ジゴワットレポート

映画とか、特撮とか、その時感じたこととか。思いは言葉に。

感想『劇場版ウルトラマンR/B(ルーブ) セレクト!絆のクリスタル』 私が長年観たかった「特撮」がそこにあった

公開から一週遅れで、『劇場版ルーブ』、鑑賞してきました。本編の前半までの感想については、以前『特撮秘宝』に作品紹介として寄稿させていただいたので、そちらをご参照いただくとして。後半とクライマックスに関してはブログに書くタイミングを逃してしまっていたので、その辺りも含めて劇場版の感想としたいな、と。

 

TVシリーズでの戦いから一年後を舞台に、湊家の最後の戦いを描いた映画、『劇場版ウルトラマンR/B(ルーブ) セレクト!絆のクリスタル』。「絆」あたりの単語は近年のウルトラマンでは多用されすぎてていて、実はちょっと食傷気味でもあるのですが、家族がメインテーマである本作としては、やはりこういうテーマに着地していくのかな、と。

 

 

『ウルトラマンR/B』自体は、色々と意見が割れる作品だったのかな、というのが本音。リアリティラインの置き方や、設定の明かし方、ウルトラマンという像の描き方として、不満を抱いてしまう人がいたのも分かる気がします。『オーブ』では特に平成ウルトラマンから扱われてきた光と闇というテーマをファンタジー路線で扱い、『ジード』ではゼロやベリアルという新時代のメイン級ウルトラマンを軸に継承の物語を展開した。どちらも、「ウルトラマン」という偉大なコンテンツの背中と、それに向けられたパブリックイメージに、様々な角度からアプローチした作品だったなあ、と。

 

続く『R/B』は、コメディかつホームドラマということで、『オーブ』『ジード』と比較すると作風がガラッと変わって。転じて、「ウルトラマンの描き方として軽い」という意見が出るのも分かるんですけど、とはいえ、変身した姿で饒舌なウルトラマンは過去にも何度も描かれていたり、コメディ追求なら『マックス』のエピソードにもいくつか振り切ったものがあったりで、実のところ、『R/B』は新機軸っぽく見えて、平成後期のウルトラマンがやってきた「陽」の部分の集大成だったと思うんですね。「ウルトラマンでここまでやれるぞ」、という挑戦も込めて。

 

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その結果として、確かに敵サイドのドラマが割を食っていたり、家族の物語を描くためか兄弟が何度も喧嘩してしまうなど、キレイでない側面もあったかもしれない。でも、明るく前向きに、兄弟が力を合わせて戦う、子供たちに向けたエンタメ特撮として、とても素直な作品だったと思うんですよ。もっと言えば、無邪気というか。家族の物語、兄弟から兄妹への流れ、子を守りたい母と送り出す父など、フォーカスして描きたいポイントはひしひしと伝わってきて。「陽」の側面に振り切ったウルトラ作品として、むしろ後年に向けた試金石というか、「ここ」に線を引いてみせたことに意義がある作品だったのでは、と。

 

といった感想を持っている訳ですが、そんな『R/B』の完結編として、今回の劇場版へと続いていく。家族がそれぞれの道へ歩み出す中、長男であるカツミは自分の夢に迷っていた。謎次元から干渉してくるトレギアは、カツミと、その友人との夢を問いかけ、そこにある絆を壊そうとする。湊家は、そして前作主人公であるリクは、そんな魔の存在にいかに立ち向かうのか。

 

ヒカリノキズナ

ヒカリノキズナ

ヒカリノキズナ

 

 

まずシナリオとして、『R/B』の「家族の物語」と、『ジード』の「親子の物語」が、しっかり融合しているのが素晴らしくて。作風というか、作品テンション的には水と油な両作ですが、この一点についてはやっていることが非常に近い。そこをしっかり汲み取って、共存させる。当たり前といえば当たり前かもしれないですが、ここがしっかり整備されていたのはとてもポイントが高いんですよ。新旧共演は、共通するテーマ性の魅せ方が大事な訳です。

 

そして、リクですよね。何より彼の成長というか、その堂々した立ち振る舞い。観ているこっちは親戚のおじさんと化す!「リク、立派になって・・・」。屈託のない笑顔から、キリっとした表情、そして声の通る発声。先輩でありながら、親戚の甥っ子みたいなポジション。全てにおいてリクの旨味がちゃんと出ていて、『ジード』を観ていた人の多くは大満足だったのではないでしょうか。「たったひとりの母親だろ!」のシーンは、もう泣いたよね。ぐっときた。

 

ウルトラマンジード Blu-ray BOX I

ウルトラマンジード Blu-ray BOX I

 

 

上で「『R/B』は陽ウルトラマンの集大成」と書いたけれど、まさにそれを象徴するように、基本は毒っけのあったジードがルーブのコメディワールドに取り込まれていく様子はとても面白く、リクもその中で伸び伸びとキャラクターを発揮させてたなあ、と。変身動作が被るカットもそうだし、決めセリフが混ざるとか、変身状態でのコントとか。でも、あの地を這うような低姿勢の構えがちゃんとそこにあるので、ジードらしさも損なわず。良い塩梅だったと思います。

 

