ジゴワットレポート

映画とか、特撮とか、その時感じたこととか。思いは言葉に。

このほど観たり読んだりしたエンタメの感想9連発(忍びの家、555パラリゲ、ジョン・ウィック4、キメラアント編、PLUTO、MONDAYS、GANTZ、龍と苺、ようこそFACTへ)

昨日に引き続き、リハビリがてらとにかく書いていきます。今日は、最近観たエンタメ(映画&漫画)の感想をざっくりと。また本腰入れて別記事でレビューをアップしたい作品も混じっていますが、それらは取り急ぎの初報ということで。

 

全てにおいて根幹のネタバレは避けますが、ふんわり触れかけているものもありますので、どうかご容赦を。

 

忍びの家 House of Ninjas

www.netflix.com

賀来賢人プロデュース&主演のネトフリオリジナル作品。全8話の連続ドラマ。嫁さんに進められて何の気なしに観たのだけど、いやはやこれが実に面白い。めちゃくちゃ楽しめた。洋ドラの作りをとても研究&踏襲していて、どういうシーンでクリフハンガーに繋げるか、複数の群像劇をどういった塩梅で走らせるか、クライマックスに向けてそれらを如何に収斂させるかなど、まずもって全体の構成が堅実。というか、「現代日本に服部半蔵の子孫一家が政府から依頼を受けて活動する諜報員のように存在していたら」という設定が、ありきたりのようでよくよく考えるとちゃんとは無かったような、知っているようで新鮮なアプローチになっていて、これがもうすごく良い。見知った日本人キャストだから取っつき易いし、タイトルに「家」とあるようにちゃんとホームドラマになってる。妙に背伸びすることなく、実現可能なバジェットでエンタメを真っ直ぐ追及して創りました、という感じ。お勧めです。シーズン2熱望します。

 

仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド

随分と昔に、児童誌連載の漫画かファンの二次創作か、一目見て感銘を受けた絵がある。それは、ファイズがホースオルフェノク(疾走態)に跨って心身一体で共闘して敵を倒すというもの。『仮面ライダーファイズ』という作品に “あえて” 続編を付け足すとして、じゃあそれをやる意味や意義として何が描けるかと考えると、「仮面ライダーとオルフェノクの共闘」だろうとぼんやり思っていた。当時の『ファイズ』は、これをしっかり映像で見せ場とはしなかったからだ。立場や生態が違う者同士が起こす軋轢や葛藤が『ファイズ』の旨味なので、その「違う者同士」が名実共に並び立ち共闘するのは、作品のテーマに対してとても素直な着地だ。また、20年前からすると今や価値観や感覚はすっかり変わった。「自分と異なる者」は、「もしかしたら身近にいるのかもしれない」から「当たり前に身近にいる」になった。そういうグラデーションの変化をも盛り込みながら、しっかりショッキングも用意して、迷いなく一直線にテーマに落とし込むあたり、流石の白倉&田崎&井上トリオだなと感服。この几帳面なバランス感覚に惚れるのよ。

 

ジョン・ウィック:コンセクエンス

シリーズ4作目にして一応の(一応の?)完結作。予算も上映時間もアクションの危険度も何もかも回を追うごと「膨張」していくジョン・ウィックシリーズ。上映時間が90~120分の映画が好きな自分にとって流石にどうしようかと思うくらい長かったけど、これはこれでジョンが辿るいつまでも終わらない悪夢を追体験するような仕上がりだった。階段を落ちた時はもうどうしようかと唖然としたし、凱旋門まわりのアクションにはゲラゲラ笑った。また、少年漫画的なストレートな熱さがいくつか盛り込まれていて、そういう意味ではシリーズ随一に「スカッと面白い」と言えるかもしれない。ジョンが行き着く結末は非常に納得がいくもので、むしろああじゃなきゃ嘘だろとも思っていたので、監督との解釈一致に喜んだ。アトロクでの監督インタビューも必聴。

 

HUNTER×HUNTER キメラアント編

途中までネトフリで配信されていて、かと思ったらU-NEXTで全話観放題だった。新ハンターアニメは特に序盤に原作からよく分からない改変をしたり、旧アニメの緩急のある演出からするとやや見劣りする場面もあるのだが、キメラアント編は本当によく出来ている。大量のキャラクターが複雑に交錯し、細かな時間経過や能力の応酬を重ねていくのだが、ナレーションと演出でそれらをばっちり捌いているのだ。シーンによっては原作より良いと断言したい。メルエムがコムギの名を思い出すシーンがドラマの頂点で、特にそのシーンの演出が好きすぎる。思い出すだけで泣ける。あの劇伴がお見事で、それを知ってから前の回を見ると普通に軍議を打っているシーンでそのアレンジが流れていて不意に涙がこみ上げたりもする。

 

PLUTO

www.netflix.com

長年の原作ファンなので映像化には不安もあったが、土下座で謝りたいレベル。素晴らしい。こんな完全無欠なアニメ化もそうそう無いだろう。手描きセルアニメの味をしっかり残しつつ、要所要所でCGを用いてダイナミクスをもたらす。むしろ、セルに対するCGの一種の違和感を演出が利用しているきらいまであり、何ともクレイジーだ。他方で、原作もとい浦沢漫画特有の「あれって結局どういうことだっけ?」な話運びはそっくりそのまま踏襲しており、しかしここまでのクオリティでやられるとそれすら愛嬌に感じられるからずるい。とにかく、手ごろに短く間違いのないハイクオリティなアニメが観たい人には、文句なしでこれを挙げておきたい。ありがとう。感謝しかない。作画が安定しているとか、ぬるぬる動くとか、なんかもうそういう域をとうに超えている。

 

MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない

正真正銘の「タイムループもの」で、そういうのを見慣れている人ほど面白がれる作品。このジャンルにありがちな設定やパターンをしっかり踏襲しつつテンポよく回していく前半部はかなり神がかっていた。タイムループって必然的に「同じカットや同じ演出が繰り返される」訳で、それらを極めてリズミカルに、もっと言えばミュージカルにも近い文法で処理していくのは実に納得度が高い。これはもはやパンパンスパパンですよ。逆に後半部、私としては前半の痛快さに比べるとかなりの喰い足りなさを覚えてしまったのだが、貴方ならどうだろうか。YouTubeで予告を観て「おっ!」と感じた人にはぜひ一度観ていただきたい。タイムループの解消としてこういうドラマに向かうのは分かるが、それにしても。うーむ。

 

GANTZ

急に思い立って文庫本全巻セットをポチってしまった。私は『GANTZ』を中高生にリアルタイムで浴びてしまった世代で、あの頃の「こんな漫画ッ!読んだことねェッ!!」という衝撃を今でも鮮明に覚えている。多感な中高生時代にこんなSFエログロを浴びてしまったらもう終わりですよ。終わりったら終わり。一寸先が読めない話運びが連続する本作だけど、巻末のインタビューで奥先生が「およそSF映画はほとんど観ているのでそれらのどれにも該当しない展開を連続させれば『誰も読んだことのない漫画』が描ける」と語っていて、そりゃ理論上はそうかもしれないけどエグいこと言ってんなと口をあんぐり開けた。今となってはデスゲームものの一種の祖にも位置づけられるのが感慨深い。ガンツがもたらすスーツや銃を日常生活で使える、この「異なる文法が日常に交じる興奮」こそがSFの醍醐味だよなあッ、って。

 

龍と苺

単行本で読んでいたが途中から我慢がきかなくなり、サンデーのアプリでコイン課金して最新話まで追いつき、今はサンデー本誌で読んでいる。自分がそれほどまでに「追いたい!見届けたい!」となった漫画は久しぶり。よく出来たエンターテインメントというより、歪なバランス感覚、突出したバロメーターを極めて自覚的に使いこなすようなタッチで、ついつい引き込まれる。嘘のようなタイミングで藤井八冠が誕生したのもひとつの追い風か。とにかく読んでみて欲しい。サンデーのアプリからでも、漫画アプリでも、何でもいいから。最初の数話を読んでみて「なるほどこういう『味』か」と思ったら、それが際限なくずっと倍々ゲームで濃くなるから。あと、今週発売のサンデー掲載の181話、驚愕の展開に目が点になった。物心ついてからこっち無数の漫画を読んできた半生で一番びっくりしたかもしれない。

 

ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ

『チ。』作者の最新作。単行本4巻で終わるボリュームで、つい先日最終話が公開になった。いわゆる社会的弱者に相当する主人公が陰謀論にハマってしまうお話。陰謀論がいかにある種のエンターテインメントに満ちていて、時にソリッドで、時に馬鹿馬鹿しくて、どうやって私生活に滑り込んでくるのか。ひとつの思考実験みたいな漫画で、見ちゃいけない世界を(漫画外の)安全圏から覗く優越感にも似た感覚がある。ウシジマくん型。そして、「この世界の多くが認識していない『真実』を知ってしまいそれを訴える者たち」という筋でやっていることが『チ。』と同じなのもブラックジョークが効いている。この主人公のような人間に本当に必要なのは、誰で、そしてどういった生き方なのか。着地が真っ当で綺麗なので、終わってみると余計に虚構部分が際立って感じられる。また初回から読みたい。

 

なんつってる間に4,000字っすよ。あ~あ、ブログ書きリハビリの辛いとこね、これ。

 

 

感想『ドクター・ストレンジ / マルチバース・オブ・マッドネス』、あるいは映画の独立性を置き去りにするMCUについて

正直に告白すると、焦って『ワンダヴィジョン』を観た。

 

タイミングに恵まれずディズニー+のドラマシリーズはこれだけが未見で、その他の『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』『ロキ』『ホワット・イフ…?』『ホークアイ』は視聴済み。続く『ムーンナイト』が現在進行形である。今年のGWは『シン・ウルトラマン』に備えた『ウルトラマン』の復習と『ワンダヴィジョン』で幸せな多忙を極めていた。

 

さて、まずは『ワンダヴィジョン』の感想を簡単に。私は常々、そのメディアでしか出来ない表現を突き詰めた作品が好きだとこのブログでも書いているが、同作はまさにその典型であった。シットコムと思われたその世界は実は・・・ という段取りだが、これと同じプロットを仮に小説でやってもほとんど面白くないだろう。映像作品だからこそ、映像パロディが活きる。とてもシンプルなギミックとはいえ、やはりこの点を突き詰めた作品にはそれだけで一定のパワーが宿るものだ。元々原典アメコミのワンダがまあまあトラブルメーカーであり、俗な表現で言うところのヤンデレ気質なのは聞いていたので、こういうプロットにも抵抗はなかった。

 

むしろ、中盤からアガサという別の魔女を出して「全てアガサの仕業!」などと歌わせていたが、全然アガサの仕業ではなかった。やっぱり主因はワンダで、アガサはそれに乗っかって自身のパワー増幅を目論んだだけ。あとはソードの横槍も幾ばくか。一応構図としてはヒーロー側(善玉ポジション)に位置するワンダが主因になってしまう、その取り返しがつかないリスキーなプロットが魅力的だったので、中途半端にアガサを黒幕っぽくしたのは正直「日和ったか?」という感じもなくはなかった。(ヒーローサイドがトラブルメーカーとなる構図はトニー・スターク等でもやってきたが、それらはあくまで結果的なものであり、今回のワンダのように自覚あり+自己中心的+非人道行為はかなり珍しい、という理解)

 

 

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といったドラマシリーズを経ての『ドクター・ストレンジ / マルチバース・オブ・マッドネス』。『ワンダヴィジョン』で大きな喪失を経験したワンダ改めスカーレットウィッチがどっしりとメインキャラクターで登場する。

 

