ジゴワットレポート

映画とか、特撮とか、その時感じたこととか。思いは言葉に。

「光る!サウンドバスター剣」という歴代ヒーローに受け継がれる伝説の武器

仮面ライダーやスーパー戦隊って、今や多種多彩な武器を扱うのが定番な訳ですが、その巨大な「玩具市場」において燦然と輝かない玩具も毎年発売されている、という話です。

 

「チープトイ」「フックトイ」などと呼ばれるそれらは、大きなドラッグストアの玩具売り場や、ファミレスのレジの横、サービスエリアの一角などに陳列されている、いわゆる「謎武器」です。

 

 

仮面ライダービルド 光る!サウンドバスター剣

仮面ライダービルド 光る!サウンドバスター剣

仮面ライダービルド 光る!サウンドバスター剣

 

 

こちらが、今年のサウンドバスター剣。サウンドで敵をバスターする、夢の武器。しかも、光る!鳴る!というDX玩具にも引けを取らない仕様。最大の売りは低価格であること。

 

もちろんご察しのとおり、劇中の「仮面ライダービルド」がサウンドバスター剣を扱うことはありません。

 

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仮面ライダーエグゼイド 光る!サウンドバスター剣

 

こちらが昨年のサウンドバスター剣。もちろん、エグゼイドが放送中に使うことはありませんでした。でも、色のドギツイ感じがなんとなくエグゼイドっぽくで、努力が垣間見えます。

 

仮面ライダーゴースト 光る!サウンドバスター剣

 

こちらが、一昨年のサウンドバスター剣。こちらも色味が素晴らしい。ゴーストのパーソナルカラーである黒とオレンジの対比が綺麗です。

 

仮面ライダードライブ 光る! サウンドバスター剣

 

こちらが、一昨々年のサウンドバスター剣。しっかりドライブカラーでまとまっています。

 

仮面ライダー鎧武 (ガイム) 光る!サウンドバスター剣

 

こちらが、4年前のサウンドバスター剣。クリアパーツの刀身がオレンジらしさを際立てます。

 

仮面ライダーウィザード 光る!サウンドバスター剣

 

サウンドバスター剣は歴代のヒーローに脈々と継承されているので、5年前にも存在しています。

 

仮面ライダーフォーゼ 光る!!サウンドバスター剣

仮面ライダーフォーゼ 光る!!サウンドバスター剣 マグネットステイツ.Ver

 

6年前は、なんとマグネットステイツ専用のサウンドバスター剣も!

 

仮面ライダーオーズ 光るサウンド バスター剣

 

7年前のサウンドバスター剣は、タジャドル仕様。紅いです。

 

つまり、今度公開される『平成ジェネレーションズFINAL』で戦ってくれるヒーローたちは、漏れなくサウンドバスター剣を継承された戦士たちということになります。

『サウンドバスタージェネレーションズFINAL』!!!

 

仮面ライダー 平成ジェネレーションズ FINAL ビルド&エグゼイド with レジェンドライダー オリジナルサウンドトラック

 

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そして、サウンドバスター剣は伝説の武器なので、世界観の垣根を越えてヒーローたちに重宝されているのです。

 

宇宙戦隊キュウレンジャー 光る!サウンド バスター剣

手裏剣戦隊ニンニンジャー 光る!サウンドバスター剣

特命戦隊ゴーバスターズ 光る!!サウンドバスター剣 ビートバスター&スタッグバスターVer.

 

言うまでもないですが、サウンドバスター剣の最大の特徴は、その形状が寸分違わず同じ、という点にあります。

 

また、サウンドバスター剣以外にも、テレビでは観られない伝説の武器が沢山存在します。

 

仮面ライダービルド サウンド!フラッシュガン

 

仮面ライダービルド サウンド!フラッシュガン

仮面ライダービルド サウンド!フラッシュガン

 

 

撃ち鳴らせ!サウンドフラッシュガン!!

 

仮面ライダーエグゼイド サウンド!フラッシュガン

動物戦隊ジュウオウジャー サウンド!フラッシュガン

仮面ライダーゴースト サウンド!フラッシュガン

手裏剣戦隊ニンニンジャー サウンド!フラッシュガン

 

 

ガラケーを操れ!サウンドフォン!!

 

仮面ライダービルド 変形サウンドフォン 189232

 

仮面ライダービルド 変形サウンドフォン 189232

仮面ライダービルド 変形サウンドフォン 189232

 

 

仮面ライダードライブ 変形サウンドフォン 185712

動物戦隊ジュウオウジャー 変形サウンドフォン 187453

仮面ライダーゴースト 変形サウンドフォン 186939

 

 

この手の伝説の武器で面白いのは、例えば『ジュウオウジャー』は正規の変身アイテムそのものが携帯モチーフなのに、それでもサウンドフォンが例年通り市場に登場するところ。本編から参照するのは、カラーリング、それ一点!

