ジゴワットレポート

映画とか、特撮とか、その時感じたこととか。思いは言葉に。

「ネトフリで観ればいいじゃないかマン」、歯ァ食いしばれ!

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今から貴方が読む内容は「映画鑑賞が趣味の人」のぼやきを超えるものではありませんので、どうかその辺り、ご了承ください……。SNSが盛況すぎてマジで言いたいことも言えないこんな世の中ですが、場末の個人ブログでくらい許してください。POISON。

 

いやね、常々思っていることがありまして。「映画館で映画を観る」という行為の「映画館で」という部分、なんだか物凄く軽視されちゃってませんか、って話ですよ。

 

同好の士を多くフォローしているので、Twitter(いまだにXと呼びたくない)において映画の話題を多く目にするのですが、例えば「映画館に行く時間が取れない」「映画館が遠くて頻繁に行けない」「映画館が混雑してる」といった話題に「家でネトフリで観ればいいのでは?」などという意☆味☆不☆明な返答が飛び交っていたりする訳ですよ。

 

な、なにを言っているんだ……。映画は!基本的に!映画館で!観るものですよ!

 

これはふたつ背景があって、まず第一に。新作は映画館でしかやってないだろ!マジで!マジでさ、なんでここを無意識にオミットする人がいるの!? こういう時に「今どきは公開からたった数週間で配信を解禁する新作もあるけど」とか言い出す奴はもうここで漏れなくブラウザバックしてほしいのだけど、基本的に!原則として!一義に!新作映画って映画館でしか映(や)ってないのですよ。そんなの当たり前なのよ。新作は新作なんだから新しいうちに観たいのが普通のことじゃない。好きなバンドの新曲は発売日に聴きたい。好きな漫画の新刊は発売日に読みたい。それとなんら変わらないワケ。制作決定の一報から、スタッフ・キャストの決定、予告解禁、公開日決定と、数年かけて楽しみにしてきた新作だったりもするのよ。そりゃあ、いち早く観たいじゃない。

 

それなのにね、いけしゃあしゃあと「ネトフリで観ればいいじゃん」とか言う奴!そういうことしたり顔で言う奴!マ・ジ・で!なぁ~~~にを言っているのかおじさん分かりませんよ!映画館での映画鑑賞とネトフリは全くといっていいほど代替が効きませんのよ!こんな当たり前田のクラッカーな事実をわざわざ書かなきゃならないくらい「ネトフリで観ればいいじゃないかマン」が棲息するこの世の中!!!

 

第二に。映画って、映画館で観るために作られてるんですよ。これ分かりますよね。映画館の大きなスクリーンと、それ専用の音響で、最大限のパフォーマンスを発揮できるように設計されているのが、映画なのですよ。これもね、「テレビドラマのクオリティをそのまま上映してるやつもあるだろ」みたいなn=1を持ち出す奴は今ここでブラウザバックすることを秒でお約束してほしいのだけど、映画のディスクに入ってるメイキングとか観る人にはもはや説明不要な話で、作り手は「映画館での上映」を当たり前に念頭に置いている訳ですね。

 

例えば「大きなスクリーンだからこそ複雑なアクションを展開できる」とか「ディテールを描き込むことができるのは劇場版ならでは」とか「音響の立体感や臨場感にこだわった」とか、そういう作り手の証言はゴマンとあるし、常識なのですよ。女優さんが舞台挨拶で「映画館の大きなスクリーンに顔がアップになってヒヤヒヤする」みたいなこと言って笑いが起こったりするのも常なんですよ。だから、映画は映画館が最も相応しいのです、視聴環境として。IMAXや4DXなんてもう例示にすら挙げませんよ、当然なんだから。スマホでも、タブレットでも、テレビ画面でも、そんじょそこらのホームシアターでも、肉薄すら難しいんです、映画館の設備というものは。

 

それを!!言うに事欠いて!!「ネトフリで観ればいいじゃん」!?!?!?!? ネ ト フ リ で 観 れ ば い い じ ゃ ん !?!?!???????

 

冒頭に書いたように。「映画館で映画を観る」という行為の「映画館で」という部分、なんだか物凄く軽視されているようで、一介の映画好きとしてとても寂しく感じるんですよね……。ネタバレが良くも悪くも強く叫ばれるようになった昨今、「お話の筋を履修すること」に比重が偏っているといいますか。

 

例えば、アーティストのライブに現地参戦するのと、ライブBlu-rayを買って家で観るの(あるいは中継で参戦するの)、全然違うじゃないですか。これを「同じでしょ?」って言われたら、「いや、ナマの迫力が」「臨場感が」「一体感が」ってみんな言うでしょ? 映像で観た方が現地よりアーティストの表情や所作が事細かに確認できるのに、それでも現地の良さがあるでしょ? 野球観戦もクラシック鑑賞も、やっぱり現場が望ましいでしょ?

 

映画もね、同じなんですよ……。映画って、お話の筋を履修しに行くだけじゃなくて、映画館という金のかかった設備も堪能できる場所なんです。その設備での上映を意図して作られた映像作品を、まんまその設備で鑑賞できる空間なんですよ。

 

ネ ト フ リ で 観 れ ば い い じ ゃ ん ! ? ! ? ! ? ! ?  ! ? ! ? ? ? ? ? ? ? ?

 

そんな、そんな訳ないんだよ……。映画館は映画館、ネトフリはネトフリ。代替できるもんじゃないし、鑑賞体験としてはもはや別物ですらあると、私は思うのです。

 

分かってくれとは言いませんけどね、映画オタク界隈って、洋画の新作がどうしても早く観たいから公開が遅れる日本を発って国外へ遠征するとか、そういう人までいるんですよ。私も家にホームシアターをこしらえた人間ですけど、これで観ることが映画館の代替になるなんて毛ほども思ってないですよ。それこそ「ネトフリで観る」のレベルをちょっと上げる程度であって、どれだけレベル上げをしても「映画館で観る」にはなりませんよ。最初から別物なんだから。

 

こんな「カラスは黒い」みたいな話を延々と書くことすら、今のインターネットではやり辛くなってしまった。「でもアルビノの白いカラスがいますよ」と得意気に言ってくる意☆味☆不☆明な存在に怯えなきゃいけなくなった。なんて世知辛い世の中なんだ。個人ブログが最後のユートピアかつゴミ溜めなのか。

 

いや、まぁ……。自戒するとすれば、私もどこかの誰かにとっての「ネトフリで観ればいいじゃないかマン」になっていないか、それを常に自問しながら生きていきたいですね。魑魅魍魎跋扈するこの地獄変、のらりくらりとサバイブしていきましょう。

 

そして、この記事を書き上げたことで、ここからの余生において「ネトフリで観ればいいじゃないかマン」に遭遇する度に、モンスターボールのようにこれを投げられるようになった、と。個人ブログ、こういう「わざわざ説明するのが面倒だけど説明が求められる私見」の外部保存装置ですよね。ほんと。