フェーズ4に突入したMCUは、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』にドクター・ストレンジ、今回の『マルチバース・オブ・マッドネス』にワンダ、今夏の『ソー:ラブ&サンダー』にはガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの面々と、それ単体で主役が張れるキャラクターを贅沢にも脇に登場させている。全てを追っている私を含む全世界の物好きには何の問題もないが、それ単体シリーズを観ていた人はやや面食らうだろう。実際、スパイダーマンだけが大好きな嫁さんは『ノー・ウェイ・ホーム』に出てきた髭面マントおじさんが意味不明な様子であった。

 

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス (オリジナル・サウンドトラック)

 

そんな髭面マントおじさんが大活躍する『マルチバース・オブ・マッドネス』だが、観終わってまず思ったのは「よくあの予告編を作ったな」であった。通常の(通常の?)映画ならクライマックスに位置しそうな場面が早くも序盤20分あたりで訪れ、そこから延々と起承転結の転を繰り返していく。映像は元より、その予測不可能な話運び、着地点を見失いそうな急展開の数々が、実に奇妙(ストレンジ)なのだ。サム・ライミ監督の作家性がこれでもかと強く出ていたのも印象的で、ここまで作家性押しなのは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズのジェームズ・ガン監督以来かも、などと思ったり。

 

重要なポジションで登場するスカーレットウィッチの行動理念、もとい動機の説明が『ワンダヴィジョン』で済んでいる・・・ ということになっているため、その辺の尺は潔くカット。一人でメスを握りたがる髭面マントおじさんが、時には他人にメスを握らせることを覚える。というか、まさか『インフィニティ・ウォー』における犠牲を伴うストレンジの決断(1,400万605通りからの選択)を糾弾するプロットが出てくるとは思わなかったが、それも踏まえたメス握りのプロットはなんとも王道で、ここまでワンダが出張ったりサプライズもあったりするのに、しっかりストレンジ主役の物語として着地している。こういった辺りのMCUのバランス感覚はお見事。

 

めちゃくちゃ複雑なマルチバースについても、多用なテロップやイメージ図を用いることなく、気の利いたセリフ回しと絵、演出それ自体でしっかりと観客に理解させる。あれだけひっちゃかめっちゃかにバースを横断しておまけに精神世界まで行き来するのに、「今どこでなにやってるんだっけ」とは1ミリもならない。離れた場所、あるいは異なるバースで起きている出来事が、どう連携してどう作用するのか。その観客の理解が、劇中のストレンジの理解と同じテンポで積み重なる。

 

これはピクサー映画にも言えることだが、MCUって、やはりこういったシナリオ構築における基礎値が高いんですよね。作品個々に不満がない訳ではないが、それは物語に没入した先に生まれるもの。「物語に没入できないという不満」は、ピクサーやMCUにはほとんど生まれない。昨今の映画産業はスタジオの権力がより肥大化している感触があるが、超天才クリエイターの集合知でここまでのアベレージが保てるのであれば、やはり歓迎だと言わざるを得ない。いわゆる「ノイズが少ない」である。

 

さて、この記事のタイトルの話をするが、本作は明らかに映画作品の独立性を置き去りにしている。これまでもそのきらいはあったが、今回はいよいよそれが大きい。

 

明確に、『ワンダヴィジョン』を観ていないとメインキャラクターの行動原理がよく分からないというバランスになっている。もちろん会話の端々から幾ばくか察することはできるが、それだけで理解しろというには不十分だろう。ストレンジの一作目を観た人が「へぇ~ 続編があるんだ。アベンジャーズはよく分からないけどこの髭面マントおじさんがかっこよかったから続編を観てみよっかな~」と思い至ると、普通に事故になるバランスである。

 

しかしこれはMCUが試験的にずっとやってきたことで、特に『インフィニティ・ウォー』以降はサノスの指パッチンで世界人口の半分が消失した歴史が当然の前提になっており、それを知らなければ入口で躓きそうな気配があった。しかしそれはあくまで事象であって、「まぁそういうことがあったんだろうな」とか、そういう程度で緩やかにスルーすることは出来ただろう。とはいえ今回のワンダは、私の肌感覚で言えば明確に「やったな」と。ドラマシリーズをすっかり前提に置いたな、確信犯(誤用)だな、と。そう感じた次第である。

 

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・・・なんてことをもっともらしく言っているが、結論から言うと、私はそれで良いと思っている。

 

さかのぼれば2008年の『アイアンマン』。それぞれ単独主役のアメコミヒーロー映画を作ってそれをクロスオーバーさせます! ・・・なんて前代未聞の企画を、やっぱりどこか、鼻で笑ったものである。いやいや、そんなの、無理でしょ。観客の予習が前提となるような、シリーズの続編展開とは全く異なるユニバース的なアプローチ。そんな映画の作り方が通用する訳がない。もし、もし、もしだよ。万に一つそんなことが出来てしまったら、それは映画産業の革命だ。まあ、いいよ。もしかしたら成功するかもしれない。もしかしたら私は伝説の目撃者になれるかもしれない。な~んてね。

 

MCUの大掛かりな構想を私はGIGAZINEで初めて目にしたと記憶しているが、その際こんなことを思ったものである。『アイアンマン』を劇場で観た際も、面白ぇぇ!と感激しながらそれでもやっぱりユニバース展開はめちゃくちゃ途方もないなと、そう感じていた。

 

それが、どうだろう。実際に映画産業に革命が起きてしまった。私は伝説を10年スパンで見届けたひとりになったのだ。「観客の予習を前提とする」は確かにハードルとしてあったが、同時に、基礎値の高いエンタメと魅力的なキャラクターを繰り出すことで「仮に予習していなくてもなんとかなる」まで『アベンジャーズ』を引き上げていた。そりゃあ、素人だって分かる。この試みが上手くいけば、個々のヒーローについた観客は雪だるま式に増え集合映画がメガヒットすることを。その理屈は分かる。が、実際に『エンドゲーム』が世界興行収入27.9億ドルを記録し『アバター』を抜いてしまうと、もうひれ伏すしかない。マーベルは、夢物語をマジにしてしまったのだ。

 

 

それから、猫も杓子もユニバース展開を試みるようになった。同資本のスター・ウォーズもしっかり追随。お隣さんのDCもなんとか。怪獣は上手くいっているようだが、ダークは駄目だった。MCUの成功は、映画産業それ自体の在り方をすっかり変えてしまったのだ。

 

だから、良い。『マルチバース・オブ・マッドネス』が『ワンダヴィジョン』を前提とするのは、MCUが押し進めるユニバース展開のネクストステージなのだ。今度こそ正真正銘「観客の予習を前提とする」、そのターンに入ったということだ。

 

「ドラマシリーズを観ていない観客に優しくない」「ディズニー+へ加入していないと続編を楽しめない」、そんな声はもう背中で弾くことにしたのだ。あの頃、「アイアンマンは観ているけどソーは観ていない。アベンジャーズを楽しむためにはソーも観ないといけないのか」なんて声に耳をふさぎ、正面からエンターテインメントで殴ったからこそ、今のMCUがある。だから、良い。これで振り落ちる人は落ちればいい。私は、『マルチバース・オブ・マッドネス』からそんな表明を聞いたような気がした。

 

「映画産業の在り方を変える」。マーベルは、ユニバース展開で映画を縦だけでなく横にも接続する試みを成功させたが、今度は、原則として別の畑にあるドラマシリーズともどんどん複雑に接続していく。映画産業という枠組みそれ自体を緩やかに崩していく。映画の新作があったかと思えば、息つく暇なくドラマの新作。それを観ているうちに映画の新作が公開される。そんな、「イベントとしてスポット的に楽しむもの」から「常時楽しむもの」への転換。例えば日本であれば、仮面ライダーやスーパー戦隊が毎週放送され、四季折々に映画やVシネマが展開されるような・・・。そんな「常に何かしらが供給される」ステータスを、莫大な資本・ノウハウ・クオリティで繰り出す。それに付いて来られる観客、並走してくれるファン、生き残ったそいつらからだけでも採算が取れる。そう判断したのだろう。

 

だから、これは煽りでもなんでもなく、リタイアする人はリタイアすれば良いと、私はそう思う。そういった人は、『アベンジャーズ』の2012年にも、『シビル・ウォー / キャプテン・アメリカ』の2016年にも、『アベンジャーズ / インフィニティ・ウォー』の2018年にも、それなりにいたのだろうから。私だって、いつ音を上げるか分からない。事実、冒頭で書いたようにこのタイミングであたふたと『ワンダヴィジョン』を観たほどだ。エンターテインメントが飽和する供給過多なこの時代、その覇権を獲ろうとするならば、これくらい強気の波状攻撃でいかねばならないのだろう。

 

だからこそ、いわゆるABCシリーズ(『エージェント・オブ・シールド』など)がMCUの本筋にほとんど絡まなかったのは、当時なりの波状攻撃展開がまだ時期尚早だった結果ではないかと邪推してしまう。Netflixシリーズ(『デアデビル』など)をここにきてふんわり絡めてきているのも、その時期尚早な歴史をなんとかリカバーしたいという想いから打ち上がった、観測気球のようなものではないだろうか。

 

しかしまあ、「予習が必要」「順番通りに観たい」「全部観ないといけない強迫観念」というのも、極めてギークでナードでオタクな発想なのだろう。『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』を観た嫁さんは髭面マントおじさんのことがすっかり気に入ってしまい、MCUの構造なんて丸っきり無視してそのまま一作目である『ドクター・ストレンジ』を観た。必要な知識や、ユニバースを前提としたあれこれは、配偶者である私が折に触れて解説をした。なんというか、まあ、それでいいのかもしれない。

 

音を上げ振り落とされる人がいる一方で、縦横無尽に作品が接続し独立性が置き去りにされているからこそ、その網に興味のアンテナが引っ掛かる人もいる。単純に、フックが多いのだ。配偶者が、兄弟が、親が、友人が、フォロワーが。生活圏のどこかに訓練されたMCUオタクが存在すれば、補完とエスコートはそいつが勝手にやってくれる。だから、作品内でわざわざやる必要はない。そういった配慮を置き去りにして、新しい試みに注力すれば良い。

 

これが、エンターテインメントにおける新たな帝王学なのかもしれない。

 

 

感想『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』 大いなるオリジンと通過儀礼は「お祭り」と同じ舞台上でよかったのか

 

サム・ライミ監督による『スパイダーマン4』が制作されなかったことも、マーク・ウェブ監督の『アメイジング・スパイダーマン』シリーズが2作で途絶えたことも、未だ幻のまま噂だけが独り歩きする『シニスター・シックス』という企画があることも、『シビル・ウォー / キャプテン・アメリカ』に3代目となるスパイダーマンが登場したことも(この場合は東映版を数えないとかそういうややこしい話は一旦脇に置いておいて・・・)、全てが、間違いなく、とてもパワフルな、「大人の事情」である。ここまで世界的に有名なエンタメ大作の「事情」に観客が付き合わされてきた歴史も、そうそう無いだろう。

 

それでもなぜ、幾度となくスパイダーマンは銀幕を飾るのか。それはシンプルに、「売れる」からである。サム・ライミ監督『スパイダーマン』(1作目)の興行成績は8億2,000万ドル超、日本でも75億を記録している。商業的に不発だった印象が残る『アメイジング・スパイダーマン2』ですら、日本での成績は30億を超えているのだ。ちなみに直近の2021年の記録だと、『ゴジラvsコング』の国内興収は19億、『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』でも27億となっている。スパイダーマンというコンテンツは、強力なドル箱なのだ。

 

