ジゴワットレポート

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感想『仮面ライダージオウ』第35話「2008:ハツコイ、ウェイクアップ!」ZI-O signal EP35

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『仮面ライダージオウ』第35話は、田村直己監督&井上敏樹脚本でおくる、キバ編前編。しかしまあ、まさかの井上敏樹脚本ですよ。『仮面ライダー1号』や、つい先日の『龍騎』スピンオフが比較的新しい作品に数えられるくらい、平成ライダー初期の頃に比べると登板回数が減っていた井上先生。ニチアサ的には、ライダーだと『ディケイド』、戦隊は『ゴーカイジャー』ジェットマン回以来だろうか。こう書くとすごく昔のことに思えますね。

 

といったところで早速ですが、『仮面ライダージオウ』の感想を綴る「ZI-O signal」(ジオウシグナル)、今週もいってみましょう。

 

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井上脚本の魅力

 

まずもって井上敏樹脚本の魅力から語っていくと、やはり「美しさ」に尽きると思うんですよ。ただしそれは「綺麗な」「華やかな」ではなく、「泥臭く」「人間臭い」、そんな「美しさ」。美しいものをそのまま美しく描くのではなく、泥臭く、人間臭く、どうしようもなく捻れて拗れた関係性に置かれたクセの強すぎるキャラクターたちが、その生き様の中に「美しさ」を見せる。

 

それは、ひいては人間讃歌のメッセージにも繋がっていて、悪役にも、主人公にも、各々の生への渇望やブレない信念のようなものが光る、と、そういうシナリオを作られることが多いと感じてます。


そこから逆算的に、というか見せ方として、キャラクターの行動のタガが若干外れていたりもするのだけど、そういうキャラ付けだからこそ、真に秘めた「美しさ」が(後に)露呈しやすい構造になっていたりするんですよね。平たく言えば「ギャップ」なんですけど、そんな簡単なことでもなくて。


リミッターが外れたように行動するキャラクターたちは、言うなれば現実における「多種多様な我々」そのものであり、そこからの落差として「美しさ」が活きる。天下の音楽家で飄々とした男が、どうしようもなく惚れた女に命をかける。幼馴染の少女に母性を見出した男は、周囲を陥れてでも我が道を往こうとする。傍目にはいないような突飛なキャラクターたちが、実は、誰よりも身近な人間臭さを見せる。そこが「美しい」。井上敏樹脚本の魅力は、そういう「人間の描き方」にあると思っています。

 

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キバという物語のエッセンス

 

その点今回は、ある意味「人間臭さ」が何よりも発揮される、恋愛というテーマ。言うまでもなくこれは、『キバ』の物語における重要な要素。

 

仮面ライダーキバ Blu-ray BOX 1

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思い返せば、『キバ』は昼ドラ顔負けのドロドロ恋愛模様と仮面ライダーが融合した異色の作品で、今なおファンの支持が熱い。それは単に恋愛が云々というより、ゴシック調のデザインで彩られた数々が、重厚に、時に華やかに、そして鋭利に、総じてポエティックに展開される。恋愛という「生き物と生き物が互いを分かり合う」行為を、『ファイズ』の発展系とも言える「異種族の理解」に繋げていく。あんなにファンタジーなのに、人間離れしているのに、やっていることはドロドロに人間臭い。そのバランスこそが『キバ』の魅力であり、シリーズにおいても唯一無二の立ち位置を誇っている。


つまり、『キバ』は確かにキャラクターの個性が強いタイプの作品なのだけど、同時に、「スケール感のある世界観と人間臭い恋愛ドラマのギャップ」が魅力な訳です。

 

今回のストーリーは、仮面ライダーギンガといういきなり訳の分からないスケールの奴が飛来したかと思えば、やっていることはソウゴの初恋騒動という、このギャップのあるバランスに収まっているんですよね。ここがまさに『キバ』。

 

