ジゴワットレポート

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建築工事請負契約を交わしました

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半年以上もの間、その余暇のほとんどを費やしてきたマイホーム計画。やっとこさ、最初の山を超えました。

 

先日無事に建築工事請負契約を交わし、施工業者が決定。2020年、マイホームが建ちます。 

 

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最終的には、某大手ハウスメーカーに決定。ハウスメーカーや工務店、合計10社ほどを見比べるところから始まり、見積もりまで辿り着いたのがその内の5社。かなり時間をかけて、かなり悩んだけれど、おかげでこの決定に今のところ悔いは無い。

 

しかしよくよく考えれば、出会って数ヶ月しか経っていない営業マン相手に数千万単位の契約を結ぶの、狂気の沙汰なんですよ。以前法人相手の営業マンだった経験があるけれど、これよりはるかに少ない金額に何倍もの時間をかけていたなあ、と。マイホームを建てるという行為は、ある程度の「勢い」がなければやってられない・・・。

 

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決定したメーカーは、以前のブログにも書いた、「我々夫婦にインタビューをした上で間取りを持ってきてくれた営業マン」の方の会社。やはり最後まで独走状態をキープして、そのまま走り抜けた。

 

www.jigowatt121.com

 

結局は、この方が最も「我々夫婦の意図を汲んでくれた」のであった。詰まるところ、勝敗を分けたのはこの部分だ。

 

どうしても意図が伝わっていない感触が残る相手もいて、金額的にもそちらの方が低かったのだけど、「納得」を重視して高い買い物をすることにした。重ね重ね、大切なのは「納得」である。数千万単位の買い物だ。「納得」の強度は高い方が良い。

 

今回の見積もり合戦を通して感じたのは、「返報性の原理」だ。人は他人から施しを受けた場合に、何かしらお返しをしなくてはならない感情を抱く。各ハウスメーカー、あるいは工務店の営業マンは、ここを狙って演出してくる。

 

例えば、住宅ローンの事前審査。必要書類を整え、銀行のローンセンターに持っていく作業なのだが、これをぜひ代行させて欲しいという営業マンが複数いた。地元に網を張って営業しているメーカーだと、もちろんローンセンターの職員とも知り合いなので、その辺をスムーズにやれますよ、と。お決まりの枕詞は、「ウチで契約してくれなくても構いません。どこで契約になっても、どうせ必要な作業ですから」。

 

あるいは、地盤調査。こればっかりは、実際に調査してみないと状態が分からないものだ。どこで契約するにしても、必ずそれをする必要があるし、状態が悪ければ別途費用をかけて改良を行わなければならない。付随して、測量担当チームを派遣しての実寸。これらも、「ぜひやらせてください!」と何度も声をかけられた。

 

私も営業をやっていたから分かるつもりだが、その行為は、「返報性の原理」を積み上げる側面が大きい。何度も相手のもとに足を運び、直接利益に結びつかない行為を重ねながら、「ここまでしてくれたら断りにくい」「何かお返しをしなくては」という状態に相手を持ち込む。そういった目に見えない土壌の上で、見積もりという実際の金額が行き来し、契約に結びつくのだ。「断りにくい」というのは、売る側にはこの上ない強力な武器で、買う側には最高にやっかいな代物だ。

 

だからこそ、それを狙って演出する営業スタイルを、私は悪いとは思わない。実際、過去に自分もやっていたからだ。しかし、だからこそなのか、私は面倒を承知でそれらを全て断り続けた。「ローン関係は全部自分でやります」「地盤調査や測量は契約したメーカーにお願いするので現状は不要です」。おそらく相手の営業マンは、私が中々尻尾を出さないのでヤキモキしただろう。その気持ちはよく分かる。悪いとも思うが、こちらも人生をかけた買い物なのだ。真剣勝負である。

 

そうして、「提案力」「機能性」「間取り」「営業マンとの相性」「金額」あたりの観点から、総合的にジャッジすることにした。「このメーカー相手は断りにくい」という心理は、今回に限ってはノイズなのだ。営業マンの方とも必要以上に仲良くならなかったし、提携先から手に入れたという観劇チケット等のプレゼントも全てお断りした。

 

