『仮面ライダージオウ』第40話は、柴崎監督&毛利脚本による、電王編後編。これをもって、「ライドウォッチ収集第二弾」は一応の閉幕、ということで良いのだろうか。
改めて全体の構成を振り返ってみたい。ビルド編を皮切りに過去と現在を行き来してアナザーライダーを討伐した第一章が年末放送まで。もうひとつの未来の可能性から新たなライダーが登場し、果てに白ウォズが消滅するまでが第二章(で良いのかな?)。アギト編以降のライドウォッチ収集再スタートが便宜上の第三章。となると、この電王編で区切りをつけ、最終ターンとなる第四章が実質の最終章、ということだろうか。
そろそろ『ジオウ』の次のライダーが発表になるタイミングだけど、仮にそれが例年通り9月スタートだすると、残りはもう9話しかない。加えて、実質の最終回と銘打たれている夏の劇場版。『ジオウ』の物語も、残り9話+映画1本。いよいよ、という感じですね。
⌚⌚夏映画情報だジオ!⌚⌚
— 仮面ライダージオウ (@toei_rider_ZIO) June 21, 2019
7月26日(金)公開の映画『仮面ライダージオウ Over Quartzer』のキャンペーンで、今年のお盆は仮面ライダージオウが関西に行くーーーーー!!!ジオ!
8月15日に和歌山マリーナシティ&京都東映太秦映画村に!我が魔王が降臨ジオ!!!#OverQuartzer #ジオウ pic.twitter.com/8oAHA8Fz8Q
ということで、『仮面ライダージオウ』の感想を綴る「ZI-O signal」(ジオウシグナル)、今週もいってみましょう。
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電王編として
前回の感想でも書きましたが、電王編としてはやはり、ドラマ面のテイストが印象深かったですね。死期を悟った姉と、その望みを叶えたかった弟。まあ、例え本人が望んだからといって重病人を勝手な判断で病院から連れ出すのはどうなんだ・・・ という思いもあるにはあるのですが。
ちょっとだけ小林靖子節を感じたのが、「これにより彼女の弟が自分を恨んでくれたら、その恨みによって心の穴が埋まるかもしれない」の部分。こういう、愛ゆえの過剰な「おせっかい」、妙に懐かしいなあ、と。
そんな、ハートフルとビターを混ぜ合わせた落としどころは『電王』としてそれなりに上手い塩梅だな、と感じつつ、『ジオウ』におけるグランドジオウ降臨と絡めるとなると、ちょっとストーリー構成として弱かったと思うんですよね。
その最たる部分として、誰もが感じたであろう、アナザー電王に対するあまりのオーバーキル。確かに、満を持して誕生したグランドジオウの能力はすごいし、それを堪能する面白さも、画の迫力も、申し分がない。しかしそれは、その対角線上に「倒すべき敵」がしっかりと存在してこそ完成するバランスなんじゃないかな、と。ぶっちゃけ、アナザー電王はドラマ展開のオチを見るに特段悪いことはしていないし、断罪されるべきポイントも少ない。「アナザーライダーだから倒される」以上の理由は、どうしても薄い。そんなアナザー電王に対し、あそこまで過剰に必殺技を叩きこむのは、やはりちょっと可哀相だったかな、と。
もちろんこれは、「グランドジオウを活躍させるな」という意味ではなく、「せっかくの強化フォームならばそれに相応しい敵と伴うドラマを魅せて欲しかった」ということ。「うおお!!グランドジオウ!!かっけぇ!!」と拳を握りたいのに、どうにもそれに感情が振り切れないのは、シンプルに惜しかったと感じている。
アナザーライダーの契約とイマジンの契約を同時に進行させることで、『ジオウ』『電王』両作の語り口を融合させていく流れは実に良かったと思うのだけど、結局モールイマジンが過去に飛んだ目的も不明瞭だし、アナザー電王はそこまで悪者でもないし、積み上げた展開がふわっと分解してしまった印象なんですよね。その分、グランドジオウの圧倒的な能力に印象を引っ張る荒業をやってのけているのだけど、やはり全力では乗り切れなかったのが本音。
『電王』要素としては、相変わらずツンデレ的な所作を見せる侑斗や、モモタロスの「良太郎」発言、佐藤健に骨格が似たウォズのモモ憑依など、細かな見所が多かった。やる気のない「俺さんじょ」状態のソードフォームは、奇しくも当時の侑斗初登場回のものなので、あえてここを持ってきたのはスタッフの遊び心だろうか。
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グランドジオウの能力に関する解釈
上では色々と書きましたが、それでもやはり、グランドジオウの登場は盛り上がりましたね。OPで毎週出てきていた、「銅像の平成ライダーが生気(?)を取り戻していく」演出が採用され、ジオウの身体にくっついていく。レリーフとして意匠に寄せるのではなく、文字通り、「そのライダーが身体に張り付いている」といった演出。各ライダーがちょっとだけポーズを撮る仕草など、撮影には地味にかなりの手間がかかってそう。すごい。
