ジゴワットレポート

映画とか、特撮とか、その時感じたこととか。思いは言葉に。

「打楽器は雰囲気で叩けてしまう問題」と「なぜ太鼓は音が鳴るのか」

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先日、学生時代の先輩に頼まれて、打楽器の指導に行ってきました。

 

かくいう自分も、部活動(吹奏楽)+社会人バンドで数年・・・という程度なので、「いやいや指導なんておこがましいですよ勘弁してください」とお断りしていたのを、「大丈夫、色んな意味でそういうレベルに届いていない人たちが相手だから」と説得され、お引き受けしたという背景。

 

教えたのは、過去の私と同じく社会人バンドの方々。

一応打楽器パートだけど、ほとんどの方が素人で、経験者も我流でやってきたので何が正しいのかよく分からない、とのこと。いや、私も昔は我流で覚えましたけどね・・・。正しい指導なんて出来やしませんよ・・・。

 

といった予防線を張りつつも、自分なんかの経験で力になれるならと、数時間、一緒に打楽器をやりました。

ざっくり表現すると、「楽譜は(最低限)読めるけれど、良い叩き方が分からない」という方々。

 

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そこで色々と打楽器について会話したので、それを簡単にまとめておこうかと。

話の焦点は、「打楽器は雰囲気で叩けてしまう問題」

 

打楽器って、叩けちゃうんですよね、最低限楽譜が読めれば。管楽器との最大の違いは、多分これだと思います。取りあえずスティックを表面に当てれば音が出るし、リズムさえ複雑でなければ、我流でそこそこ出来てしまう。

だからこそ吹奏楽初心者にも入りやすくて、完全初心者はまず打楽器でリズムに慣れてもらう・・・という団体もあったり。

 

なので、打楽器奏者はまず、その「雰囲気で叩く」からレベルアップしなくてはいけない。

 

 

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初心者の方と会話していて「あるある」なのは、「叩く」という動作への関心の低さ。とはいえ、そんなの誰かに言われないと改めて意識しないんですけど。

 

打楽器の中でも、俗にいう小太鼓(スネアドラム)とか大太鼓(バスドラム)とかは、「ただ叩く」だけじゃ良い音は出ないんですね。

「叩く」というのは、正確には「太鼓の表面にスティックの先端を当てる」ではないんです。「スティックの先端を効果的に当てることで太鼓の内部に空気の振動を起こす」、なんです。

 

この「表面」のことを「ヘッド」と言いますが、このヘッドをスティックで叩くと、太鼓の中にある空気が圧縮されて、裏面(下)のヘッドを押します。そして裏面のヘッドは、また空気を押し返して表面に返します。この太鼓の中で起きる空気の反射が振動を起こし、結果として「音」になるんですね。

 

だから、「ただ太鼓の表面を叩く」のではなく、「いかに効果的に振動を起こすか」という観点で「叩く」必要があります。

ここまで理解していただけると後の話が早いんです。

 

効果的に太鼓内部の空気を反射(そして振動)させるには、ある程度勢い良く、かつ芯の入った「叩き」が必要です。

卵を割る時に、ただ何も考えずにポーンと当てる人はいませんよね。一点に衝撃が集まるように、そしてその衝撃が無駄に逃げないように、手首のスナップを効かせてコツッとやりますよね。

太鼓もこれと同じで、手首のスナップを効かせて、衝撃(のちの空気)をストンと集中させて太鼓の中に送り込みます。そうすると、すごく良い音が鳴るんです。「タン!」ではなく、「パァンッ!」って。

 

後は、楽譜に指示された色んなパターンの音を出すために、ヘッドの真ん中付近を叩くのか、あえて端を叩くのか、撫でるように叩くのか、押し付けるのか、滑らせるのか・・・。「振動のさせ方」のパターンを習得していく訳ですね。

 

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結局、理屈なんです。ある程度ロジカルなんです、楽器って。

 

音楽は芸術に数えられるので、あまりやったことがない人はそのイメージで「自分はセンスがないから・・・」と委縮してしまうパターンが多くて。でも、少なくとも打楽器は各々の楽器に「音が出る理屈」がちゃんとあって、それをひとつひとつクリアしていけば、誰でもそれなりにしっかりした音が鳴るようになってます。車の運転と同じですね。

“そこ”から更に上に行こうとすると、地道な基礎練習と、経験と、そしてここでやっと、才能やセンスが顔を出す訳です。

 

・・・などと考えながら、時間をかけて、「なぜ太鼓は音が鳴るのか」という話をしました。そこから、ヘッドに効果的にスティックを当てるための、持ち方、腕・肘・手首の使い方、身体の構え方など、力の導線を一緒に確認していく感じで。

そうすることで、「雰囲気で叩けてしまう打楽器」が、出来る・出来ないより前の段階としての、「ある程度は理屈で叩くもの」として分かってもらえるのかなあ、と。

 

結果、数時間後、音が見違えるように良くなったので、素人指導者冥利につきました。後は、その「理屈」を意識しながら練習を重ねていただければ。

 

私も、数年ぶりにちゃんと打楽器と向き合ったので、すごく楽しかったです。

何事も、ある程度「理屈」を意識しながらやらないと、ただこなすだけになっちゃうんですよね。