの交流も楽しみにしたいところ。
にしても、アギトに響鬼とニクいところ突いてきますね。姿を変えてもその全てが士の傍若無人で自信満々な佇まいなのは、懐かしくて何より。ディケイド響鬼なんか、士の艶感バリバリな声の演技もあって、立ち姿が妙にエロかっこいい。すごい・・・。
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次回、ディケイドアーマー登場
ディケイドアーマーは、初見時から「あ、これガンバライダーじゃん!」と感じていて。ガンバライダーというのは、データカードダス『ガンバライジング』に登場する、プレイヤーがオリジナルのライダーを作れる素体のこと。顔に四角い画面が張り付いた造形とか、そのまんまなんですよね。
『仮面ライダージオウ』よりディケイドアーマーが、「RKF」シリーズに参戦!ビルドフォームへのフォームチェンジギミックも再現!
— 電撃ホビーウェブ (@hobby_magazine) November 30, 2018
https://t.co/rjT0WsXFUD #仮面ライダージオウ #ジオウ #ディケイド
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思えば、『ガンバライジング』の前身である『ガンバライド』は、『ディケイド』放送に合わせて展開されたもの。懐かしの『ガンバライド』・・・。最初にやった時は、登場ライダーも少なく、ポリゴンもぶっちゃけイマイチで、正直楽しさより不安が勝ったのをよく覚えてます。まあ結局、当時は結構カードも集めたし、DS版もかなりやり込んだんですけどね。
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そんな『ガンバライド』からの『ガンバライジング』では、前述のガンバライダーが出てきたり、更にはこれ専用のレジェンドフォームが多数登場してきた訳ですね。レジェンドガイアメモリに始まり、メダルにスイッチ、後年のガシャットやボトルに至るまで、平成ライダーを模したキーアイテムは毎年リリースされ、そのいくつかはこの『ガンバライジング』で披露されてきた。
『鎧武』のロックシードからは、前回の感想でも触れた、歴代ライダーのアームズだったり・・・。
『エグゼイド』のガシャットを使用すると、歴代ライダーの力をまとったゲーマーになったり・・・。
この路線の走りは、確か『フォーゼ』の歴代ライダーモジュールだったかな。
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今週の『ゴースト』でいくと、歴代ライダーのパーカーをかぶってましたね。
各種共演映画や番外編でいくつか披露されてきたものの、その全てを細かく拾ってきたのは、他でもない『ガンバライジング』だったんですよね。データカードダスこそが、「レジェンドライダーフォーム」の豊富な生息地だった。そして何よりこれは、『ディケイド』が個としてバラバラだった作品群に「平成ライダー」というコンテンツの串を通したからこその商業展開でもあり、ひとつのシリーズとして膨れ上がっていく二期の展開を象徴する存在とも言える。
そして現行の『ジオウ』は、この「レジェンドライダーの力で戦う主人公ライダー」を、番外編やデータカードダスではなく、まさかのTVシリーズ本編でやってしまっている。色んな意味で総決算というか、「遂にこの時が!」的な感動があるんですよね。
つまりは、「データカードダスの展開を遂に本編で本格使用するジオウ」の強化フォームは、「データカードダスを引っさげてシリーズを拡張したディケイド」によって与えられる、「データカードダスのオリジナルライダーを模したフォーム」な訳ですよ。
これ、ものすごく盤外を絡めた話でありながら、個人的に激アツなんですよね。平成ライダーのシリーズ後半(二期)の、商業コンテンツとして膨らんでいった直近10年を総括する存在、それこそがディケイドアーマー!いやあ、楽しみだなあ、その活躍が!
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・・・といったところで、13話の感想もこの辺りにしておきましょう。
アナザーゴーストは、『ゴースト』の物語によって救われるのか。『ディケイド』の物語はソウゴをいかに導くのか。平成ライダーというビッグコンテンツの重圧が、回を増すごとにソウゴの肩にのしかかってくるこの感じ。次回も楽しみですね。