ジゴワットレポート

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アヴァロンの鍵リアルカードキル事件により僕はゲーセンに行かなくなった

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まだ「私」でも「俺」でもなく「僕」と言っていたクソガキ中学生時代。辺鄙な田舎のゲームセンターは、その土地では貴重な遊び場であった。

 

学校の先生からは「下校中のゲーセン立ち寄り」は慎むよう言われていたけれど、友人らとたまに寄っては、リズムゲーをしたり、UFOキャッチャーをしたりと、貴重なお小遣いをそういったコミュニケーションにつかっていた。あの、少し暗くてやかましいほどに音が鳴っている空間は、中学生にとってはちょっとだけ大人びた場所に思えた。もちろん、スマホはおろかガラケーだって一人一台持っていない、そういう時代の話である。

 

その当時、『アヴァロンの鍵』というアーケードゲームがあった。

 

アヴァロンの鍵 オリジナル・サウンドトラック

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実物のカードを使ってボードゲームのようにプレイする内容で、当時はまだオンライン対戦の環境もない、この手のアーケードゲームの草分け的存在。・・・と、言ってみたはいいものの、実はこのゲームはほとんどプレイしたことがない。

 

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「実物のカードを使って画面上で戦う」。そういったアナログとデジタルが融合したアプローチは、ご多分に漏れず『遊戯王』に心を奪われた「僕」にとってはえらく魅力的なものだった。デュエルディスク的なアレである。筐体を前に、ワクワクを募らせたのをよく覚えている。

 

「あまりつかえるお金(お小遣い)はないけれど、それでもハマってみたい」。そう思い、ある日ついに、友人らとその筐体にチャレンジすることに決めた。実際に行ってみると、いつもプレイヤーが多いのに、運よく空いている。「よし、やろう!」。そう言って、財布から小銭を取り出す。支払いは任せろー バリバリ

 

そしてここで、筐体の手前のテーブルに置かれたひとつの箱に気付く。そこにはなんと、『アヴァロンの鍵』のカードが山ほど入っているではないか。【いらないカードのリサイクルボックス。自由に入れて、持って行ってください】。そう貼り紙がされてある。

 

なるほど、『遊戯王』で考えたら分かりやすい。金をかければかけるほど、要らないカードは増えていく。それをここで野に放ち、時には自分に必要なカードをもらうこともできる。ゲーセンという環境でのみ成立する、店側の配慮により設置されたリサイクルボックスだった。

 

そのボックスを見つけた「僕」たちは狂喜乱舞し、思い思いのカードを手に取って、自分のものにした。各々十数枚くらい選んだと思う。そして、すぐさまプレイ開始。コツをつかめていないプレイ内容は散々だったけれど、実際にカードを手札のように構える、その行動だけで楽しかった。

 

事件はその後に起きた。

 

ほどなくして筐体から離れると、高校生だか大学生だか、やたら高圧的なお兄さん数人が「僕」らを囲ってくる。「え?何かした?」と不安になるも、開口一番、「お前ら、リアルカードキルしただろ?」と。

 

リアルカードキル!?!?!??????

 

初めて聞く単語に戸惑い、オロオロする「僕」たち。グイグイくるお兄さんたちの話を要約すると、①例のリサイクルボックスは入れる枚数と持っていく枚数を同数にするのがここでのマナー、②ましてや十数枚も持って行くのは完全にルール違反、③それらの行動を指して「リアルカードキル」と表現している、ということだった。

 

内容はともかく、数人のお兄さんたちに絡まれては、従わざるを得ない中学生ボーイズ。しぶしぶ、泣きそうな顔で、先ほど手にしたカードをお兄さんたちに渡す。「そういうルールやマナーはあるならせめて明記して欲しい」、そんなことは思っても言えなかった。「僕」たちは、びっくりするほどの喪失感とショックを胸にゲーセンを後にした。帰路、誰もろくに喋らなかったのをよく覚えている。

 

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「ゲーセンの人離れ」、という定期的な議論がある。常套句として、「ゲーセン特有のコミュニティが新参者を遠ざける」という答えもある。この「アヴァロンの鍵リアルカードキル事件」は、私にとってまさにそれだった。これ以降、そのゲーセンに行くのがやっぱり怖くなってしまい、自然と足が向かなくなったのだ。

 

ゲーセンに限らず、「そのコミュニティに存在する独自のルールやマナー」というものは、往々にして存在する。うちの会社でも、新入・中途社員の型から外れた行動に対して、そういう批難を述べる人もいる。とはいえ、そのマナーの存在を誰かしっかり教えたのか、周知したのか、あるいはそれは本当に必要なものなのか、そういった行動が取られているかと考えると、非常に怪しい。これでは、騙し打ちの構図と同じである。

 

とはいえ、反面、そういったマナーやルールが無い方が良い、とも思わない。杓子定規にはいかない局面、黒にも白にも該当させられない分野、触らない方が良い部分など、そういった腫物を不文律が守っているシチュエーションというのは、確かにある。その不文律が、時に細かなトラブルを起こしながらも、長い目で見れば場を滞りなく進行させている。そういうのは、残念ながら往々にしてあるのだ。

 

「アヴァロンの鍵リアルカードキル事件」は、あのゲーセンにとって、「細かなトラブル」だったのか。名誉の不文律だったのか。その真相は分からない。ただ、あれを機に「僕」たちはそのゲーセンには行き辛くなった。その結果だけがある。

 

アラサーになった今でも、「言わなくても分かるでしょ?」「ここではそういうルールだから!」等々の言説を耳にする(目にする)たびに、この事件のことを思い出してしまう。スパッと答えを用意できない思い出だが、ひとつだけ言えるのは、「リアルカードキル」という鋭利な表現をオラつきながら何度も使っていたあの推定高校生お兄さんのワードセンスは私には真似できないだろう、ということである。

 

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