だからこそ、何度だって・・・。たとえお話がリセットされようと、それでも制作される。ピーター・パーカーという青年が主人公であることも、ベンおじさんが死ぬことも、大いなる力には大いなる責任が伴うことも、誰もがとっくに知っている。それでも、知っている観客に向けてそれをわざわざ語り直すことが許されるほどに、無慈悲なるドル箱なのだ。「え? またスター・ウォーズをいちから作るの?」や「え? またジュラシック・パークをいちから作るの?」なんて、常識的にはあり得ない。続編やスピンオフといったアプローチが順当である。しかし、「え? またスパイダーマンをいちから作るの?」は「あり」とされてきた。こんな短いスパンで、それも複数回の「あり」が許されてきた、なんとも我儘で贅沢なヒーローなのである。

 

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は、そんな「大人の事情」こそを作品内に取り込んでみせた。それはもう、意欲的に。こんなにも厚かましくメタメタしくハイコンテクストな映画を観たのは久しぶりである。

 

Spider-Man: No Way Home (Original Motion Picture Soundtrack)

 

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思えば、MCUスパイダーマンの初ソロ作品『ホームカミング』からして、この3代目のスパイダーマンは相当にメタかった。

 

「観客がすでに複数回の実写スパイダーマンを認知している」という前提条件を、マーベルスタジオは分かった上でお話に組み込んでいく。仮にライミ版とウェブ版が無かったら、メイおばさんはあの若々しいビジュアルにはならなかっただろう。ベンおじさんもちゃんと出てきて、ちゃんと死んだのだろう。蜘蛛に噛まれるシークエンスだってもっと詳細に語られたのだろう。言うなれば、マーベルスタジオは観客を信じたのである。「あなた達はスパイダーマンの基礎知識をすでに持っていますよね」と、まるで学校の先生が生徒の理解力を信じて前回の授業のおさらいを省略するかのように、「説明しない」という説明手法を取ったのだ。そしてそれは、非常にスマートに、無駄なく成功したと言えるだろう。

 

 

『ファー・フロム・ホーム』でも同じように「『エンドゲーム』を観ていること」を当たり前の前提条件に組み込み、本作『ノー・ウェイ・ホーム』においても「もちろんご存知ですよね」という顔で別ユニバースから歴代ヴィランを呼び寄せる。ドル箱のスパイダーマンを入り口に、あるいは「昔のやつなら知ってるけど今のはよく分からない」という中途半端な位置にいる客への呼び水として、とても戦略的にスパイダーマンというコンテンツを活用していく。「客を呼べるスパイダーマン」という属性に、これでもかと頼る。トム・ホランド演じるMCUのスパイダーマンは、蜘蛛男の物語というコア(心臓部)に、スタジオの都合、大人の事情、企画のための制作という多種多彩なステッカーが、べたべたと貼られているのだ。

 

もちろん、マーベルスタジオの実力が「生ける伝説」級なのは、その「企画ありき」それ自体を「面白さ」に置換する技術に長けている点にある。観客をここまで理屈臭い企画に付き合わせ、それで拍手喝采を獲得している映画スタジオも、そうそうあるまい。

 

前置きが長くなった、というお馴染みの前置きを経て。以下、映画のネタバレを含んだ感想を記す。

 

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私は、『ノー・ウェイ・ホーム』自体に非常に複雑な感情を抱いている。ただこれは、とても高望みでありつつ、おそらくそうなるように制作側から仕組まれた感情であることも、そこそこ自覚している。少なくとも、諸手を挙げて「お祭りサイコー!」のテンションにはなれていない。良くも良くも良くも、ちょっとだけ悪くも。

 

結論を先に書くと、「世紀のお祭り」と「オリジン」を一緒に語ってしまって本当に良かったのだろうか、という部分だ。

 

まず、「世紀のお祭り」について。もはやファンが過剰にネタバレをセーブする雰囲気から逆に予想していた人も多いと思われるが、トビー・マグワイアとアンドリュー・ガーフィールドがまさかの復活出演を果たしている。「そうなるだろう」と99.9%予想していても、やはりスクリーンでまた彼らを拝めた瞬間は、感極まるものである。劇場では、他の観客の息を飲む声が聞こえた。私も、手元で小さくガッツポーズをしたものだ。復活した彼らが、後輩スパイダーマンであるトム・ホランドを導く一種の師のポジションに収まる。中でも、「大いなる力には・・・」の台詞をトビーが引き継いだ瞬間は、もう、本当に、たまらないものがあった。「ぼくのかんがえるさいきょうのすぱいだーまんのせいぞろい」を、世界最高峰のスタジオが映像化した瞬間である。

 

更には、トビーとアンドリューにも救済を用意していく。トビーは、あの日救えなかったグリーンゴブリンの命を守る。それも、「グライダーでの絶命」から彼を守るのだ。これが契機となって親友・ハリーの絶命にまで話が及んだことを思うと、トビーピーターとしては積年の瞬間だっただろう。アンドリューピーターには、「落下して絶命寸前のヒロインを救う」という究極の救済が用意される。なんともメタい。MJを抱きかかえるアンドリューの表情カットは、メタ文法に頼りすぎてはいるものの、どうしようもなくグッときてしまう。『アメイジング・スパイダーマン2』のラスト、グウェンの死から復活までのシークエンスは何十回観ても号泣してしまうが、あの殿堂入りにこうしてフォローが行われた。なんとも、歴史的だ。

 

前置きで長ったらしく書いたように、本作は「大人の事情」を逆説的に利用し、理屈を付けてそれらをエンタメという渦に巻き込んでみせた。「ドクター・ストレンジが魔法を使ったから先輩スパイディが現れた」のではない。「先輩スパイディを登場させるためにドクター・ストレンジが魔法を使った」のである。通常なら、あまりに企画色が強すぎてたじろいでしまうところを、「トビーとアンドリューの出演」という世紀のワイルドカードを切ることで正面から押し込んだのだ。ここまでされてしまえば、そりゃあ、天晴である。感服するしかない。

 

私個人も、実写映画スパイダーマンの歴史をずっと観てきたのだ。これで感動するなという方が無理な話である。

 

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他方で。本作がトム・ホランド演じる3代目ピーターの「オリジン」として機能した点について、とても複雑な感情を持ってしまった。

 

そう、スパイダーマンとは、もっと言うと「我々の知るスパイダーマン」とは、本作のラストでニューヨークを飛び回る「彼」なのだ。覆面で正体を隠し、孤独で、影があり、人の死を背景として持っており、軽妙な口調はその過去を隠し誤魔化すような悲哀さを伺わせる、そんなスーパーヒーローこそが、「我々の知るスパイダーマン」だ。

 

思えば、トムピーターは恵まれすぎていた。「ベンおじさんの死」というイベントも経験せず、トニー・スタークに世話を焼かれ、メイおばさんもハッピーも深い理解があり、恋人や親友とも楽しくやっていた。およそ、「我々の知るスパイダーマン」らしくは無い。そしてそれは、マーベルスタジオが過去作との差別化としてそうチューニングしてきた経緯がある。

 

本作『ノー・ウェイ・ホーム』では、それをリセットしている。ベンおじさんがもういないのだから、メイおばさんが死ぬしかない。トムピーターにとっては、メイおばさんが概念上の「ベンおじさん」として機能する。それも、「①自身の軽率な判断と未熟さゆえに」「②大切な人を失い」「③復讐心に駆られてしまう」のだ。このスパイダーマンとしての通過儀礼を経験することで、お馴染みの「大いなる力には大いなる責任が伴う」を会得し、「我々の知るスパイダーマン」に到達していく。トビーも、アンドリューも、①②③をしっかりやったのである。それも相当にじっくりと。彼らだって、我を忘れ強盗犯をスーパーパワーに任せて追いかけたのだ。

 

「ヴィラン勢ぞろい!」「先輩スパイディ復活!」という華やかな話題に引っ張られがちだが、本作のシナリオは前述の①②③の流れで組まれている。やっていることはお祭り映画で伝説的だが、プロットは至極スタンダードなスパイダーマンである。

 

「①世界中の人の記憶を消して欲しい、あるいはヴィランたちを救いたい、という軽率で未熟な行動がきっかけとなり」「②メイおばさんが死んでしまい」「③復讐心のままグリーンゴブリンを殺しかける」。そして、これまで恵まれすぎていたトムピーターは、ここにきてやっとこさ「スパイダーマンとしてのオリジン」を経験する。加えて、「世界中がスパイダーマンの正体を知る」「スパイダーマンに関する設定がリセットされる」といったプロットは、原典アメコミに存在するストーリーラインだ。マーベルスタジオはその辺りを巧妙に組み込みつつ、2021年最新版のオリジンをプレゼンテーションしてみせた。

 

 

そうすると、「世紀のお祭り」と「オリジン」、この相反するふたつの要素は果たしてしっかり同居できていたのか、そこが気がかりになってくる。

 

もっと言うと、「オリジン」というそのヒーローの背骨を形成する部分に、余所のユニバース(正確には、原則として「お話」の外に存在する「大人の事情」という名の『文脈』)が干渉して良かったのか、という点だ。もちろん、言うまでもなく、このふたつは物語としてしっかり接続されている。先輩スパイディが例の屋上で語りかけ、今まさに失意のどん底にいる後輩を導く。トビーピーターがグリーンゴブリンを守ることで、誇り高い精神性が継承されていく。一方でドンチャンのお祭りをやりながら、そのすぐ横で深刻なオリジンをやる。この食い合わせについては、相当意図的にフォローが敷かれているのが見て取れる。

 

それでも。『エンドゲーム』を経て世界を救い、トニーの死を経験し、自身ソロも遂に3部作となったトムピーターが、あの局面に至っても復讐心を制御できなかったのは正直に言って寂しい。結局、彼自身の成長や精神が何か物語を「前に」動かす機会は訪れなかった。「お祭りしながらオリジンをやる」という企画の余波で、トムピーターの成長がとても低く見積もられてはいないだろうか。彼は確かに子供だが、まだ、ここに至ってもまだ、その精神レベルなのだろうか。・・・そういった点が、どうしても頭をかすめていく。これは「スパイダーマン大集合映画」ではなく、「トムピーター3部作の完結編」じゃなかったのか。前者の都合で後者が影響を受けてしまっていないだろうか。「国民の孫」のような肌触りにあるトムピーターのファンとして、そこがどうしても解消し切れない。

 

しかし、そもそも映画とは、フィクションとは、制作という神によるボードゲームである。トムピーターもメイおばさんも、単に盤上の駒に過ぎない。神がもし、今回のボードゲームをいっちょ派手にやりたいとして、いくつかの駒がその影響を受けたとしても、致し方ないのだ。「新旧スパイダーマンが集合する」という世紀のお祭り、その脚本上のプラス要素を成立させるために、「メイおばさんの死」と「ピーターの認知リセット」というマイナスが配置される。そうやってお話の緩急、バランスを構築する。その「バランス取り」それ自体が「相反するふたつの要素の接続」なのだろう。それは大いに分かっているし、ストーリーテリングのスキルは異次元の領域で上手くいっている。しかし、「バランス取り」の結果か、トムピーターの大切な大切な一度きりの「オリジン」が少し割を食ってしまったのではないかと、そう感じるのも本音である。

 

「グリーンゴブリン殺害をトビーピーターが食い止めた」、スパイダーマンとしての精神性の継承と先導に拍手喝采の自分。「グリーンゴブリン殺害をトビーピーターが食い止めた」、つまり別ユニバースという大人の事情メッタメタのお祭りなくしてはトムピーターは大いなる責任を全うし切れなかった、という事実に一抹の寂しさを覚える自分。どちらも、しっかりと存在している。だからややこしい。