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しかし誤算だったのは、あるひとりの営業マンだ。この人は、私たちのそういった判断基準を早々に見抜いたのか、余計なカードを切ることはほとんどなかった。その分、「提案力」の一点突破で攻めてきたのだ。

 

打ち合わせの度に我々夫婦のリアクションを細かく観察し、お願いしていないのに、「前回奥様はこのポイントで口数が少ないようにお見受けしましたので、勝手ながら改善案を作ってみました」「旦那様はこれを気に入られていたので、こっちにも考え方を反映させてみました」という提案がどんどん飛び出してくる。しかも、そのどれもが、痒いところに手が届くのだ。気味が悪いくらいに。

 

「ここはもうちょっとどうにかなりませんか?」「この部屋の収納を増やしてください」「全体的にもっと開放感が出ませんか?」。これらのお願いについて、どの営業マンも、次回打ち合わせ時にそれなりにクリアしたものを持ってきてくれた。もちろん相手はプロなので、「なるほど!」と膝を打つことは多かったし、その発想と技術の蓄積は聞いていて非常に面白かった。

 

しかし、前述の営業マンだけは、その一歩先を行っていたのだ。私すら察せていなかった、本人も上手く言葉にできなかった、そんな嫁さんが持つ要望までもをサルベージし、先んじて提案してくれる。「実はこう感じていませんか?」と切り出されるカードが、驚くほど刺さる。なんとも不思議な感覚である。つまり、打ち合わせの席以外でも、我々夫婦の要望について時間をかけて取り組み、考え抜き、そうして導き出されたモノを持ってきてくれているのだ。

 

思えば、これぞまさに「返報性の原理」ではないか。ローンの手続きとか、地盤調査とか、測量とか、そういった端々のポイントではない。「客のための提案」。この、王道かつ正道のゾーンに、「返報性の原理」をストレートで投げ込んできた。「ここまで我々夫婦の意図を汲んでくれて、一緒になって考えてくれる人であれば、何かお返しをしたい。いや、むしろさせてほしい」。まんまと、そういう思考に至ってしまったのである。この人のプランに比べると、どうしても他社のプランは見劣りしてしまう。その思いは、契約書に判を押すその瞬間まで変わらなかった。

 

そういった営業マンと出会えた、それ自体が非常に運の良いことであった。無事に契約を済ませたので、ここからは細かな仕様を決めていく打ち合わせ地獄に突入する。しかし、横並びで進めていた時とは違い、時間をかけた分だけゴールに近づいていく道のりなので、随分と気は楽である。

 

また、残念ながら不採用となったメーカーへの電話連絡も、なんとか終えることができた。分かっていても、どうにも胃が痛いこの瞬間。ある営業マンは、負け惜しみのように「(決めた会社)にはこういった悪評があるらしいですよ」と告げてきたけれど、こんなことを言う人と契約しなくて本当に良かった。不採用にした判断が間違っていなかった、何よりの証拠である。

 

今回の一連の相見積もりで心がけていたのは、やっぱり「納得」である。金額も、間取りも、外観も、耐震性も、気密性も、耐熱性も、どれもこれも、「納得」には劣る。そもそも、数十年のローンを組んで数千万の買い物をすること自体が、常軌を逸しているのだ。だからこそ、そんな不条理で突拍子もないイベントには、夫婦そろっての「納得」で立ち向かう必要がある。

 

そういった考えのもと、夫婦でいくつか約束をしていた。「①打ち合わせには必ず夫婦そろって参加すること」「②思ったことは全部その場で言うこと」「③後から思いついたことは次の打ち合わせを待たずに営業マンに連絡すること」。スケジュール的にどうしても厳しい場合は、LINEを通話状態にして遠隔参加をしたこともあった。

 

家は、私だけで建てるものでも、嫁さんだけで建てるものでもない。夫婦それぞれの思いを極限まで煮詰めて、その上で「納得」する必要があった。そのためには、片方に任せるという行為は後の火種にしかならない。

 

出来上がった間取りは、夫婦それぞれの理想とわがままがギリギリのところで同居しており、すでにとてつもない愛着が生まれている。たった紙切れ一枚なのに、それを何時間眺めても飽きないほどだ。実際の形になるのが、とにかく楽しみである。

 

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