などと色々と語ってきましたが、私が一番感動したのは、クライマックスの映像。VFXで描かれるウルトラマングルーブ。これがもう本当に素晴らしかった。

 

もう周回遅れの議論だと承知で書きますが、未だにネットには「特撮とCG」を対立項で語る意見が多くて。私は常々、それは違うんじゃ、と思ってきたのですよ。CGは、特撮の表現技術のひとつであって、むしろ内包されるものなんだと。せめて「SFXとVFX」と言ってくれ、と(我ながら面倒くさい上にこの区分けにも色々と注釈がつくのは承知ですが・・・)。要は、「特殊撮影」という意味でいくと、CGも立派な特撮な訳ですよ。どっちもあっていいじゃん、と。自分はこの立場の人間で。まあ、「特撮」を言葉・文化・技術・ジャンルのどれで語るかで前提が異なってくる話ではあるのですが。

 

とはいえ、だからこそ、『シン・ゴジラ』におけるVFXで描かれたゴジラや戦車、ミニチュアワークで破壊される街並みなどの共存には、最高にアガった訳です。この境目が分からないくらいの映像の精度。なんて素晴らしいんだ、と。「今やなんでもCGで出来る」なんて言われて久しいですが、直近の洋画では例えば『ファースト・マン』では新時代のリアプロジェクションのような撮影模様があったりで、従来のSFXと、その後年で発達してきたVFXを、随所で使い分けつつ共存させるのが近年のトレンドな訳ですよ。特撮好きとしては、これぞ「特殊撮影」なんだと、そういうアガりポイントを感じることが最近は多くて。

 

シン・ゴジラ Blu-ray2枚組

シン・ゴジラ Blu-ray2枚組

 

 

特撮TVシリーズでいくと、平成仮面ライダーでは『クウガ』のゴウラムや『龍騎』のミラーモンスターでCGが意欲的に使用され、戦隊シリーズでは、『ガオレンジャー』のガオアニマルや『アバレンジャー』の爆竜、そして、『ルパンレンジャーVSパトレンジャー』では遂にフルCGのロボがグリグリと動き回る映像が出てきた。国産TVシリーズ特撮でも、VFXがどんどん馴染み深く、そして着実に根付いてきた訳です。

 

そんな土壌でウルトラシリーズはどうだったかというと、まず平成三部作を経て、『ネクサス』での板野サーカスには当時夢中になりましたし、その前日譚である映画『ULTRAMAN』の空中戦にも目を丸くしたんですよね。ウルトラマンゼロが活躍するグリーンバックの背景に、『ウルトラマンサーガ』ではCGでミニチュアの街並みを広域に展開させていたり。その後も、『ギンガ』以降のニュージェネレーションな作品群でもCGは多用され、坂本監督によるスピーディーでアニメチックな使い方で印象的なカットが生まれるなど、振り返ると色々と語りたいポイントは多い。また、結局続報が無いので何とも語り辛いのですが、突如公開されたフルCGの『ウルトラマンn/a』なんてのもありましたね。

 

ULTRAMAN [DVD]

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主にSFXの意味での、文化しての「トクサツ」を色濃く受け継いできたウルトラシリーズにおいて、CGの本格導入というのは、ひとつの課題としてずっとあったと思うんです。そんな中で、前述のように、この平成後期の直近十数年、様々なアプローチがなされてきた。そんな積み重ねの結果か、今回の劇場版ルーブでは遂にフルCGのウルトラマンが活躍する。それもワンカットや要所での緩急づけではなく、正真正銘の本格使用。空中戦はもちろんのこと、実際のスーツであるジードと並び立ったり、スーツの造形を見せつけるかのような接写もあったりで、かなり攻めた映像に仕上がってるんですね。

 

これがもう本当に感動モノで。「特撮かCGか」なんて、そんな対立項で語ってる場合じゃないんですよ、と。CGという「特殊撮影」のニュージェネレーションですよ、これは。CGモリモリな映像としては『牙狼』なんかも大好きなんですが(シーズン2のクライマックスが最高でしたね)、今回の劇場版ルーブは、そのCGを使ったSFXとVFXの共存が丹念に模索されていて、そこが本当に素晴らしかったと思うんです。『シン・ゴジラ』でやっていたバランスを、もっとエンタメ的に色濃くやってみせる。その前向きな姿勢こそが、『R/B』の作風にもマッチしているな、と。

 

空中戦はもちろんのこと、同時に、俯瞰したフィールドで戦うジードやスネークダースネスをワンカットに納める。かと思いきや、その両者が戦う合間のビルを、CGのグルーブとトレギアが突き抜けていくんですよ。ビルの破壊と左右にいるジードや怪獣はSFXで、画面左に抜けていく絡み合ったウルトラマンたちはVFX。このワンカットに、「ああ!自分がここ数年ずっと観たかった『特撮』だ!!」となって、泣きそうになったんですね。グルーブが横に飛ばされてビルを連続で突き抜けていくカットもそうですし、手前を走る湊家の車を守るシーンも素晴らしかった。スーツのシワの質感を再現した感じもすごく良いですし、それでいて、兄妹が融合したことによる中性的なフォルムや流れるような動きもCGならでは。

 

