ジゴワットレポート

映画とか、特撮とか、その時感じたこととか。思いは言葉に。

砂漠の荒野に倒れても、長い鎖に繋がれても、明日は明日の風の中を

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勝手に「地獄の春」と呼称していたここ数週間。やっと、ひと段落がついた。まともにブログを更新することすら出来なかった。

 

昨年秋頃、マイホームの実現に向けてローンの勉強をしたことを思い出す。銀行のローンセンター窓口、あるいはハウスメーカーの担当者と、「まあ~~ リーマンショック級の景気変動なんて、そう簡単には起きませんよね~」と軽口を叩いたあの日。紅白では、新しく建った国立競技場で嵐がライブを披露し、「令和初の年明け!」と盛り上がった冬。ナイキ製の厚底シューズが話題になったのが、はるか昔のよう。

 

まさか、世界がこんなことになるとは。新型コロナウイルスで、文字通り、世界が一変してしまった。悪い意味で「映画のよう」である。

 

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私は、新型コロナウイルスには感染していない。地方ゆえ、生活圏内に濃厚接触者がいるという情報もない。幸いなことに、務めている会社は業種的に直接のダメージを被るタイプでは無かったので、給料も普通に貰えている。だから、都市部に住む人が感じる焦燥感や息苦しさに比べると、感覚として、いささかぬるいのかもしれない。

 

とはいえ、とにかく「対応」に追われた。幸か不幸か、このタイミングで管理職の末席に名を連ねてしまったのである。そりゃあ、嬉しい。嬉しいんですよ。働きぶりが認められたということなので。でも、まさかこんなことになるとは・・・。いわゆる「管理職1年生」として、「わいふぁい? ネットで買えるのか?」と聞いてくる上役に、在宅勤務の案をプレゼンする。/(^o^)\ナンテコッタイ

 

会社にダメージが無いとはいえ、それは「ただちに減らない・止まらない」というだけの話。むしろ、依然として現場は回り続けてしまうので、「どう回すのか」「今のままで良いのか」を走りながら考えなければならない。会社にひとりしか存在しない「コロナ対策リーダー」(笑)という名誉でもなんでもない称号を与えられた結果、待っていたのは、未曾有の連勤であった。

 

夜遅くまでコロナのことを考え、早朝に布団の中でコロナのことを考える。「そうだ、アレもやらないと」「あっちも先に手を打っておいた方が良いかも」「しまった、こっちに出る影響を見落としていた」「何か漏れはないか」「忘れてはいないか」「考えろ」「考えろ」「考えろ」・・・。

 

社員が使うマスクの手配は可能か。現場の消毒液はあとどれくらい残っているのか。飛沫感染リスクを避ける手立てには何かあるのか。在宅だと不可能な仕事はどこまでか。個人のネット環境を使うのであれば、通信費手当があった方が良いのでは。お客さんに何か迷惑がかかっていないか。このままコロナ禍が続いた場合、会社の利益はどう推移するのか。社員とその家族の安全は、果たしてどこまで守れるのか。

 

どうにも難しいのは、とにかく前例が無いことだ。「未知のウイルスへの対応」なんてものは、それこそ映画でしか観たことがない。どこまでやったらゴールなのか、それがさっぱり分からない。だからといって、上が朝令暮改を繰り返しては、現場が混乱するだけである。この対策は「正しい」のか? 「最善」なのか? 「妥協案」なのか? どこまで大ナタを振るうのか、細かな部分をフォローできるのか。その追求に目途が立たない。

 

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やっとこさ上役の決裁が通った在宅(リモート)勤務の計画案を、満を持して現場に説明する。

 

「いや、これじゃ回らないですよ!この部分に無理がありますって!」。いや、分かるよ、俺もそこは断腸の思いで書いたんだ。色々当たってみたけれど、そうするしかなかったんだ。すまない。「ここ、誤字ですか?」。うん、誤字だ。すまない。そっちの補足資料は、つい8時間前の深夜に眠い目をこすりながら作ったペーパーなんだ。確認不足だった。すまない。

 

「在宅勤務を優先させたらこうなると思うんですけど、これだと会社が止まりませんか? 満足にお客さんの対応できます?」。うん、満足にはできないと思う。だから、そこは上の方で輪番で出勤して、なんとかフォローしようと思う。「感染リスク」という目に見えない敵が相手なので、一刻も早く「出勤しなくても良い環境」を作りたいんだ。速さと安全を取ったから、どうしても犠牲になる部分があるんだ。君たちは知らないかもしれないけれど、我々管理職一同、先週末は全員出勤して朝から晩までこれを打ち合わせたんだよ。細かい現場の声は残念ながら入っていない。すまないが、取り入れる余裕もタイミングも無かった。憤りは分かる。不満も分かる。が、一度これでやってみてくれないか。ほんと、ごめんだけど。

 