 

この、いわゆる「スーパー剣」の文化ははるか昔から存在していて、私も子供の頃に買ってもらった記憶があります。

 

もちろん、DXの正規武器玩具からしたらニセモノなんですけど、当時なりに「先代のヒーローが使っていたプロトタイプの武器」とか何とか脳内設定を想像して(もちろん「プロトタイプ」なんて言葉は知らなかったと思いますけど)、戦いごっこに興じる訳ですね。

 

まあ、「子供は音が鳴って光れば何でもいい」というのも大きいのかもしれませんが、自分なりに想像力を膨らませて我が武器にしている子も少なくはないんじゃないかなあ、と。

 

とはいえ、この手の「スーパー剣」は、お祖父ちゃんやお祖母ちゃんが良かれと思って買ったけど孫に「〇〇はこんなの使わない!!」と否定されてしまう悲しい事故を誘発する危険性があるので、どうか購入は慎重に検討していただきたいですね・・・。

 

仮面ライダー鎧武 (ガイム) サウンド!フラッシュブレード

 

ちなみに、鎧武の「サウンド!フラッシュブレード」は、カラーリングがとっても素敵。 

 

【続】数年ぶりに観返したけどやっぱり『鎧武』ってめちゃくちゃ面白いな…

仮面ライダー鎧武ザ・ガイド

 

前回の記事(▼)の続きとして、「やっぱ鎧武って面白いな・・・」というやつの2クール編です。良かったらこちらから読んでください。

 

jigowatt.hatenablog.com

 

2クール目は、初瀬が死亡し、ユグドラシル側からヘルヘイムの説明があり、しかしそのユグドラシルも一枚岩でないことが明かされ、紘汰は悩みに悩み、そんな中で裕也の死の真相も紘汰本人が知ることとなり、乗り越えてカチドキアームズになるまで、という大筋。

大きくテーマが2つになっていて、ひとつは「ヘルヘイムとは何か」という謎解き、もうひとつは、「紘汰の戦うスタンスの確立」である。

 

まず前者として、この作品の最大の特徴である「植物による浸食」という「理由の無い悪意」。

これは「副読本」として優秀な『仮面ライダー鎧武 ザ・ガイド』の虚淵氏インタビューを読むととても面白い。

 

仮面ライダー鎧武ザ・ガイド

仮面ライダー鎧武ザ・ガイド

 

  

 

つまりは、クウガの頃は殺人事件などの「身近な人間(の姿をしたもの)が引き起こす恐怖」が社会的に浸透していた時代で、だからこそ、人間社会に潜り込んでいるグロンギはどこか現実的な恐怖を体現していた、と。

その現代版と言えるのが、虚淵氏の中で地震津波といった「天災」であり、そこから着想を得た「植物の浸食」という恐怖が、『鎧武』本編で描かれたヘルヘイムの侵略だというのだ。

このあたりのくだりは本当に面白いので、『仮面ライダー鎧武 ザ・ガイド』、本当にオススメの一冊です。

 

そう考えると、『龍騎』の頃は同時多発テロを受けた「多様化する各々の正義」が一種の恐怖だったのだろう、などと、「その時節に応じた恐怖を描くのが仮面ライダー」という虚淵氏の分析は、非常に興味深いものである。

 

また、植物というのは本当に「理由が無い」というか、もちろん喋る訳ではないので、とっても不気味だ。

ヘルヘイム自体は種の本能に従って種をまき散らすだけなので、そこに意図的なものも、他の思惑も、介在しない。黙々と、あの果実を使って繁栄していくのみである。(後にサガラの思惑が増長していったり強制進化促進プログラムだったりといった展開もあるのだが、それはそれとして・・・)

 

www.excite.co.jp

 

vimeo.com

 

植物の浸食による恐怖という展開で、このドイツで製作されたショートフィルムが興味深いので、補足としてご紹介。

まさにヘルヘイム・・・。

 

18_e12

 

あと、同じく虚淵氏が脚本をつとめる『怪獣惑星』のゴジラも植物の遺伝子を取り込んだ進化系とのことで、このあたりの符合も非常に興味深いなあ、と。

植物は確かに、ある意味の最強なのだ。

 

ゴジラ ムービーモンスターシリーズ ゴジラ2017

 

まあ、今だからぶっちゃけ言えることではあるのだけど、「意思の無い植物の浸食」を軸に、それ自体に「悪意が無い」から、「明確な敵が不在」で、だからこそ利用する者・勝ち馬に乗ろうとする者・翻弄される者の群像劇を描くテーマだとするならば、サガラのやることって結構「意思がある」ことなんですよね。

ここにちょっと食い合わせの悪さがあったのかな、というのは放送当時から思っていて。

 

サガラ自体はヘルヘイムそのものとして生態系の進化を促す存在だったのだから、その火付け役として紘汰に度々パワーアップアイテムを斡旋したのは分かるのだけど、だとすると「理由の無い悪意」という観点から少しズレてしまうのかな、と。

まあ、そういう我々常人の感覚を完全に超越した域で動いているのがヘルヘイムなので、「侵略の意図」そのものは無い、という話だと理解はしているけども。

 

この辺りはオーバーロードの存在も少し煙幕になっていて。彼らは決してヘルヘイムそのものではなく、「生き残って別の進化を遂げた者たち」とはいえ。

あの森自体が種の習性に則って黙々と繁殖する、それ自体が「理由の無い悪意」という持って行き方だったので、あの森を介しての知的な存在は、全く出てこない方がテーマ的にストレートだったのかも、と・・・。

 

とはいえ、オーバーロードやサガラといった人間より高い次元の存在と相対して、彼らに一泡吹かせていくことに後半戦の面白さがあると思うので、ほんの少しの引っ掛かりの域は出ない話です、はい。

 

仮面ライダー鎧武 ヘルヘイムの果実

 

話を戻して、ヘルヘイムの浸食について。

 

仮面ライダーの敵はショッカーで、平成ライダーでもグロンギを始め特定の種族や組織が敵として登場するのだけど、『鎧武』のインベスはそれらには該当しない。

一番近いのは『龍騎』のミラーモンスターで、あくまで敵としての怪人が出てくるのではなく、その怪人が存在する世界で価値観をぶつけ合うライダーたち自体が、主役であり敵でもある、というやり方。

