『パシフィック・リム:アップライジング』『アベンジャーズ インフィニティー・ウォー』を控えながら『レディ・プレイヤー 1』『劇場版名探偵コナン』等々も待ち受ける2018年の春映画。
怒涛のラインナップで時間のやりくりが大変なのは自明の理。よって、出来るだけ前倒しで鑑賞していかなければならない。(特に『パシフィック・リム』はどうせ何回も観ることになるだろうから・・・)
ということで、一部劇場で4DX先行上映が行われている『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル』を、本公開に先駆けて鑑賞。
ヘリが飛べば座席が浮き、サイが走れば地響きで揺れる。相変わらず4DXは楽しい。
以下、ネタバレなしの感想。
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言わずと知れた名作『ジュマンジ』のリメイク企画にあたる訳だが、声を大にして直接の続編と言い切っても差し支えないだろう。それは、前作を観た人なら開始1分で理解できるはず。
細かな描写や「例のリズム」に至るまで、原典『ジュマンジ』へのリスペクトを随所に感じられるのが嬉しいところ。
また、ボードゲームだったジュマンジがテレビゲームに擬態するという設定も面白い。いかに人を騙し、ゲームに引きずり込むか。一度迷い込んだら、クリアするまで絶対に解放されない。ジュマンジの大事なツボである。
改めて振り返ると、元の『ジュマンジ』には非常に「ドラえもん」的な魅力がある。正確には、映画版、つまり「大長編ドラえもん」的なそれだ。
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日常と非日常の境が曖昧になるフィールドで繰り広げられる、ひと時の冒険。
そこで人間的な成長を求められる主人公もいれば、ゲームの中に閉じ込められて時を過ごしたプレイヤーも現れる。そんな、本来であれば交わらない人間たちが協力してゲームをクリアすることで、小さいながら歴史改変まで行ってしまう。
タイムトラベル、SFの要素など、少し不思議な後味が『ジュマンジ』の魅力だ。
それは、幼い頃に両親と一緒にドラえもんの映画を観た時の感覚と近い。
ワクワクとドキドキ、ハラハラとヒヤヒヤ。ドラえもんやのび太を応援して、最後にはちょっと泣ける。そんなバランスが、とても近いのではないかな、と。
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そんな『ウェルカム・トゥ・ジャングル』のやっていることは、この上なくストレート分かりやすい。あの頃に観たドラえもんと同じ感情に、浸らせてくれる。
「元のジュマンジの魅力は何か」「今風の物語に再構築するにはどうアレンジをすれば良いか」。これらに真正面から向き合い、変にアレンジすることも、新要素を無理に入れることもなく、きわめて堅実にアップデートしている。
近年の、ストーリーや設定よりややキャラクター(及びキャスト)に重きを置くトレンドを踏襲する辺りも、スキがない。
今回は前作のボードゲームからコンピュータゲームに設定が変化しており、そこから逆算してか、主人公がオタクに設定されている。髪がもじゃもじゃで、ファッションにも疎い、典型的なオタク。
そんなオタクがゲームに吸い込まれてドウェイン・ジョンソンの外見になるのだから、まずはストレートにギャップが面白い。そして、「この人はNPCだ」「この模様はライフ示しているんだ」などと、培ったゲーム知識とゲームあるあるでジュマンジを打開していく様は、適度な痛快さを提供してくれる。
この味は『ピクセル』にも近く、そういう意味では「オタク万歳映画」だ。
そんな主人公が格闘ゲームにもハマっていた、という設定も魅力的だ。
ムキムキマッチョで運動神経抜群な肉体を使って効果的な近接格闘が行える、という流れがもう死ぬほど上手い。なんという爽快感。いちいち技名を叫びながらコンボを決めるように敵の傭兵を蹴散らすシーンだけで、もはやお腹いっぱいである。
しかし、そういったキャラクターの魅力や設定だけで引っ張る作品ではない。
本作は、前作でも重要だった「人間の成長」が描かれる。作中であるキャラクターが「人はなりたい自分になれる」というフレーズを発するが、まさにこれが直球のメッセージだ。
ひ弱なオタクがムキムキマッチョになって、その仮初めの自分に酔っていたとしても、果たして本質的な成長はそこにあるのか。もしかしたらこのままずっとジュマンジの中にいた方が、「なりたい自分」になれるのではないか。
どのようにして「なりたい自分」を見つけ、どのようにして正しくその道を歩むのか。そういった、ティーンの悩みをちゃんと作品の根底にはめ込んでいるのが今作の一番のポイントだろう。
動物がわらわら出てきて大パニックになるのも、姿形が変わってキャラクターがギャップで笑いを誘うのも、冒険活劇も、ジャングルの大自然も。
その全てがしっかり面白いが、それだけには頼らない。
そういった沢山のメニューで観客を満足させながら、実は誰もが抱えたこともある「アイデンティティの揺らぎ」を問う物語として、この上なく完成されている。それは裏を返せばストレートな青春物であり、言い換えれば戦隊ヒーローのようなチーム物とも表現できる。
だからこそ、凸凹だったメンバーがいつの間にか一致団結していくように、観客も映画の世界にぐいぐいと吸い込まれていく。
観終わった後には、まるで主人公たちと同じように異世界に舞い込んだような心地よい疲労感で満たされる。端的に、最高である。
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また、前作にもあった「再会」のくだりや、それによって生まれる感動シーン、ゲームのルールを逆手に取ったり、スキルという概念を導入するなど、随所にきめ細やかな配慮を感じ取ることができた。とっても、真摯にできている。
春休みのシーズンにも当たるので、ぜひ友人や家族や恋人と、遊園地に行く気分で鑑賞して欲しい。
前作を知らなくてもストーリーには全く問題ないけれど、知っていればニヤニヤできるシーンもあるので、未見の方はお好みでどうぞ。
最後に出てくる「あの道具」にいたるまで、徹頭徹尾、脚本が散りばめる要素の拾い方に無駄がないのもポイントが高い。万人が楽しめるエンタメ作品として、太鼓判を押したいところだ。
あと、財布が許すなら4DXがめちゃくちゃおすすめ。
これまでも沢山4DX作品を観てきたけれど、ここまで親和性が高い作品も無かったんじゃないか、というくらい。ヘリのシーンもさることながら、クライマックスのあのシーンでカメラが回り込むと同時に座席が緩やかに傾いていくのがGOOD!
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