ジゴワットレポート

映画とか、特撮とか、その時感じたこととか。思いは言葉に。

「劇中グッズ」に感じる浪漫と夢、あるいは「レイダー・シーキング」が通常モデルであることへの賛美

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先日Twitterで見かけた以下のページにえらく感動してしまって。SwissPrimeBrands株式会社の、『仮面ライダージオウ』劇中に登場する腕時計に関するプレスリリースである。

 

prtimes.jp

 

時計がモチーフの仮面ライダー「仮面ライダージオウ」において主人公・常磐ソウゴが着用するのは、歴史あるスイス時計ブランド「ファーブル・ルーバ」の腕時計「レイダー・シーキング」。よくお問合せをいただきます「機械式時計とは」や「限定モデルかどうか」、「取扱店舗」について本プレスリリースにて回答させていただきます。

 

(中略)

 

■常磐ソウゴ着用の「レイダー・シーキング」は「限定モデル」ではありません。
常磐ソウゴが着用している「レイダー・シーキング」は「時の王」をコンセプトとするモデルで、2018年3月に発表された「通常モデル」です。「限定モデル」にしてしまうと、スイス製機械式時計は高額であるがために、現在「大人」の人たちしか買えず、子供たちはその時計を見る機会すらなくなってしまうことでしょう。あえて「通常モデル」を選ぶことで、現在「仮面ライダージオウ」を見ている子供たちが大人になり時計売り場に訪れた際も店頭に並んでいることを大切にしたいのです。彼らが大人になり「レイダー・シーキング」を見た時に「仮面ライダージオウ」という作品を思い出すきっかけになることが私達の願いです。そして私達の責務は「レイダー・シーキング」を長きにわたり作り続けることにあると考えます。

 

「仮面ライダージオウ」常磐ソウゴ着用腕時計のお問合せに関して|SwissPrimeBrands株式会社のプレスリリース

 

いやぁ、これ、素晴らしくないですか。なんかこう、ジーンときてしまって。ジオウは言うまでもなく腕時計がモチーフの仮面ライダーで、主人公は時計修理店に住んでおり、劇中でも様々な時計が画面に映る。そんな番組の主人公・常磐ソウゴが着けている腕時計について、あえて通常モデルにすることで、「店頭に売っている」という状況を提供する。

 

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もはや浪漫ですよね。浪漫の提供。現実とフィクションを繋いでくれる架け橋。大人になった時に本当にこの「レイダー・シーキング」を『ジオウ』きっかけで購入する人がどれだけいるかは分からないけれど、でも、もうすでにこの状況とプレスリリース自体が(俗に言う)「尊い」。

 

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というのも、私もご多分に漏れず「劇中グッズ」に夢を抱いてきた人間でして、その最たるケースが今の腕時計。Apple Watchを愛用しているんですけど、これ、ウルトラマンシリーズの隊員や戦隊シリーズの登場人物が着けている通信機(もしくは〇〇チェンジャー的な何か)を想起させるんですよ。なんというか、片腕にテクノロジーが詰め込まれている一種の万能感。腕を前に構えてもう片方の手でそれを操作するポージング。「あの頃」にテレビで観た彼らと同じようなことをやれるんですよ。これって、ものすごく夢を感じません? 私はめちゃくちゃ感じてしまいます。

 

 

例え「劇中グッズ」そのものじゃなくても、こうやって妄想で補って「オレ劇中グッズ」みたいに位置付けることで、毎日にちょっとだけ楽しみがプラスされる感じ。『仮面ライダードライブ』の頃に車を買い替えた時は迷いなくレッドカラーを選んでしまいましたし、『仮面ライダーダブル』放送当時に機種変更したガラケーはグリーンとブラックのツートンカラーでした。「見立て」も含めて、「劇中の登場人物が使ってそう感」というか。そういうのにグッときちゃうんですよね。

 

「レイダー・シーキング」に話を戻すと、これはもう「劇中グッズ」そのものが一般流通しているという、言わば最高のシチュエーション。しかも、価格が195,000円(税抜)とのこと。絶妙な「大人になってちょっと贅沢したら買える」価格帯なのも良いですね。

