ドラえもん映画4作目にあたる、『映画ドラえもん のび太の海底鬼岩城』。
ムーとアトランティスの冷戦を模した設定や、のび太たちのひと夏の大冒険など、色々と楽しい作品である。何度観ても、バギーが特攻するシーンにはグッとくる。
しかしこの作品、観るたびにひとつの疑問が持ち上がる。
「なぜ海底人はテキオー灯を持っていたのか?」
描写としてはこうだ。
ジャイアンとスネ夫はお宝探しに目が眩み、バギーと共に勝手に沈没船を探しに行く。しかし、海底で生きるために使ったひみつ道具・テキオー灯の効力が間もなく切れてしまうというのだ。
ドラえもんたちは必至に追いかけるが、間に合わず、ジャイアンとスネ夫の死亡は確定と思われた。しかし、そこに通りがかった海底人が、所持していたテキオー灯を浴びせて2人を救う。
彼らがテキオー灯を持っていたことについて、劇中で詳細な説明は無い。ムー連邦の発達した科学により発明されたのかな、と、察せられる程度となっている。
しかし、「なぜ22世紀の道具であるテキオー灯を現代の海底人が持っていたのか」、ここは解明されていない。
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いくつか仮説を立てて考えてみる。
説1「海底人のテキオー灯は彼らが独自に発明したもので、たまたまテキオー灯と同じ効力を持つ道具だった」
ドラマの便宜上、分かりやすくテキオー灯で統一されただけで、本当は別のアイテムという説。
海底人は地上を観察する度にテキオー灯を使っていたと、ゲストキャラクターのエルが語っていたが、それを目的に独自に発明されたものではないか。(のび太たちは「海底に行くため」にテキオー灯を使うが、海底人は「地上に行くため」にそれを使う。この逆転が面白い。)
しかし、これは可能性として低い。
なぜなら、バギーが「海底人がジャイアンとスネ夫にテキオー灯を浴びせて2人を救う映像」を上映するシーンで確認できるが、海底人が持つテキオー灯のデザインは、今作冒頭でドラえもんがポケットから取り出したものと酷似しているのだ。紫と緑のカラーリングからその形状にいたるまで、同じである。
効力だけならまだしも、デザインまで偶然の一致とするのは、少し無理があるだろう。(呼称の一致についてはバギーの自動翻訳を尊重することとする)
説2「未来人が過去の海底人にテキオー灯をもたらした」
ドラえもん(22世紀)のテキオー灯と海底人のテキオー灯が同一のものであるならば、単純に、未来人が海底人にそれを渡した可能性が考えられる。
バレたらタイムパトロールに逮捕されることは明白だが、それでも、何らかの背景で過去に干渉したい未来人がいたのかもしれない。
もしかしたら、アトランティスのコンピュータ「ポセイドン」も、一部未来の技術が使われていたのではないか、などと、想像が膨らむ。
『のび太の日本誕生』でギガゾンビという未来人が登場するが、それに近い形で、海底文化を支配しようとした何者かが暗躍した名残りが、テキオー灯なのかもしれない。
説3「テキオー灯そのものが、海底人から伝わった」
タイムトラベル物の面白さは、単純な発想と逆の結果が訪れることにある。鶏が先だと思っていたら卵が先だったパターン、とでも言うのか。
つまりは、テキオー灯はそもそもが海底人独自の発明で、遠い未来で地上人に伝わり、大量生産され、ドラえもんもそれを入手するに至った、という可能性である。これも仮説として面白い。
しかし、ドラえもんは『のび太の海底鬼岩城』時点で海底人の存在を知らなかったので、未来でも地上人と海底人の歴史的和解は未だなされていない可能性が高い。
セワシたちが暮らすあの世界でも、海底人は海の底で文明を築き続けているのだろう。もしくは、テクノロジーの痕跡を残して、滅んでしまったのか。
そうなると、「存在が世間に明らかになっていないのに技術だけが伝わっている」ことになるので、どこかのひみつ道具発明家が独自に海底人の存在を突き止め、そのテクノロジーを流用したのかもしれない。・・・などと、こちらも楽しい妄想が膨らむ。
※※※
もちろん、この話に明確な答えは無いのだけど、ドラえもんはついついこういう考察をしてしまうから楽しい。タイムトラベル理論の入門編として万人が観ているのも良いですよね。
新作公開の影響か、最近またAmazonプライムビデオにドラえもん映画が全作品見放題で追加されたので、夫婦で重宝してます。今夜は『ねじ巻き都市』を観る予定。