メインキャストは次狼のワンシーンだけで、渡やキバットが出てきた訳でも、バイオリンの演奏シーンがあった訳でもないのに、確かに感じる「自分は今『キバ』を観ている!」感。それは、構造における原典の踏襲と、突飛なキャラクターの奥にある人間臭さ。『キバ』が当時展開したアプローチを、『ジオウ』の世界観に持ち込んだことによる化学反応、その賜だと思うのです。

 

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仮面ライダーギンガとは一体何か

 

宇宙から突如飛来した謎の存在、仮面ライダーギンガ。大人の理屈でいけば、ウォズのパワーアップのための配置なんでしょうけど、物語的にどういう解釈が可能かを考えていきたい。


まず、ポイントは「仮面ライダー」を自ら名乗ってる点。謎のエイリアンではなく、ちゃんと「仮面ライダー」を名乗っているので、これはシノビやクイズといった未来のライダーと近いカテゴリーで考えるのが妥当だろう。前提を整理すると、年末放送までで存在していた「オーマジオウ未来」においては、仮面ライダーの歴史がそこで途絶えているので、未来の仮面ライダーは存在しない。年明け放送辺りから発生した「ゲイツリバイブ未来」では、シノビやクイズという新たな仮面ライダーが誕生していた。だがしかし、先日の剣編においてオーマの日が到来。どちらの未来にも存在しないはずのトリニティが出現したことにより、未来は、第三の可能性に傾き始めた。


そうなると、もう誰も予測のできない方向になってくる。例によって、便宜上、これを「トリニティ未来」とすると、ギンガは、初の「トリニティ未来」に属する仮面ライダーなのかもしれませんね。宇宙で活躍する謎のライダー。第三の可能性はかなり不確かな状態かと思われるので、ひょんなことから時空が歪んで2019年に飛来したのかもしれない。


ただ、それとは全く別の可能性が考えられるとも思っていて。それは、仮面ライダーギンガそのものが、ソウゴの未来創造能力によってもたらされた存在、ということ。初恋の人がアナザーライダーになってしまい、彼女と戦わざるを得なくなったソウゴ。しかし、もしここに共通の敵が突如として現れたら、彼女と共同戦線を張る、つまりは争わなくて済むかもしれない。なので、両陣営とも設定上は単独で勝てない。トリニティだけでも勝てない。アナザーキバだけでも勝てない。手を取り合う構図があって初めて打倒できる、と、そういうふうにソウゴが無意識に願ったとしたら。


うーん、どうだろう。ちょっと考えすぎかな。でも、「異種族の存在が手を取り合って戦う」という持って生き方は、すこぶる『キバ』なんですよね。アームズモンスターと音也しかり、渡と大牙しかり。底に眠る信念や「美しさ」、音也が言うところの「音楽」が共鳴する限り、そこに見てくれや生態は関係ないんだ、というアプローチ。

 

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強烈、アナザーキバ

 

しかしまあ、強烈でしたね、釈由美子さんの役どころは。始まっていきなり拘置所でワインの話とか始まったので、チャンネルを間違えたかなと思いながら観ていく始末。ビビッドすぎるキャラクターがすごい勢いで物語を掻き混ぜていくやり方は、『ジェットマン』で幼少期を過ごした自分としては実家に帰ってきたかのような馴染み深さ。久々に、昔よく横になったソファに身を任せるような、心地よい鑑賞でした。


釈由美子さんがゲストと知った時は「え? 劇場版レベルのキャストでは」とも思ったけれど、蓋を開けてみれば、もとい、マンホールを外してみれば、すこぶる納得。こんなキャラクター、釈由美子さんレベルじゃないと演じられないですよ。いやぁ、強烈。すごい。そして、ライダー的には『仮面ライダーG』も思い出しますよね。釈由美子さんが出てきて、しかも松田賢二さんも出演していて、ワインの話があって、さらにさらに、監督も同じ田村直己監督なんですよ。色々と分かる人向けに狙ってきた感じがあります。