もちろん、協力的な社員も大勢いてくれた。むしろこっちの方が多かった。現場ならではの視点で、即座にアドリブを決めてくれる人も沢山いた。管理職などと名乗っているが、私もついこの前まで現場の一員だった訳で、その大変さはよく分かるつもり。本当にありがとう。助かる・・・。

 

なので、どうにかその働きに応えたい。「通信費手当」なんて名目を捻り出しはしたものの、こんなのは雀の涙である。何か行政からのフォローは無いかと調べるものの、やはり雇用調整助成金が主だ。これは、あくまで「売り上げが低下」した事業主に対し、休業手当等の費用を助成するもの。現場が汗水たらして「売り上げを維持」した場合、そこには何も与えられない。

 

いや、分かっているのだ。本当に困窮している人が、会社が、組織が、今の日本には無数にある。目に見えて売り上げが減り、仕事が見つからず、明日の食費をどう捻出したものかと悩む人がいる。もちろん、言うまでもなく、感染してしまい、苦しみ、命の危機に瀕する人がいる。その人達に比べれば、残業なんて、連勤なんて、精神的な苦痛なんて、「たいしたことはない」。

 

「たいしたことはない」「たいしたことはない」「たいしたことはない」。

 

そう自分に言い聞かせながら、普段は絶対に飲まない栄養ドリンクに手を出し、葛根湯を毎食ごとにがぶ飲みし、コーヒーで胃をタプタプにしながら、パソコンと格闘する。使っていない長机を倉庫から引っ張り出し、デスクの横に置き、数えきれない書類を並べながら仕事を続けていく。仕事が終わったら、仕事。仕事が終わったら、仕事。仕事が終わったら、仕事。こういう時、命令系統が複雑になればなるだけ現場が混乱する。そして、正確な情報だけをピックアップし、社内で共有していく必要がある。「コロナ対策リーダー」(笑)がやらねば、誰がやるのだ。

 

これくらい、「たいしたことはない」。

 

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そう、まだ恵まれている方だ。業績は、まだ、目に見えて下がらない。それが意味するのは、「通常業務が通常のまま流れる」という現実。「通常」を維持するためのコストは、そっくりそのまま上乗せされる。「通常通り」なのだから、管理職研修も当然行われる。人を監督し指示をするという新しい仕事へのプレッシャーも、当然のように襲い掛かる。部署に入ってきた新入社員はしっかり馴染めているだろうか。担当者が交代になったあの仕事は円滑に回っているだろうか。

 

自分の「通常」の仕事も、全部が初体験だ。げ、これは何だ。前任者はなんでこんなテキトーな数字を・・・。ちょっと昨年の資料を調べに倉庫に行ってきます。え? 内線? ああ、このパターンのトラブル。OK、その程度ならこっちであとでフォローできる。うん、はい、コロナ対策の相談、うん、ちょっと、ちょっと待ってね。何も対策してない訳じゃないよ。まだ表に出てないだけで進んでるんだけど、それを説明するね。あっちの応接室でも使おうか。はい? クレームの電話? おたくの会社に感染者がいる? いや、それは何のデマ? うーん、まあ、取り急ぎこっちに電話回して。

 

4月中旬、倉庫に積まれた段ボールの空き箱を見つけた時、「これを重ねて敷いたら簡易ベッドになるな」と考えていた。この頃が一番「キテ」いたと思う。

 

今は、取りあえずひと段落がついた。全国への緊急事態宣言が予定通りに完遂された場合、あるいは延長された場合、それが5月中旬なら、5月末なら、6月以降なら・・・。おおよそのパターンについて、考え得る限りの段取りし、各方面への根回しも完了した。波乱万丈のまま突入した在宅勤務も、大きな問題はなく回っているようである。感謝。感謝。私の指示で動いてくれた部署の皆には、本当に頭が上がらない。

 

「地獄の春」の期間、お供はTHE YELLOW MONKEYの『バラ色の日々』だった。誰もいない深夜のオフィスで、Bluetoothスピーカーを爆音に設定し、何十回もリピートで再生する。

 

バラ色の日々

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「追いかけても追いかけても、逃げていく月のように。指と指の間をすり抜ける、バラ色の日々よ。」

 

「バラ色の日々を、君と探しているのさ。たとえ世界が行き場所を、見失っても。」

 

私というひとりの人間は、一応、一旦の「地獄」を走り切ることができた。これがまだ助走に過ぎないのか、それは全く、分からないけれど。でも、息継ぎをしようとしても、温泉にも行けない、マッサージも行けない、飲みにも行けない、映画もやっていない。漫画や小説を買おうにも、物流前線にはぜひとも生活必需品を優先して欲しい。ただ家でゴロゴロと、寝て、起きて、寝て。冬眠する熊のように、体力の回復に努める。まずは、それくらいしかできない。

 

どうにも、世知辛い。

 

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