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ウルトラマングルーブは実際のスーツも作られているのですが、それでもCGで通す。そこにすごい意気込みを感じる訳です。トレギアも、実際のスーツとフルCGとをカットで使い分けて、グルーブの実景との親和性を高める役割を担っていて。画面構成の随所にかなり気が使われているな、と。SFXとVFXの融合、ここまで出来るのか、と。

 

news.mynavi.jp

 

そういう意味で、今作はVFX監督に神谷誠氏がクレジットされているんですよね。フルCG映画である『バイオハザード』等を監督されており、同時に、特撮監督や特撮助監督としてゴジラやガメラにも携われてきた方で、そのご経験がこれでもかと活きたのではないかな、と。ウルトラマングルーブ、本当に感涙モノの映像でした。ありがとうございます。

 

といったところで、後半ちょっと面倒くさい感じになりましたが、非常に素晴らしい作品だったと思います。「家族の絆」というもはや手垢のついたテーマを恥ずかしがらずに正面から扱い、その結果、兄妹が融合する新たなウルトラマンが登場する。そんなウルトラマンはVFXでグリグリと動き、SFXと見事に共存しつつ平成後期の絵作りを力技で総括していくような、エンタメ性と「陽」に満ちた活躍を見せる。続いて流れる主題歌が、「決して絆を諦めない」だなんて、順当だけどちゃんとしてるんですよ。ツボをしっかりと押さえてくれる。堅実。

 

そんな、物語の面では観たいものをしっかりと観せてくれて、映像では期待を上回る新たな可能性を感じさせてくれて、大満足の結果でした。シリーズ随一の人間味あふれるウルトラマンに対して「君は湊カツミか・ウルトラマンか」を突きつけるのも、とてもヒヤッとしました。この辺り、作風に自覚的だよなあ。トレギアの背景をばっさりと切っているのは賛否割れそうですが、この辺り、後続作品で拾ってくれそうな感じもあり・・・。

 

ウルトラマンR/B Blu-ray BOX I

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ウルトラマンR/B Blu-ray BOX II

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ウルトラマンR/B(ルーブ) DXマコトクリスタル

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漫画『トクサツガガガ』が扱ってきた問題提起やテーマを書き並べてみる(1~8巻編)

特撮オタク漫画『トクサツガガガ』も気づけば長期連載ですね。そして遂にドラマ化もされるということで。月日が経つのは本当に早い・・・。

 

連載開始が2014年ということで、世間的に「特撮」といえば市場規模的にも戦隊やライダーが強かった時勢。2013年に『ウルトラマンギンガ』で復活したウルトラのTVシリーズが現在も続き、2016年に『シン・ゴジラ』が大ヒットしてゴジラがまたブームになるなど、「特撮」を取り巻く環境もこの数年で大きく変わったなあ、と。

 

トクサツガガガ (1) (ビッグコミックス)

トクサツガガガ (1) (ビッグコミックス)

トクサツガガガ (1) (ビッグコミックス)

 

 

それに呼応するように、『トクサツガガガ』も戦隊ヒーローから始まり、『プリキュア』的なニチアサ女児向けアニメも扱いつつ、現在では怪獣も巨大ヒーロー特撮も時代劇特撮もマイナーB級映画もホラー映画も洋ドラも扱う「なんでもござれ」な作品と化してきました。(・・・「特撮」の定義とか作中におけるジャンルの扱いの差みたいな話をするとそもそもの成り立ちと歴史的背景と言葉上の定義と文化的意味と市場規模の話と予算規模の話題と放送&公開継続年数の課題と当該漫画作品の製作背景というオタクとして至極面倒臭い話にかならないのでここではそういう話はしません・・・)

 

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そんな本作は、「特撮オタクあるある」を入口に世間との折り合いの付け方を発見していく漫画ということで、作中で様々な問題提起を扱っていく訳ですね。これがまあ、そういう界隈でオタクをやっているとよく耳にする(目にする)やつが多くて。私も全方位に特撮オタクをオープンにしている訳ではないので、色々と共感する場面もあったり。

 

www.nhk.or.jp

 

ちなみに、実写ドラマ版はNHK総合で1月18日(金)午後10:00スタート。劇中作『ジュウショウワン』のスーツにアクション、数々の小物の作り込みなど、すでに予告や諸々の露出からNHKの本気度がダダ洩れ状態なので、すごく楽しみです。

 

そんなこんなで、ここ最近、ドラマ化に備えてまた最初から読み返していたので、せっかくなので作中で取り上げられた問題提起やテーマ等々を書き出してまとめておこうかと。端的に、『トクサツガガガ』とはこういう漫画です、というやつ。流し読みしていただければ、未読の方にもおよそどんな漫画なのか伝わると思います。気になった方は是非に。(長ったらしくなっても何なので、まずは既刊折り返し地点の8巻まで・・・。おそらくドラマ版の内容もここまではいかないのかなあ、と。)

 

 

1巻

 

トクサツガガガ (1) (ビッグコミックス)

トクサツガガガ (1) (ビッグコミックス)

 

 