龍騎』はここに「勝ち残った者が願いを叶えられる」というゲームの景品のようなゴールを設定していたけれど、『鎧武』はそれすらもなく、「ヘルヘイムの侵略によって露呈していく世の中の理不尽さと戦う」という、何とも斜め上に突っ込んだ「敵」が登場する。

 

仮面ライダー鎧武 (ガイム) AC11 仮面ライダー鎧武 カチドキアームズ

 

カチドキアームズ登場回。紘汰のモヤモヤは、夢のように現れたサガラによって次第に言語化されていく。

 

このくだりは、紘汰も心のどこかでユグドラシルを全否定し切れないところが肝だと思うのだ。

やり方やスタンスが紘汰的に納得いかない訳で、「人類を救うために長年研究を重ねて方法を確立させた」こと、それそのものについては、おそらく彼も批難はしないだろう。

結局は、「人類全員を救うことを最初から諦める」という判断、そして、そのために「人為的に戦争等を起こして総人口を削減する予定がある」という非道すぎる考え方。紘汰は、そこに怒っている。

でも、彼らが「人類を救うために動いている」ことは紛れもない真実であり、だからこそ葛藤が生まれる。

 

そこで悩み、しかも自らも裕也という命を犠牲にしていたことを突き付けられた紘汰だったが、そこをサガラが諭す訳である。「あいつらは弱いからああいう方法を取るんだ」、と。

しかも、オーバーロードの存在を秘匿しているというプロフェッサーたちの思惑を聞かされ、ユグドラシルが「人類を救うために動いている」という前提条件も崩れ去る。

そうして、何と戦う訳でもない、誰を倒す訳でもない、言うなれば「ユグドラシル側を一発殴りに行く」ために単身乗り込み、大立ち回りを演じることになる。

 

この流れは非常に「鎧武的」というか、明確な中ボスもおらず、敵自体も個々の思惑で動いていて一枚岩でない中で、主人公が「理不尽な現状に拳を振り上げる」という一旦の決着をみせる一幕は、中々に挑戦的だ。

 

ユグドラシル側の「人類全員を救えないのなら切り捨てる」という発想は、私も「大人」のひとりとして、「正しい」とは思う。

だって、全滅と、一部が生き残るのと、その二択の話なのだ。

・・・などという理屈を頭では分かっていても、当然、そこに抵抗感は強く生まれるだろう。

 

劇場版 天元突破グレンラガン Blu-ray BOX(完全生産限定版)

 

ただ、『グレンラガン』というアニメの第3部で、ロシウというキャラクターが外敵の恐怖の前に同じような「犠牲を伴う大人の決断」をするくだりがあるのだけど、私は、誰も彼を責めることはできないよな、とも思う訳で。

だからこそ、貴虎も初瀬のことをフルネームで覚えているのだ。彼は犠牲者をひとつの礎として、尊重していたのだから。

 

結局、日常生活でそんな人類の命運には遭遇しないけれども、従業員とその家族がいても営業成績の悪い営業所は閉鎖されるし、お客さんの立場で考えればあまりにも酷なことでもお金をしっかり回収しなければならない場面もあるし、「全体・組織のために個が犠牲になる」シチュエーションというのは、私自身も働きながら大なり小なり毎日のように遭遇する。

それが良いとか悪いとか、そういう話ではなく、「大人」はそういうシチュエーションにある程度慣れてしまうし、「非情な判断」も、「諦め」も、「物わかりの良さ」も、スキルとして当然のように身に着けていく。

そんな「大人」からしたら、具体的な代替案も出さずにただ怒りで拳をぶつけてくる紘汰のような存在は本当に「うざったい」し、そういう意味で彼はやっぱり「子供」だと言えるだろう。

 

ただし、果たして、そういった「物わかりの良さ」を身に着けて、ハイ!大人になりましたね!、と成長したことにして、それで本当に良いのだろうか。理屈が追い付いてなくても、それでも自分の信念を貫き通すことの「良さ」は、本当に捨ててしまっても良いのか。

 

「子供から大人に変身する」とは、果たしてどのようにあるべきなのか。

・・・というのが『鎧武』の最終的なテーマであり、問いかけでもあり、そしてこれは、ユグドラシルやヘルヘイムの背景、それを取り巻く大人たちの思惑が判明する、この第2クール目で大きく提示されたものだったなあ、と。改めて鑑賞して、そう感じた。

 

冒頭で「紘汰の戦うスタンスの確立」と書いたが、このスタンスの確立も、サガラに煽られた上に出来上がった非常に子供じみた怒りの域を出ないのである。オーバーロードとの交渉という道も、この時点ではあまりに不透明な話だ)

でも、だからこそ、この青臭さが貴虎には憎らしくて、この上なく眩しい。

後にミッチが「希望は伝染する」と語るシーンに繋がっていくが、紘汰のこの子供じみた青臭い熱さに、次第に貴虎は感化されていくのである。(だからこそ、後に決定的に裏切られてしまう・・・)

 

仮面ライダー鎧武 (ガイム) AC10 仮面ライダー鎧武 ジンバーレモンアームズ

 

2クール目は、「設定面での真相バラし」と「浮き彫りになるテーマの提示」が同時に行われるゾクゾク感が肝であり、しかも出てくる新世代ライダーやジンバー・カチドキといった新アームズもことごとく魅力的という、まさに見所だらけであった。

ユグドラシル側のように思惑と葛藤が渦巻く大人たちもいれば、ブラーボのように大人気なさすぎる大人も引き続き賑やかしに参加し、その中で、子供たち(ビートライダーズ)のダンスバトルが終結していくのも面白い。

 