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そんなグランドジオウの能力は、前回も予想したように、リプレイの模様。言うなれば「リプレイ召喚」といった感じだろうか。
Twitterでは、「召喚されたライダーに自我はあるのか」「タイムゲートを超えて召喚させてしまうと本来攻撃が当たるはずだった当時の怪人を倒せなくなるのでは」といった声も見かけたけれど、これ単純に、ただそのアクションをグランドジオウが任意に再生しているに過ぎないと思うんですよ。ご丁寧にビルドやオーズは「これが当時の映像です」「これが今回の攻撃です」といった演出をしていましたしね。
例えるならば、グランドジオウそのものが「歩くビデオ屋」のようなものかな、と。『クウガ』から『ビルド』までの全ての平成ライダーの映像をその身に宿したジオウは、任意に特定のライダーの攻撃を再生することができる。タイムゲートのような演出で、それは確かに事実上の「時空越え」なんだけど、厳密には、あの瞬間にあそこでタイムトラベルが実行されている訳ではない。ジオウが有する、平成ライダーの激闘の記録。それそのものを、好き勝手にリプレイする。武器に焦点を絞って再生=武器の使用も容易だし、もしかしたら、過去の主人公を自在に召喚することもできるのかもしれない。
だから、「リプレイ召喚されたライダーに自我はあるか」という問いであれば、答えはNO寄りのYESというか。今回のビルドであれば1話時点の戦兎が、オーズの場合は3話時点の映司が、おそらく2019年現在に複製召喚されている。ただ、グランドジオウの能力の使い方として、アクションを切り取る打撃優先の方向で処理しているので、それ(キャラクターの自我)が発揮される機会そのものが無い。同時に、本来辿るはずの正史にもなんら影響はない。
というのも、例えばビルドやオーズ、鎧武も同様に、アナザーライダー討伐からのライドウォッチの継承を経て、正史は消滅しているはずなのだ。なので、「過去から現代にライダーを召喚する」という解釈だと、理屈が合わなくなってしまう。他でもないジオウが、その過去そのものを偽史に変えてきたのだから。なので、前述のように、ライドウォッチという作品概念=存在権自体をグランドジオウライドウォッチという形で統べたジオウが、その中に蓄積された闘いの記録をリプレイしていると解釈する方が、自然なのではないかな、と。
まあこの辺りは、平成ライダーでは毎度のことで、描写が増えていくごとに設定がブレる予感もするのだけど、現時点での私の解釈はこんな感じですね。グランドジオウは、あくまで「リプレイ召喚」である、と。
演出面でいくと、タイタンソードを召喚する際にちゃんとリント文字が浮かんだのが良かったですね。あと、当時の武器音声が沢山聞けそうなのも楽しみ。
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「お前は本当に常磐ソウゴなのか?」
今回終盤、さらっと投げかけられた疑問。「お前は本当に常磐ソウゴなのか?」。確かに、オーマジオウを敵視し、絶対に最低最悪の魔王になりたくないと決意する現在のソウゴは、どう転んでもオーマジオウに「ならなそう」ではある。
しかし、年末辺りに未来の自分と相対した際に、ソウゴは「オーマジオウが未来の常盤ソウゴである」ことをしっかりと目視しているんですよね。演出上、顔こそ見せませんでしたが、「確かに自分だ・・・!」という感じで。次回、まさかの加古川飛流再登場ということで、「オーマジオウに変身していたのは本当に常盤ソウゴなのか」という疑問も再浮上するのだけど、うーん、どういう展開になるのだろう。
そして次回、時間SFにはお馴染みの、歴史改変パターンへ。終盤、いきなり2068年に送り込まれていたソウゴだけど、これはどういうことだったのかな。オーマジオウの能力か、スウォルツの差し金か。兎にも角にも、いきなり未来の自分と戦うことになったソウゴ。相変わらずオーマジオウは歴代ライダーの力を使った謎攻撃を繰り出すけれど、グランドジオウなら前よりは太刀打ちできるのだろうか。にしても、いきなりラウズカードが飛んできたのには驚いた。トリックブレイド!
次回は諸田監督ということで、響鬼編以来の登板になるのかな。かなりの話数を担当されている印象。一方の脚本は、井上敏樹御大という例外を除き、下山・毛利のダブル体制で最後までいきそうな予感。
皆が気になるドライブライドウォッチについては、公式にも「全ての平成ライダーの力をかけて駆使した激しい戦い。だがソウゴの力は、オーマジオウに及ばない。その理由は全てのウォッチを集めたわけでは ないからだとういう……。」とあるように、ある程度のフォローが入る模様。全てのライドウォッチを真に継承した姿が、例のオーマフォーム、ということなのかなあ。
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