・「その趣味が好きなら堂々としてればいいのに。恥ずかしいと思ってるから隠すのでは?」
・オタクは会社の付き合いのカラオケでどう選曲するべきか
・カプセルトイを求めて定期の範囲をさまようオタク
・見知らぬオタクに自身のオタク趣味を知ってもらうためのオーラの出し方(気付かせ方)
・「好きなものに年とか性別とか関係ない」
・オタバレされかけた時にどうかわすか
・女の子が戦隊ヒーローのオモチャを欲しがっても良いか
・女児向けアニメを愛好する強面の成人男性
・我が子に自身の嗜好を押し付ける母親との戦い

 

 

2巻

 

トクサツガガガ(2) (ビッグコミックス)

トクサツガガガ(2) (ビッグコミックス)

 


・全く関係ないシチュエーションを好きな作品に結びつけて勝手に興奮するオタク
・オタクはオタク仲間と買い物に行った先で別行動を取りがち
・児童向け雑誌を店頭で買う恥ずかしさ
・値段もサイズも大きい特撮ロボ玩具を迎え入れるか否か
・リアタイ視聴にやたら執着するオタク
・イケメン俳優の特撮番組出演は黒歴史なのか
・母親と違ってオタク趣味を理解してくれる兄の存在
・ヒーローショーのヒーローの中身は知らないおっさん問題
・人に作品を勧める行為は、すなわち「狩り」である

 

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3巻

 

トクサツガガガ (3) (ビッグコミックス)

トクサツガガガ (3) (ビッグコミックス)

 

 

・オタバレの危機と趣味を隠す自由
・家に迷い込んだクワガタとの戦い
・「普通の人」は休みの日に何をして何にお金をつかうのか
・女児向けアニメに救われた男の過去
・オタクは作品の感想を実際に会って語りたがる(内容がヒドイと特に)
・自宅でいかに巨大感のあるロボの写真を撮るか
・「今のヒーローはおもちゃを売るためにやってるよーなモンでしょ?」
・駅の構内を秘密基地に見立てるオタク
・まだ本編では仲間になりきっていない追加戦士がヒーローショーの握手コーナーに先んじて現れた時の微妙な空気
・「ああいうのにいい年してはしゃいでて見苦しいとか考えたことないの?」

 

 

4巻

 

トクサツガガガ (4) (ビッグコミックス)

トクサツガガガ (4) (ビッグコミックス)

 

 

・オープンなオタクはむしろ同族に疎まれる問題
・オタバレで傷ついたオタ女性の過去
・特撮のアイデアと工夫に学ぶ発想の転換
・子供にエログロ要素のある特撮を観せても良いのか
・世間の「まとも」との距離の取り方
・グッズやフィギュアは集めても結局ゴミになるのでは問題
・何かに夢中な姿は一見滑稽でもカッコいい
・オタクのカラオケは多人数が楽しい(合いの手やナレーションが多いため)

 

 

5巻

 

トクサツガガガ (5) (ビッグコミックス)

トクサツガガガ (5) (ビッグコミックス)

 

 

・特撮ヒーロー番組を観せると子供が乱暴になるのか問題
・「らしさ」を押し付けられる辛さ
・「洋画のCGに比べたら日本の特撮はしょぼくね?」
・大型図版を買うための本気の節約
・布教する相手を奪い合うオタク
・フィギュアやオモチャの箱地獄収納問題
・苦手なものに距離を取ってしまうのはそれをよく知らないから
・操演という舞台裏に感動するオタクと物語そのものに感動する子供
・何事も、目指すはベストではなくベター
・生まれ育った街のVHSショップの思い出

 

 

6巻

 

トクサツガガガ(6) (ビッグコミックス)

トクサツガガガ(6) (ビッグコミックス)

 

 

・幼少期に好きになったものはずっと好き
・番組制作におけるシーンカットは日常生活のハプニングと同じ
・CGでもそこにはマンパワーとアナログな工夫がある
・特撮の光の演出には作り手の気持ちが写されている
・内容がまあまあでもリアタイで視聴していくと評価が上がる
・シリーズが「続いている」ことのありがたさ
・観た映画がイマイチだった時の感想の処理の仕方
・ミニチュアに学ぶ「本物を作りたかったらニセモノを作る」
・実家の母からの電話は何をどう答えても不正解になる問題
・オタク、オタク仲間に誕生日を祝われる

 

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7巻

 

トクサツガガガ (7) (ビッグコミックス)

トクサツガガガ (7) (ビッグコミックス)

 

 

・「ゴキブリはなぜ怖いのか」と怪獣名の濁音の話
・人形劇は子供の目線があってこそ感動できたのだろうか
・出来の良かった作品が打ち切られてしまった問題
・子供の視線の高さがもたらす効果
・生身アクションに挑む俳優と生存バイアス
・お金をかけないとファンじゃないのか問題
・ガッカリメイク作品の良さとは
・操演と思い込み
・女児向けヒーローのリアル着ぐるみは目が不気味じゃないか問題
・人の好きなものを理解する難しさ

 

 

8巻

 

トクサツガガガ (8) (ビッグコミックス)

トクサツガガガ (8) (ビッグコミックス)

 

 