「子供」と「大人」、その境界線が提示されたその次の話として、高次元の存在・オーバーロードが更に戦況を複雑化させていくのである・・・。続きは、第3クールの感想記事にて。

 

あと、ジンバーレモンになる時のご丁寧にフェイスプレートが外れる描写、バンダイの人が大喜びだったみたいですね。あれ何度観てもめっちゃ面白い。

 

光る!!鳴る!! スクラッチ装填 DX 火縄大橙DJ銃&DX カチドキロックシード 2種セット 【仮面ライダー鎧武】

 

「ひなわだいだいでぃいじぇいじゅう」というネーミングセンス、一体どれだけ徹夜したら身につくのだろうか・・・。

 

 

◆最近書いた映画レビュー

jigowatt.hatenablog.com

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数年ぶりに観返したけどやっぱり『鎧武』ってめちゃくちゃ面白いな…

仮面ライダー鎧武/ガイム 公式完全読本 (ホビージャパンMOOK 619)

 

仮面ライダー鎧武』は本当に大好きな作品で、そのおかげで放送当時にアホほど録画を観返して毎週の放送に臨んでいたので記憶が鮮明すぎて、ここ数年間あえて復習鑑賞をしない・・・ といった謎のモードに入っていたんですね。

で、下の記事にも書いたように、鎧武の精神を受け継いだかのような『エグゼイド』という作品も出てきたり、ちょうどそのタイミングでAmazonプライムビデオで配信が開始されたりして、「よし、そろそろ復習いってみるか!」となった訳です。

 

jigowatt.hatenablog.com

 

これがまあ、やっぱり面白い。

ただ、放送当時と違うのは、今は手元に色んな「副教材」があるということ。

放送が終了してるからこその強みですね。

 

一番読んでいて楽しいのが、毎年恒例の公式読本。

 

仮面ライダー鎧武/ガイム 公式完全読本 (ホビージャパンMOOK 619)

仮面ライダー鎧武/ガイム 公式完全読本 (ホビージャパンMOOK 619)

 

 

放送当時に発売された「ザ・ガイド」も欠かせない。

 

仮面ライダー鎧武ザ・ガイド

仮面ライダー鎧武ザ・ガイド

 

 

もちろん、続編にあたる小説版も必読。

 

小説 仮面ライダー鎧武 (講談社キャラクター文庫)

小説 仮面ライダー鎧武 (講談社キャラクター文庫)

 

 

こちらのインタビュー集もオススメ。

 

 

タイトルに鎧武は無いけれど、かなり関わってくるのは、これ。

 

語ろう! 555・剣・響鬼 【永遠の平成仮面ライダーシリーズ】

語ろう! 555・剣・響鬼 【永遠の平成仮面ライダーシリーズ】

 

 

あと、これもシリーズ総括という面で読み応えあり。

 

「仮面ライダー」超解析 平成ライダー新世紀!

「仮面ライダー」超解析 平成ライダー新世紀!

 

 

・・・といった感じで、これらの「副教材」を読みながら同時に本編を観ていくと、また違った「味」がしてとても面白い訳です。

単純に、後の客演映画まで含めた「あとの展開」を知っているからこその楽しさは、言うまでもなくて。

 

そんなこんなで、取りあえず初瀬が死亡するまでの(約)1クールを観終えたので、そこまでの感想を脈絡なく書いておこうかと。

 

 

企画の立ち上げに関するインタビューやらを読むと、やはり武部プロデューサーの指示がかなり細かいところまであったのだな、というのを感じる。

 

「多人数もの」「1期の頃の雰囲気を」「個別武器を使った乱戦」等々、プロデューサーからの「これがやりたい!!」が、結構明確に(強めに)打ち出された結果の企画進行だったとのこと。

改めてOP映像を観ると、タイトルが出るシーンで各ライダーの武器が画面内で火花を散らす一瞬のシークエンスがあったりで、「個別武器を使って戦う」はかなり重要視されていたのかもなあ、と。

 

玩具発売当時は、バナスピアーやブドウ龍砲にロックシード認識機能が無くて、正気か?売れるのか?・・・という勘繰りもしていたが、各々の武器を使って戦闘スタイルを差別化する意図が企画の根幹にあったとすると、あえて認識機能を捨てて武器の個性化に特化したのも頷ける。

後に出るソニックアローはロックシードの認識機能があったけれど、それはそれで「上位互換の武装」っぽさがあって、良い差別化にもなったのかな、などと思ったり。

 

仮面ライダー鎧武 (ガイム) 変身ベルト DX戦極ドライバー 仮面ライダー鎧武&バロンセット & アームズウェポン02バナスピアー & DXマンゴーロックシード 3種セット

 

そういう意味でいくと、劇中の戦極ドライバーって、試作品扱いでもあるんですよね。

ユグドラシル的には、一種のローテクノロジーな代物。

ゲネシスドライバー開発のためのテスト用として作られ、街で踊ってるだけの若者らに流通させて、そのデータを収集していた。

 

だから、最後まで鎧武や龍玄がその戦極ドライバーを使って戦っていくのは、やっぱり「良い」んですよね。

最新型を用いる敵に試作型のこちら側が挑むという構図は、やっぱり「燃える」んですよ。

もちろん、鎧武はサガラの力でチートパワーアップを繰り返していくんですけど、その根幹のシステムはユグドラシル側がテスト用だと割り切っていた戦極ドライバー、というのが良い。

 

