週明けに配信でチェック → 日曜日に配信で視聴 → 土曜深夜に配信開始を起きて待つ ・・・という感じで順調に中毒に慣らされてきた感のある、アニメ『ポプテピピック』。
私はアニメ畑はてんで詳しくないので、TwitterのTLで見かける「ポプテピピックからさかのぼるパロディアニメの源流が云々」みたいな議論には加われないのだけど、多根清史氏がツイートされていた「劇場型犯罪」という形容がものすごく印象的でして。
ポプテピピックのネットでバズらせることに特化した戦略、いろいろネーミングを考えてみたが「劇場型犯罪」が頭から離れない
— 多根清史 (@bigburn) 2018年1月24日
以下、ざっくばらんな感想、というか雑感のようなもの。
・放送と同時に配信開始のありがたさ
辺境の田舎暮らしなもので、基本的に深夜アニメとは縁がないんですよね。新シーズンになって「よし、今期は面白そうなアニメがあるかな?」と調べていくと、その半数近くがこちらでは放送されなかったり。そんな中、近年ではアマプラ・Hulu・ネトフリ等での追っかけ配信が盛んになってきて、月額料金はかかるものの、田舎者にはありがたい話な訳です。アニメに限らず、やっぱり鮮度や流行ってありますから。
その点、『ポプテピピック』は前述の通り「バズらせ特化型」ということで、その精神をフルに発揮するべく「放送時刻と同時に配信開始」という手段を取っていて、なるほどスマートだなあ、と。土曜の深夜が放送日で、日曜の朝になると「今週の声優」の名前がTwitterのトレンドを埋めてしまう。だからこそ、いつの間にかリアルタイムで味わうことが最良のパターンのように思えてくる。
私は映画が趣味で映画館に通いますけど、原則として「映画は映画館で観てこそフルにパフォーマンスを発揮できる」と思っていて、同じ作品でも家で観るのとはまた違うという認識なんです。スクリーン(画面)のサイズとか、音響とか、諸々全部含めた意味で。そういう意味で、『ポプテピピック』は「ネットの実況や話題にリアルタイムで触れながら観てこそフルにパフォーマンスを発揮できる」という路線を地で行っていて、ここについてはクソでも何でもなく大真面目に計画的なので、感心してしまうというか。
・定まらないポプ子とピピ美の声
前述の通り私はアニメ畑には詳しくないのだけど、「通常30分のアニメを作るリソースを半分にして浮いたリソースで大御所声優を呼んで声を当ててもらう」というアプローチ、前例があるんですかね。善し悪し以前に、よくもまあ割り切ってやってるなあ、と。
熱心なファンというほどじゃないけど、ネットやってると目にする機会も多いので原作の『ポプテピピック』自体は割と読んでいて、この2人に声が当てられたらどんな声なんだろう、というのはボヤッと考えたことはありました。結果として毎週4人ずつ担当声優が増えていくスタイルが提供されたので、相変わらず「2人の声」はイメージできるようできないバランスに辿り着く、という羽目に。言ってしまえば、この2人に固定のイメージが着かないことこそが勝ち、という気もしますね。
うざ可愛いマスコットキャラな見た目ながら、次元を超えてサブカルをこねくり回すクソみたいなコンビ。その2人の「型にはまらない」イメージに「声がひとつではない」という答えが用意されたのは、なるほど納得だなあ、と。
・原作の意味不明さとオタクの醜さ
アニメ放送開始と共に原作もちょくちょく読み返すのですが、相変わらず意味がよく分からないんですよね、これ。いや、もちろん分かるものも多くて、パロディとか、パターンとか、ブラックユーモアとか、笑えるのもある。でも、体感で4割くらいは「これは笑えるのか?」「意図がわからん・・・」みたいなのがある。元々そういう作風を自称してる漫画なのは分かってて言ってるんですけど。
でも、「よくわからない」ことと「つまらない」ことは別に常にイコールではないので、なんとなく読んでいるうちに、あの2人が やんややんや やってることそのものが「も、もしかして面白いのでは?」に変わっていく。その中毒性が肝な訳で。
だからこそ、この意味不明さを「面白い」「俺は理解できる」と断じることでカッコ付けるオタク特有の醜い自尊心を誘発させる麻薬のような側面があって、そういう意味で「劇場型犯罪」と評されるのは納得なんですよね。アニメでも原作の「??」なテンションをそのまま再現していて、「これを面白がるのがツウ」みたいな囁きと葛藤を投げかけてくる。ずいぶん穿った見方かもしれないけど、でも、『ポプテピピック』って割と前からネットではそういう立ち位置だったし、それはそれでアプローチとして別に構わないと思うんですよ。だから、必ず「あれをありがたがってるヤツはネタじゃなくてクソ」みたいな声も挙がるんですけど、それ込みの流行生成というか。
そして、その「醜さ」をこういうテンションで評する私こそが御多分に洩れず斜に構えてるというブコメやコメントがついて、でもその人も次の人に同じように評されるという、終わらないループが始まる訳ですね。ネットって面倒くさいなあ。
・Bパートボブネミミッミ問題
原作で好きだったネタがボブネミミッミ化するとちょっとだけ寂しさを覚えてしまう訳だが、それはそれとしてカオスすぎて面白いのも確かで。でも、段々とBパートでの声優交代に対する期待値が上がってくる中で、ボブネミミッミだとその肝心の声優の声が楽しめないという弊害が起きてしまう訳ですね。
これを私は「Bパートボブネミミッミ問題」と名付けていて(なんの捻りもないネーミング)、特に何話だったかは開幕ボブネミミッミのパターンだったので、いきなり「せ、声優わからねぇじゃねぇか〜」となってしまった。ボブネミミッミが好きなのに、ボブネミミッミを純粋に楽しめなくなる切なさ。この感情はなんなんだ。
・OPが提示する世界観と構造
自他問わずのクソアニメな『ポプテピピック』だが、このカオスで異次元な空気を統括するのが、上坂すみれ氏によるOPなんですよね。そしてその映像。本編には結構「??」が散りばめられていて一見するととっ散らかってるのに、このOPがあるおかげでカチッと世界観(?)が固定される。
OPそのものがEDMとして純粋に良い曲で、歌詞も「誰も知らない存在理由」「破壊と創造の幾何学模様」「パラレルワールド旅して」など、どことなくポプ子とピピ美をイメージさせるワードが散りばめられている。映像もサイコでポップに素晴らしい完成度で、これをもって「こういう世界観ですから!!!」と断言してくれるような、そんな力強さすらある。
おかげで本編がいくらとっ散らかって見えても「そういう世界観なので」とどこか枠をはめられている感覚があり、その点で本当に秀逸だなあ、と。
などなど、5話まで観た時点での取り留めのない雑感でした。また全話終わったら何か感想を書くかも。
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