ジゴワットレポート

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感想『ウルトラマンブレーザー』第7話「虹が出た 前編」 #俺が観る EP07 天に数多の虹が輝くとき、それは現れる

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シリーズ初の前後編、強敵怪獣・ニジカガチ編。まずもって、タイトルにきっちり「前編」「後編」って銘打たれてるの、いつぶりだろうか。どうしても平成三部作世代なので、例えば『ティガ』の「GUTSよ宙へ・前編」とか、『ダイナ』の「移動要塞(クラーコフ)浮上せず!(前編)」とか、この辺りが印象深いです。もしかして『マックス』の「ようこそ!地球へ 前編」以来だろうか。15年以上も前だな……。

 

元々ウルトラシリーズは一話完結が基本のスタイルですが、特にニュージェネ以降はマーチャンダイジングを含め連続ドラマとしての性格を濃くするパターンも増えたので、改めて「前後編二部作!」みたいな見せ方は減った印象です。もちろん、『X』のガーゴルゴンや『ジード』のペダニウムゼットンなど、要所要所で二話構成になるのは恒例なんですけどね。ともかく、こうしてタイトルひとつ取っても「オタクがちょっと喜ぶ」側面があるのは大変助かります。この「ちょっと」が積み重なると愛着に育つ。

 

 

といったところで、#俺が観る 第7回です。よろしくお願いします!

 

引用:https://twitter.com/ultraman_series/status/1695223325734359118

 

雨が降る前触れとされる『逆さ虹』が日本各地で発生。怪獣との関連を疑うゲントは、怪獣研究の第一人者であり、恩師でもある横峯教授のもとへ。そこで横峯から、ときに恵みの雨をもたらし、ときに荒神となりすべてを奪い去るという神のような存在、ニジカガチについて語られる。その時、ゲントのもとに巨大怪獣現出の知らせが届く。

ウルトラマンブレーザー – 円谷ステーション – ウルトラマン、円谷プロ公式サイト

 

2023/08/26 放送 監督:中川和博 脚本:山崎太基

 

今年も暑い夏でしたが、SKaRD基地も御多分に漏れず。今回のキーマンとなる横峯教授の著書『怪獣の目』ですが、一時停止すると少しだけ中身が読めます……が、これは怪獣とは関係なさそうなテキスト。女性の自叙伝といった感じで、両親を中学生の頃に亡くした女性が八歳下の弟と親戚の家に預けられて、といった生い立ちが語られている。単純に小道具として何らかの本にカバーを付けている可能性もありますが、仮にこれが『怪獣の目』の本当の一節だと受け取るならば、何らかの怪獣に関わった女性のインタビューの章といったところだろうか。

 

そしてカバー折り返しの横峯教授のプロフィールでは、教授は1960年生まれとのこと。公式サイトによると怪獣や地球外生命体に対処する地球防衛隊の設立が1966年なので、地球人が怪獣や宇宙人と相対し組織的な対応も取れず(おそらく)パニックに陥ったその時代に、幼少期だった計算になる。そりゃあ、この道に進みますよね。原体験が怪獣でしょうから。その後、多々良島のマグラーに関する論文も発表しており、怪獣対策の草案が地球防衛隊にも採用された、と。2話での履歴書のくだりにもありましたが、こうして画面には登場しないけど怪獣名が語られるのは楽しいですなぁ。こういうのも、積み重なる「ちょっと」のひとつ。

 

「羨ましいィ!」と感情を露わにするテルアキ副隊長にニヤニヤしつつ、さらっと明かされるゲント隊長の釣り好き設定。も、もしかして……。2話のスパイラルバレード竿はそれが起因しての技とか、そういうことですかゲント隊長。

 

Mod.2の開発状況のくだり、ヤスノブ隊員に思わず「無理をするな!」と声をかけるこのカット、良すぎる………。これこれ、こういうのなんですよ。前回の6話からの連続性。こういった「ちょっと」した描写の積み重ね、絶対に後半で活きてきますからね。キャラクター描写って、いかに視聴者に思い入れさせるかにかかってますから。シナリオによって「〇〇はそんなこと言わない!」とか「確かにそういうこと言いそうなキャラだけどそんな直接的には言わないはず……」とか、そういったブレがあると思い入れが熟成されない。ここのところのコントロールが肝要なのです。その点『ブレーザー』は、脚本家が違ってもコントロールが効いているので、この辺りへの気配りが制作陣で為されていることが判ります。ありがたい。(もはやノルマになりつつある副隊長の実家トークが挟まるのも良い)

