ジゴワットレポート

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やっと観た『LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標』、面白ぇぇぇぇ!!!

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「いつか観よう」「いつか観よう」と念仏のように唱え続ける未見作品リストの中でもそこそこ古株だった『LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標』を観た。

 

率直に、とても面白かった。ストーリーの適度な込み入り具合とキャラクターで魅せるバランス、何よりアニメーション映画としてのクオリティの高さが素晴らしい。

 

ルパン三世-次元大介の墓標 / LUPIN THE 3RD: JIGEN'S GRAVEST[Blu-ray][Import]

 

『峰不二子という女』に始まるスピンオフシリーズに該当する作品だが、実はこちらも未見。更には先日公開された『血煙の石川五右衛門』もまだ観ていないので、一気に楽しみが増えた感じ。ありがとう、Netflix。

 

「次元大介」というキャラクターは男なら誰もが憧れる属性をこれでもかと兼ね備えていて、むしろルパンよりも「かっこよさ」の象徴なんだと、今作を観て改めて痛感した。

ハードボイルドで、凄腕のガンマンで、ハットと髭が似合って、基本ドライでありながら実は義理堅く情に熱い。ルパンとの、互いの実力を分かった上での軽口を叩きながらのコンビネーションは、どんなシリーズで何度観てもニヤニヤしてしまう。

今作でも、ルパンは誰よりも次元のガンマンとしての腕を評価していて、「うちの次元に早撃ちで敵う訳ないだろ、やってやれ」などと極道の姐御じみた発言まで出てくるから面白い。

 

次元に限らず、ルパン一味の良さは「ギリギリの線で馴れ合わないプロフェッショナル集団」というバランスに尽きる。

その、視聴者の誰もが感覚で理解しているドライなチームワークの根幹にあるのが、ルパンと次元のコンビなのだ。今作『次元大介の墓標』はストレートにそこを描いているので、転じて、ルパン三世という作品の面白さそのものまでカバーしている。五右衛門が出てこないにも関わらず、だ。

 

脚本は後に『仮面ライダーエグゼイド』で驚異の速筆っぷりを知らしめる高橋悠也氏。彼の、適度にロジカルながら勢いも殺さない絶妙なシナリオバランスは、『次元大介の墓標』でもしっかり披露されていた。

ルパン三世の描き方の肝は「微妙にリアルで絶妙にフィクションな科学」だと思っていて、その意味でいくと、網膜に直接接続しての眼帯監視カメラというのはかなり面白い。クライマックスでルパンがそれを使って逆転するシーンに向けて、「目を殴られて痣を作りそこに眼帯を嵌める」という流れが仕込まれているのも丁寧だ。

 

不二子が全裸で追い立てられるのも正統派なエロティックシーンだし、そこに放り込まれる股間ドリルロボットの意味不明っぷりが、一周して富裕層クラブのナチュラルクレイジーさに一役買っている。

金持ちは、無駄に芸術的で無駄に多機能で無駄にエロくて無駄に残酷な見世物を好むと、相場が決まっているのだ。

 

また、やはりアニメーションそのものが素晴らしい。あの絵柄がこんなにグリグリ動くとは、という感じ。キャラクターデザインも、原作のエッセンスを取り入れながら時代に囚われないかっこよさを演出することに見事に成功していて、毎カットに一々オーラがある。

ヤエル奥崎が銃を組み立てる一連の流れや細かな手の動きを一切省略することなく観せるシーンや、ルパンが喋るだけなのに背景の木々の葉がゆらゆらと風に揺られているカットなと、そのフェティッシュさがほどばしる様はとてつもなく楽しい。

 

ラストの早撃ち対決も、「重い銃」と「軽い銃」という前回の敗因を条件そのままに覆す勝ち方になっており、単純に燃える。ロマンを貫き通すには、磨かれたテクニックとそれを支えるプライドが要るのだと、かっこよさの化身・次元大介がこれでもかと魅せてくれる。

エキセントリックな劇伴やエンディングテーマも痺れるやつだし、サプライズで出るマモーも良かった。ほとんど喋らないのに存在感抜群の銭形もGOOD。

 

総じて、アダルトかつハードボイルドな「つい想像しちゃう最高クオリティのルパン三世」がまさに実現している感じて、非常に良かったです。スピンオフシリーズ、他のも観よう。

 

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LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標 オリジナルサウンドトラック

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