 

仮面ライダーシリーズの「劇中グッズ」でいくと、『ダブル』は上手かったと思うんです。劇中に実際に登場する「WIND SCALE」(ウインドスケール)というブランドで方向性を統一して、「そのブランドの商品ですよ」という「てい」で販売する。絶妙にオタク心をくすぐってきますよね。

 

あと、先の「見立て」の話と通じてきますけど、『名探偵コナン』の人気キャラクター・降谷零(安室透)のハンコがバカ売れしたというケースもあって、これもまた「劇中グッズ」に対する浪漫を感じる話。

 

hikakujoho.com

 

── 作中に登場していないはずのハンコがファンの間で盛り上がっているのはとても興味深いです。ファンの方は、どのように使っているのでしょうか?

 

吉本:やらなければいけないタスクなどをToDoリストに記して、終わったものに「降谷ハンコ」を押すと、降谷さんからハンコをもらったように感じられるということで、主に済印として使用されているようです。降谷さんは部下を抱えている警察官なので、自分も部下になったような気分が味わえる、というものですね。

 

SNS拡散で、売り上げは通常の4,000倍 「降谷ハンコ」ヒットの背景を仕掛け人に聞く | マネ会

 

実際に劇中に登場した代物はもちろんのこと、「劇中で使われてそう」なグッズも、広義の「劇中グッズ」なんだよなあ、という話。カラーリングや形状で、ふとした瞬間に「あ、これ〇〇が使ってそう」と連想しちゃう瞬間、私は結構日常生活であるんですよ。

 

だから、キャラクターのイラストや番組ロゴが刻印されたグッズにはあんまり食指が動かなかったり。例えるなら、綾波やアスカがプリントされたものは買わないけど、「NERV」って載ってる物には反応してしまう、という感じ。「NERV」の場合は特に、「支給品」感があるから強いですよね。劇中に登場する組織や企業のロゴは、番組ロゴ以上に訴求力を感じてしまって。だから、「SMART BRAIN」ももちろん好きです。

 

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この手の話はオタク間では定期的に話題に上がっていてキャラが印刷されたグッズより作中でキャラが使ってたグッズがほしい。「分かる」「売る側はなんでこれをわからない?」の声 - Togetter、話題自体は今更な感じはあるんですけど、「レイダー・シーキング」をきっかけにまたこれについて色々と考えちゃいまして。ポイントは、何度も書いているように「劇中に出ている・もしくは出てきそう感」が最たるもの。これは言わずもがな、作品内に自分も入り込めたような疑似体験や錯覚ができるのが楽しい。もうひとつは、「日常使いをしたい」という点。キャラや番組名がバーンと載っているグッズは、やっぱり普段は使い辛い。

 

とはいえ、オタクが「これは日常で使えるだろう」と自己判定して使っているグッズがそうでない人には実は結構オタクっぽく見えているシチュエーションは、結構あると思っていて・・・。まあ、こういうのは本人の満足度が先に立つ話ですものね。それはそれで、という話。

 

話をまたもや腕時計に戻すと、私は一時期「タグホイヤー」がものすごく欲しくて。言うまでもなく空条承太郎が愛用しているブランド。承太郎に憧れる、というよりは、「『ジョジョ』のキャラクターが着けている腕時計」に対する浪漫ですね。あと映画方面だと、一部で大人気の「SUUNTO」。これは『イコライザー』の主人公であるロバート・マッコール愛用モデル。こういう、「調べてみると意外と手が出せる値段」みたいなのが一番危険だ。

 

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などなど、「劇中グッズ」に関するあれこれでした。思い返せば、『鋼の錬金術師』にハマっていた頃は懐中時計のメーカーを調べまくっていたけど、今考えれば本当に買わなくて良かった。学校に懐中時計を持ってきて、その内側に「Don't forget」とか刻んじゃう高校生、想像するだけでもうキツイですね。妄想黒歴史に吐き気を催しそう・・・。

 

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