ジゴワットレポート

映画とか、特撮とか、その時思ったこととか。

初期平成ライダー特有の「冬の匂い」について

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昨日、『ビルド』のVシネマ『仮面ライダーグリス』の制作が発表となり、喜びつつも以下のようなツイートをした。

 

 

ツイートにも書いたように完全に「無い物ねだり」なのだけど、初期平成ライダー特有の、テレビシリーズだけでスパッと終わっていく感じ、懐かしいよなあ、という話。

 

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『クウガ』や『アギト』の頃は、まだ視聴者であった自分ですら「シリーズが続く」ことに若干の懐疑心があったのか、この「冬の匂い」というトピックだと最初に思い出されるのが『龍騎』なんですよね。まあ、もしかしたら、『クウガ』や『アギト』って今でこそハッピーエンド寄りに思えるけども、その辺りの「読了感」ならぬ「観了感」のせいもあったかもしれない。

 

『龍騎』は、「え? ハッピーエンドなの? え?」という感じで、理解や解釈を視聴者に投げる性格を持つエンディングだったので、まずそれを受け止めるのに感情が忙しかった記憶があるんです。雄介が海岸で子供たちと戯れていたり、レストラン・ΑGITΩがオープンしていたりするのとは、また違った方向性。「終わっちゃったよ・・・」という放心状態なので、「新番組予告!『仮面ライダーファイズ』!!」とかやられても全然気持ちがついていけない、あの感覚。

 

仮面ライダー龍騎 Blu-ray BOX 3<完>

仮面ライダー龍騎 Blu-ray BOX 3<完>

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昨今はもうかなり早い段階から次のライダーが発表されて、映画で先にゲスト出演したり、何なら本編最終回に登場したり、YouTubeに予告動画が何パターンかアップされて、玩具の情報やギミックも放送前の時点でかなり分かるようになっていて、なんとなく「気構え」みたいなものができるんですよね。「ああ、終わるなあ、そして始まるなあ」って。

 

そういう意味では、昨今流行りの表現の「◯◯ロス」は、相対的に、近年のライダーにはあんまり感じないんですよ、自分は。もちろん、「うわ〜!終わっちゃった〜!」ってなるんですけど、寂しいんですけど、『龍騎』や『ファイズ』辺りの感覚とはまたちょっと違って。

 

話を最初のツイートに戻すと、その要因って、やっぱり「その後の展開があるか否か」という状況が大きかったなあ、と。今は幸せなことに、放送が終わっても数ヶ月後にはもう映画で帰ってきてくれるし、Vシネマシリーズや小説版、後年のレジェンド出演に至るまで、半永久的に「彼ら」の物語が続いていく感覚があるんですよね。

 

もちろん、それってものすごくありがたいことで、何事も「続き」が観られる嬉しさは大きいんですよ。近年でいえば、例えば『エグゼイド』だと、Vシネマ『ゲンムVSレーザー』は黎斗というキャラクターの罪と救済にケリをつけた作品だし、『小説 マイティノベルX』は主人公・永夢のパーソナルな部分に踏み込んだ最高の本編補完だった訳です。他にも、Vシネマ『スペクター』の本編ではやれなかった陰惨な展開であったり、『風都探偵』のようなイレギュラーな続編であったり。もちろん、これらの分岐点には続編祭りが当時ちょっと物議すら醸した『電王』がいて。

 

小説 仮面ライダーエグゼイド ~マイティノベルX~ (講談社キャラクター文庫)

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ただ、それはそれとして、『龍騎』前後のあの時代の「このテレビシリーズ本編最終回で間違いなく終わります」みたいな、あの空気感。これはまた別の良さがあったよね、と。

 

「最終回まであと何話」と意識してからの重みというか、本当にそれでスパッと終わって、翌週からは容赦なく新番組が始まっちゃうんですよ。あの特有の物悲しさや殺伐さは、今の平成ライダーには中々無いよなあ、と。もちろん、何度でも書きますが、これは単なる「無い物ねだり」の「懐かしみ」であって、コンテンツとして太くなった近年の続編連発パターンにも感謝感激な訳です。

 

あとは、季節ですよね。あの頃は、『ディケイド』で放送時期がズレる前で、ライダーも戦隊も1月そこらで終了という構成だった。冬の寒い時期に番組が始まって、また寒い時期に終わっていく。番組初期の頃にキャストが着ていたダウンジャケットやコートがまた登場して、その冬の装いに寂しさを覚えたり。そして何より、劇中の「白い息」ですよね。最後の撮影が年末年始にかかって、もちろん寒い中、キャストの皆さんが一年間の蓄積を爆発させる。それが冬という季節と相まって、独特の臨場感を生む。

 

冬ってやっぱり、日本人として刷り込まれているのか、「別れの季節」なんですよ。学生時代は、「もうこのクラスも終わりなんだな」という3学期に入った頃。もちろん、受験シーズンとも被る。社会人であれば、年度末で退職する人の噂が聞こえてきたり(当時はまだ私は働いてなかったけれど)。そんな、春に向けての「別れの季節」に、ライダーも戦隊もクライマックスを迎える。このパターンが、なんかこう、未だに脳裏に刻まれているんですよ。その昔、例えば戦隊は金曜夕方でしたが、日曜の朝というのもあるのかな。冬の朝って、やっぱり寒いんですよね。「あぁ、寒い寒い」って言いながら、録画用のVHSをデッキにセットして、放送開始を待つ。あの感じ。

 

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そういう「冬の匂い」が、私の初期平成ライダーの思い出なのです。「別れの季節」に、続編が全く保証されていない状態で、壮絶に作品が終わっていく。しかも、明確なハッピーエンドというよりは、解釈が受け手によって異なるような、劇的なエンディングだったりする。

 

だからこそ、実質アンオフィシャルだと分かっていながら『S.I.C. HERO SAGA』にかじり付いたり、超全集に「その後」の短編小説が掲載されると知っては目を丸くしたり。今は、主役だけでない様々なキャラクターにアフターフォローの機会が設けられていて、本当に良い時代になったなあ、と。

 

仮面ライダーブレイド超全集

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あの頃、仮に今の状況があったならば、Vシネマ『仮面ライダーカリス』『仮面ライダーゾルダVS王蛇』とか、MOVIE大戦で真司に料理を振舞ってベタ褒めされる翔一とか、異形の者との共生の可能性を始より早い段階で巧に見出す剣崎とか、オロチで大量発生する魔化魍を人知れず退治するカブト(先行登場)(例によって音撃でなくても倒せてしまう)とか、そういうのがあったかもしれないですよね。ついつい妄想が捗ってしまう・・・。

 

懐かしい音楽を聴けばその当時住んでいた土地の風景が蘇るように、私にとっての初期平成ライダーは、「冬の匂い」を想起させる作品群なのです。そういう、「あの作品は◯◯を思い出す」みたいなの、往々にしてありますよね。物語そのものに対する感想とはまたちょっと別の、温度とか、匂いとか、むず痒さとか、憤りとか。

 

平成仮面ライダー20作品記念ベスト(CD3枚組)

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