『仮面ライダージオウ』第34話は、諸田監督&毛利脚本による響鬼編後編。令和、始まりましたね。「日本人は前例のない慶事においては年末年始っぽく反応する」という、次いつ応用できるのか分からない知見を得ました。そして、厳密には「平成ライダー」が終了。といっても、『BLACK RX』の区分けに従うならば、明確な「令和ライダー」は『ジオウ』の次の作品になる訳ですが。
冒頭早速で恐縮ですが、まずは告知をさせてください。もう来週のことになりますが、5月17日の金曜日、東京都中野区で行われるトークイベントに出演します。イベントタイトルは、「ジゴワットレポート 東京エンドゲーム」。限界田舎からコンクリートジャングルへ、出向きます。平成ライダーの話もがっつり行う予定ですので、興味のある方は、ぜひご検討ください。詳細はこちら。
そんなこんなで、告知も終わったところで、『仮面ライダージオウ』の感想を綴る「ZI-O signal」(ジオウシグナル)、今週もいってみましょう。
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「ツトムにとっては貴方が響鬼だった」
まさかヒビキさんのサプライズ登場があるか、とも思いましたが、京介が響鬼に変身する、という話運びとなりました。ここでポイントなのは、「鬼は師匠と同じ姿にはならない」、ということ。斬鬼と轟鬼が分かりやすいですが、まずは名前のない変身体の姿を発現させ、免許皆伝を経てはじめて師匠の名を譲り受ける、という流れ。トドロキは「ザンキさんにはザンキさんのままでいて欲しい」とそれを固辞した訳ですが、あれも普通の流れであれば、轟鬼の姿のまま「斬鬼」を受け継いでいた、と。
その設定を前提に今回の34話を考えると、京介が我々の知るあの響鬼の姿になったのが相当のイレギュラーだったことが分かる。「京介がヒビキさんに認められて遂に響鬼になった」というシンプルなシナリオでは、決してないのだ。
つまりはここに、『ジオウ』の面白さがある。『ジオウ』のメインアイテムであるライドウォッチは、ライダーの力が込められたもの。ボタンを押して発動させることで、ジオウはその力をアーマーとして装着したり、力を失った変身者本人に変身能力が戻ったりする。以前より使っていた用語でいくと、そのライダーの「存在権」なんですね。
京介は、自身が中々「響鬼」を受け継げないことに、悩んでいた。修行をいくら積んでも、ヒビキさんに追いつくことができない。そんな悩みの中でツトムと出会い、つい響鬼を名乗り、渋々ながら弟子にまでしてしまう。しかし、彼がいてくれたからこそ、京介は成長することができた。偽りの弟子だったが、ツトムこそが、京介をまたひとつ強くしてくれたのだ。その関係性こそが、ソウゴの言う「ツトムにとっては貴方が響鬼だった」に集約されている訳ですね。
そういった話運びをした後に、ライドウォッチという「そのライダーの存在権が込められたアイテム」を使うことで、京介があの響鬼に変身する。「ツトムにとっては貴方が響鬼だった」というソウゴの言葉を、物語上で実現させたんですね。『響鬼』の設定ではあり得ないことを、『ジオウ』の設定を使って可能にする。そしてそれは、猛士の襲名制度や本来の鬼の修練とは切り離されたイレギュラーな変身なので、転じて、『響鬼』の作中設定を守ることにも繋がっていく。
もしこれが、①京介が響鬼に変身する、②響鬼ライドウォッチが生成される、という流れだったら、私も「うーん」となってたと思うんですよ。それは『ジオウ』的に良くても、『響鬼』的にはどうなんだと。
しかし、②からの①。つまり、京介の精神的な成長を「響鬼」ではなく「ヒビキ」が認め(ちょっとスピリチュアルな承認演出だったけれど)、その結果、「響鬼」のライドウォッチが「ヒビキ」から京介に継承される、と。「響鬼」の見てくれではなく、「ヒビキ」の精神を受け継ぐ。『響鬼』本編でヒビキさんが京介や明日夢に学ぶことがあったように、京介もまた、ツトムという存在がいたからこそ学びがあったはず。
『響鬼』の設定を守るためか、従来の鬼の制度や免許皆伝からは(物語設定上)切り離した上で、「京介が響鬼を継ぐ」を疑似的に実現させる。そのアイテムとして、ライドウォッチが機能する。ただ過去作を扱うだけでなく、『ジオウ』と過去作がクロスするからこその物語を紡ぐ。このアプローチが非常に良いなあ、と思うのです。
仮面ライダー響鬼という作品は、僕の人生においてとても大切な作品です
— 中村優一 (@NvKknpbmkIbDg6m) May 5, 2019
響鬼編に出演する事が決まり、1話から見直しました。
響鬼を応援してくださってる皆様も、響鬼という作品も大好きです。
これからも仮面ライダー響鬼の応援、宜しくお願い致します。
そしてヒビキさんは大切な存在です。
師匠!!
