ジゴワットレポート

映画とか、特撮とか、その時感じたこととか。思いは言葉に。

とにかく『仮面ライダー鎧武』5話の話がしたい!『鎧武』は5話!!結局のところ5話なんですよ!!!

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もう何十回、もしかしたら三桁に届いているかもしれないが、今日もまた『仮面ライダー鎧武』の5話を観てしまった。『鎧武』という作品は結局のところ5話なんだと、言い続けてもう10年になる。

 

そう、10年なのだ。2013年に放送を開始した『鎧武』は、2023年に放送10周年。時が過ぎるのは本当に早い。戦極ドライバーを買うために発売日の早朝に店頭に並んだのも、次々と発売されるロックシードを買い込んで紙袋にぎゅうぎゅうに詰めて持ち帰ったのも、アームズチェンジシリーズを組み替えて夜な夜な遊んでいたのも、今でも鮮明に覚えている。あれがもう10年前。なんということだろう。改めて回想すると背筋が凍る思いだ。

 

『鎧武』10周年、何か公式の展開はあるのだろうか。大人の事情によるハードルもいくらか察せられるとこだが、正月にはこういうツイートもあったので、どうしても期待してしまうのが本音である。

 

 

さて、話を戻して。『鎧武』語りのひとつとして、よくインターネットでは「初瀬が死んだあたりから鎧武は面白くなった」という声を見かける。おいおいおいおいおい。これに「おいおいおいおいおい」と言い続けてもう10年になる。なんということだろう。

 

まあ、でも、確かに。『鎧武』の本懐は2クール目からの種明かしの連続だ。1クール目は「知らずのうちに大人たちの実験材料にされていた若者たち」、続く2クール目に物語は「その実験の背景と現実に打ちのめされる主人公たち」にシフトしていく。1クールを丸々使って前振りをして、2クール以降にそれをひっくり返していく。2013年当時、『仮面ライダーW』以降の「2話前後編構成」と玩具販促のバランスが確立されていた時代に反旗を翻すかの如く縦軸マシマシの作品が登場したのは、何度思い返しても実にセンセーショナルだった。その本領発揮が、初瀬死亡あたりからの展開だ。そりゃあ、文句なしに面白い。

 

しかし、1クール目、そして5話こそが至高なのだと、場末のブログでくらい叫ばせて欲しい。5話なんです。結局、『鎧武』は5話なんですよ。5話5話5話。

 

引用:仮面ライダー鎧武/ガイム 第5話『復活!友情のイチゴアームズ!』 | 仮面ライダーWEB【公式】|東映

 

縦軸マシマシの同作において、その構成がカタルシスをもたらす印象的なエピソードといったら、読者諸賢はどれを思い浮かべるだろうか。そう、45話と47話ですね。もちろん、そうですよね。やだなぁ、言わなくても分かってますって。

 

まずもって45話「運命の二人 最終バトル!」。『鎧武』はね、結局のところ45話なんですよ。そう、45話なのだ。45話45話45話。インベスの大群を従えて対立する紘汰と戒斗。それぞれ、何を想うのか。何を悔いるのか。何に未来を見るのか。強さとは、弱さとは、力の意味とは何か。決定的にすれ違う問答を経て、絶叫と共に変身。そこでガツンと鳴る「乱舞Escalation」。ふぉぉぉおお!!最高!最高じゃあないか!!!俺たちが最強の力手に入れたとしてその後にこの目にはどんな世界映るのだろう!??? さ、最高……。最高だぁぁ……。思い返しただけで血が滾る。私は『鎧武』45話みたいな展開が観たくて仮面ライダーを含むあらゆる創作を摂取しているのかもしれない。と、言いたくなるほどに。断言したくなるほどに。

 

乱舞Escalation

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そして47話「変身!そして未来へ」。『鎧武』はね、結局のところ47話なんですよ。そう、47話なのだ。47話47話47話。確か公式読本だったか、制作段階において『鎧武』が全何話で終わるのか、その話数がギリギリまで分からなかったようで。それを受け、メインライターの虚淵さんは仮にひとつ前で終わってもいいように「変身だよ貴虎」あたりのシナリオを構成されたと。つまり、貴虎が目を覚まして終幕という可能性もあった訳だ。しかし実際は47話が必要になったので、サブライターの鋼屋ジンさんがエピローグを手掛けられた。『鎧武』46話までの怒涛の展開に、あとなにかひとつ、付け足すとしたら。それはやはり、ミッチの再生の物語なのだろう。

 

「すみません、紘汰さん。やっぱり僕は、何もやり遂げることができませんでした……」

 

「そんなことねぇよミッチ。お前すげぇ頑張ったじゃねぇか」

 

ここ……。ここなんですよ。さ、最高……。最高だぁぁ……。思い返しただけで血が滾る。私は『鎧武』47話みたいな展開が観たくて仮面ライダーを含むあらゆる創作を摂取しているのかもしれない。と、言いたくなるほどに。断言したくなるほどに。

 

紘汰とミッチの関係性、互いが互いの背中を追っていたのかもしれない、憧れと憎悪と友情が渦巻いたふたりだけの距離感。その終着点として、遠い宇宙の果てから地球を見守っていた紘汰が孤軍奮闘するミッチを助けにやってくる。ミッチは紘汰のようなヒーローになりたくて。紘汰は道を間違えたりもしたミッチに故郷を託したくて。こんな、こんな素晴らしいエピローグがあってたまるかと。その後の主題歌は言わずもがな、やはり鎧武の大橙丸を龍玄がキャッチするのが、もう、アアッ、いい、いい……。よすぎる……。抜群のコンビネーションで射撃するカットは全てが美しい……。

 

だからつまり、45話と47話が大好きという話なのですが、だからこそ5話なんですよ。もう分かりましたね、私の云わんとするところが。『鎧武』5話「復活!友情のイチゴアームズ!」は、45話の「強さや力の問答を繰り広げ対立する紘汰と戒斗」、そして47話の「互いに互いを高め合うように肩を並べる紘汰とミッチ」、その!!両方が!!見事に!!パッケージングされているんですよ!!