 

続いて、エミはほとんど基地におらず、常に現場から情報を送るポジションになっているのも一貫していますね。ちなみに、逆さ虹って本当にあるんですね。知らなかったです。

 

weathernews.jp

 

ゲント隊長と横峯教授の会話シーン。ニジカガチはドルゴと同じ土着信仰タイプの怪獣。ジャンルとしては「自然・天災の擬獣化」といえるだろうか。そして、地面から迫り出して登場するニジカガチ。ここのBGMが和太鼓や和楽器がドンドコ鳴る不穏なやつで、土着信仰怪獣の雰囲気ともドンピシャ。

 

 

この誘導弾を受けるシーン、最高ですよね……。2016年の『シン・ゴジラ』以降、こういった「従来より引いた遠景+実景合成の怪獣+爆炎等の合成」といった絵作りがひとつのスタンダードになってきたと感じていて、ニュージェネで挙げれば『ジード』初回「秘密基地へようこそ」のスカルゴモラなど。怪獣特撮はどうしてもヨリの絵作りが主体になるところですが、合成技術も進歩してきたからこそ、ぐんとカメラを引いて実景の奥に怪獣を小さく置く、その見せ方も巨大感を感じさせてくれる訳ですね。

 

それにしてもニジカガチ、本当にかっこいい。言うまでもなくソフビを買ったのですが、白状しますとソフビというよりMod.2ユニット目当てでポチりました。ところがどっこい。蓋を開けてみるとニジカガチがびっくりするくらい魅力的な怪獣で……。こういう、二週に跨って活躍する強敵ソフビとセット販売してくれると、プレイバリュー高が高い。来週の後編でMod.2ユニットでニジカガチに対抗する訳ですから、玩具においての「VSセット」(ウルトラマンとライバル怪獣のソフビがセット売りされるジャンル)っぽい文脈も感じさせてくれます。

 

 

ニジカガチ、まずシールドを被っているので表情が読めない。鉄仮面で寡黙。誘導弾を受けても微動だにせず、黒煙の向こうでただ佇んでいるカットなんか、実に痺れます。

 

デザインのイメージソースとしてはやはりガボラでしょうか。『シン・ウルトラマン』のガボラはドリルの形状が強めに解釈されていましたが、元のガボラって、シールドを閉じた状態がちょっと顔っぽいんですよね。目の無い怪獣のような、武骨なデザインというか。パワードガボラでも同じ方向性でデザインされていました。なのでニジカガチ、閉じた状態が頭蓋骨をすぽっと被っているような表情で、下部の口はそのまま口の位置で全体の顔が完成するという、完全な2wayなのもツボです。開いたら極彩色というギャップもいいし、鎧が割れる際の光線も虹色なのが徹底している。

 

 

 

気圧を操る神。虹に蛇の神で、ニジカガチ。参考文献によると、この絵は奈良時代の絵師が描いたもの。「地球上のどの生物とも類似していないことがわかる」とある。「月夜に照らされた山をニジカガチと見間違えた可能性もある」あたりの記述も良いですね。こういう反証の考察が載っていると、逆にリアリティが高まる。

 

そんなニジカガチが練り歩くシーン、周囲の風を吸い込んでのっしのっしと進む訳ですが、ここの「大売出し」の赤い旗が一斉に吹かれるシーンも良いなぁ~~~。こういうハッタリが効きまくった絵面、大好きなんですよ。ニジカガチの体表がちゃんと雨で濡れているのも良い!

 

 

横峯との川辺の語らい、再び。横峯教授の主張それ自体は、ぶっちゃけ何か革新的なものではない。土着信仰をベースに、人類の信仰心の変遷や環境破壊を踏まえ、「そんな人類は一度滅びた方が良い」に帰結するパターン。この誇大妄想は怪獣モノにはよくある類型で、お馴染みともいえる。とはいえ、教授役の演者さんの迫真の演技(語り口)や、「初めてです。先生の講義が面白くなかったのは……」といった粋のいい台詞回しで、つい見入ってしまう。恩師との対峙という構図も良いし、Aパート冒頭で横峯教授のこの分野での第一人者ぶりをこれでもかと印象付けているのもじわじわ効いている。専門家が言っちゃうんだからそうかもね、という強者のオーラ。

 

ゲント隊長が水も滴るいい男で基地に帰ってくるの、ビジュアルが良すぎて興奮しちゃいました。顔良すぎない!??????

