『仮面ライダージオウ』第46話は、山口監督&下山脚本による、アクア&エターナル編(むしろ「アナザーワールド編」?)の後編。今回の3話構成、振り返ってみれば、オリジナルキャストでのゲストライダーが2人、大量のダークライダー、アナザーディケイドにアナザードライブと、要素の多いシリーズでした。二週連続で退場するキャラクターがいたり、登場人物たちにいよいよの判断が迫ってきたり。「佳境っぷり」がどんどん増してきてますね。
そしてこのジオウシグナルも、話数と同じくもう46回・・・。自分で言うのもなんですが、よく書いたなあ。毎回4,000字以上は書いたはずなので、単純計算で18万字以上。うーん、すごい。ここまできたので、当然、最後まできっちり書き上げるつもりです。残すところあと数回ですが、最後までお付き合いいただけますと幸いです。(『ゼロワン』の毎週感想については保留中。『ジオウ』と違って、平成ライダーシリーズの過去作や文脈を取り扱うことができないので、単なる予想合戦に文字数を割くことになりそうで、それはちょっと本意じゃないなあ、という思いもあり・・・。うーん。)
ということで、『仮面ライダージオウ』の感想を綴る「ZI-O signal」(ジオウシグナル)、今週もいってみましょう。
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白ウォズとゲイツの「可能性」
誰かの「可能性」を幽閉することで、別の「可能性」を実体化させるアナザーディケイドの能力。これにより、ゲイツの「可能性」が白ウォズの「可能性」に転換されてしまった。
例えば陸上選手の彼が「一番でゴールする」という可能性をループで見せられていたように、例えばゲーマーの彼が「大会で優勝する」可能性に幽閉されていたように、アナザーワールドの効力は「その人が望む可能性」の永久ループにある。そうすると、ゲイツが閉じ込められた世界で「ソウゴと共に新しい未来を作りたい」を願い続けている様子は、ひたすらにグッとくるものがありますね。
これ、仮に物語序盤であれば、「ゲイツがソウゴを亡き者にして未来を救ったことに安堵する可能性」がループしてたと思うんですよ。でも、今のゲイツは違う。ソウゴと何度もぶつかり合い、共に戦う中で、彼が目指す最高最善の王の道を支えたいと思っている。その深層心理の変化が、今回こういったアナザーワールドに現れている、という訳ですね。しかも、先週つい勢いでこぼしてしまった「敵は敵」「人はそう簡単に変わらない」の、その先。「でも」「俺は」「お前と」。ゲイツの本音が垣間見えるシーン。
対する白ウォズの「可能性」も実に良い。スウォルツとしては、「ゲイツリバイブ未来を実現させるためにソウゴたちの未来を消しにかかる者」として白ウォズを召喚したのだろう。しかし、そんな白ウォズが求めた「可能性」は、「我が救世主の目的をサポートすること」。つまり、ゲイツの目的を支援することが白ウォズの信条なんですよね。
年明けからの第二章が始まった頃は、まだソウゴを完全なる仲間とは認め切れていなかったゲイツ。彼が完全にそれを自覚したのは、第28話「オレたちのゴール:2019」。そして、そこから間もない第30話「2019:トリニティはじめました!」で白ウォズは消えていく。ゲイツの目的が「オーマジオウを倒す」から「ソウゴと共に未来を作る」にシフトし、その結果トリニティフォームが誕生したことで、可能性として存在していた「ゲイツリバイブ未来」が消滅した結果であった。
つまり、その「ゲイツリバイブ未来が消滅した今」、白ウォズが我が救世主のためにできることは、ゲイツがソウゴと共に未来を作る、それ自体をアシストすることになる、と。白ウォズはそもそも、「ゲイツリバイブ未来を実現させるため」に動いていたのではない。「ゲイツのため」に動いていたのだ。ここを、スウォルツは決定的に読み違えていた。
こういう、「悪サイドが利用しようと過去キャラを復活させるも、そいつのイズムが勝って誤算に発展する」展開、良いですよね。『MOVIE大戦フルスロットル』の戒斗とか。
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トリニティの力
そんな白ウォズのオペレーションの鍵となったのは、トリニティフォーム。いつぶりの登場だろう。久々。このトリニティフォームの、「ゲイツとウォズを強制的に変身に組み込む」という能力を応用することで、アナザーワールドを破壊するのが目的。
ただ、演出の見せ方として、例えば ①いきなり白ウォズとソウゴらが戦い始める ②実はそれが「やらせ」だったことが後のシーン挿入で分かる、というスタイルの方が好みだったかな。実際は②①の状態だったので、お互い割と真剣にやり合っているのにその全てがスウォルツを欺くための演技、という補正で観なくちゃいけない感もあって・・・。というか、特撮ヒーロー番組はよく①②パターンが多いので、それに自分が慣らされてるだけかな?