 

「これまではスパイダー『ボーイ』だった。この映画を経てスパイダー『マン』になる」。これは、本作についてインタビューを受けたトム・ホランドの言葉である。確かに、彼は間違いなく「マン(男)」になった。強力な喪失を経験した。世界を救い、親友と恋人を救い、世界中から愛され、単独ソロ3部作を経て、ここまで沢山の物を積み上げたこのタイミングで、「スパイダーマンの通過儀礼」を経験した。最も恵まれていたスパイダーマンだったはずなのに、過去最高級に「大人の事情」を内包した本作をもって、一転、最も不幸なスパイダーマンになってしまった。

 

その一部始終が、本当に「世紀のお祭り」と同じ舞台の上で良かったのか。「世紀のお祭り」に心の底から興奮しただけに、ふと気づくと、「自分は素直に興奮して良かったのか?」と、なんだか申し訳ない気持ちになってくる。この感情への決着は、「大人の事情」をメタメタに詰め込んだ企画色満載の本作ではなく、また次に “隣人” と会う機会に持ち越しておきたい。

 

 

感想『ホワット・イフ…?』 「もしも」の解釈戦争と、MCUが挑まざるを得ない課題への自己言及

MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)初のアニメーション作品として、2021年8月よりDisney+にて配信された『ホワット・イフ…?』。全9話で構成された本作は、タイトル通り「もしもあのシーンで○○が××だったら」というIF(もしも)の展開を軸に、MCUがMCUに深い自己言及を繰り返していくという、ある種「公式二次創作」なシリーズである。

 

何より、アニメーション自体が非常に完成度が高かった。実在の俳優を再現しながらしっかりと二次元として造形されたヒーローたちが、時に実写アクションのように縦横無尽に、時にアニメだからこそケレン味たっぷりに、様々な動きで魅せてくれる。とにかくストーリーが肝かつ目玉のシリーズではあるが、それはそれとして、シンプルに「映像が良い」というのは特筆すべき点だろう。個人的にはライティングの設計が何より好きでした。

 

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アメコミがひとつの特殊な文化であることは、今更語るまでもない。

 

ひとりのヒーローの連作はもちろんのこと、様々な「バース」や「設定」により、横に横に枝分かれしていく作品群。多面的であること、多様性であること、日本のカルチャーで言えば「パラレルであること」を大きく許容する土壌。だからこそ、『スパイダーバース』のような作品が「成立」してしまえる、その解釈の幅広さが強みなのだ。

 

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『ホワット・イフ…?』も、まさにその土壌の上に成立する作品である。様々なパラレルや解釈を許容できる文化だからこそ、こういったフルパワーの「お遊び」がしっかり地に足を着ける。そこに、ウォッチャーという語り部を設定し、マルチバースという概念を持ち込むことで、「お遊び」を「本筋の端にあるもの」として置いてみせる。シンプルに、お見事である。コンセプトと、それを成立させるための手順や配慮に隙が無い。

 

(超~ッ厳密には、「我々の知るMCUとも言うべきひとつの正史=タイムライン」と『ホワット・イフ…?』内の物語が、同一マルチバースの出来事であるという明言はされていないが、むしろこれまでMCUは「同じ世界観である」ことを原理原則として前提に置いてきたので、逆に「違う」という明言が無い限りは「同一」とみなすべきだろう、というのが私の理解である。)(こういうことを一々言い出すからオタクは面倒臭い。)

 

MCUに限らず、ひとつの作品にのめり込み、俗にいう「ファン」になっていくにつれ、「解釈」との付き合いは避けられない。

 

「あそこで○○が××するのがいい。なぜなら……」「○○だったキャラが~~~を経て▲▲になるから感動する」。受け手のそれぞれが、作品・物語・キャラクター・設定・演出、その他諸々に無数の「解釈」を加えていく。作品の感想は決してひとつでは無く、受け取った人の数だけ存在する。つまり、観た・読んだ・体感した人の数だけ、そこには「解釈」が生まれるのである。

 

『ホワット・イフ…?』は、全世界のMCUファンが持つ個々の「解釈」と、絶対神・マーベルとの、仁義なき戦いであった。「解釈」が無数に存在するからこそ、ファンフィクション、つまり二次創作が生まれ出る訳で、マーベルスタジオはその無限ともいえる「解釈」に真っ向から挑む格好になる。展開が違っても、出会いが違っても、イベントが違っても、「あのキャラクターならこんなふうに行動するのではないだろうか」。そういった「解釈」戦争において、『ホワット・イフ…?』は、非常に秀逸な立ち回りを見せたのではないだろうか。

 

超人にならなくても祖国のために高潔さと勇気で活躍するスティーブ・ロジャース。一歩違えばその発明でもって凶行に及んでいたハンク・ピム。シチュエーションが変わっても復讐心と実行力が全くブレないキルモンガー。マーベル公式による様々な「解釈」の披露は、全世界にいる多くのファンが頷くものばかりだったと言えるだろう。

 

もちろん、「そうじゃない!○○はそんなこと言わない!」という人もいただろうが、そういった人には「マルチバースの別世界のことなのであまり気にしないで」と設定面でガス抜きを用意する。二重にも、三重にも、公式が「解釈」の一例を示すことに自覚的な作りであった。

 

綿密に組み上げられた物語というのは、さながら、ジェンガのようなものである。全てが見事に、綺麗に、隙間なく組み上がっているからこそ、「そこ」がズレれば、当然のように「あっち」もズレる。押し出されり、崩れ落ちたり。反対に、「そっち」に新しく積み上げたとすれば、続けて「こっち」にも伸びていくだろう。

 

MCUの作品は平均的なクオリティが非常に高く、それは主に脚本面での練り込み=ブラッシュアップの成果だと思われるが、そのパズルとしての精度の高さが、『ホワット・イフ…?』のアプローチを何倍も面白くしている。多くのファンは、「解釈」の末に辿り着き、すでに「MCUのジェンガ」をよ~~く知っているのである。形を他人に説明できるほどに。だから、そのジェンガのどこがズレたらどんな影響が出るのか、条件反射のように脳内で二次創作が走り出す。それ程までに、マーベルスタジオに魅了され、調教された人が、全世界にどれだけいるのだろうか。

 

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ソーが一作目と同じイベントを経なければ、当然、お調子者のボンクラ王子のままなのだろう。そして地球に遊びに来る。あり得る。ロキとも仲違いしていない。あり得る。地球が事実上ピンチになるので、キャプテン・マーベルが飛来して阻止しに来る。う~~ん、"あり得る" !

 

知っているはずのジェンガが形を変えた時、それは、我々ファンとマーベルスタジオとの、「解釈」知恵比べ合戦の火ぶたが切って落とされることを意味するのだ。そしてその勝負は、あろうことか、毎度鮮やかに公式が白星を飾る。「あり得そう」の総量とその深さに感服し、こちらは笑顔で負ける。そう、『ホワット・イフ…?』は、笑顔で負けるのが楽しいのである。「公式~~~~~!!!!お前ってやつは!!!!!」と、嘆き、匙を投げ、胸が躍る。「公式が最大手」という言い回しがあるが、これがドンピシャ当てはまる作品だったと言えるだろう。

 

これの何がすごいかと言うと、ここまで巨大に膨れ上がったユニバースにおいて、MCUの公式自身が自分たちの作品にしっかりとした理解を深めていることである。「作りっ放しになっていない」ことが、『ホワット・イフ…?』を通してよくよく実感できる。その作品で何をテーマとし、キャラクターに役割を与え、展開を紡いだのか。そういった自覚の果てに、『ホワット・イフ…?』が成立する。それそれの結末をいじくり回し、ネームドキャラが死屍累々にも関わらず、公式から作品への深い愛を感じることができるのだ。そういった意味で、「究極の二次創作」であり、「公式が最大手」であり、「至高のファンサービス」でもあった。本当に、ありがとうございました。

 

また、物語の展開上においても、『ホワット・イフ…?』はMCU自身に非常に自覚的であった。つまり、「MCUは何が面白いのか」という、根幹の部分である。

 

MCUはこれまで、それぞれのヒーローに既存のジャンルを掛け合わせる形で、そのジャンルの持つ強さと自社ヒーローの特性をマッチアップさせてきた歴史がある。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』は言うまでもないスペースオペラのど真ん中を往き、『アントマン』はファミリームービーの面白さをしっかりと汲んでみせた。『スパイダーマン:ホームカミング』ではハイスクールものを、『シャン・チー / テン・リングスの伝説』ではカンフー映画を。自社ヒーローと何かのジャンルにタッグを組ませ、そのジャンルが旧来より持っている強さや特性をしっかりとキャラクターに馴染ませ、反映し、物語を展開させる。だから、味が違ってもどれも面白い。

 

そんなMCUは、一体「何が面白いのか」。それは、「異なる世界観で生きたヒーローたちが」「有事の際に作品の垣根を超えて出会い」「まさかのドリームチームを組む」、だから面白いのである。

 

つまるところ『ホワット・イフ…?』は、「スター・ロード × スペースオペラ」や「アントマン × ファミリームービー」の図式で言うならば、「MCU × MCU」なのである。MCUのキャラクターにジャンル名「MCU」をマッチアップさせる。「異なる世界観で生きたヒーローたちが」「有事の際に作品の垣根を超えて出会い」「まさかのドリームチームを組む」、といったMCUが創ったジャンルを、MCU自身でやる。「もしも」で生まれたヒーローたちが、マルチバース全体の危機に集い、急造チームでウルトロンに立ち向かう。なんと面白く、燃えて、そして「見知った」展開だろうか。

 

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しかしこれは、むしろ、今後のMCUの避けられない課題とも言えてしまえる。

 

MCUは巨大になりすぎたからこそ、MCU自身を決して無視することが出来なくなってきた。公開を控える『エターナルズ』では、わざわざ、「彼らの敵はあくまでディヴィアンツなのでサノス関連には関りを持たなかった」という「言い訳」(あえてこう表現する)を用い、ニューヒーローをMCUに参戦させている。『シャン・チー』にも、そういった構造上の「言い訳」が若干感じられたところである。

 

今後のMCUには、こういった「MCUに自己言及しながら一応の整合性や理屈を担保しつつMCUを拡大させる」という、ある種ヘンテコな課題をエンタメパワーでぶち破っていく姿勢が求められるのだろう。

 

すでに、相当綺麗な形でジェンガが組み上げられている。そこに新しいピースを加えるのだから、当然、「加えた瞬間」は歪になる。それを、時に先回りしながら、時に後付けしながら、また別の形での「綺麗」に持って行かなければならない。これまでもその傾向はあったが、サノスという全世界に未曾有の影響が出たイベントを経て、いよいよそれは絶対的な命題にのし上がってしまった。

 

下手を打てば、こだわりすぎたが故の窮屈さにも繋がってしまうこの課題。そこに本格的に踏み出していく第一歩として、「公式が最大手として『解釈』を披露する」という精神的な「仕切り直し」として、『ホワット・イフ…?』はとても有意義なシリーズだったのではないだろうか。MCUの「MCU自己言及っぷり」は、このシリーズが過去最高に振り切っていただろうから。

 

 

TENETくんと僕

僕「クリストファー・ノーラン監督の最新作!『TENET』!楽しみだなあ」

 

TENET「こんちわ。予告、観る?」

 

僕「もう何度も観たよ。予告だけじゃストーリーが全然分からないけど」

 

TENET「映像すごいっしょ?」

 

僕「相変わらず抜群の雰囲気があるよね」

 

TENET「実際に観る感じ?」

 

