またもやすでにタイトルで完結している記事を書いてしまった・・・。
本当にそのままなんですけど、週刊少年ジャンプで連載中の『Dr.STONE』、とっても面白いですよね。なんというか、久々に「ぐああ!こんな漫画もあるのか!!」というショックを伴うタイプというか、斬新で攻めたアプローチが盤石な土台の上で展開されるという、この安心感が・・・すごい!
月曜の朝が待ち遠しくて、(自分はジャンプ+で電子購入しているので)毎週早起きして一番にこれを読んでます。
天下のジャンプで、しかも順調にスターダムを駆けのぼっている人気作なので、こんな場末のブログを読みに来ているような人は多分すでに読んでいると思うんですけど・・・。
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結局この作品の何が面白いかというと、「文明が滅びた世界に」「科学を武器に立ち向かう」という部分がまず大きい訳ですよ。
「0から1を創っていく」というクリエイティブな面白さが上手くサバイバルのワクワク感と融合していて、それでいて作中最大の武器が「科学」にあるので、自分たちが今まさに科学文明の恩恵を受けて暮らしている現状と切っても切り離せない「リアルさ」「身近さ」が上乗せされていく、と。
作中でも「やっちゃダメだぞ」と注意書きがあるものの「酒の作り方」「火薬の作り方」が割としっかり書いてあったりして、もちろん実際にはやらないのだけど、大事なのは、「自分にもできそう」という感覚が頭をよぎる一瞬があるか無いか、なんですよね。
昔学研から「〇年生の科学」という冊子が発行されていて、自分も読んでいたのですが、あれを読んだ時のワクワク感とほぼ同じなんですよね、『Dr.STONE』。あと余談ですが、「いきなり文明が無い環境に放り込まれるサバイバル漫画」という点で、あの伝説の『エデンの檻』を思い出したりしますね。
これも『Dr.STONE』のように「その環境でどういうコミュニティを作るか」で若者同士が対立するお話で、人と人の戦いが国と国の戦いにシフトしていくという。まあ、壮絶すぎる打ち切りエンドに当時は開いた口が塞がらなかったのですが・・・。
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『Dr.STONE』の原作担当は、あの『アイシールド21』の稲垣理一郎先生。
自分は『アイシールド』も本当に大好きな漫画でこのしょうもない人生のバイブルとか言っちゃうくらい好きなんですけど(オタクはすぐバイブルとか言いたがる)、根底にあるものは『Dr.STONE』も『アイシールド』も同じなんですよね。
つまりは、「地道にコツコツやるのって、かっこいい」ということ。作中でも「分からないことにルールを探す地道な努力を『科学』と呼んでるだけ」という名シーンがありますが、まさにここが肝な訳です。石になった人間を生身に戻すまでの液体を作る実験に1年をかけて「思ったより早かった」と言わせる、まさにここの部分。根気の上にある飽くなきトライ&エラーは、さながらアメリカ横断デスマーチなのです。
この「地道にコツコツやるのって、かっこいい」は、「サンドイッチマンの週刊ラジオジャンプ」に稲垣先生が出演した回でご本人が言っていた言葉でして、本当にこれに尽きる訳です。(この番組のことを最近まで全く知らなかったんですけど、Twitterのフォロワーの方に教えていただきました。ありがたい・・・!)
稲垣先生は『アイシールド』の連載を終えて、数年間ニート生活をおくった後に、ふと「地道にコツコツやってそれがかっこいい作品を書きたい」と思い立ったとのこと。
サバイバルに限らず、自分の信念に則って地道に努力を積み上げる人間って、やっぱりかっこいい訳ですよ。この漫画は、派手な必殺技が飛び出る訳でも、武器や超能力を使って戦う訳でもないけれど、でも確かに「かっこいい」。それは、地道にコツコツ努力するから。だから、面白い。
「ファンタジーやフィクションにおけるかっこよさ」と「現実的なかっこよさ」はそれぞれ別にあると思っていて、例えば黒崎一護が虚(ホロウ)を一刀両断して【職業:死神】ってやるのも確かに「かっこいい」んですけど、これはあくまで前者の「かっこよさ」なんですよね。(それはそれで大好き)
特に少年漫画はその前者における「ファンタジーやフィクションにおけるかっこよさ」の割合が高くて、後者における「現実的で身近なかっこよさ」は、フィクション度数が低い作品(リアル寄りの作品)に多く出てくる訳です。(例えば麻雀漫画である『アカギ』のかっこよさはちょうど前者と後者の中間くらいにあると言えば分かりやすいですか?え?むしろ分かり辛い?)
そして、この『Dr.STONE』は、通常であれば前者の「かっこよさ」が求められそうな超ド級ファンタジー設定の上で、後者の「かっこよさ」をやる。このアプローチが面白い訳です。全人類が石になって文明が崩壊した世界なんで誰がどう見ても現実離れしたファンタジーなのに、やってることは至極身近にある「コツコツと努力を積み上げるかっこよさ」、そして、目指すは「我々の生活を支える科学文明」。
だから、作中で科学に心酔する千空が、ついに発電にまで辿り着いたシーンが泣けてくる訳ですよ。普段はクールを気取っている奴なのに、誰よりもコツコツ努力して、めげずに頑張って、そしてついにエジソンと同じ位置にまで辿り着く。「電気が光ったことに泣けてくる」んですよ、すごい漫画だな、って思うんです。
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その千空は『アイシールド』のヒル魔に酷似した性格で、まあ原作者が同じなので何を今更な話ですが、やはりヒル魔といい千空といい、このキャラクターはズルいですよね。
誰よりもズルいのに、誰よりも努力家。クールさと熱さをどっちも持ってる。だから、発電したシーンでグッとくるし、「0.1秒縮めんのに、一年かかったぜ・・・!」で同じくグッとくる訳です。(まあ、ヒル魔は完全に主役であるセナを喰ってしまっていてそのバランスに賛否があるという話はあるにはあるんですけどね)
取り巻く環境は異質でファンタジーでも、繰り広げられるのは「我々が毎日のように恩恵を受ける科学文明」をコツコツと努力して積み上げるという行為。そのギャップ、一見食い合わせが悪いようなアプローチ、それらが絶妙に混ざり合う爽快感。それこそが、この『Dr.STONE』の魅力だと思うのです。
しかも、作画がマジで美麗すぎて週刊とはとても思えないクオリティというのも本当にびっくりというか、第1話掲載の時にただの読者なのに偉そうにも心配しちゃいましたからね、「え?これ週刊でいけるの?」って。
そんなこんなで、兎にも角にも『Dr.STONE』、もうみんな読んでるとは思うんですけど!思うんですけど!・・・でも、もし読んでない人が幸運にもこの文章を読んでいたら、良かったらジャンプ公式の試し読み等で1話だけでもチェックしてもらえたらなあ、と。