武器の話に戻ると、撮影用のソニックアローを全部で4台作った、という、公式読本での石垣アクション監督のインタビューが興味深かった。

最初に上がってきたものは実際に弓を引く動作が出来ないやつで、「これはダメだ」ということで作り直してもらって、そうして結果的に4台が出来上がった、と。

で、あの衝撃の登場となったゲネシス4人組のシーンで、その4つが一気に撮影に用いられたとのこと。

こういう裏話は本当に面白いですよね。

 

仮面ライダー鎧武 (ガイム) 創世弓 DXソニックアロー&レモンエナジーロックシード

 

改めて初期のビートライダーズ編を観ていると、面白いながらも、様々な四苦八苦も感じられて面白い。

木の上から降りられなくなった子供に対して戒斗が厳しい言葉を投げかけるシーンは、最初は子供じゃなくて猫だったんだけど、田崎監督が「動物のこういう撮影は厳しい」と意見して変わったとか、ヘルヘイムは年中生い茂ってるイメージで書かれていたけど冬は当然枯れてしまうのでVFXのエフェクトを強めにした、とか・・・。

そういった「虚淵脚本がアニメのニュアンスで指定してくるあれこれを実写でいかに出力するか」という点について、特にシリーズ初期の頃はかなり試行錯誤の色が出ていたように感じる。

公式読本とかを読んでも、虚淵氏への恨み節とも取れてしまうような証言が沢山出てきたりして、スタッフの皆さんも戸惑いと挑戦の連続だったんだろうなあ、というあたりは想像に難くない。

 

4話で鎧武が斬月にボッコボコにされるシーンも、「かといって悲惨すぎる負けシーンは映像的に厳しいから、せめて川に落とそう」となったものの、「ヘルヘイムに川があるのは(設定的に)良いのだろうか?」という確認作業から始まったらしく、その膨大な作業量を思うと思わず溜息が漏れてくる。

しかしまあ、「ロックシードを奪い合う遊びが流行っている」ことの映像化として、「インベスゲームで負けた側のロックシードが勝手に勝者の手に飛んでいく」というのは、まあ、改めて観てもギリギリというか、ちょっと笑ってしまうところではある。

一体あれは本当にどういう理屈なんだ・・・。ビピョーン!! っていうあの独特のSEもあってクセになってしまうのだけど。

 

jigowatt.hatenablog.com

 

何度もブログでも書いているけど、やはり鎧武は5話だと思うんですよ。

 

「鎧武とバロンが主義主張を違えて戦う」「龍玄が鎧武の背中を見て戦う」というシリーズクライマックスで描かれた名シーンの数々が、状況は違えど、この5話で描かれている訳であって。

だから、ユグドラシル側の「大人たち」が嗤って馬鹿にするような子供たちの遊びでも、彼らとしては真剣そのものだという、その構図そのものが「俺たちはまだ知らなかった・・・」という1クール終盤に向けた壮大な皮肉にもなってるんですよね。

彼らがダンスチームの陣取り合戦に真剣になればなるほど、「何も知らない馬鹿なガキ共」といったニュアンスが強調される構図。

 

 

この諸田監督の一言が本当に絶妙で、ダンスチーム抗争という彼らなりの「真剣な遊び」が、いつの間にか「種族の命運をかけた戦い」にスライドしていく中で、彼らはとにかく「こだわる」ことを強制されていくんですよね。

何度も、ユグドラシル側の「大人たち」から「現実を知らない」だの「甘すぎる」だのと言われながら、でもそれに反抗し、時に戸惑い、本来ならもっとゆるやかに経験していくはずの「大人への階段」を無理やり超スピードで登らされた若者たち。

 

いつの間にか「大人たち」も倒れ、最後の最後には「ガキ共」に種族の命運が託されていく。

そう考えると、どこか大人ぶって悟っていた大人たちは、漏れなく死んでいたりする。シドとか、プロフェッサーとか。

ユグドラシル側で生き残ったのは、大人の立場にありながらも理想を全うする信念だけは子供のように真正直だった貴虎だけ、というのも、とても皮肉な話だ。

 

そんな貴虎は序盤スカしてばかりで、あの後部座席でシドのファイルをちゃんと見てさえいれば話は全然違ったのにな、などといった変な笑いも漏れてくる。

あと、ゲネシス4人組の、特にシドとプロフェッサーが貴虎に対する信用をすでにかなり落としているのも、改めて観ると気付く点が多い。

初めて観たあの頃はどこか「それっぽい言葉を使ってかっこつけて暗躍する敵幹部たち~~」という印象が強かったが、改めて注意して観てみると、言葉の端々から貴虎が貶されまくっているのが分かる。もはや可哀そうなくらい。

この辺、外伝デュークを後に観ているのも強いのかもしれない。

 

鎧武/ガイム外伝 仮面ライダーデューク/仮面ライダーナックル [Blu-ray]

 

ビートライダーズの面々でいくと、ザックとペコのクソザコっぷりが凄すぎて驚く。

ザック、外伝の頃のお前がこの頃のズルしてニヤニヤしてた自分を観たら、凄い勢いでぶん殴りそうだぞ・・・。

戒斗が不自然すぎる手のアップでトランプ芸を披露するのも中々に面白い。

 

ブラーボに関しては、変身前に比べて変身後の方が腕が細いのが、気になって気になって仕方なくなってしまった・・・。

ピエールのお姉キャラをスーツアクターさんが汲んでいるのも分かるのだけど、ちょっと解釈にズレがあるのかな?という気がしなくもない。

「お姉キャラ」と「女子っぽい」は似て非なるよね、という話。

 

あと、クリスマスゲームの時の拠点に潜り込むくだりや、ミッチがユグドラシル本社に忍び込むシーンなど、ユグドラシルの警備があまりにもザルすぎてやばい。

「忍び込む」って、やっぱり実写ドラマでやるとハードル上がるんですよね。敵がちょっとアホに観えちゃうから。

 