僕「観る観る!こうして公開日のレイトショーに来てるぞ!」

 

TENET「楽しんでくれよな」

 

僕「サンキュー、TENETくん!」

 

TENET「それでさ、開幕、取り急ぎテロ起きるから」

 

僕「取り急ぎテロ!?」

 

TENET「まずはテロが起きる感じなんすよ」

 

僕「これは誰がどういう意図で起こしたテロなんだろう。主人公の立ち位置は・・・。何かを奪い合ってるのか? 奪還作戦? いや、要人の逃がし? まあ、観ていればそのうち理解できるでしょう」

 

TENET「いや、感じて」

 

僕「え?」

 

TENET「感じて」

 

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僕「しかし流石のノーラン監督だよな。オペラのシーン、エキストラがすごい。爆破もかなり大規模だ」

 

TENET「感じた?」

 

僕「いや、まあ、感じた。取りあえず感じたよ」

 

TENET「見て!なんとなく偉い人が出てきたよ!」

 

僕「お、出た!なんとなく偉い人!ここ予告でも観た船のシーンだ!タイトルの単語が出てくるシーン!」

 

僕・TENET「「"TENET"」」

 

僕「ふぅ~~!!これあれでしょ!これ以降、事あるごとにTENETが会話の中に出てきて、お話の推進力になるやつでしょ!」

 

TENET「もうあんまり出ないよ」

 

僕「え?」

 

TENET「ほら、次いくから」

 

僕「うん」

 

TENET「ちゃんと説明聞いてね。弾が銃に戻るんだよ」

 

僕「うん、ちょっと待って。あのさ、エントロピーってなんだっけ」

 

TENET「弾が戻るの!」

 

僕「いやだから」

 

TENET「戻るの!!」

 

僕「はい」

 

TENET「ちゃんと説明聞いてる? こっちが原因、こっちが結果。はい、リピートアフタミー」

 

僕「げんいん・けっか・げんいん・けっか・・・」

 

TENET「ね? だから戻るんだよ」

 

僕「え?」

 

TENET「戻るの!!」

 

僕「はい」

 

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TENET「よし、裏社会の人に会いに行こう!」

 

僕「待って待って。その人は何をしている人だって? 武器商人? う、うん、なるほど。いきなり話が進むけどまだ大丈夫。続けて」

 

TENET「バディのイケメン、お出ししとくね」

 

僕「バディのイケメンだ」

 

TENET「かっこいいスパイアクションを見て!!」

 

僕「おっ、すげぇ。スタントマンじゃなくてガチやんけ。バンジーのシーン、照明もすごくいい感じ」

 

TENET「かっこいいスパイアクションを見て!!」

 

僕「ぶっちゃけ今何のために侵入しているのか100%理解できてないっぽいけど、まあ、まあ」

 

TENET「かっこいいスパイアクションを見て!!」

 

僕「観てる観てる。分かったから」

 

TENET「この辺りで、色々と説明していくね」

 

僕「うん。頑張って聞くから。よろしく頼むよ」

 

TENET「アルゴリズムっていうのが重要なんだよ」

 

僕「アルゴリズムって、あのアルゴリズムのこと?」

 

TENET「いや、アルゴリズムじゃない。でも、アルゴリズム」

 

僕「え?」

 

TENET「ほら、プルトニウムも重要だから!これは要チェック!」

 

僕「プルトニウムって、あのプルトニウム!?」

 

TENET「いや、プルトニウムじゃない。でもプルトニウム」

 

僕「え?」

 

TENET「アルゴリズムとプルトニウム。分かった?」

 

僕「いやだから、アルゴリズムとプルトニウムなんでしょ?」

 

TENET「違う!アルゴリズムとプルトニウムじゃない!いい加減にして!アルゴリズムとプルトニウムだから!」

 

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僕「うお!エリザベス・デビッキ!出た!身長高っ!!!!!すっご!!!!」

 

TENET「スパイ映画には幸薄そうな美人が似合うよね」

 

僕「わかるが」

 

TENET「とりま空港行こうね」

 

僕「絵を処分するんだろ? 分かるよ」

 

TENET「とりま飛行機を倉庫に突っ込ませるわ」

 

僕「え?」

 

TENET「だって気を逸らさないと」

 

僕「グリーンバック撮影?」

 

TENET「いや、1/1飛行機」

 

僕「え?」

 

TENET「飛行機」

 

僕「マジかよこれ・・・・・・」

 

TENET「ガチいくぞ~~~~~~」

 

僕「(思わず爆笑している)

 

TENET「はいドーーン!!」

 

僕「嘘だろ・・・やっば・・・」

 

TENET「はいここで逆行敵の出現!!アクション!!」

 

僕「え、誰? 敵!? え?」

 

TENET「感じて!アクション見て!」

 

僕「相手これ逆行してるじゃん!うわ!動きキッモ!すっご!うっわ!」

 

TENET「見て!ほら!感じて!」

 

僕「うん!理屈はちょっとよく分からないけどアクションすごい!」

 

TENET「え? 理解できてないの?」

 

僕「え?」

 

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TENET「飛行機すごかったでしょ?」

 

僕「うん、すごかった」

 

TENET「でも絵は処分できてませ~~~ん!!ざんね~~~~ん!!」

 

僕「嘘だろ・・・」

 

TENET「とりま海行くぞ」

 

僕「うん」

 

TENET「セイターが話してるの全部大事だから聞いててね」

 

僕「・・・もう少し親切に語ってくれると助かるんだけど」

 

TENET「え? じゃあ感じて」

 

僕「はい」

 

TENET「次は高速道路!」

 

僕「何のために高速道路でアクションが発生するのか完璧には理解できてないけど!」

 

TENET「いいから!」

 

僕「おけ!」

 

TENET「見て!高速道路を長期間封鎖して撮ったカーアクション!見て!」

 

僕「すげぇな。車を四方から挟むの、画がすごすぎる」

 

TENET「でしょ~~~?」

 

僕「うわ!なんか逆行してる車!」

 

TENET「ここよく見てて!」

 

僕「おけ!」

 

TENET「セイターきたよ!カーアクション頑張ったよ!」

 

僕「おけ!」

 

TENET「そしてここから逆行の扉を通るね!」

 

僕「え?」

 

TENET「まず向こうで拷問してるでしょ? あっちが赤で、こっちは青だから。ほら、分かった?」

 

僕「え? ちょ」

 

TENET「実はね~~~~、現在と未来の挟撃作戦だったんだよ!!!じゃじゃ~~~ん!!!!」

 

僕「え?」

 

TENET「よーし、扉を通るぞ!逆行だ!あ、マスクつけてね」

 

僕「う、うん。まあ、うん」

 

TENET「はい逆行~~~~!!見せ場連続っしょ!すごいっしょ!?」

 

僕「逆行して酸素が吸えないのは分かるんだけどさ」

 

TENET「ん?」

 

僕「例えばさ、気圧とかも逆になったらさ、そもそも体が存在できなかったりしないっけ? 何がどこまで逆行するルールなんだっけ? あれ、これ見当違いな疑問?」

 

TENET「感じて!!!」

 

僕「え?」

 

TENET「感じて!!!」

 

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TENET「見て見て~~~!あの逆行していたシルバーの車は~~~!主人公の車でした~~~!!!!」

 

僕「おけ。まあ、おけ」

 

TENET「はい!燃えたから凍ります!」

 

僕「ちょ待」

 

TENET「え?」

 

僕「いや、まあ、分からない訳じゃないけど。流石にそうはならんやろ」

 

TENET「なってるでしょ?」

 

僕「ならんでしょ」

 

TENET「なってるじゃん」

 

僕「ひぇ~~~~」

 

TENET「ほら、イケメンが色々説明するから!」

 

僕「TENETくん、僕、頑張るよ!イケメンの説明聞くよ!」

 

TENET「ちゃんと聞いて!ほら!」

 

僕「で、でた~~~~~ 肝心な説明が欲しい時にいい感じの雰囲気の比喩~~~~~」

 

TENET「ほら、感じた?」

 

僕「感じた・・・のか・・・?」

 

TENET「感じたね? ほら、もう一回空港行くよ!」

 

僕「うん。分かった。これアレでしょ。空港で襲ってきた逆行敵は、自分たちなんでしょ!」

 

TENET「ご名答~~」

 

僕「いいぞいいぞ。映画のシーン構成までもが逆行していく感じ!『インセプション』で浸らせてくれた物語の構造と映画の作りがリンクしていく感じ!これはもしや!クライマックスの舞台はオペラでのテロか!!そうなんだな!!!」

 

TENET「いや、もうオペラは行かない」

 

僕「行かない?」

 

TENET「行かない」

 

僕「行かないのか~~」

 

TENET「そういうのいいから。ほら、見て!逆行アクション!今度はさっきと視点を変えて撮ってるよ!」

 

僕「銃が手元に戻るの、そうはならん感じがあるけど、いいカットだよね」

 

TENET「なってるじゃん!」

 

僕「なってるんだよなぁ~~~」

 

TENET「理解できてきた?」

 

僕「細部はもう置いておくわ。主人公たちは、今、逆行状態のまま過去に行ってるんだよね」

 

TENET「過去という概念を捨てて!時間の方向は」

 

僕「いや、便宜上の表現の過去ね。多分ざっくりは分かってるから」

 

TENET「分かってんじゃん。じゃあここでもう一回、扉入るから」

 

僕「ん? 逆行世界でまた逆行するの? ちょっと待って一旦整理したい」

 

TENET「さっき分かってたじゃん」

 

僕「いや、分かって・・・分かって・・・分かってたのか・・・? 僕は分かっていたのか・・・?」

 

TENET「もういい!感じて!」

 

僕「はい」

 

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TENET「そしてスタルスク12に行きます!」

 

僕「スタルスク12」

 

TENET「赤チームと青チームに分かれます!」

 

僕「赤チームと青チーム。ちなみにこれは」

 

TENET「いいから!分かれるの!!!」

 

僕「はい」

 

TENET「ビルどーーん!ぎゅるぎゅる~~ どーーん!」

 

僕「映像すごいな」

 

TENET「理解できた?」

 

僕「ほんとごめん、若干眠い」

 

TENET「ダメ。見てほら」

 

僕「くっそ、映像良すぎるな・・・」

 

TENET「起きた?」

 

僕「ごめん眠い。公開日金曜にするなよ。仕事終わりのノーランはきついって」

 

TENET「ダメ。見て、イケメンの儚い見せ場!」

 

僕「イケメンの儚い見せ場だ」

 

TENET「ね? 理解できたでしょ? こういうことだったんだよ」

 

僕「つまり、どういうことだってばよ」

 

TENET「こういうことだから。ね?」

 

僕「うん」

 

TENET「楽しかった?」

 

僕「うん」

 

TENET「理解できた?」

 

僕「・・・・・・いや・・・」

 

TENET「楽しかった?」

 

僕「うん」

 

TENET「どうやって死にたい?」

 

僕「老衰」

 

The Plan

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TENET (Original Motion Picture Soundtrack) [Explicit]

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  • 発売日: 2020/09/03
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

「家で観る」ために。Amazonプライムビデオの面白い映画を50集めました

こんな未曾有のコロナ禍において、場末のブロガーにできることなんて、そうそう無い訳である。

 

とはいえ、一応ここは「映画ブログ」の仮面を被っていて、はてなブログからもお題「#おうち時間」が奨励されているタイミングなので、シンプルに「この映画がオススメです!」をやってみようかと。

 

調べてみると(2019年1月の調査なのだけど)、日本におけるAmazonプライムビデオの加入者数は509万人。次いで、Netflixが171万人とのこと。改めて数字で見ると、ここまで開きがあるとは・・・。なので、「Amazonプライムビデオで配信中の映画」からピックアップするのが良いだろう、という結論に。

