平成仮面ライダーシリーズもすでに19作続いていて、30分の50話で単純計算してもエグゼイド時点で1,710,000秒もの時間が流れている訳ですが。その中でも、たったの5秒ほどだけ、自分の中で不動の第1位とも言うべきお気に入りのシーンがあるんです。
クウガで一条さんが去り際にサムズアップするシーン?
アギト初回でアギトが出てきた時の見事なライティング?
龍騎で浅倉が城戸真司が馬鹿だと思って手を挙げるシーン?
ファイズ劇場版で木場が真理の本音を聞いてしまって苦い表情をするカット?
剣でワイルドカリスが暴走するキングフォームに詰め寄るシーン?
響鬼でヒビキさんが鬼にならずに魔化魍を倒すくだり?
カブトで加賀美がザビーの資格を放棄する流れ?
電王でクライマックスフォームが初登場するシーン?
キバでルークにトドメをさすのをゆりに譲る音也のカット?
ディケイド響鬼編で流れた当時のナナシの雪辱を晴らす見事なセッション?
ダブルでフィリップが消えると分かっていながら変身を解除するシーン?
オーズ最終回の映司の変身?
フォーゼ第1話の必殺技を決めた後のドリルのグルグル?
ウィザードのクライマックスであえてコヨミが蘇らないシーン?
鎧武5話でボロボロになりながらも戦うミッチ?
ドライブで初めてハートと戦った時の進之介のキレッキレの変身ポーズ?
平成ジェネレーションズでのタケルの「変身できるとかできないとか関係ないっ!」?
エグゼイド序盤の貴利矢回でやっぱり嘘つきだと言われて立ちすくむ貴利矢?
ビルドでチャック開いてたとこ?
全部間違いなく名シーンですよ・・・。
というか、これ、やっていったら何日やっても足りないです。
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でも自分の中でもう十数年も不動の1位なのは、これ。
『仮面ライダークウガ』EPISODE33「連携」。・・・の、キックのシーンではなく。
杉田さんの目の前で五代がクウガに変身して・・・
杉田さんが「ぉお!」と感嘆の声をあげて・・・
横にいた一条さんがちょっとだけ得意げな顔をする・・・
ここ!このたった5秒くらい!!これなんですよ。
「仮面ライダー」ってやっぱり文字通り仮面劇で、登場人物がどのような「仮面」を付けているのか、そして、正体を知ってる・知らない・知られることでドラマが起きるのが面白い訳です。それは、むしろ「仮面ライダー」に限らずヒーローもの全般にも言えることなんですけど。
で、『クウガ』も含めて、「変身している=異形の存在」という解釈がやはり好きで、初代の1号は言うまでもなくバッタ怪人ですし、剣のカリスだと助けられた親子が恐怖を感じてしまうし、クウガは未確認生命体として警察に追われる訳です。
その「異形の存在」が実は身近な人物だったと分かる、そして、「単に見てくれではなくそこに伴う行動がその対象の理解に繋がる」という物語的なアプローチがあり、そうして「仮面ライダー」の仮面劇は面白くなるんだよなあ、と。キャラクターが付けている「仮面」の意味が少しずつ変わっていったり、深堀りされていったり・・・。
そういう意味で、『クウガ』は本当に大好きなんですよ。「未確認生命体4号」に分類されて、警察に発砲までされて、時にはメディアに批難されながらも誰かの笑顔のために戦う五代雄介。そんな五代の一歩間違えば孤独すぎる戦いを同じ目線で理解してくれたのが、唯一、一条さんなんですよね。
一条さんは時に警察組織に反発してでも五代をサポートして、時には五代を叱り、説得し、そして五代もそれを受け入れる。そして、五代の「行動」は理解され、遂には警察組織の完全なるバックアップを実現させる。それが、33話の「連携」。
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強すぎるグロンギ(44号)に対し、バイクを破壊され、対抗できるかもしれない赤の金の力は莫大すぎる破壊力を予感させる。五代は警察と連携して敵を僻地で倒す訳だが、この前に杉田さんと車内で理解し合うシーンがある。
杉田さんは物語序盤で4号の射殺命令を受けて銃を向けたりで、当初はクウガが味方であることに懐疑的だったひとりだ。それが、直接クウガに助けられたこともあり、娘の一声もあり、次第に仲間意識を感じていく。この33話では、五代に射殺命令の件を直接謝り、五代からも「思いは一緒です」という返事をもらう。もうまずここで感動するんですけど、最高なのはこの後。
新しいバイクを手に入れた五代は、杉田さんと一条さんが見ている目の前で変身する。
変身ポーズをばっちり決めて、「変身!」。全身がクウガに変わる。
すると、間髪入れず杉田さんが驚く訳ですよ、「ぉお!」と。以前自分が敵として銃を向けた、自分を助けてくれた、そして今警察と連携するにまで至った異形の存在の正体が、先ほど信念を語り合った青年だと、頭では分かってはいながら、ここで初めて彼の中でそれが現実のものとして落ちてくる。
そして、その直後。
ずっと五代の孤独な戦いを見てきた一条さんが、 ふっ と、少しだけ、得意げな顔をするんですよ。「すごいでしょう? うちの五代は」と言いたげな表情で。
ここがまた最高なんですよ・・・。
警察組織内でもごく限られた人間だけが五代の正体を知っていて、でも、実質的にはまだ一条さんがひとりで抱え込んでいるような状態だった。それが、警察とクウガの全面協力にまで至り、一連の事件の初期から現場にいた杉田さんの目の前で変身するにまで状況が変わった。一条さんも、わざわざ語りはしないものの、やはり少し肩の荷が降りたと思うんですよね。そして、相棒ともいえる五代を、より一層誇らしく思えるようにもなった。
そんな、「仮面ライダー」としての仮面劇の面白さ、「異形の存在」がヒーローとして認められる爽快感と達成感、その全てが、このほんの5秒ほどにギュッと詰まってると思うんですよね。その後のバイクで追い抜いて急減速からのキックも言うまでもなく最高なんですけど、当時VHSを何度も巻き戻してこの杉田さんリアクションシーンを観まくっていました。
『クウガ』の、「仮面ライダー」の本懐って、つまりはこういうことなんだろうな、と。20年弱シリーズを観続けている今でも、やはりこのシーンが群を抜いて大好きですね。
ありがとう、杉田さん。ありがとう、一条さん。
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