ジゴワットレポート

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感想『ジガ-ZIGA-』(全2巻) 溢れる怪獣特撮リスペクトは残念ながら結果に繋がらず

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「週刊少年ジャンプで怪獣漫画が読める!」。

 

もうその条件だけで私の中では100億点を叩き出す勢いだった『ジガ-ZIGA-』ですが、結果は振るわず、単行本2巻弱の話数で打ち切りに至ってしまいました。毎週アンケートを出していたのに・・・。残念。

 

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巨大怪獣の悪夢を見る少年(主人公)は、ある日突然悪夢に見た怪獣に故郷を蹂躙される。友達以上恋人未満だった同級生を怪獣災害で失くし、失意と怒りのまま怪獣対策の軍隊に属する主人公だったが、判明する怪獣=ジガの正体と共に、事態は思わぬ方向に転がり始める・・・。

 

怪獣の存在とそれに対抗する組織、若干リアル志向で描かれるシミュレーションっぽさは、タイミングがタイミングなだけにどこか『シン・ゴジラ』っぽい。ジガのデザインも、二本足と前に垂れた両腕、加えて長い尻尾と、王道怪獣フォルムを踏襲している感じ。鋭角な感じとか肩幅とか、スペースゴジラとかが近いかな。

また、その後に出てくる怪獣たちも、ラドンやギャオスを彷彿とさせる怪鳥型だったり、レギオンのような節足動物っぽい風貌だったりと、作者の怪獣特撮リスペクトを大いに感じるところ。単行本2巻で書き下ろされた真の最終話で登場する〇〇〇〇も、ぜひ活躍が観たかった。こちらはほのかに『パシフィック・リム』も入ってそう。(週刊連載の執筆ペースでアレがどれだけ活躍できるのかは置いておいて)

 

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そんな『ジガ-ZIGA-』は、怪獣同士が殴り合う巨大バトルの他に、主人公の怒りと復讐をメインに据えたダークなストーリー、個々の怪獣の能力やそれに対抗する組織が開発する武器等々の能力バトルっぽさなど、「流行りの要素」「ジャンプっぽい要素」が沢山散りばめられていた。

 

それは反面、「どこかで見たような要素の寄せ集め」でしかなく、『ジガ-ZIGA-』だけのオリジナリティ、牽引力に欠けるとも言えてしまい、本来描きたかったかもしれない怪獣バトルに突入する前の序盤のスローペースも相まってか、早々に打ち切りを迎えてしまった。もし初速の結果が良ければ、ジガの正体はもうちょっと引っ張っていたのかな。

 

節操なくイマドキに言ってしまえば、『シン・ゴジラ』と『進撃の巨人』を足して割って、「週刊少年ジャンプ」という箱に詰め込んだ、という感じである。確かに、近年はこういうダークな少年漫画(+青年漫画)も増えたが、その類型の域を脱せなかった感が強い。

 

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しかし、それでも、私は『ジガ-ZIGA-』がとても好きだ。

 

おそらく「どこかで見たような要素の寄せ集め」なのは作り手も分かった上で、その上で、怪獣特撮を中心とした様々なコンテンツの面白い部分をリスペクトしていく物語だったのだろう。ダークでシリアスで、それでも少年漫画で、スケールの大きな戦い。如何せん、それが成就する前に終わってしまったので、重ね重ね悔やまれる。

 

怪獣同士のバトルは引きの絵で描かれ、箱庭的なフィールドでガシガシと殴り合う。そういったカットはVSシリーズというか川北特撮っぽい絵作りだし、相棒ないし家来のような異形生物を従えてワンテンポで変身する様はどこか平成仮面ライダーっぽい流れだ。仮面ライダーといえば、終盤の展開である「怪獣でありながら同族である怪獣と戦う」という流れも、石ノ森イズムを感じるところ。

 

あと、両作者(原作と絵が別の方)の「怪獣が好きなんだ!」「かっこよくて恐ろしい巨体が暴れるんだ!」という怪獣へのリスペクトにおける照れの無い姿勢が伝わってくるのが好きなんですよね。「すごいヤツをすごく描くんだ!!」というストレートな勢い。怪獣が持つ存在感やインパクトを信じて描いている感じ。自分も同じ嗜好の人間なので、デザインや演出といった諸々から「あ~分かる~」ってなっちゃう。結局、これに尽きるのかもしれません。

 

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怪獣という「畏怖の対象」を「揺れ動く自我」と絡めて描くドラマはもっと長尺で読みたかったし、作者の遊び心あふれる怪獣デザインももっとお目にかかりたかった。怪獣映画やウルトラシリーズが好きな人なら、ニヤニヤできるデザインばかりである。

 

完全にバルタン星人なやつとか、ハイパーゼットンのようなフォルムのやつもいて、そいつらがワラワラと出てきたカットだけで胸が躍ったのに・・・。あ、あと単行本描き下ろし最終回の「最後の一文字」も最高でした。「ですよね~」としか言いようのないあのフォント。

 

ウルトラ怪獣シリーズ 44 ハイパーゼットン(イマーゴ)

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こういうダーク寄りなストーリーで、自分の好みドンピシャなのに、早期に打ち切られ、単行本最終巻の書き下ろしで拍手喝采モノの最終話が描かれるパターン、デジャヴを感じると思ったら、完全に『アイアンナイト』でした。これももっと長く読みたかったな・・・。

 

アイアンナイト 3 (ジャンプコミックス)

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そんなこんなで、全2巻で終わってしまったけれど、個人的には大好きな怪獣漫画でした。出番の差はあるものの怪獣の個体数自体はそこそこ大量に出てくるし、2巻のおまけページには怪獣図鑑も収録されています。オススメです。(むしろ2冊だからこそ揃えやすいとも言える・・・?)

 

ジガ―ZIGA― 1 (ジャンプコミックス)

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ジガ―ZIGA― 2 (ジャンプコミックス)

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