 

「オススメの映画はこれ!」なんてブログ記事、今更感が強いけれど、どこかのだれかの Stay Home の一助になれば。そんなこんなで、選んだ映画は合計で50作。(※2020年4月28時点でプライム配信を確認できたものに限ります)

 

それでは、簡単な感想も併せて、一気にいきましょう。

 

 

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ゴーストバスターズ

ゴーストバスターズ (吹替版)

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  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

まずは色んな意味で「間違いない」やつ。やややケッタイな。こういう、シンプルに楽しめて笑顔になるというか、エンターテインメントのお手本のような作品、定期的に観たくなるんですよね。コーラ飲んでポップコーン食べながら観ましょう。

 

ジュマンジ

ジュマンジ (吹替版)

ジュマンジ (吹替版)

  • メディア: Prime Video
 

これも同様に、お手本のような楽しさ。近年のリブート2作も大好きだけど、やはり原典は偉大。パニック系コメディーでありながら、「父と息子」の物語としても非常に収まりが良い。SFXとVFXのバランスがこの時代ならではで、世代的に「テレビでやってるめっちゃ面白い洋画」の枠。

 

ジュラシック・ワールド

ジュラシック・ワールド (吹替版)

ジュラシック・ワールド (吹替版)

  • 発売日: 2016/02/10
  • メディア: Prime Video
 

リブート版?続編?の一作目。クリス・プラット演じる主役がとにかく良い。元の『ジュラシック・パーク』はその映像表現が伝説的だけど、この『ワールド』はその変遷にとても自覚的で、作中でわざわざ「イマドキ恐竜が動いてるだけじゃ誰も驚かない」とか言わせちゃう。そして、そうして自分で上げたハードルをしっかり超えてくる。この安定感よ。

 

ジョン・ウィック

ジョン・ウィック(吹替版)

ジョン・ウィック(吹替版)

  • 発売日: 2016/02/10
  • メディア: Prime Video
 

このブログでも幾度となくオススメしているやつ。こういうスカッとしたアクション映画も、定期的に摂取したくなる。キアヌがとにかく体当たりで演じていて、所作の全てに「歴戦のプロ」感がすごい。彼はなぜ戦い続けるのか。本当は何に復讐したがっているのか。多くを語らない物語も程よい。アマプラでは続編もプライム配信中。

 

ミュータント・タートルズ

ミュータント・タートルズ (吹替版)

ミュータント・タートルズ (吹替版)

  • 発売日: 2015/05/13
  • メディア: Prime Video
 

マイケル・ベイ製作総指揮なのに、こんなにアクションが整理されていて観やすいなんて・・・!(失礼) 細かいツッコミは、まあいっぱいあるんですけど、作品のカラッとしたトーンで全部割とどうでもよくなってくるんですよね。あと、 ミーガン・フォックスの「イイ女」っぷりがすごい。マイケル・ベイと和解したのか!?

 

ナイト&デイ

ナイト&デイ (吹替版)

ナイト&デイ (吹替版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

安定安心、俺たちのトム・クルーズのアクション映画。この作品で好きなのは、トムをアクション熱の高い一種の狂人としてかなり自覚的にキャラ付けしているところ。こんなに浮世離れしたキャラクターなのに、トムだからこそ説得力が出る。ずるい。

 

コードネームU.N.C.L.E.

コードネームU.N.C.L.E.(吹替版)

コードネームU.N.C.L.E.(吹替版)

  • 発売日: 2016/01/20
  • メディア: Prime Video
 

ガイ・リッチー監督のスパイアクション映画。「スマートで!かっこいい!スパイ映画!」というシンプルイズベストな三拍子。面白ガジェットが飛び出す路線というより、古き良きスタイルに重きを置いている。ラストのメイン2人の「探り合い」シーンがとにかく好き。

 

亜人

亜人

亜人

  • 発売日: 2018/03/04
  • メディア: Prime Video
 

佐藤健主演の漫画原作のアクション映画。邦画におけるアクションの水準は近年物凄い勢いで上がっているけれど、その波に確かにカウントしておきたい一作。佐藤健特有の、あの・・・ なんて言うんですかね、かっこいいけど絶妙に死んでる冷たい目線。あれがめちゃくちゃ効いている。中盤の綾野剛の一騎当千っぷりも好き。

 

いぬやしき

いぬやしき

いぬやしき

  • 発売日: 2018/11/02
  • メディア: Prime Video
 

こっちも佐藤健出てます。「冷たい目線」でいくとこっちの方がマッチ度は上かも。いわゆる和製アイアンマン的なシーンが見せ場で、なるほど邦画でこのレベルが観られるのか、と。原作特有の物悲しさやナンセンスギャグをしっかり映像化していて、真摯。

 

ナショナル・トレジャー

ナショナル・トレジャー  (吹替版)

ナショナル・トレジャー (吹替版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

みんな大好き「昔金曜ロードショーで観たやつ!」系映画。鉄板。「ほー、いいじゃないか。こういうのでいいんだよ、こういうので」。大塚明夫さんの吹替も最高。

 

デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム

デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム

デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム

  • 発売日: 2015/09/30
  • メディア: Prime Video
 

Amazonプライムビデオ、実は結構デジモン系が手厚い。今更オススメしなくても同世代の人はほぼ全員観ているだろうけど、それでも定期的に推していきたい。細田守監督の演出もキレキレだし、脱力感と緊迫感のバランスも良い。所要時間もコンパクト。

 

映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん

藤原さんが亡くなられたこのタイミングで観ると、より一層キツいものがあるかもだけど・・・。ギャグテイストに味付けされているけれど、「人造人間の自我」的なテーマに割と踏み込んでいる。中盤のみさえが駆け寄るシーンとか、当時映画館で観てスクリーンを直視できなかった。クライマックスのナンセンス大爆発な異次元決戦もクレしんならでは。

 

ゲゲゲの鬼太郎 大海獣

ゲゲゲの鬼太郎 大海獣

ゲゲゲの鬼太郎 大海獣

  • 発売日: 2015/09/21
  • メディア: Prime Video
 

鬼太郎映画でも飛び抜けて好きな一作。鬼太郎が大怪獣ならぬ大海獣に変容してしまうお話。文字通りの巨体が海から街に迫り来る一連のシーンは、まさに怪獣特撮映画。ビル群の俯瞰視点や、窓ガラスの向こうの巨体。ミニチュアと合成を想起させるアニメーション演出が怒涛の勢いで出てくる。

 

ドラゴンボール超 ブロリー

ドラゴンボール超 ブロリー

ドラゴンボール超 ブロリー

  • 発売日: 2019/06/05
  • メディア: Prime Video
 

シンプルに、アニメーションが素晴らしい。祭囃子のような攻め攻めの劇伴と共に、どこまでもグリグリと動く。ドラゴンボール特有の、「地に足がつかないアクション」が楽しく、空中でぎゅんぎゅんと動き回る超人たちのバトルが繰り広げられる。ストーリーが本来骨太なのにバトル一直線になるのが流石。

 

テッド

テッド (吹替版)

テッド (吹替版)

  • 発売日: 2016/01/11
  • メディア: Prime Video
 

お馴染みのナンセンスコメディ映画。改めて観ると、演出の文法はモノクマのそれだなあ、と。当時は結構批判も多かったと記憶しているけれど、自分は有吉さんの吹替が割と好きでして。アマプラでは2も配信中なので、そちらも併せてどうぞ。

 

帝一の國

帝一の國

帝一の國

  • 発売日: 2017/11/29
  • メディア: Prime Video
 

シンプルに傑作だと思っている。原作漫画が持っているあの独特のケレン味を、こうも映像に昇華してしまうとは。旬のイケメンがこれでもかと出てくるのも楽しいし、コメディのテンポも、そこに滲む血と汗も良い。ラストの「一言」とエンディングへの入りが最高。何度観ても鳥肌。

 

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密

暗号解読がメインのお話しだけど、特筆すべきは、この映画こそがまさに「暗号」として機能している点。ストーリーの点と点が、ある時、副題にもある「天才数学者の秘密」でバシッと繋がっていく。この爽快感。「あ!嗚呼・・・!」という心地よいショックは必見。

 

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グランド・イリュージョン

グランド・イリュージョン (吹替版)

グランド・イリュージョン (吹替版)

  • 発売日: 2014/03/20
  • メディア: Prime Video
 

「どこまで本当に可能なのか?」というツッコミはともかく、堂々たる演出とアプローチが良い。こういう、アンダーグラウンドなプロ集団がキャッキャウフフする映画、定期的に観たいじゃないですか。劇場効果狙いというか、「演出をする者たち」の面白さがしっかり滲み出ていて、ワクワクする。

 

フライト・ゲーム

フライト・ゲーム(字幕版)

フライト・ゲーム(字幕版)

  • 発売日: 2015/04/02
  • メディア: Prime Video
 

「二―アム・リーソン主演のサスペンスアクション映画」といえば、最早、そういうジャンルとして一種確立されている。本作は、まさに典型的なそれ。誰を疑うべきか。何が真実なのか。終わりのない極限状態と、飛行機が舞台だからこそのクライマックスのアクション。観たいものが観られる幸せ。

 

ユージュアル・サスペクツ

いわゆる「騙しの映画」として一級品。小説でいうところの「新本格ミステリ」が好きな人には強くオススメしたい。四の五の語るより、はよ観てくれ、というやつ。二度目も漏れなく楽しい。

 

LOOPER

LOOPER/ルーパー (字幕版)

LOOPER/ルーパー (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

後半少し失速する印象もあるけれど、設定が抜群に良い。こういうSFはやっぱり楽しいんですよ。「未来からタイムマシンで送られてきた者を始末する暗殺者」の目の前に、「未来の自分」が送られてくる。この導入ですでに「勝ち」。

 

In Time

In Time (字幕版)

In Time (字幕版)

  • メディア: Prime Video
 

これも濃い目のSF。時間が通貨として利用されている設定で、何をするにも、時間を切り売りしなくちゃならない。設定や美術が結構作り込まれていて、「なるほど~ 時間を売り買いするとはこういうことか~」という気づきが連発。SFは、要は「俺設定お披露目大会」が肝なのだ。

 

天使と悪魔

天使と悪魔 (吹替版)

天使と悪魔 (吹替版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

ベストセラー『ダ・ヴィンチ・コード』の映画化、の、続編。とはいえ、原作小説的にはこちらの方が前日譚だったり。「終始画面が暗い!ずっと喋ってるだけ!」的な批判が相次いだ『ダ・ヴィンチ~』から明確に改善されており、舞台となるバチカンの観光映画としてもポイントが高い。ただ、原作クライマックスのあの最高に馬鹿馬鹿しいシークエンスは実写で観たかったかも。

 

オールド・ボーイ

オールド・ボーイ(字幕版)

オールド・ボーイ(字幕版)

  • 発売日: 2017/06/23
  • メディア: Prime Video
 

あえてのこっち、韓国版よりハリウッド版を推したい。原作漫画の『オールドボーイ』は、こう言っては何だけど、「めちゃくちゃ盛り上げるけどラストが少し肩透かし」な印象が強い。その点、このハリウッド版は、敵の復讐の方法やその明かし方、ラストの主人公の選択に至るまでに、かなり劇的なシナリオと演出が用意されていて、好感が持てる。

 

ナイトクローラー

ナイトクローラー(吹替版)

ナイトクローラー(吹替版)