とはいえ、何より、復活した白ウォズがレグルスを眺めているシーンがもういきなり良いですよね。オーマの日を象徴する、獅子座の一角の星。当初の正史では、この星が輝く下の海岸で、ジオウとゲイツが決戦を繰り広げていた。しかし、未来は変わった。トリニティが生まれたことで、オーマの日は事実上の消滅、そして「ゲイツリバイブ未来」の可能性まで霧散した。トリニティはつまり、白ウォズにとっては「自身の存在の可能性を決定的に破壊した象徴」なんですよ。
しかし、彼はゲイツのためにそれを作戦の鍵にする。ゲイツが信じたソウゴを信じる。こうやって、信頼と力関係のバランスが最終的に全てソウゴに向かっているのが、実に良いと思うのです。まさに王様。
そして、その作戦の一環でエターナルに対してダブルアーマーを使うのも良いですね。もちろん、例のBGMとあわせてダブル合わせという意味もあるんですけど、この時ソウゴは、エターナルに勝ってしまってはいけない状況にあった。ジオウⅡやグランドジオウという、アナザーライダーの縛りすら無効化できる強化フォームがあるのに、あえてダブルアーマーを使う。それは、スウォルツに向けた「応戦しているポーズ」なのだろう。
エターナルメモリの能力を使ってアナザーワールドを破壊するためにも、ここで戦力として上回ってはいけなかった。応戦している「てい」で、敵にマキシマムを放たせ、それに耐える必要があった。そういう意味でも、ダブルアーマーを装着するのは挑発として大きいですよね。そりゃあ、目の前にアーマーとはいえダブルが出てきたら、テンション上がっちゃうでしょう、色んな意味で。
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消えるエターナル、散るアクア
そうして、アナザーワールドを破壊することで消えていくエターナル。台詞といい、仕草といい、エターナル度数が高すぎる・・・。
東映公式サイトによると「松岡さん、とにかく、エターナルを愛しぬかれていました!45話の「未来も過去になるんだ!」というセリフは、松岡さんのご提案。エターナルファンへの期待に応えるべく、さらに、新たな視聴者に、エターナルの魅力が伝わるように、細部まで気にかけて、ジオウTVシリーズでのエターナルの健在っぷりを示していただきました!」とのことで、『オーズ』渡部秀のような闇のプロデューサーがまたひとり誕生した様子。
そして、エターナルを海岸の風車が目立つロケーションで戦わせるの、すごく良いですよね。海のすぐ近くは消防法な意味で爆破がしやすいという利点もある一方、砂で足が取られるため、アクションが大変だと思うのです。しかし、風車が回っている背景をバックに戦うエターナルは、問答無用で素晴らしい。
今回、このロケーションという意味で全体的に細やかな仕上がりになっていて。
例えば、電王編の彼から生まれた仮面ライダー幽汽(ハイジャックフォーム)。『さらば仮面ライダー電王』に登場したダークライダーですが、そんな幽汽の目的は、生きている者と死んだ者をひっくり返すこと。そのために暗躍していた幽汽が登場したロケーションは、なんと墓地!良い!墓地!!
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そして、無残にも散っていった仮面ライダーアクアこと湊ミハル。
水を怖がり、しかし明日のパンツを手にそれを克服した、水を操る仮面ライダー。彼がアナザーディケイドに敗北し、落命していくシーンでは、暗い空から雨が降る訳ですよ。鮮やかな、青い水を自在に操っていたアクアが、暗い雨に打たれて命を落としていく。この残酷すぎる美しさ・・・!ショッキングすぎるシーンなのに、あまりに画が美しくてウットリとしてしまいました。
本来、敵であるためのエターナルが笑顔で消え、味方であったはずのアクアが命を落とす。この対照的な落としどころは、壮絶さを掻き立て、ソウゴに決断を迫っていく。
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自分か、ツクヨミか、オーマジオウか
スウォルツが投げかける三択は、①ソウゴ ②ツクヨミ ③オーマジオウ。最高最善を目指して自分の目的のためにスウォルツを倒してしまうのか、それを諦めてツクヨミ生存を優先するのか、魔王に堕ちることで(自らを犠牲にすることで)自分の存在とツクヨミを同時に成立させるのか。
このロジックに関してはスウォルツの説明待ちなところが大きいですが(いきなり「スウォルツ時間軸」の存在持続がスウォルツ本人と紐づいているという超理論が出てきて驚いている)、ここにきて、「誰かを救うために自分を犠牲にしてオーマジオウになる」という可能性が出てきたのは面白い。ソウゴはずっと最高最善を豪語しているので、このままだとそう簡単に最低最悪にはならない訳ですよ。彼が決定的に「堕ちる」かもしれないイベントがあるとしたら、それは確かに、「民のため」なのかもしれない。
次回、スカイウォールが復活し、歴代敵怪人もわらわらと現れる模様。そして、ディケイドのジオウへのカメンライド、魔進チェイサーの復活と、イベントが盛り沢山。世界の危機と、魔王への選択。ソウゴは無事にそれらを捌き切ることができるのか。
あ、あとこれは余談ですが。
どうやら切り札は、常に俺の所に来るようだぜ......。 pic.twitter.com/xwumpn2kwZ
— 結騎 了 (@slinky_dog_s11) 2019年8月2日
運良くゼロワンドライバーの選考抽選販売に当たりました。届いたらまた遊んだ感想をブログに書くかもです。プログライズキー、すでにフライングファルコンを買いましたが、いい感じの「ガジェット感」ですね。自分、こういうのが大好きな子どもでした・・・。
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