三連休最終日になんとか時間を作って『イコライザー2』を鑑賞。前作が2014年公開だったので、実に4年ぶりのイコり。
元CIAエージェントのロバート・マッコールが悪を挫く、痛快アクションスリラー映画の続編。さすがのデンゼル・ワシントンと言うべき、「人の良さ」と「サイコな感じ」の融合っぷりは健在。実に楽しい作品でした。
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前作『イコライザー』は、「タマフル」改め「アトロク」でも特集が組まれていた「ナメてた相手が実は殺人マシンでした映画」(映画ライター ギンティ小林氏命名)の一角。「おいおいオッサンよ~ ここは黙って帰った方がお利巧ってもんだぜ」的なノリでナイフで頬をペチペチするように舐めてかかる悪漢共を、実はゴイスーな経歴を持つ主人公がバッタバッタとなぎ倒す、そういう方向のカタルシスを魅力とする作品ですね。(この形容があまりにもドンピシャすぎて一度言及しておかないと筆が進まない・・・)
『イコライザー2』は相変わらず主人公の魅力で話を引っ張る感じがあり、良い意味でデンゼル・ワシントンに頼るスタイルとして前作から一貫している。神経質で取っつき辛い人かと思いきや、父性あふれる振る舞いをしてみたり、悩める若者を導く宣教師のようであったり、しかしスイッチが入るとマシーンのように淡々と敵を殺す。この絶妙なバランスが、何よりも作品の魅力として大きい。
観ていて思わず笑ってしまったのが、殺す宣言した相手の前を一度去るシーンのマッコール。まるで「今度一杯飲みに行こうな!イェイ!」的なテンションと笑みを浮かべながら、殺す宣言した相手から去っていく。なんだこの身の毛もよだつ宣戦布告は。こういう、違和感があるほどに人当たりが良すぎるシーンがあるので、一周してサイコな魅力がプンプンと匂ってくる。いや、怖ぇよ、マッコール。
前作、ホームセンターであまりにも暴れてしまったからか、今作ではタクシードライバーにジョブチェンジ。そのおかげか、必殺案件やサイドストーリーが自動的に(乗客として)主人公の元に転がり込む構成になっており、全体的にすっきり観やすい。
色々と「結局あれってどうなの?」な部分もあるにはあるけれど、あくまでマッコールが仕置きできる狭い範囲の物語のみに割り切っているので、「闇の仕置き人」という本作のテーマとも符合する。国家を転覆させるような国際的大規模テロにはイーサン・ハントが当たってくれているし、ニューヨーク規模の都市ならスパイダーマンが守ってくれる。マッコールは、自身の生活圏内とたまたま知り合った市井の人々に闇から手を差し伸べる、そんなミニマムなダークヒーローなのだ。
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前作のクライマックスは勤め先のホームセンターを舞台とした戦いだったが(私は勝手に「ホームセンター・アローン」と呼んでいる)、今作は嵐で避難指示が出た無人の街が登場。任意の建物を使って罠を仕掛けるマッコールと、高所を巧みに使いながら攻めてくる敵チーム。人数差を物ともせず、罠を発動させては「また一人」「また一人」と確実に消していく様は、さながらホラー映画。被害者の写真が外壁に沢山貼りつけてあるとか、あまりにも悪趣味すぎて笑いが止まらない。考える暇もなく淡々と粉塵爆発を手配する様子にも笑った。
そんなマッコール、結局、やっていることは私刑の域を出ない。自分だけの判断基準で、警察も法も無視して成敗する。そういう意味では今回の敵たちとやっていることは大して変わらないのだが、それでもマッコールが「あり」なのは、彼がこの物語の主人公だからに過ぎない。主人公だから、彼なりの理屈と信条が描かれて、すごくかっこよく映る。でも、第三者からすればどちらも恐怖の無法者だ。
そんなことはマッコールも重々承知で、だからこそ、自身の哲学を貫いて自己肯定し続けるしか道はない。「私は “こう” だから正義である」と自らに言い聞かせながら、溢れ出そうな何かを表面張力のように保ち、それから気を逸らすかのように詩的で文学的な世界に身を投じつつ、黙々と悪人を粛正していく。そんなマッコールの不確かな背中にこそ、なんとも言えない味があるのだ。
ぜひ、『イコライザー3』が観たいものである。今度はコンビニ店員とかかな。
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