とはいえ、その流れで「裕也がすでにインベスとなって鎧武に殺されていた」ことが判明するシーンは、本当に素晴らしい。何度観ても鳥肌が立つ。

それと同時進行で鎧武がインベス化した初瀬と戦っていて、「殺すなんてできない」と膝をついて嘆くと同時に、「残念!すでにお前の手は真っ赤だぞ~~!やーい!」という感じで裕也の真実が明かされる。

ミッチが驚いて崩れ落ちる演出も絶望感を煽るし、鎧武がうなだれる場所が水辺というのもロケーションが最高だ。

そこからの、謎の4人組の変身、無残に殺される初瀬、という怒涛の展開は、観る度に喉がカラカラになる。

 

仮面ライダー鎧武 アームズアクション鎧武3 【3.仮面ライダー黒影 マツボックリアームズ】(単品)

 

結局、第1クールのお話って、割とこのシーンありきで作られている感じがするんですよね。

初瀬が死んだ理由は、もちろんインベスになってしまったからだけど、その原因はドライバーが壊れて強さを渇望したからで、ドライバーが壊れたのはビートライダーズ同士が争っていたからで、そのゲームを提案したのはチーム鎧武だったり、元々戦いを激化させていたのはチームバロンだったり・・・。

つまり、遠因まで辿っていくと、登場人物の多くが「初瀬死亡」に関与してしまっているんですよね。

この、「何も知らなかった若者たちの遊びが死者を出してしまった」という、全員悪くて全員悪くない、つまり一種の「事故」のように描かれているのが、上手いなあ、と思うのだ。

 

そんな事故が起きてしまったからこそ、「ガキ共」は「こだわる」ことを否が応でも求められていく。

この一連の流れをリアルタイムで体感できたのは、今思い返しても幸せだったなあ、と。

 

また2クール目を観終わったあたりで感想を書くかもしれませんが、取りあえずこんなところで・・・。

 

◆関連記事

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平成ライダーシリーズでも最高峰だと思っているあの5秒足らずの名シーンについて語る

1000ピース ジグソーパズル 菅原芳人WORKS 鮮烈の平成ライダー(51x73.5cm)

 

平成仮面ライダーシリーズもすでに19作続いていて、30分の50話で単純計算してもエグゼイド時点で1,710,000秒もの時間が流れている訳ですが。その中でも、たったの5秒ほどだけ、自分の中で不動の第1位とも言うべきお気に入りのシーンがあるんです。

 

クウガで一条さんが去り際にサムズアップするシーン?

 

アギト初回でアギトが出てきた時の見事なライティング?

 

龍騎で浅倉が城戸真司が馬鹿だと思って手を挙げるシーン?

 

ファイズ劇場版で木場が真理の本音を聞いてしまって苦い表情をするカット?

 

剣でワイルドカリスが暴走するキングフォームに詰め寄るシーン?

 

響鬼でヒビキさんが鬼にならずに魔化魍を倒すくだり?

 

カブトで加賀美がザビーの資格を放棄する流れ?

 

電王でクライマックスフォームが初登場するシーン?

 

キバでルークにトドメをさすのをゆりに譲る音也のカット?

 

ディケイド響鬼編で流れた当時のナナシの雪辱を晴らす見事なセッション?

 

ダブルでフィリップが消えると分かっていながら変身を解除するシーン?

 

オーズ最終回の映司の変身?

 

フォーゼ第1話の必殺技を決めた後のドリルのグルグル?

 

ウィザードのクライマックスであえてコヨミが蘇らないシーン?

 

鎧武5話でボロボロになりながらも戦うミッチ?

 

ドライブで初めてハートと戦った時の進之介のキレッキレの変身ポーズ?

 

平成ジェネレーションズでのタケルの「変身できるとかできないとか関係ないっ!」?

 

エグゼイド序盤の貴利矢回でやっぱり嘘つきだと言われて立ちすくむ貴利矢?

 

ビルドでチャック開いてたとこ?

 

全部間違いなく名シーンですよ・・・。
というか、これ、やっていったら何日やっても足りないです。

 

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でも自分の中でもう十数年も不動の1位なのは、これ。 

 

EPISODE 33 連携

EPISODE 33 連携

 

 

『仮面ライダークウガ』EPISODE33「連携」。・・・の、キックのシーンではなく。


杉田さんの目の前で五代がクウガに変身して・・・

 

杉田さんが「ぉお!」と感嘆の声をあげて・・・

 

横にいた一条さんがちょっとだけ得意げな顔をする・・・

 


ここ!このたった5秒くらい!!これなんですよ。

 


「仮面ライダー」ってやっぱり文字通り仮面劇で、登場人物がどのような「仮面」を付けているのか、そして、正体を知ってる・知らない・知られることでドラマが起きるのが面白い訳です。それは、むしろ「仮面ライダー」に限らずヒーローもの全般にも言えることなんですけど。


で、『クウガ』も含めて、「変身している=異形の存在」という解釈がやはり好きで、初代の1号は言うまでもなくバッタ怪人ですし、剣のカリスだと助けられた親子が恐怖を感じてしまうし、クウガは未確認生命体として警察に追われる訳です。


その「異形の存在」が実は身近な人物だったと分かる、そして、「単に見てくれではなくそこに伴う行動がその対象の理解に繋がる」という物語的なアプローチがあり、そうして「仮面ライダー」の仮面劇は面白くなるんだよなあ、と。キャラクターが付けている「仮面」の意味が少しずつ変わっていったり、深堀りされていったり・・・。