・子供と大人の感じ方の違い
・オープンセットのフィギュア撮影に挑むオタク 前編
・オープンセットのフィギュア撮影に挑むオタク 後編
・デジタルデータは決して安全ではない
・怪獣映画を存続させる難しさ
・ヒーローショーにおけるフォームチェンジの入れ替わりトリック
・テコ入れに対するモヤモヤ
・夏のヒーローショーの辛さと尊さ
・「この良さが分からんのだね」的な懐古怪人との再会
・そのジャンルの原点は歴史よりもその人の「そばにいたもの」

 

・・・これらを流し読みして「あ、嗚呼~~~」ってのがある人には、是非ともオススメの漫画です。週刊連載ということもあって基本は一話完結なので、結構スイスイ読めますよ。

 

トクサツガガガ(1) (ビッグコミックス)

トクサツガガガ(1) (ビッグコミックス)

 
小芝風花 写真集 『 F 』

小芝風花 写真集 『 F 』

 

 

『別冊映画秘宝 特撮秘宝vol.8』に『ウルトラマンR/B(ルーブ)』の作品紹介を寄稿しました

お仕事の報告です。『映画秘宝』の別冊として展開する『特撮秘宝』(洋泉社)に、久々に参加させていただきました。

 

現在放送中のウルトラマンシリーズ最新作『ウルトラマンR/B(ルーブ)』について、作品概要を紹介するコーナーを1ページ、担当しております 。『R/B(ルーブ)』のあらすじ・見所・面白さのポイントなど、限られた字数ですが、私なりに書いてみました。良かったら、ぜひお手に取ってみてください。

 

ヤプールも熟読!悪役の怨霊を集めて作った特撮雑誌『特撮秘宝vol.8』は、9月18日発売です。(毎回表紙のここのコピーが好き)

 

別冊映画秘宝 特撮秘宝vol.8 (洋泉社MOOK)

 

●怪獣、怪人、宇宙人、そしてもちろん人間も!
悪の特撮キャラクター 特撮人大アンケート

 

會川昇/赤星政尚/荒川稔久/荒川史絵/荒木憲一/飯塚貴士/井口昇/池田憲章/
伊藤公志/井上伸一郎/笈田雅人/大内雷電/大倉崇裕/太田忠司/大月俊倫/
大畑晃一/大畑創/岡秀樹/岡本英郎/ガイガン山崎/開田裕治/霞流一/金子大輝/
金田益実/唐沢なをき/河崎実/岸川靖/切通理作/小林晋一郎/小林雄次/
五味洋子/坂井孝行/堺三保/寒河江弘/しいはしジャスタウェイ〈御茶ノ水男子〉/
朱川湊人/白石雅彦/タカハシヒョウリ/田口清隆/田中啓文/月村了衛/
辻本貴則/富山省吾/とり・みき/中沢健/中島紳介/中野貴雄/なかの★陽/
中村宏治/中村遼/西川伸司/西村喜廣/野口智和/長谷川圭一/
林谷和樹(ダニー)/樋口尚文/百武朋/藤原カクセイ/佛田洋/ほりのぶゆき/
丸山浩/三池敏夫/みうらじゅん/村井さだゆき/大和屋暁/ロボ石丸

 

声優 飯塚昭三インタビュー
伊上勝の悪役――井上敏樹・談
監督 真船禎インタビュー
絶滅危惧種「セクシー女幹部」 文・中野貴雄
「わが心の怪獣、怪人、宇宙人」 文・上原正三

 

●貴重写真が満載のカラーギャラリー
『大怪獣バラン』激レア写真ギャラリー
渡辺忠昭 現場スナップ集
謎の木製ゴジラ!!
『ウルトラマン』特撮班カラー写真発掘「悪魔はふたたび」「怪獣殿下」
『有川貞昌」書籍発売記念『ゴジラの息子』初公開現場スナップ
追悼・星由里子 写真館


●スペシャル対談
U氏の肖像――上原正三とその時代と、今現在
荒木憲一/長谷川圭一/荒川稔久/會川昇/赤星政尚

 

●東宝撮影所の進行表『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』
対談 池田憲章×原口智生
●復活 パワード怪獣!
前田真宏×樋口真嗣 with 藤原カクセイ

 

●東宝特撮秘史 祝・還暦60年目の真実!!
『大怪獣バラン』の謎に迫る 文・金田益実
『大怪獣バラン』主役・野村浩三の新事実 文・友井健人

 

●『ウルトラマンガイア』20周年! ティガ・ダイナ・ガイア
90年代ウルトラマン特集
企画 満田かずほインタビュー
監督 松原信吾インタビュー
八木毅×岡秀樹 対談

 

●レジェンドインタビュー
特殊効果 渡辺忠昭
●豊島睦の図面

 

●『ウルトラQ』幻のシノプシスを発掘!!
・紀元前二十世紀の恋人
・山浦弘靖の未制作プロット 文・白石雅彦
●熱海怪獣映画祭presents
・トークショー「熱海と怪獣」 文・トヨタトモヒサ
・熱海と怪獣映画について語る!
伊藤和典×井上誠×長谷川圭一
●シュノーケル・カメラって何だ? 文・大口孝之
●関西特撮ファン座談会
岡秀樹×山本サトシ×藤村太

 