  • 発売日: 2016/02/19
  • メディア: Prime Video
 

これぞゲス!!最高のゲス!!スクープ専門のパパラッチという社会的な正義が問われる職業。そこに身を堕としていく主人公のギラギラとした生き様。『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』でも存在感抜群だったジェイク・ギレンホールが、その爬虫類寄りな眼力をこれでもかと発揮。いっそホラーというか。

 

鑑定士と顔のない依頼人

鑑定士と顔のない依頼人(字幕版)

鑑定士と顔のない依頼人(字幕版)

  • 発売日: 2014/11/02
  • メディア: Prime Video
 

これも「騙しのミステリ」の部類。あまり解説しすぎると全てがネタバレになってしまうのだけど、ラストの展開は相当に「喰らう」。絵を鑑定する物語にあわせてか、美術のクオリティも高く、見惚れるカットも多い。

 

LIAR GAME REBORN -再生-

LIAR GAME REBORN -再生-

LIAR GAME REBORN -再生-

  • 発売日: 2014/07/09
  • メディア: Prime Video
 

ドラマ版『ライアーゲーム』の続編でありリブートなので、前作を観ていなくても大きな問題はない。原作でも長い期間をかけて連載された「椅子取りゲーム」を一本の映画にまとめている。体力が必要とされる椅子の取り合いに、どう頭脳でアプローチするのか。邦画らしい大仰な演出も多いが、気軽に楽しめる一作。

 

白ゆき姫殺人事件

白ゆき姫殺人事件

白ゆき姫殺人事件

  • 発売日: 2014/09/03
  • メディア: Prime Video
 

もはやSNSは社会に無くてはならないものになりつつあるが、そういったツールやメディアの怖さを取り上げた作品。これもミステリと言って良いのかな。加えて、人の記憶や主観による感想というのは、こんなにも不安定なものなのかと、少し背筋が凍る感じも。井上真央の「ダサい」演技が一級品。

 

容疑者Xの献身

容疑者Xの献身

容疑者Xの献身

  • 発売日: 2014/02/19
  • メディア: Prime Video
 

まあ、これも観ている人が多いですよね。ドラマ『ガリレオ』とは全く毛色が違うけども、ミステリとしてかなりギリギリの線を狙った作品。原作小説は、いわゆる「ノックスの十戒」を守っていないのでは、と当時話題になった。雪山のシーンは、まあ、無くても良いかな。

 

真夏の方程式

真夏の方程式

真夏の方程式

  • 発売日: 2014/02/19
  • メディア: Prime Video
 

ガリレオ映画としては、『容疑者~』よりこちらの方が好み。ロケーションも手伝った、ひと夏の物語としての「閉じた」構造。そして、東野圭吾の十八番である、「人間の業と愛憎が絡み合った悲劇」。福山雅治演じる湯川のリアリストな立ち居振る舞いが、全容の見えない悲劇に「理」を加えていく。キャスト陣がまたすごく良いんですよ。

 

カラスの親指 by rule of CROW's thumb

カラスの親指 by rule of CROW's thumb

カラスの親指 by rule of CROW's thumb

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

これも同じく「騙しのミステリ」ですね。最後にスカッとする部類。話の全容がギリギリまで見えるようで見えないので、少し根気が要るかもしれない。石原さとみがすっごくだらしない女の役をしてるんだけど、こういうのもしっかりモノに出来るから強いよなあ。

 

鍵泥棒のメソッド

鍵泥棒のメソッド

鍵泥棒のメソッド

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

堺雅人と香川照之といえば、『半沢直樹』よりこっちなんですよね、自分としては。ざわざわからのスッキリ、騙される作劇。内田けんじ監督お得意のパターンなので、これが気に入った人には、大泉洋&佐々木蔵之介の『アフタースクール』もオススメ。

 

紙の月

紙の月

紙の月

  • 発売日: 2015/06/02
  • メディア: Prime Video
 

宮沢りえという女優は、どうしても私の世代的には「一昔前にすごかった人」なのだけど、そういう自分の中の思い込みが更新された一作。この妖艶で病的な感じ。思わず目を奪われる儚さ。事態がどんどん悪い方向に転んでいく、あの勢いもすごい。監督は、『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八。

 

シン・ゴジラ

シン・ゴジラ

シン・ゴジラ

  • 発売日: 2017/03/22
  • メディア: Prime Video
 

今更もう説明不要の面白さ。日本国ならではの「面倒臭さ」が丁寧に描かれており、特に前半における非常時の四苦八苦が観ていて面白い。特撮面でも、フルCGで描かれたゴジラの実在感がとにかく素晴らしい。予告時点で「絶対にギニョールだ!」と信じて疑わなかったカットもあったのに・・・。

 

ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊199ヒーロー大決戦

戦隊映画で一本選ぶとしたら、まさにこれ。シンプルに「100点の映画」ってこういうのを指すのだろうか。懐かしい戦隊も沢山出てくる(というか総登場)なので、学校も全国的にお休みなっている今の時期、ぜひ親子で観て欲しい作品。

 

仮面ライダーZO

仮面ライダーZO

仮面ライダーZO

  • 発売日: 2014/04/23
  • メディア: Prime Video
 

近年のライダー映画はどうしてもテレビシリーズ等の事前・予備知識が必須になりがちなので、ここはあえての『ZO』をオススメしたい。もちろん、単体で完結します。後に『牙狼』を大ヒットさせる雨宮慶太監督作品で、48分とは思えない濃密さ。終盤の長回しも伝説的だけど、序盤の「市街地に降り立つドラス」のシーンがたまらなく好き。

 

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パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト

パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト(字幕版)

パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト(字幕版)

  • 発売日: 2016/02/04
  • メディア: Prime Video
 

実在した超天才ヴァイオリニストであるパガニーニを、現役のプロヴァイオリニストのデイヴィッド・ギャレットが演じる。個人的には、同じ音楽映画の『アマデウス』へのアンサーを感じる作品。ロックスターのように黄色い声に囲まれるヴァイオリニストのシーンにニヤニヤ。一種のダークヒーロー物というか、そういう「堕ち」の描き方も好き。

 

トゥルーマン・ショー

トゥルーマン・ショー (字幕版)

トゥルーマン・ショー (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

傑作。「自分の人生が壮大な作り物だったら」という壮大な社会実験はあまりにも有名。作中におけるキャストやスタッフの奮闘がいちいち面白い上に、やはりジム・キャリー演じる主人公・トゥルーマンのキャラクターが素晴らしい。将来子供に観せたい映画。 

 

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ(字幕版)

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ(字幕版)

  • 発売日: 2018/01/24
  • メディア: Prime Video
 

マクドナルドはいかに「完成」したのか。その史実を元に、骨太なヒューマンドラマに仕上げた一作。マクドナルドが大好きな自分だけど、その真骨頂は神経質なまでに効率化されたシステムにあると思っている。あの厨房のマニュアル然とした動き。美しい・・・。本作は、そんな徹底的な合理主義こそがテーマになっていて、実にマクドナルド的な魅力に満ちている。

 

ウルフ・オブ・ウォールストリート

ウルフ・オブ・ウォールストリート(吹替版)

ウルフ・オブ・ウォールストリート(吹替版)

  • 発売日: 2017/07/07
  • メディア: Prime Video
 

半ば人生の相棒化していて、特に仕事で悩んだ時に観ることが多い。マッサージや温泉に行くんじゃなくて、栄養ドリンクを飲む感じですね。「観る栄養ドリンク」。やってることはもちろんダメゼッタイなのだけど、仕事にかける熱意や情熱、圧倒的な強欲っぷりは、摂取に値する。

 

バクマン。

バクマン。

バクマン。

  • 発売日: 2016/04/06
  • メディア: Prime Video
 

原作漫画のどこをピックアップし、どこをオミットするか。そういう「漫画の映像翻訳」作業において、本作は、ひとつのモデルケースと言っても良いかもしれない。同原作には非常に独特な価値観や思考が存在するのだけど、それを割と徹底的に撤廃し、「爽やかだけど泥臭いスポ根」テイストに寄せている。

 

何者

何者

何者

  • 発売日: 2017/05/10
  • メディア: Prime Video
 

題材としては「就活映画」なのだけど、本質は、人間誰もが持つパーソナルな問題。「自分は特別だ」という根拠のない思い込みから、いつ、どのようにして、降りるのか。旬な役者がこぞって参戦しているので、その演技バトルも楽しい。ティーンに観て欲しい一作。

 

アヒルと鴨のコインロッカー

アヒルと鴨のコインロッカー

アヒルと鴨のコインロッカー

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

伊坂幸太郎原作の「騙し」系。仙台が舞台の物語で、そのロケは実際に宮城で行われたとのこと。原作小説を先に読んでいると「映像化は無理でしょ!」と言いたくなるのだが、これがどうして、巧妙に成功させている。瑛太のキャスティングが神業級。

 

県庁の星

県庁の星

県庁の星

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

こういう「お仕事映画」、好きなんですよ。現場で働く人間だからこその肌感覚と、お役所ならではの理屈と効率化と積み上げるセンス。それぞれが上手く交錯した時に、どう化学反応を起こすか。オチがちょっとビターなのもあわせて、色々と考えさせられる。

 

青天の霹靂

青天の霹靂

青天の霹靂

  • 発売日: 2014/12/10
  • メディア: Prime Video
 

劇団ひとりって、才能の塊に見えますよね。全てにおいて「巧い」。テレビで披露する馬鹿っぽい言動も、そのベースに知的な計算が見え隠れする。そして、それが鼻につかない。ここがすごい。『青天の霹靂』は、そんな劇団ひとりのスキルやスタンスというものが、そっくりそのまま映像にまとまっている。そんな一作。

 

空飛ぶタイヤ

空飛ぶタイヤ

空飛ぶタイヤ

  • 発売日: 2019/07/31
  • メディア: Prime Video
 

みんな大好き池井戸潤原作。 長瀬智也、ディーン・フジオカ、高橋一生という面々が中心ということもあり、とにかく絵が良い。脂汗、イケメン、塩系。ストーリーは池井戸潤らしさが爆発しているパターンで、企業による大きな陰謀に迫っていく系統。主題歌がサザンなのもあわせて、40代や50代に向けた「お仕事映画」に仕上がっている。

 

SCOOP!

SCOOP!

SCOOP!