アナザーキバのデザインは、もはやアナザーライダーというよりファンガイア。ファンガイアは、ステンドグラスをあしらったスーツが非常に綺麗で、やはり見応えがある。アームズモンスターを完璧に使役する様子も、まさに女王の風格。しかし、『ディケイド』のキバ世界といい、アームズモンスターの役どころは、後々の再解釈パターンの方が活きる印象がある・・・。


そして、そのアームズモンスターの一角である、次狼。『キバ』のストーリーのその後を考えると、ネオファンガイアとの戦い含め、引き続き渡ことキバに仕えていそうな感じだが、今回はアナザーキバに付き従う模様。アナザーキバは2019年で発生しているので、剣やアギトのパターンを考えるとキバの力は引き続き生きていると思うのだけど。

 

仮面ライダーキバ ガルルセイバー

仮面ライダーキバ ガルルセイバー

 

 

予告にもキバは登場しないけど、どうやってキバライドウォッチを受け継ぐのかな。次狼が「昔俺にも愛のために生き抜いた仲間がいた。そしてその息子も種族の架け橋となるべく奮闘した」などとそれっぽい感じで『キバ』を総括して、「その愛をお前が信じるなら、やってみろ」とか言いながらウォッチを取り出したりするのだろうか。


初恋の人から顎を撫でられ、それが印象に残っていたというソウゴ。猫か!という感じもあるけれど、幼少期における年上の女性って、妙に魅力的だったりしますよね。恋というか、憧れ的なものにも近い。かなり記憶の中で美化される感じもあると思うんですが。とはいえ、オチとしては釈由美子さんが初恋の人ではなく、たまたま同じ仕草をしただけで、本当の初恋の人はスペシャルゲストの高橋ユウさんなんじゃないでしょうか。まあ、これはもう皆がそう予想してると思いますが。

 

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隕石の未来と残りのウォッチ


そして、ポイントは次狼が見たという隕石飛来の未来。彼が時を超えて未来を知ったというのなら、それはキャッスルドラン内の扉を利用したと思われるけど、ネオファンガイアと戦ったりする中で未来に行く機会があったのかな。平成ライダー的には、あの構図であの隕石が落ちてくると、どうしても『カブト』を思い出すところ。もしかしたら、ギンガは完全なミスリードで、本当の脅威はまた後に描かれて、それがカブト編ということなのかも。もしくは、釈由美子さん投獄の契機となった事件が2015年ということで、この年代でいくとドライブとも絡めることができるんですよね。


キバを除けば、残りのウォッチはあと3つ。そのうちのひとつは、シリーズ最大の劇薬とも言える電王。『ディケイド』は『ジオウ』において飛び道具な使われ方をしているけども、『電王』は、同じくタイムトラベルものとして扱いが難しいとも言える。とはいえ、昨年末の『平成ジェネレーションズFOREVER』では、『ジオウ』のタイムトラベル理屈と『電王』のタイムトラベル理屈を頑張って融合させたりしていたので、テレビ本編もそういうアプローチでくるのかな、と。そして、どうせ劇薬なら劇薬らしく、そろそろお目見えするであろうジオウ最強フォームの登場と抱き合わせでくると思うんですが、さてどうだろうか。

 


といった辺りで、次回、キバ編後編。今回、トリニティの見せ方が過去最高に面白く、画づくりが楽しめた回でした。初恋の物語はどう着地するのか。そして、作中最強を疑うほどの仮面ライダーギンガをどう打倒するのか。楽しみですね。


最後に。本日5月17日19時から、以前よりお伝えしておりました、トークショー「ジゴワットレポート 東京エンドゲーム」に出演します。テーマは主に3つで、アベンジャーズ・平成ライダー・ブログの裏側。もちろん、『ジオウ』におけるぶっちゃけ感想なんかも扱う予定です。ツイキャスでの音声配信も予定しておりますので、お時間許す方は、お聴きいただけますと幸いです。コメントもどしどしお待ちしております。ご案内は、私のTwitterアカウントより!

 

仮面ライダージオウ DXギンガミライドウォッチ

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仮面ライダージオウ Blu-ray COLLECTION 2

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