 

『鎧武』5話、龍玄の華々しい初陣や無駄に巧いカードさばきを披露する戒斗など前半も見どころたっぷりですが、やはり後半。インベス2体を従えてチーム鎧武に戦いを挑む戒斗。それにひとり立ち向かうミッチ。見るからに多勢に無勢。龍玄はひたすらバロンの攻撃を受け続ける。

 

「なんで逃げねぇんだよ。勝ち目ねぇぞ!」

 

「きっと、紘汰が見てるからだよ」

 

「俺が!?」

 

「ミッチは、紘汰に憧れて、励まされて、だから強くなろうとしてるんだよ。そんなミッチが紘汰の前で、弱音吐ける訳ないじゃない!」

 

「……俺が、アイツを強くした!?」

 

見事なまでに、47話がこの辺りのリプライズとして機能しているんですよね。ミッチと紘汰の関係性って、途中で本当に色々…… 色々ありましたが、ここに始まってここに還ってくる。『鎧武』とはすなわち、ミッチと紘汰の話なのだ。

 

戦国乱世

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そして舞にベルトをくれと叫ぶ紘汰。「俺は俺自身のために戦う。そのための力が欲しい」「あのベルトは俺しか使えない。俺にしかできないことをやり遂げるための力。俺はそいつを引き受ける。そいつがきっと、大人がよく言う責任ってやつだろ」。

 

この台詞、「引き受ける」という表現が実に紘汰なんですよね。「全うする」とか「振るう」とか、そういうのじゃない。「引き受ける」。自身が持ってしまった過ぎた力に責任を持つ。その覚悟と決意。この「引き受ける」という紘汰のマインドは、物語終盤、オーバーロードや神と化して青い星を去る局面にまで繋がる訳です。

 

ついに鎧武に変身。バトルフィールドを拳でぶち壊し、ガラスが舞うような煌びやかなカットで遂に放たれる決め台詞。「ここからは俺のステージだ」。ミッチを庇い手を差し伸べる紘汰。そして、対するバロンがどこか嬉しそうに語り始める。

 

始動 鎧武

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「やはりな!弱さの枠には収まらない奴。……だが、貴様らはこのベルトを持て余している。力を示し、弱者を支配する。強さを求める意思が無い!」

 

「違う!強さは力の証明なんかじゃない!」 「強い奴の背中を見つめていれば、心砕けた奴だってもう一度立ち上がることができる。誰かを励まし、勇気を与える力。それが本当の強さだ!」

 

このシーン、バロンのバナスピアーを腕と拳で捕える鎧武が最終決戦と同じでそこもすごく昂ぶるのですが、何より紘汰と戒斗の「強さ議論」なんですよ。これも、45話が完全なるリプライズになっていて。思い返せば、ユグドラシルが物語の真ん中に出てきてからは、鎧武とバロンはほとんど戦っていない。あまりに強大すぎる組織を相手することもあり、若者同士で争う話の筋は縮小していくのだ。意見の相違はあれど、明確に戦うことはほとんど無かった。だからこそ、時に共闘したふたりが最終決戦で袂を分かつ展開が痺れる。

 

紘汰と戒斗の数少ない決闘の場面。そして、実は初めて本格的に火花が散ったのもこの5話。紘汰は何のために戦うのか。戒斗は何のために戦うのか。それぞれの譲れない信念は、5話の陣取りゲームも、45話の世界の命運をかけた決戦も、変わらないのである。ここに始まってここに還ってくる。『鎧武』とはすなわち、紘汰と戒斗の話なのだ。

 

そして終幕、未曾有の侵略を引き受けて宇宙に旅立った神様は、知略に溺れ、大人に食い物にされ、心が砕けた奴を、もう一度立ち上がらせるために故郷を訪れる。励まし、勇気を与えるかのごとく……。

 

言うまでもなく1クール目の展開は、その展開の全てが2クール目以降に向けた仕込みである。全ての争いも、友情も、疑惑も、大人達の掌の上の出来事だった。若者達にとっては一世一代の大きな出来事でも、世界が瀕している局面からするとほんの些細な小競り合い。しかし、だからこそ。舞台が大きくなっても、もう引き返せなくなっても、彼らはずっと彼らのまま信念に懸けていたのである。そんな果てしないロードマップの実質的な出発点であり、構造的な「答え」が既に示されていた、作品全体の魅力が見事にパッケージングされていたのが、他でもない5話なのだ。そう、『鎧武』は5話なのだ。結局のところ5話なんですよ。5話5話5話。

 

ここまで付き合ってくださった酔狂な貴方は、今ものすごく、『鎧武』の5話が観たくなっていることだろう。お手元のスマホでぜひ動画配信サービスにアクセスしていただきたい。改めて観て欲しい、『鎧武』の5話を。「嗚呼、こんな頃もあったな」というノスタルジアは、きっと全47話の名場面の数々を、鮮やかに脳内に蘇らせることだろう……!『鎧武』5話、最高~~~~!!!

 

※※※

 

そして、そんな『鎧武』の5話とか45話とか47話が好きすぎるあまり、放送10周年を(勝手に)記念してオリジナルのイメージソングを制作しました。2023年4月2日(日)に動画を公開します。よかったら聴いてやってください。「解釈」、全部込めました。

 


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各種サブスク配信もあります。(▼ 試聴できます!)

 

フィンブルの風

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