ジゴワットレポート

映画とか、特撮とか、その時感じたこととか。思いは言葉に。

田舎オタクの苦しみ。都会への嫉妬に気が狂いそうになる、そんな時もある。

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都会に住みたいなあ、と、2日に1度は思っている。いや、嘘をついた。おそらく日に5回は思っている。

 

自分という人間を構成する要素として、オタクな部分は決して少なくない。漫画を読んで、小説を読んで、映画を観て、フィギュアをいじって、オタク語りができる人間と語らって。そんな時間をある程度は確保していないと、自分という人間が少しずつ溶けて無くなっていくような、そんな感覚がある。

 

なので、仕事が忙しくて趣味の時間が取れない時期などは、睡眠時間を削ってでも映画を観たり漫画を読んだりする。そうしないと、どこかのタイミングで自分を保てない瞬間が訪れそうな、薄い予感がする。

 

その点、田舎住まいは辛い。「いや、そう思うなら都会に引っ越せよ」と、読者諸賢は思うかもしれない。あのね、できるならやっている。やれないから嘆いているのだ。人には事情というものがある。今は、この辺境の地で仕事に勤しんで家族を養うのが私の第一命題である。しかし、それはそれとして、オタクとしての自分も保っておきたい。

 

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やはりダメージが一番大きいのは、映画鑑賞だ。何度もブログでも書いているように、私は映画を映画館で鑑賞するのが好きだ。映画はやはり、映画館でこそフルパフォーマンスを発揮してくれる。しかし、そんな映画館へは片道約2時間。しかも、高速を使わなければならない。往復の高速料金とガソリン代を合算すると、大人一人料金1,800円をゆうに超える。

 

公開初日、ずっと楽しみにしていた作品が9時からの上映なら、遅くても7時には家を出なければならない。まだ寝ている娘を起こさないように、抜き足差し足で支度を終え、行きがけのコンビニで買ったコーヒーを飲みながら映画館までの道のりを駆ける。夢は野を駆ける 山を駆ける 現実は寒さに拍車を掛ける。

 

交通費の面から考えても、行って1本だけ観て帰るのはあまりにも費用対効果が悪い。よって、映画館に行く日は連続で3本くらい観るようにしている。2本目と3本目の間はさすがに目がシパシパするので、車に戻り、蒸気アイマスクをつけて仮眠をとる。

 

めぐりズム 蒸気でホットアイマスク 無香料 14枚入

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もちろん、もう私も父親の端くれなので、休日を全て趣味に費やす訳にはいかない。朝から映画館に行き、3本も観るのであれば、その他の時間は全て家族サービスだ。家でゆっくりゲームをしたり、買って積んでいる本を読む時間はない。それらは、平日に、娘を寝かしつけた後に眠い目をこすりながら行うのだ。いやむしろ、一日とはいえ自由時間を赦してくれる嫁さんには感謝しかない。

 

独身時代、今よりもっと都会に住んでいた頃は、オタク的な意味で本当に良かった。何より、映画館が大型駅に隣接している(今住んでいる田舎は電車すら走っていないので、「駅」という概念を忘れそうになる)。つまりは、仕事帰りに映画館に寄ることができた。仕事帰りに映画館。SHIGOTOGAERINIEIGAKAN。なんて甘美な響きだ。考えられない。今の状況で仕事帰りに映画館に行ったとしよう。運よくレイトショーに間に合っても、帰宅は丑の刻を余裕で過ぎる。

 

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今も引き続き話題になっているが、ネット通販の流行りによる宅配業者のブラック問題。現場の方に対しては、私も一介の労働者として同情を禁じえない。とはいえ、問題の根幹はBtoBにあり、以前一部の消費者がSNSで行っていた「ネット注文を控えよう!」などという呼びかけは筋が違うと思っている。しかしそれを差し置いても、「ネット注文を控えよう」などと、推定シティボーイや推定シティガールが呼びかけるその状況こそが、私にはもはや滑稽だった。

 

レストランの中心で「食べるのをやめよう!」と叫ばれても、レストランの窓から漏れる光すら見えない辺境の田舎人には何も届かない。特にオタクにとっては、ネット通販は生命線だ。Amazonは文字通り神であり、その販路には水道管や電線と同じ価値がある。書店はあっても、並ぶのは有名所の漫画のみ。ちょっとした画集とか、設定資料集とか、そんなものは滅多に入ってこない。

 

まあ、本ならまだ店頭で注文できるだけ良い方で、アメコミのフィギュア的なものが欲しいとなると、田舎は絶望的だ。「塗装の精度を見極めたいからフィギュアは店頭で見て選ぶ」。は~~~~???? 街に繰り出した王族かよ。

 

再三このブログでも書いているように私は仮面ライダー等の特撮ヒーローが好きな訳で、気に入った作品のものはおもちゃを収集し、部屋で鳴らして遊んでいる。生活圏内にあるこの手のおもちゃが買えるお店は、残すところあと2店。以前は個人経営の「街のおもちゃ屋さん」があったが、ひとつ、またひとつと、順調に潰れていった。今や、しみったれたスーパーのおもちゃコーナーと、しみったれた小型デパート(?)のおもちゃコーナーしか存在しない。

 

そして、新しい仮面ライダー『仮面ライダージオウ』が始まったタイミングで、前述のスーパーのおもちゃコーナーが玩具の新規入荷を取りやめた。もはやそこには、放送を終えた『仮面ライダービルド』の玩具が大幅値下げ状態でいつまでも並んでいるだけになった。南無。田舎オタク民はこうしてまたひとつ、ライフラインを失った。

 

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ネットで知り合ったオタクと、ちょっと居酒屋に行って語ってみる。そんなこともしてみたい。Amazonに生命線を握られ、都会で行われる各種イベントのレポを読んで枕を濡らし、ネット通販の宅配状況と睨めっこしながら、映画館までの遠い道のりを運転し、何とか時間とお金をやりくりしてオタクとしての自分を保つ。

 

嗚呼、都会に住みたい。別に東京とか大阪とか、そんな贅沢は言わない。せめて、電車があって、映画館まで小一時間くらいで行けて、オタク関係のショップがひとつはある程度の、そのくらいの土地に住みたい。そこなら、もっと少ないお金で、もっと少ない時間で、もっと濃いオタクとして生きていけただろう・・・。

 

そんな、都会への嫉妬で、定期的に気が狂いそうになる。これを読んでいる都会に住むオタクの皆さん。そこに住んでいる、それだけでもはや「才能」ですよ。その土地柄を、恵まれた立地を、十二分に享受してください。ネットが進歩して、配信による放送地域格差も年々解消に向かっているけども、やはり純然たる「土地」という壁は、絶対に無くならないのだから。

 

土地は才能。才に恵まれた人は、それをちゃんと振るってくれ。「将来は田舎でゆっくり暮らしたいよね」という言説が煽りにしか聞こえない、こんな私の分まで。