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ヒビキさんは何処へ
となると当然気になるのは、「ヒビキさんは何処にいってしまったのか」という疑問。光の演出とかを考えると、「実は亡くなってしまった」と考えても筋が通る感じではあるんですよね・・・。いやいや、流石にそうは思いたくない・・・。「成長半ばで尊敬する師匠を亡くした弟子が目標を失い失意の中で悪戯に弟子を取るも逆にその弟子に救われ鬼への復帰を果たす物語」・・・いやいやいや・・・・・・。
とはいえ、東映公式サイトのプレイバックには「先代の響鬼=ヒビキは引退したのではないだろうか」と書かれているんですよね。うわー!引退説!うーん。どうなんだろう。しかし、『響鬼』当時においてヒビキさんはすでにザンキさんと同世代だと言われていたので、もし現役であれば相当大変なんじゃないかな、と。もしくは、故障による引退とか。長期療養中で、吉野にある(かもしれない)本部直営の病院に入院しているとか・・・。
しかし逆に、遠方で仕事してる可能性はありますよね。諸外国に魔化魍が発生してしまったので、日本の鬼を代表してそっちで戦っている、とか。「国際遊撃隊」、もしくは「鬼大使」。外国ではビッグフットやユニコーンのような魔化魍が出現して、それにヒビキさんが立ち向かう訳ですよ。まだ変身体のない外国人の若弟子たちが、「Oh!HIBIKI SAN!!」とか。「Mr.HIBIKI!Japanese demon is wonderful!」とか言われてるんですよ、多分。向こうの偉い人とかに。
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ウールの目的は何だったのか
などなど、響鬼関連の持って行き方はかなりツボを突いた仕上がりだったと思うんですけど、反面、敵の目的とかがよく分からない感じで終わってしまったのはちょっと残念。ウールは「響鬼ライドウォッチを手に入れたい」という感じでしたが、それを手に入れて実際どうするのか、というのが分からない。アギトの力で怪人感染を目論んだ前回の方が、ここは明白だったなあ、と。
とはいえ、タイムジャッカーがライドウォッチを集めるのは、「ソウゴをオーマジオウにしないため」という理由であれば、理屈はつくんですよね。海東が見せた未来レターのように、オーマジオウになるために全てのライドウォッチを集めるのは必須な訳です。なので、それを横取りしてしまえば、ソウゴがオーマジオウになる確度が下がる。ただ、それならそうと言って欲しいというのと、あと、それなら最初からアナザーライダーとかじゃなくてウォッチ横取り作戦で良かったんじゃないか的なツッコミもあるとかないとか・・・。
加えて惜しく感じた点は、ツトムがどうして鬼になることを諦めたのか、という点。単に修行の途中でリタイアしてしまったのか、京介が実は響鬼でないことを知って失望したのか。ここをしっかり描いた上で、師弟の悩みのタネが実は底の方で同じものだった的な展開であれば、より綺麗だったとも思うんですよね。
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ウォズとトドロキ
それと並行して描かれたのが、ウォズのお話。ソウゴをどう祝って良いか悩むウォズは、他でもないソウゴの発案により、一日だけトドロキの弟子になることに。「己を鍛え、己に打ち勝つ」なんて語るトドロキくん、渋くなったなぁ。鬼になって歳を取ると、ふわっとしたニュアンスの精神論がサマになりますよね。(失礼)
ここでザンキさんのことを語るトドロキくん、良かったですね。平成ライダーでもトップクラスに渋くてカッコいいザンキさん。弟子を想うあまり、禁術にまで手を染めてしまったザンキさん。視聴者に美しいお尻を披露したザンキさん。彼がいたからこそ、今のトロドキくんがある。それを感じさせてくれるシーンでした。トロドキくんの台詞、『響鬼』未見の人には「へぇ、鬼ってみんな師匠とかいるんだ~」という感じで、履修済みの人はザンキさんを思い返してジーンとなるという。良い塩梅でしたね。
そしてラストの「日菜佳さん」発言ですよ。『響鬼』当時、トドロキと恋仲にあった日菜佳さん。演じられた神戸みゆきさんは、2008年に若くして鬼籍に入られているので、とてもグッとくる発言でした。あの世界では、日菜佳さんが生きているんだよな、と。まだ恋仲なのか、結婚とかしているのか。トドロキくん、良いパパになりそうだけど。
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次回、キバ編
そして次回のキバ編。いやぁ、いきなりのビッグニュースでしたね。オリジナルキャストの再演だけでなく、まさかの釈由美子さん、そして井上敏樹脚本とは!
⌚⌚キャスト発表だジオ!Part20⌚⌚
— 仮面ライダージオウ (@toei_rider_ZIO) May 4, 2019
「仮面ライダーキバ」より次狼/ガルル役の松田賢二さん、「仮面ライダーギンガ」より仮面ライダーギンガ(声)役の杉田智和さん、スペシャルゲストとして、高橋ユウさん、そして、釈由美子さんの出演が決まったジオ〜。
キバっていくジオ!#仮面ライダージオウ pic.twitter.com/xpmmkqfkiX
「仮面ライダージオウ」キバ編で杉田智和が仮面ライダーギンガに!ゲストに釈由美子https://t.co/nXCDSkMQQq
— LINE NEWS (@news_line_me) May 4, 2019
まさかのザンキさんの話からの次狼。そして、ゆりを演じた高橋ユウさん。釈由美子さんと言えば『仮面ライダーG』的なサービスも入っているのだろうか。そして、キバットではなくまさかの仮面ライダー役で杉田智和!星空に輝けギンガ!
何よりやはり、井上先生の新作が楽しめるのはすごくワクワクしますね。龍騎スピンオフといい、最近は井上先生を堪能できる機会が多くて嬉しい・・・。公式サイトに「代表作とは言いません。むしろ異色作。というか問題作。」とあるように、『ジオウ』の中でも異彩を放つ、ビビッドなエピソードになりそう。
といった感じで、次回とその次はキバ編。さて、残すライドウォッチも少なくなってきました。後は、電王・ドライブ・カブトの三種。ドライブはゲイツが持ってますが、これは未来でオーマジオウから奪取したものなので、現在のソウゴとしてはもちろん未収得の状態。どういう順番でくるのかな。二週後の予告が楽しみですね。