「趣味とかは? 休みの日は何してるんですか?」
「映画館に映画観に行ったりですね」
「へぇ、映画よく観るんですね。オススメの映画教えてくださいよ」
映画鑑賞を趣味にしていると、上記のような会話イベントが定期的に発生する。
こういう時に、変にマニアックなやつを教えてツウぶっても仕方ないし、かといって相手の趣味嗜好にそこまで詳しくないし、ある程度知名度があるやつじゃないと教えても観てもらえないかもだし、そもそも薦めた作品を本当に観てもらえるのか半信半疑だし・・・ といった色々な考えが渦巻く訳ですね。
この手の質問に対する答えは色んなパターンがあると思うんですけど、あくまで私の場合は、「老若男女問わずそれなりにウケが良さそうで」「ある程度の知名度があって」「自分も大好きな」作品を薦めるようにしています。
ある程度の知名度があるタイトルを挙げるのは、未見の人ならもちろん薦めたいし、すでに観ている人とならその作品の話で盛り上がりたいから。
そういった作品をジャンル違いで10くらい手札として(脳内に)持っておいて、後は小出しにしながら相手の反応を伺って、という感じ。気分はさながら遊戯王。「オススメ」はタクティカルな行為ですからね。
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ということで、私が「オススメの映画教えてください」と問われた際に脳内で手札として広げる映画が、以下の10本になります。
多分、いわゆる「映画好き」の人なら、漏れなく全部観ていると思いますが。
1.『バック・トゥ・ザ・フューチャー』
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ベタだろうと王道だろうと、面白いものは自信を持って薦める。そこに間違いはない。実は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』、意外と “ちゃんと” は観ていない人が多くて(昔テレビでやってたのを何となく観たことが~ みたいな)、改めて薦めると観てもらえることが多い。中身はエンターテインメントの大正解を分単位で出し続けるような作りなので、まさに万人が楽しめる決定版ですね。言わずもがな。
2.『トイ・ストーリー』
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これも決定版。間違いないやつ。恥ずかしがらずに「間違いないやつ」を正面から薦めると、意外と未見の人と出会えたりする。特に1作目は好きすぎて全編アフレコができるくらいだけど、それでも何度でも観ちゃう。ピクサーはどの作品も笑って泣けて楽しめるけど、未だにこの『トイ・ストーリー』が最高のバランスだと思っている。
3.『ターミナル』
スピルバーグの作品では、これが一番好きかもしれない。トム・ハンクスの、あの困り顔とか、人が善いオーラとか、そういうのを全振りで活かしてるのも良い。先日、つい「イオンで独りきりで生活する」という短編小説を公開してしまったけれど、『ターミナル』の「空港から出られなくなったのでその中で暮らす」も同じワクワク感ですよね。なんというか、極端に制限された中での全能感、というか。笑って泣ける傑作。
4.『僕は明日、昨日のきみとデートする』
この辺りで邦画をひとつ。これ本当に大好きな作品で、もちろん類型的なティーン向け恋愛映画としての性格もあるんですけど、本筋がめちゃくちゃSFとして面白い。タイトルにもある時系列の矛盾が、次第に明かされていくSF設定と絡んで、それがメインである恋愛要素に何倍にもなって還ってくる。もうね、終盤はずっと鼻水と涙がズビズビ状態。「恋愛系が好き」と仰る方には必ずこれを挙げてます。
5.『ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』
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実在の詐欺師をディカプリオが演じて、約3時間もあるコメディ映画なんですけど、これがどうしようもなく好きで。主人公は悪人なんだけど、でも、同じ男としてちょっと憧れちゃうんですよね、こういう生き方に。自己中心なプライドで全てをねじ伏せて、敵の顔を札束で叩いて、豪遊と欺瞞に囲まれながら送る生活。やりたくないけど、やってみたい。そんな不思議なトリップ感を味わえる作品として、定期的に観てます。まさにドラッグ。
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6.『ジョン・ウィック』
前述の『ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』も同じなんですけど、人に薦める際のフックとして、やはり有名俳優が主演というのは大きい。そういう意味で、「キアヌ主演のガンアクション映画」として素直に薦めやすい作品。アクションも凝ってるし、作品自体も短くサクっと終わるし、何より鬼気迫るキアヌの演技がカッコいい。おまけに続編も傑作という。
7.『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
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マーベル関連作品は数あれど、最もフラットに人に薦めやすいのは、私ならこの『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー 』ですね。宇宙のハミダシ者たちが、紆余曲折あってチームになる。様々な星を巡るビジュアル的な面白さや、抜群のコメディセンスに立ちに立ったキャラクターたち。素敵な音楽と、少しの感動、そして笑い。そのバランスも巧い。なんというか、俗にいう「俺たちが好きなタイプのやつ」と「万人ウケするエンタメ作品」の両方を併せ持ってるんですよね、これ。
8.『ミッション: 8ミニッツ』
サクっと観られて、程よく入り組んでいて、そこそこ頭を使って楽しめる。そんなサスペンス映画として、オススメしたい作品。「主人公が延々と8分間を繰り返しながら列車爆破テロを阻止しようと奮闘する話」、と説明すれば、この手のジャンルが好きな人は「おっ?」という顔をしてくれる。あらすじが、端的かつ興味を惹くものなので、これもまた薦めやすい。約90分で謎解きからオチに向けて綺麗に終わっていくので、好きな作品ですね。
9.『スティング』
コンゲーム作品のド定番であり、傑作。騙し・騙され系の古典。今年放送していたドラマ『コンフィデンスマンJP』でも色々と元ネタ扱いされてましたね。作品自体は73年のものだけど、40年以上経った今観ても抜群に面白い。作中の面々が誰かを「騙す」行為そのものが、映画の作り手から観る側への「騙し」にリンクする構造。初見時のスカッとした快感は忘れませんね。
10.『スタンド・バイ・ミー』
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なぜこれを挙げるかといったら、「曲は知ってるけどそのものタイトルの映画があることは知らなかった」という人が結構多いから。なので、薦めやすい。少年たちが事故死体を探しに行く短い映画なんだけど、その道中で語られるあれこれが妙に胸にくる。そして、自分が子供に戻れないことを痛感して無性に悔しくなってくるという。これも本当に間違いのない傑作ですね。
※※※
・・・ということで、人間ドラマ・アニメーション・サスペンス・アクション・SF・コメディ・ラブストーリー・ジュブナイルと、一通りのジャンルをそろえつつ、知名度があるタイトルで、それでいて私自身も大好きな作品を、10本挙げてみました。
どれも自信を持ってオススメしたい作品ですので、もし未見のものがありましたら、是非に!
改めてこうやって挙げてみて思うけど、「自分が好きなもの」と「人に薦めやすいもの」って、往々にしてイコールじゃないんですよねぇ。