ジゴワットレポート

映画とか、特撮とか、その時感じたこととか。思いは言葉に。

させていただきますリフレイン

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この記事を書かせていただきます、また、本日の発表を務めさせていただきます、結騎と申します。少しばかり、お時間を頂戴させていただきます。

 

昨今、させていただきますという表現があまりに使われすぎている点について、意見を述べさせていただきます。例えばビジネスの現場を例に取らせていただきますが、会議やプレゼン等で登壇者が話をさせていただく際に、「もういいだろ!」というくらい、フレーズの最後がさせていただきます一色になってはいないだろうか、と、苦言を呈させていただきます。

 

右も左もさせていただきます。猫も杓子もさせていただきます。確かに、使い易い言い回しであることは、理解させていただいております。私が申し上げさせていただきたいのは、これが場合によっては「拝見させていただきました」のような二重敬語になっているとか、そういった文法上の話ではございませんことを、前提としてご理解いただければと思います。

 

させていただきますという表現が、突き抜けた「へりくだり」のニュアンスを有させていただいていることから、実に使い勝手がよく、あらゆる局面ですでに一般化していることにつきましては、異論の余地はなく、かくいう私もさせていただきますを日常的にビジネスの現場で使用させていただいておりますことを、ご理解いただければ幸いです。

 

しかし。ここで私がお話させていただきたいのは、正しいとか、間違っているとか、そういったお話ではございませんことを、重ねて、述べさせていただきます。シンプルに、くどい、と、そういった話をさせていただければと思います。

 

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誰もが小学生の頃に、先生のお話における「あー」「えーっと」「んー」等の回数をカウントしたご経験があることを、ここで私から指摘させていただきます。つまりは、そういった特定の表現というのは、一度気になったらもう頭から離れることが難しく、会話の内容を超える存在感を主張し出すことにつきまして、多くの方に、ご理解いただいているかと思います。私などが例を挙げさせていただく必要がないほどに、皆様、体感としてお持ちのことと存じます。

 

先日、当社に営業の方がお越しになられました。我が社の商品であれば、御社、(ここでいう私どもの会社のことでございますが)、御社の役に立てさせていただけると、そういったお話でございました。私も、数字と睨めっこしていた手を止め、そのお話を拝聴させていただきました。それはそれは、大変熱心に、かつ、丁寧な物腰でお話されるので、その真摯な御姿に、つい「何か力になってあげたいな」と、そういった思いを抱かせていただきました。

 

しかし一方で、させていただくの登場回数が異常なほどであると、そういった感想を抱かせていただきました。それはそれは、驚くべき頻度であったことを、ここでご報告させていただきます。させていただきます。させていただきます。させていただきます。よもや全てのフレーズの最後がそれだったかと見間違う、(厳密には「聞き間違う」であることを補足させていただきます)、見間違うほどに、させていただきますの登場回数が多すぎたのです。

 

まるで味噌カツをそのままもう一度タレの海に漬け込むような、そんな感覚を抱かせていただきました。濃すぎる、させていただきます。させていただきますに、させていただきますを重ねがけしていく様相。そう、「追い」でございます。これは私、僭越ながら、「追いさせていただきます」と表現させていただきます。

 

そうなると、大変恐縮ではございますが、私の心の中に住む小学生が、顔を出させていただく機会が生まれてしまいました。わずか10分程度の面会において、「させていただきます」が登場した回数は、30を超えておりましたことを、ご報告させていただきます。単純計算で20秒に1回の頻度でさせていただきますが登場する計算をさせていただきました。20秒に1回のさせていただきますでございます。

 

これを「追いさせていただきます」と表現させていただかなくて、何と表現させていただければよろしいのでしょうか。

 

それはもう、くどい、の一言であると、述べさせていただきます。話の中身が、脳内に入ってくるのが困難でございます。させていただくの攻勢があまりに強力なものですから、そればかりに気を取られてしまい、肝心の商談の部分をいくつか聞き逃してしまったことを、ここに伏してお詫びさせていただきます。

 

そもそも、させていただきますという表現は、決して、発音として発しやすい音ではございませんことを、主張させていただきます。

 

「さ」と「せ」が同じ「さ行」の音でありますから、何度も使っていくうちに、音がスリップによる巻き込み事故を起こすような感覚に、私の場合は陥らせていただいております。俗に言うゲシュタルト崩壊と同列に語ってしまうのは、例えとしてやや不適切であると痛感させていただいておりますが、そのようなニュアンスのお話をさせていただいているところでございます。

 

ここにお越しの皆様におかれましれは、させていただくの多用について、極力ご配慮いただきたいと、そう、申し上げさせていただきたい所存でございます。世の中にはさせていただきます症候群というフレーズも存在しておりますが、それほどに、させていただくにどうしようもなく引っ掛かりを覚えてしまう人は、少なくないということを、今日の結論として、提案させていただきたく、そう、今一度、述べさせていただいております。

 

ご清聴、ありがとうございました。お配りさせていただいておりますアンケートにご協力いただけますと幸いでございます。今後の参考とさせていただきます。

 

リフレインが叫んでる

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