●古代史と愛とサスペンス・伝説の昼ドラが蘇る――『三日月情話』
・真船禎と佐々木守の挑戦について 文・會川昇
・座談会 真船禎×藤田弓子×水上竜子

 

●平成ウルトラマンニュージェネレーション 監督対談
武居正能×田口清隆
作品紹介 『ウルトラマンR/B』 文・結騎了
『電光超人グリッドマン』がアニメで復活!
『SSSS.GRIDMAN』 文・中沢健
『GODZILLA 星を喰う者』
・鼎談 瀬下寛之×片塰満則×川田英治
・大樹連司インタビュー

 

●『三大怪獣 地球最大の決戦』(台本第1稿)解読
三つ首竜・GHIDORAH伝説はここから始まった! 文・金田益実


追悼・夏木陽介
追悼・浦野光 文・河崎実

 

●196X年の怪獣少年 西村祐次
●続・金城哲夫をさがして 文・會川昇
●『ウルトラマン』『ウルトラセブン』記録
塩井(関根)ヨシ子インタビュー
●絶版特撮プラモ研究 ぼくらの日東ガメラ
●知られざる有川貞昌
インタビュー発掘 有川貞昌 特撮を語る ききて・原口トモオ
●特撮映画『ハワイ・マレー沖海戦』の誕生 文・鈴木聡司
●二十世紀特撮界、最大のUMA
これが幻のネッシーの正体だ!
・これが『ネッシー』のストーリーだ!
・中野昭慶、日英合作『ネッシー』を語る
・私もネッシー映画化を夢見た!
小谷承靖/井口昭彦/安丸信行

 

●まんが『マボロシ怪獣探偵団!「行け!牛若小太郎」の謎を追え!』 作・加藤礼次朗
●『行け!牛若小太郎』脚本家
伊東恒久インタビュー

 

●『バトルフィーバーJ』ミスアメリカ特集
・ミスアメリカ ヒロイン写真館
・ミスアメリカ座談会
小牧りさ×喜多川2tom×小野寺(現:喜多川)えい子

 

別冊映画秘宝 特撮秘宝vol.8 - 株式会社洋泉社 雑誌、新書、ムックなどの出版物に関する案内。

 

別冊映画秘宝 特撮秘宝vol.8 (洋泉社MOOK)

別冊映画秘宝 特撮秘宝vol.8 (洋泉社MOOK)

 

 

『特撮秘宝』、既刊もオススメです。私は3~5でちょこちょこ書かせてもらっています。

 

別冊映画秘宝特撮秘宝vol.1 (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝)

別冊映画秘宝特撮秘宝vol.1 (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝)

 
別冊映画秘宝 特撮秘宝vol.2 (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝)

別冊映画秘宝 特撮秘宝vol.2 (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝)

 
別冊映画秘宝特撮秘宝vol.3 (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝)

別冊映画秘宝特撮秘宝vol.3 (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝)

 
別冊映画秘宝 特撮秘宝vol.4 (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝)

別冊映画秘宝 特撮秘宝vol.4 (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝)

 
別冊映画秘宝特撮秘宝vol.5 (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝)

別冊映画秘宝特撮秘宝vol.5 (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝)

 
別冊映画秘宝特撮秘宝vol.6 (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝)

別冊映画秘宝特撮秘宝vol.6 (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝)

 
別冊映画秘宝特撮秘宝vol.7 (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝)

別冊映画秘宝特撮秘宝vol.7 (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝)

 

 

特撮監督界の仮面ライダーディケイド、坂本浩一監督の魅力(感想『映画監督 坂本浩一 全仕事』)

2009年に『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』を映画館で観た時のショックは今でもよく覚えている。スクリーンを縦横無尽に飛び回りながらインスタントに光線技を放つウルトラマンたちは、確実に「観たことがなかったもの」だった。

そしてその翌年、2010年公開の『仮面ライダーW FOREVER AtoZ / 運命のガイアメモリ』は、それまでの平成ライダーらしからぬ画作りが満載の作品で、「仮面ライダーでこういうのも観られるのか」という驚きがあった。

 

大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE [Blu-ray]

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仮面ライダーW(ダブル) FOREVER AtoZ 運命のガイアメモリ [Blu-ray]

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そうして、「坂本浩一」という名前を意識するようになった。

 

坂本監督はあれよあれよと国内の特撮作品に次々と関り、『仮面ライダーフォーゼ』や『獣電戦隊キョウリュウジャー』、『ウルトラマンジード』ではメイン監督として企画の立ち上げから参加。OV展開である『宇宙刑事 NEXT GENERATION』や『スペース・スクワッド』等も監督し、東映や円谷以外の映像作品にも積極的に参加されている。

私自身、勝手に「特撮監督界の仮面ライダーディケイド」と呼んでいるのだが、まさに「ここが〇〇の世界か・・・」ばりの見事な多世界横断っぷりである。直近10年の国内特撮界を語るにおいて、坂本監督の名前を欠かすことはできない。

 

というのも、先日株式会社カンゼンから『映画監督 坂本浩一 全仕事 ~ウルトラマン・仮面ライダー・スーパー戦隊を手がける稀代の仕事師~』というインタビュー本が発売されたのだが、これがもう特撮ファンにとっては垂涎モノの名著でして。