 

前線にやってきたアースガロンと、取っ組み合いの泥仕合!先日、ちょうど自宅にこの両者の玩具がそろったので、娘と遊んでみたのですよ。タブレットでこのシーン前後を見せて、「お父さんとこれで遊ばない?」って。そしたら意外とノってくれて、「じゃあ、わたしは あーすがろん ね!」と。お父さんは喜んでニジカガチを操る訳です。ドカーン!バーン!ドーン!「ほら、アースガロン、めっちゃ可愛いだろう?」と声をかけると、それを聞いていた嫁さんが「かわ・・・ いい・・・?」と言うのです。なんでや!!!!!!!!!アースガロン可愛いだろ!!!!!!!!!!可愛いすぎるだろ!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

かわいいは!!!!!造れる!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

さて、そんな可愛すぎるアースガロンを一撃必殺レベルの光線で見事に退けてみせたニジカガチ。やられちゃうアースガロンも可愛い。不憫可愛い。あと、どうやら公式にも「虹光線」って技名っぽいですね。シンプル。

 

 

危機的状況の中、ゲント隊長が変身。ブレーザーは祈祷する間もなく狩りを始める訳ですが、個人的にすごくグッときたのは、ここの虹光線をくぐるように避けるシーン。ちゃんと、ブレーザーの身体が照り返しで光っている。素晴らしい。これは合成ってよりミニチュアの向こうの地面になにか光源を置いているのかな。ちゃんと上から照らされているように見えるからすごい。このカットだけでもうお腹いっぱいってくらい好きです。たまらん。

 

しかし、ブレーザーが果敢に立ち向かうもニジカガチはびくともしない。重量があるのか、硬いのか、とにかく防御力が高い模様。こういう生態の見せ方も気が利いていて、「とにかくニジカガチをシナリオ・特撮の両面から視聴者の印象に残すぞ!」という熱意を感じる。

 

 

スパイラルバレードは虹光線に押し負け、まさかブレーザー敗北!? からの迅速な撤退。横峯教授の黒い思惑がちらつく中、次回へ続く。

 

 

といったところで、「前編」でした。いやぁ、とにかく見応え抜群!すごい!こういう重厚なシナリオ×ハイレベルな特撮がテレビ放送で観られる、それ自体に感動しちゃいます。隊員それぞれの職務をきっちり見せながら、ゲント隊長の恩師を敵サイドに置き、シリーズ初の前後編&新規怪獣が無茶苦茶に強くて、アースガロンもブレーザーも無残に敗退。これでもかと盛り上がりの種が蒔かれてますが、さあ後編、この期待値を受けた展開がしっかり待っているのか。いや、待っていないはずがない。(反語)

 

あと、個人的に注目しているのがニジカガチストーンの見せ方。すでに公開されている情報によると、ニジカガチストーンをDXブレーザーブレスに装填すると専用のアニメーションが発動し、劇中のブレーザーは新たな光輪技を発動できるとのこと。例年ならインナースペースで主人公が操作するところですが、今年はあえてそれを撤廃している。いかにしてストーンを描写するのか。あるいは、しないのか。

 

 

これはガラモンストーンで呼び出せるらしいチルソナイトソードにも言えることで、この辺りの描写をどういうバランスで持ってくるのか、ちょっと読めないところがあります。発売済みの児童誌もチェックしていますが、ゲント隊長がチルソナイトソードを操作するようなカットは全く無いんですよね。ブレーザーがしっかり巨大なままソードのレバーを操作している。倒した敵の体組織から武器を造り出す、まさに狩猟民族っぽい雰囲気も感じるところですが、さてどんな魅せ方になるのか。

 

ウルトラ怪獣で狩猟でモンハンっぽい感じといえば、『怪獣バスターズ』ってゲームがありましたね。懐かしい~。

 

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