  • 発売日: 2017/03/29
  • メディア: Prime Video
 

大根仁監督が愛して止まないテレビ映画『盗写 1/250秒』を、積年の想いでリブート。福山雅治があのいつもの感じでゲスいパパラッチを演じるのだけど、これがまた、笑ってしまうくらいにハマっている。吉田羊の吉田羊っぷりもとても良い。リリー・フランキーの怪演もあわせて、良い意味での「邦画らしい」一本。

 

ラ・ラ・ランド

ラ・ラ・ランド(字幕版)

ラ・ラ・ランド(字幕版)

  • 発売日: 2017/08/02
  • メディア: Prime Video
 

今更説明不要だけど、やはりミュージカル映画は良い。軽快な音楽に合わせて歌って踊るというのは、有無を言わせない「楽しさ」がある。この映画はオチがとにかく最高なんですよね。愛を誓い合ったふたりがどういうゴールに辿り着くのか、それをどう切り取るのか。ラストの後味が程よい。

 

ぼくは明日、昨日のきみとデートする

ぼくは明日、昨日のきみとデートする

ぼくは明日、昨日のきみとデートする

  • 発売日: 2017/06/14
  • メディア: Prime Video
 

映画館でたまたま時間が合って観たら、予想外に良すぎて泣いてしまったやつ。ラブロマンスとSFがじっくりと融合していて、SFで組まれた作品の大枠が見えていくほどに、ラブロマンスの方が旨味を出していくという、構成のバランスがお見事。光の加減を淡く切り取った映像も印象的で、小松奈々の透明度が三割増し。

 

イニシエーション・ラブ

イニシエーション・ラブ

イニシエーション・ラブ

  • 発売日: 2015/11/02
  • メディア: Prime Video
 

元々原作小説のファンなのだけど、実写化を知って、「これは流石に無理でしょ」と声を上げた。結果、無理ではなかった。まさかこんな回答を持ってくるとは。ラストのネタバラシシーンのくどさも併せて、原作小説を100点満点で映像化している。前田敦子というキャスティングが色んな意味で絶妙なのだけど、個人的には「木村文乃の都会のイイ女感」にやられた。

 

※※※

 

以上、50作。緊急事態宣言も予想通り延長の運びとなり、まだまだ「家で過ごす」期間は長引きそうですが・・・。友人知人とも容易に語らえない今、やはりエンタメを能動的に摂取していくしかないのかな、と。

 

Amazonプライムビデオは、初回30日間無料です。

 

www.jigowatt121.com

 

「観る」より「読む」派の方は、こちらをどうぞ。

 

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リークされたボツ草案『スター・ウォーズ EP9 運命の戦い』があまりにも「観たかったもの」すぎて嗚咽

EP9こと『スカイウォーカーの夜明け』が個人的に残念極まりない作品だったことは、公開当時に書いた感想記事が全てである。

 

www.jigowatt121.com

 

ネットでは「EP8の惨状から無難にまとめてくれて有難かった」という意見を多く目にする。私としては、それがそっくりそのままマイナスの要因だ。仮にもスター・ウォーズなのだ。EP8が世界的に不評だったことよりも、「スター・ウォーズという大作が『無難』な路線を選択した」事実が残念だった。強力な資本力で寝た子を起こし、EP6のハッピーエンドを覆し、そうまでして始まったシリーズの行き着く先が「無難」だなんて。つくづく、残念である。

 

「縮小再生産のお手本」のようなスター・ウォーズなんて、私は観なくなかった。

 

各監督が云々というよりも、スタジオとして一貫した舵取りが行われていなかった、その結果がこれなのだろう。監督個々の作家性に任せるといえば聞こえは良いが、せめて大枠や設定くらいは連続させるべきである。

 

また、EP8が不評だったからといって、そこで描かれた要素を後付けで「なかったこと」にしてしまうのは、いくならんでも不誠実に思える。EP8が映画として凸凹だったのは言うまでもない。しかしせめて、そこで示唆された路線くらいは継承できなかったのか。年末年始、そんな答えのないことをずっと考えていた。

 

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しかし年が明けた1月中旬、EP9の幻のプロットと噂される情報が、界隈に流れ始める。

 

当初同作を監督する予定だったコリン・トレボロウが携わった草案、と記されたリーク情報は、あまりにも「観たかったもの」だった。大枠のみが記された記事ではあったが、大きく想像が膨らんだ。そうそう、EP8の流れを踏襲するとこうなるよね、と。

 

jp.ign.com

 

まあ、あまりに同人すぎるというか、良くも悪くも「オタクが好きそうなダークなやつ」ではある。真偽はもちろん分からない。とはいえ、特に以下のくだりは、EP9で擦り切れた私の魂をいくらか癒すものではあった。これが偽りのリークだとしても、その可能性の存在自体がささやかな「救い」である。

 

また、テーマ的にも『最後のジェダイ』に近く、レイとベンはジェダイとシスが二分されている旧来の考えから離れたいと望む。レイアもレイが「何か新しい存在」だと語り、自分の道を見つけるよう後押しする。

「スター・ウォーズ」コリン・トレヴォロウによるエピソード9の脚本がリーク、その内容とは? スター・ウォーズ特集

 

そして今週になって、今度はもっと詳細な情報がTwitterのタイムラインに出回った。

 

starwarz.org

 

あくまで2016年12月の時点でのドラフトですが、仮題は『Star Wars: Duel of the Fates』(運命の戦い)とされ、その中身もかなりユニークな箇所があって興味深い内容です。

 

あれから詳細も明らかになり、取り上げるには面白いトピックだし、この記事ではせっかくだからオープニングからエンディングまで全てのパートを書いていくことにします。

 

一応、大事なこととして

 

・ドラフトの日付は2016年12月16日。キャリー・フィッシャー急逝前の案
・コリン・トレボロウと共同脚本家デレク・コノリーが書いた最初の草案
・リークした人物はRobert Meyer Burnett。メイキングドキュメンタリーなどを手掛ける業界人
・複数のメディアが独自の情報源からリークの信ぴょう性を確認済み

 

と、あくまでボツになった古い草案のリークということには注意したいところ。

 

コリン・トレボロウ監督は関連ツイートを「いいね」していることから、どうやらマジのリークといってもいいかもしれません。

コリン・トレボロウ案の『スター・ウォーズ エピソード9』ストーリーの詳細が判明 | 未知領域

 

これまた、真偽は不明だ。ネットに散らばったコンセプトアート等をヒントに、どこかのファンが書いた同人妄想プロットかもしれない。しかし、やはりどうしようもなく「観たかったもの」に満ちていた。

 

まあ、これが本当だろうと、偽物だろうと、出来上がった『スカイウォーカーの夜明け』が全てである。スター・ウォーズという聖書は、昨年末、確かに記されたのだ。部分的異教徒が、「ありえたかもしれない」という可能性に縋っているだけである・・・。それが「公開されなかった」のであれば、本物のリークだろうが、ファンの妄想だろうが、大きな差はない。

 

といった前置きはほどほどに、幻の完結編『運命の戦い』を読む。スマホを握りしめながら眼を見開き、そして、ある展開が訪れた際に思わず嗚咽を漏らしてしまった。レイの両親をカイロ・レンが殺害していたことが判明し、互いにフォースの深淵を体感した後に、満を持して決闘する。レイは光と闇の対立構造に疑問を抱き、カイロ・レンは自身の闇の力を増長させていく。

 

レイとカイロ・レンが対峙する。

レイ「私たちのマスターは間違っていた。私は自分の怒りを否定しないし、愛も拒絶しない」

ライトセーバーが宙を舞い、彼女の手に戻る。

レイ「私は闇。私は光」

カイロ「お前はなんでもない。何者でもない」

ライトセーバーを起動するレイ。

レイ「何者でもない人なんて、どこにもいない」

コリン・トレボロウ案の『スター・ウォーズ エピソード9』ストーリーの詳細が判明 | 未知領域

 

これなんですよ・・・。レイが「何者でもない」というEP8の解答が物凄く好きだったので(同シリーズの血統主義からの解放)、このプロットはその思想を推し進めて描いている。「何者でもない人なんて、どこにもいない」。なんとも明快だ。ウウウッッ、と声が漏れてしまった。

 

そう、「何者か」なんてものは、スター・ウォーズという物語がスカイウォーカーを特別視していた、確固たる下地でこそ機能する問いなのだ。その下地を疑い、物語を解放する。光か闇の二者択一ではなく、どちらも有していることを受け入れる。これまでのスター・ウォーズが持っていた物語の構造を、大胆に分解しながら更に先へ推し進めるスタイル。仮に無からいきなりこれが描かれたら驚いたかもしれないが、EP8で示唆されていたのは、確かに「この路線」なのだ。

 

出自がスカイウォーカーではない新しい主人公が、「何者でもない人なんて、どこにもいない」と言い放つ。むしろ誰もが「何者」なのだ、と。そうして開かれた物語にすることで、既存のスター・ウォーズも相対的に神格化されていく。そうそう、これこれ。これなんですよ、自分が期待していた『夜明け』は。こういうベクトルのものが観たかったんですよ。

 

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そして、カイロ・レンはレイに生命フォースを与えることで命を落とす(この辺りは最終プロットまで活きたのかもしれない)。その瞬間、レイの名である「ソラナ」を口にする。しかしキスはしない。そう、キスは無い方が良い。その後、幽界に誘われるレイ。

 

レイの目の前に姿を現すヨーダ、ルーク、オビ=ワン。

レイ「これが死なの?」

オビ=ワン「この場所には死など存在しない」

視力を失ったはずのレイだったが、目が見えることに気付く。

ヨーダは自分たちが失敗したことを彼女が成し遂げたと告げる。

ルーク「お前はダークサイドとライトサイドを受け入れた。その間にあるバランスを見つけたのだ」

ここでレイにふたつの選択肢が与えられる。この快適な世界に留まり続けるか。あるいは、愛と喪失を経験するであろう、生の世界に戻るか。

彼女は決断した。

レイ「ありがとう」

霊体が消え去っていく。

ルーク「お前はジェダイだ、レイ・ソラナ。お前が最後ではない」

コリン・トレボロウ案の『スター・ウォーズ エピソード9』ストーリーの詳細が判明 | 未知領域

 

ふぉぉぉぉ~~!!!「お前はジェダイだ、レイ・ソラナ。お前が最後ではない」!!!オタクはサブタイトル回収が好き~~~!!!!

 

このシーン、ルークの「お前はダークサイドとライトサイドを受け入れた」がとても良いと思うのです。旧三部作は「光と闇の戦い」、新三部作が「その狭間で揺れ動き闇に堕ちるまでの物語」、そして、続三部作が「光と闇が対立構造から解放される話」。こう並べると、なるほど一貫性を保ちつつ前進していくイメージもある。フィンが帝国の支配から解き放たれたストームトルーパー軍団を率いる展開も、実に痛快だ。

 

こうやって思考をぐるぐるさせていくと、私が『夜明け』に感じた不満は、やはり「新しくない」ことに尽きるのだろう。新規要素という意味ではなく、テーマの前進という意味での「新しさ」。旧作らしい展開を旧作ファンサービスたっぷりに描くのも良いけれど、『夜明け』は最初から最後までそれで終わってしまった。スター・ウォーズを今後も末永くエンタメ超大作として君臨させたいのであれば、ある程度の「新しさ」を提示しておく必要はあったのではないか(多くの長寿シリーズがそうであったように)。しかも、その萌芽はすでにEP8に存在していたのだから。

 

そういう意味では、創造主ジョージ・ルーカスの構想によるとEP7以降はミディクロリアンに関するミクロ世界のお話しだったらしく、仮に実現していたら、これまた随分ぶっ飛んだ方向の「新しさ」があったのだろう。

 

www.cinematoday.jp

 

最後に、先のリーク草案のエンディングを引用しておきたい。これがまたあまりに「オタクが好きなやつ」すぎて同人妄想説をむしろ濃厚にしているのだけど、シリーズを通して登場してきたドロイドが語り部となる落としどころは、すごく好きですね。シリーズのアイコン、その本懐ですよ。

 

R2-D2を修理しているチューイと、それを眺めるC-3PO。3POはR2を失うことが不安で、それをしきりにレイアに話している。レイアがメモリーバンクを挿入すると、R2は息を吹き返す。

R2-D2が彼の視点から見た60年の記憶を投影する。

ジャワからR2を買い取るルーク。アナキンのライトセーバーを手にしたとき、デススターのトレンチランのシーン。メダルが贈呈されるハン。沼からXウィングを浮かべるヨーダ。ジャバのセール・バージで敬礼するルーク。エンドアで一緒のハンとレイア。

レイアはこの光景に驚きを隠せない。

コリン・トレボロウ案の『スター・ウォーズ エピソード9』ストーリーの詳細が判明 | 未知領域

 

アート・オブ・スター・ウォーズ/最後のジェダイ

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ベスト・オブ・スター・ウォーズ~ミュージック・アンソロジー~

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