 

映画監督 坂本浩一 全仕事 ~ウルトラマン・仮面ライダー・スーパー戦隊を手がける稀代の仕事師~

 

「東映編」「円谷プロダクション編」、それ以外の作品をまとめた「エクストラコンテンツ編」の全3章で構成された本書は、坂本監督が関わった20を超える作品を総ナメしており、「どんな意図で撮ったのか」「その作品にどういう思いがあるのか」といった監督のスタンスを実質無限に楽しむことができる。

 

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合理的なスケジュール管理

 

本書を読破して最も印象に残ったのは、坂本監督の徹底的なスケジューリングスキルだ。

 

アメリカで『パワーレンジャー』のプロデューサーを務めていた坂本監督だが、同作は特殊なスケジューリングを求められる。というのも、『パワーレンジャー』は日本の「スーパー戦隊」の映像を継ぎ接ぎして作るため、使える映像と使えない映像を取捨選択し、それに近いロケ地を探し、逆算して俳優陣のドラマシーンを撮影する、というパズルが必須になってくる。

これを長年手掛けられた坂本監督は、いざ日本で特撮を撮るにあたって、そのスケジューリングのノウハウを輸入させた。海の向こうで培われた、短期間かつ予算内で撮影するためのパズルが、ウルトラマンや仮面ライダーの現場に持ち込まれたのである。

 

 今までのウルトラマンシリーズにはなかった画作りに挑戦したかったので、プロデューサーとの交渉から始めたんです。過去の経験から余分な予算をかけなくてもそれらを実行する事が可能だという確信がありました。

 オープン(セット)のカットは、同じロケーションでドラマパートの撮影をしながら同時進行で爆破などの準備をして、用意が出来次第ドラマパートの撮影を一時中断して撮影したり、複雑なカットはミニチュア特撮で撮るのではなくデジタル合成で背景を作って撮影時間を短縮したりなど、色々と実行した結果、パイロット版用に用意していただいたスケジュールを短縮する結果が出せました。その成果が認められ、信頼関係を築きながら新しい事への挑戦を徐々に認めていただきました。パワーレンジャーシリーズでプロデューサーを何年も務めていた経験が活かされましたね。

 

・株式会社カンゼン『映画監督 坂本浩一 全仕事 ~ウルトラマン・仮面ライダー・スーパー戦隊を手がける稀代の仕事師~』P346(円谷プロダクション編『ウルトラマンギンガS』)

 

坂本監督は、『仮面ライダーW RETURNS』や『宇宙刑事 NEXT GENERATION』などで何度か2本同時撮影も手掛けており、その合理的なスケジューリングはプロダクション側からも歓迎されているのだろう。

素人目には異常なペースで撮影をこなしている印象があるが、この工夫をこらした計画的な撮影手法こそが、坂本監督の最大の武器なのかもしれない。

 

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自らを作った作品への飽くなきオマージュ

 

『映画監督 坂本浩一 全仕事』には、坂本監督が愛した作品が沢山登場する。ジャッキー・チェンに憧れてアクションを始めたというのは有名な話だが、その他にも、「この作品(展開)はあれの引用」といったネタバラシが多く、読んでいて非常に楽しかった。

 

例えば、『仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー』の作劇は『仮面ライダーストロンガー』の「デルザー軍団変編」のオマージュ、『仮面ライダーゴースト』でアランがたこ焼きを食べながら戦うシーンはブルース・リーの『ドラゴン危機一髪』、『ウルトラマンジード』のクライマックスにおける世代を超えた決着の付け方は小山ゆう先生のボクシング漫画『がんばれ元気』をイメージして・・・ といった具合である。

 

仮面ライダーストロンガー Vol.1 [DVD]

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他にも、『銀河鉄道999』『機動戦士ガンダム』『死亡遊戯』『男たちの挽歌』『銀河漂流バイファム』など、出るわ出るわ・・・。読んでいて「あー、なるほど」「それは知らなかった!」という感嘆の声が何度も出ましたね。

 

坂本監督が、自身の血や肉を作った作品をオマージュしながら、それまでのウルトラマンや仮面ライダーになかった画を作っていく。元ネタを知らなくても、該当シリーズの映像としてはすこぶる新鮮に見える。

ウルトラマンの縦横無尽な戦い方や引きの絵でデジタル合成された背景を高速で移動する映像は、ともすれば巨大感を損なっているとも言え、好き嫌いが分かれるところだが、「それまでになかった映像を作る」という点では定評があると言えるだろう。

 

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映像から溢れ出る坂本イズム

 

私も『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』から約10年間坂本監督の映像を観続けてきたファンのひとりだが、例えクレジットを観ていなくとも、坂本監督回は一発で当てられる自信がある。それほどまでに、「坂本イズム」は濃厚だ。

 

アクションする俳優や女優がテカテカにオイルを塗り、近接格闘での打撃時にはベビーパウダーが舞い、やられ役はワイヤーで豪快に引っ張られながら画面を横移動していく。巨大特撮は煽りのカットで土煙を上げて、ウルトラマンの背後でサイズ感が麻痺する爆炎が上がる。仮面ライダーも、変身する前の素面でのアクションシーンが極端に増える。