 

そういう意味で、『クウガ』は本当に大好きなんですよ。「未確認生命体4号」に分類されて、警察に発砲までされて、時にはメディアに批難されながらも誰かの笑顔のために戦う五代雄介。そんな五代の一歩間違えば孤独すぎる戦いを同じ目線で理解してくれたのが、唯一、一条さんなんですよね。


一条さんは時に警察組織に反発してでも五代をサポートして、時には五代を叱り、説得し、そして五代もそれを受け入れる。そして、五代の「行動」は理解され、遂には警察組織の完全なるバックアップを実現させる。それが、33話の「連携」。

 

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強すぎるグロンギ(44号)に対し、バイクを破壊され、対抗できるかもしれない赤の金の力は莫大すぎる破壊力を予感させる。五代は警察と連携して敵を僻地で倒す訳だが、この前に杉田さんと車内で理解し合うシーンがある。

 

杉田さんは物語序盤で4号の射殺命令を受けて銃を向けたりで、当初はクウガが味方であることに懐疑的だったひとりだ。それが、直接クウガに助けられたこともあり、娘の一声もあり、次第に仲間意識を感じていく。この33話では、五代に射殺命令の件を直接謝り、五代からも「思いは一緒です」という返事をもらう。もうまずここで感動するんですけど、最高なのはこの後。

 

新しいバイクを手に入れた五代は、杉田さんと一条さんが見ている目の前で変身する。


変身ポーズをばっちり決めて、「変身!」。全身がクウガに変わる。


すると、間髪入れず杉田さんが驚く訳ですよ、「ぉお!」と。以前自分が敵として銃を向けた、自分を助けてくれた、そして今警察と連携するにまで至った異形の存在の正体が、先ほど信念を語り合った青年だと、頭では分かってはいながら、ここで初めて彼の中でそれが現実のものとして落ちてくる。

 

そして、その直後。


ずっと五代の孤独な戦いを見てきた一条さんが、 ふっ と、少しだけ、得意げな顔をするんですよ。「すごいでしょう? うちの五代は」と言いたげな表情で。


ここがまた最高なんですよ・・・。


警察組織内でもごく限られた人間だけが五代の正体を知っていて、でも、実質的にはまだ一条さんがひとりで抱え込んでいるような状態だった。それが、警察とクウガの全面協力にまで至り、一連の事件の初期から現場にいた杉田さんの目の前で変身するにまで状況が変わった。一条さんも、わざわざ語りはしないものの、やはり少し肩の荷が降りたと思うんですよね。そして、相棒ともいえる五代を、より一層誇らしく思えるようにもなった。

 

そんな、「仮面ライダー」としての仮面劇の面白さ、「異形の存在」がヒーローとして認められる爽快感と達成感、その全てが、このほんの5秒ほどにギュッと詰まってると思うんですよね。その後のバイクで追い抜いて急減速からのキックも言うまでもなく最高なんですけど、当時VHSを何度も巻き戻してこの杉田さんリアクションシーンを観まくっていました。


『クウガ』の、「仮面ライダー」の本懐って、つまりはこういうことなんだろうな、と。20年弱シリーズを観続けている今でも、やはりこのシーンが群を抜いて大好きですね。

 

ありがとう、杉田さん。ありがとう、一条さん。

 

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週刊スピリッツ44号の菅田将暉によるフィリップ復活が仮面ライダーファンにとっていかに衝撃的で感動的か、という話

2009年の秋、ニチアサでは「平成ライダー10周年、秋の陣!」というコピーが使われていた。

 

集大成かつお祭り騒ぎである『ディケイド』、そしてその劇場版である『対大ショッカー』を経て、秋に放送が開始される「仕切り直し一発目」としての『仮面ライダーダブル』を指したものだ。そうして始まった『ダブル』は、今でもファンから熱烈な支持を受ける作品となった。

 

あれから8年、この2017年は、ある意味二度目の「秋の陣」と言えるのかもしれない。オリジナルスタッフによる公式続編『風都探偵』が、漫画という媒体でスタート。そして、すっかり売れっ子俳優となった菅田将暉が、雑誌の表紙グラビアとはいえ、今一度「魔少年・フィリップ」を演じる。当時からのファンとして、非常に喜ばしいことである。

 

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  • 作者: 週刊ビッグコミックスピリッツ編集部,石ノ森章太郎,三条陸,佐藤まさき,二ノ宮知子,吉田戦車,背川昇,丹羽庭,のりつけ雅春,小林有吾,上野直彦,こざき亜衣,真鍋昌平,阿部共実,小田扉,降本孟,高橋のぼる,ムラタコウジ,金城宗幸,にしだけんすけ,中原裕,水口尚樹,高尾じんぐ,キリエ,高橋しん,和田竜,吉田史朗,カレー沢薫,ホイチョイ・プロダクションズ,水沢悦子
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映像作品でないとはいえ、「その後売れっ子俳優となったライダー俳優がもう一度その役を演ってくれる」という事象には、仮面ライダーファンの多くが様々な感情を抱いていることだろう。というのも、「特撮ヒーロー俳優は売れるとその経歴を黒歴史化する」という、半ば都市伝説かのような言説がその界隈には根強く存在するからである。

 

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これは語り始めると非常にややこしく面倒臭い話なのだが・・・。

要は、一般的に「子供向け」とされる番組に出演していた経歴は、その後のドラマや映画に出演した経歴に比べ訴求力の面からどうしても「弱い」側面があり、そうした意味でそれらの経歴が表に出ることが少なくなる、というのが実態だと私個人は思っているが、実際に、当時を積極的に振り返らない方や、当時を苦々しく語る方もいたりで、清濁様々な実態と憶測がそこに交じっているのが現状である。

 

というか、そもそも、平成仮面ライダーだけで言っても約20作あるということは主役だけで20人もいるということで、その20人の全てが同じ境遇に陥るなんてことは無い訳で、「売れたからこうなる」なんてどこかパターン化したようなことは言えないはずなのだ。逆に、「また出たいですね」と言ってくれる俳優がいたとして、それがリップサービスの域を出ないのか本心から言っているかなんてのも、当然我々には分からない。

 

とはいえ、平成仮面ライダーシリーズが「イケメン俳優の登竜門」と言われて久しいが、そうした認知度のアップや、仮面ライダーのファンが二世代にも三世代にもなってきた長い歴史において、前述の「訴求力」の色が少しずつ変わってきたのかな、という印象は確かにある。ヒーローを演じたことを各種メディアで語り、ずっと大事にしている俳優も多い。ファンとしては、とても嬉しいことである。

 

・・・といった、中々言語化できないモヤモヤはこれくらいにしておいて、話を『ダブル』に戻したい。

 

この『ダブル』、とりわけ菅田将暉においては、同作以降物凄い勢いで売れっ子への道を駆け上がっていったからか、近年は「出ない」ことが多かったという事実がある。というのも、単に「出る」「出ない」ということを言いたい訳ではなく、こと『ダブル』においては主人公が2人いるという前提があり、それがよりファンをやきもきさせていたのだ。

 

改めて振り返ると、『ダブル』のもう一人の主人公を演じる桐山漣は、同作終了後もシリーズの様々な展開に出演している。番組終了からほどないうちは(Vシネなど)菅田将暉も出演していたが、彼が売れるに連れてか、シリーズへの参加はぱたりと途絶えてしまい、桐山漣だけの場面が多くなっていた。

 

2人がそろって映像作品として出演した最後の作品は、2011年の冬映画『MOVIE大戦MEGAMAX』。映像作品以外では2012年の『仮面ライダー 超クライマックスヒーローズ』でそろって声の出演をしているが、これは過去に収録した音声だと思われる。

 

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その後の、声の出演を含めた「桐山漣のみ」のシリーズ参加を振り返ると、『ネット版 仮面ライダー×スーパー戦隊×宇宙刑事 スーパーヒーロー大戦乙!』(13年)、『仮面ライダー大戦』(14年)、その後の数々のゲーム関係。(フィリップ役は不在もしくは代役)

 

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・・・などなど、近年はずっと「桐山漣のみ」のパターンが多かった。

 

『ダブル』は「2人で1人の仮面ライダー」であり、その2人の友情が何度も劇中で描かれた作品でもあったので、その片方が欠け「1人だけ」になるパターンには、どうしてもファンとしてモヤモヤを抱えてしまう。もちろん、言うまでもなく、桐山漣がダブルを何度も(声の出演を含めて)演じてくれていたことは、心の底から嬉しい。

 

しかし同時に、「もう桐山漣と菅田将暉による翔太郎とフィリップは見られないのかな・・・」という気持ちもどうしようもなくそこにあって、桐山漣のみのダブル、もしくは、代役と組んで必殺技を叫ぶダブルをゲーム等で目にしながら、複雑な思いを抱いてしまっていた。

 

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そういった背景から、オダギリジョー・水嶋ヒロ・佐藤健等の、他の「出ない」俳優より、余計に「菅田将暉が出ない」ことは、ダメージが大きかったのだ。勝手に期待して勝手にダメージだなんて言って、本当に図々しく申し訳ないと思うが、やはり、「桐山漣だけのダブル」に100%心の底からの拍手喝采が起きたことは、私の中では無かった。

 

風都探偵 (1) (ビッグコミックス)

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そんなこんなで、『風都探偵』である。『ダブル』の続編が漫画でスタートすることを喜びながらも、「やはり映像作品だと菅田将暉が難しいからな・・・」という勘繰りが、そこにはどうしてもあった。

 

事実、現時点で、映像作品での「フィリップ復活」は遂げられていない。しかし、たとえそれが静止画のグラビアだったとしても、桐山漣と菅田将暉が翔太郎とフィリップのようにメモリを構えるそのワンカットは、ファンにとってあまりにも衝撃的で、あまりにも感動的なのだ。

 

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他の同シリーズの作品より、「桐山漣のみ」の期間がそれなりにあったことで、どこか必要以上にファンの中で復活への期待と諦めが高まっていた、菅田将暉。彼はこのスピリッツの少し前でもラジオで当時のことを語っていたりで、彼の中にまだ確かに『ダブル』があるという事実は、やはりファンとして途方もなく嬉しい。

 

「特撮ヒーロー俳優は売れるとその経歴を黒歴史化する」という都市伝説は、確かにそうかもしれないし、そうでないかもしれないし、賛成できる事例も反対できる事例もネットには溢れている。でも今回のこのスピリッツの表紙&グラビアでの復活は、そんな言説なんか風で飛んでしまいそうなくらいにどうでもよくて、ただただ、嬉しく、喜ばしい話なのだ。

 

人間とは卑しいもので、すぐに欲が出てくるので、「菅田くん、今度の冬映画でせめて声の出演だけでも・・・」といったことを願ってしまう訳だが、そんなことは一旦忘れて、まずはこのスピリッツ44号を舐め回すように堪能したいところである。

 

『風都探偵』5集 ライドウォッチ、ガンバライジングカード付き限定版 (特品)

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さよならエレジー

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