 

前述のような好みの話はあれど、私はそのどれもがとても新鮮な10年間だったと感じている。繰り返すようだが、ウルトラマンや仮面ライダーで「こういう画」が観られるとは思ってもみなかったからだ。

今や良い意味で新鮮さは薄れ、もはや御家芸のように「よっ!坂本アクション!」というスタンスでワイヤーで吊られるヒーローを応援しているが、今後も定期的に坂本監督の作る濃厚な画を楽しんでいきたい、と思っている。

 

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ダラダラと長くなったけれど、つまりは、『映画監督 坂本浩一 全仕事』は買いの一冊ということです。

キャスティング秘話(誰は監督の推薦、誰はオーディション、など)も豊富なので、ライダーや戦隊の完全読本シリーズが好きな人は絶対楽しめると思います。注釈もものすごく丁寧に付いているので、情報量は総ページ数の1.5倍くらいかも。

 

にしても、約20億の資金が集まりながらもペンディングになってしまった坂本監督総指揮の韓国特撮作品、めちゃくちゃ観たかったですね・・・。

 

映画監督 坂本浩一 全仕事 ~ウルトラマン・仮面ライダー・スーパー戦隊を手がける稀代の仕事師~

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ハリウッド・アクション!―ジャッキー・チェンへの挑戦

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どうして着ぐるみの怪獣が生まれたのか? NHK Eテレ『JAPANGLE』(ジャパングル)の特撮特集が素晴らしかった、という話

タイトル通り、NHK Eテレの番組『JAPANGLE』(ジャパングル)の特撮特集が素晴らしかった、という話。

 

「特撮」、つまり「特殊撮影」が、どういう歴史で生まれ、いかなる職人の技で支えられているのか。今現在、どんなニュアンスで日本の文化として認知されているのか。

約20分でそれらを余すところなく紹介していたので、感動しましたね。構成力がすごい。

 

 

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番組の構成として面白かったのは、この手の特撮特集でよくピックアップされる「ゴジラ誕生秘話」「ミニチュアや操演の職人芸」の他に、東映のライダーや戦隊の映像も挟まれたり、プラモデルやフードモデルの造形模様が取り上げられていること。

 

「特撮」というとウルトラマンやゴジラの巨大特撮が代表格だけど、番組構成としてそれだけに限ったりせず、藤岡弘、氏の変身ポーズをしっかり観せてくれたのが嬉しかった。結構、巨大特撮だけで囲ってしまう特集も過去に多くあったので。

また、サンライズが映像を提供していたプラモデルの造形や工場ライン、フードモデルの型取りから着色まで、映像文化としての「特撮」とは少し距離があるけども、嗜好のベクトルとしては完全に隣人であるそれらをピックアップするのがニクい。特撮が好きなら、「そういうの」は漏れなく好きですよ、はい。

 

あとやっぱり、番組冒頭、ウルトラマンたちが子どもたちと触れ合っているシーンがすごく良かったですね。

ウルトラマンフェスティバルの映像だと思うんですけど、子どもたちを優しく抱擁したり、一緒にポーズを決めていたり。自分もそういう子どもだったので、ああいうのには弱い。あと、赤白帽のつばを頂点にしてかぶるウルトラマン被りも最高。完全にNHKの編集側に特撮好きがいるぞ・・・。

 

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「どうして着ぐるみの怪獣が生まれたのか?」の逸話は、やはり面白いですよね。

ちゃんと『キング・コング』の映像が出てきて、それを受けて日本が作ろうとしたら制作期間的に難しい、という例の流れ。そこで「じゃあ人が中に入ればいいんだ」という発想に行き着くのは本当にすごいし、それが「TOKUSATSU」という文化として海の向こうにまでフォロワーを作ったのが何とも感慨深い。

 

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ゴジラ(昭和29年度作品) 東宝DVD名作セレクション
 

 

国内の巨大特撮が冬の時代に到達していた数年前、その「TOKUSATSU」に惚れ込んだ監督の『パシフィック・リム』が界隈でカルト的な人気を博したのは記憶に新しいし、近年のハリウッド産のモンスター映画は「中に人が入っているっぽい造形」のものが多い。レジェンダリーのゴジラシリーズ最新作『Godzilla: King of the Monsters』では、ついにモスラやキングギドラが登場するという。

 

そうして、海を超えて何十年もかけて、架空の存在に胸を踊らせた人たちがキャッチボールをしていると思うと、ロマンがあるんですよね。たまに、無性にジーンときてしまう。

 

そんなこんなで、『JAPANGLE』特撮特集。

たった20分で「気ぐるみ怪獣が生まれた背景」「ヒーローの背後爆破の職人芸」「ミニチュア特撮のメイキング」といった特撮の美味しい部分を集めた構成になっているので、ぜひ、特撮をあまり知らない人にこそ観て欲しい内容でした。

 

まさか最新ウルトラマン『R/B』の舞台裏も観られるとは・・・。ビルが吹っ飛ぶシーンのメイキング、すっごく良かったですね。そしてレッドキングが可愛い。

 

ウルトラ怪獣シリーズ 14 レッドキング

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