ジゴワットレポート

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引き継ぎ期間1.5ヶ月を無駄にした悪魔の引き継ぎ方法

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先日、うちの会社を家庭の事情で退職した人が1.5ヶ月の引き継ぎ期間を経て去って行ったのだが、実はその引き継ぎが全くのチンプンカンプンの悪魔の所業だったことが発覚し、部署全員+αで必死にカバーする、という事態が起こった。

 

該当部署の上司がどこまで引き継ぎ業務に関与していたのか、そもそも1.5ヶ月という期間は妥当なのか、などなど思うところはあるが、「+α」として出動したひとりとして渦中の後任者に「実際どのような引き継ぎだったのか?」を聞いてみた。

 

答えとしては後任者に同情するしかない有様だったので、備忘録として書き残しておこうと思う。

 

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・引き継ぎ書がただのQ&A集と化している

 

そもそも「引き継ぎ書が無い」は論外として、あったとしてもそのクオリティが大事だよね、という話。今回のケースでは、引き継ぎ書に載っていたのは「こうなった時にこうする」「こう指示されたらあれをやる」というただのQ&A集のようなものだった。その前段階として、そもそも、「この仕事」は何なのか・どういう経緯で出来た業務なのか・どこからきてどこへ流れていくのか、が全く説明されていない。

ぶっちゃけ、細かな例外とか、書類の整理方法とかは、実際にその業務をやりながら覚える部分が多いと私は思っている。それよりも、自分の担当業務が、チーム・部署・会社のどの位置にあるのか、自分の扱う数字がどういう経緯を経てどこに流れていくのか、その全体像が分かっていないと手の付けようがない。というか、多分それが分からないまま仕事をしても、頓珍漢な発想に辿り着くだけだろう。

ただのQ&A集だと、そりゃあ、あった方が良いけど、それはあくまで引き継ぎ書の土台があってこその話である。前任者が会得したコツ一覧だけ渡されても困るのは明白だ。

 

 

・仕事を全て「点」で説明されている

 

後任者に「実際にどんな引き継ぎ(説明)を受けたのか」を再現してもらったが、この説明で分かったら天才だな、と感じた。要は、仕事を全て「点」で説明されているので、そこに連続性やストーリーを見い出すことができない、という有様だった。

例えるなら、いきなり「このコショウの瓶のフタの開け方なんですけど、思いっきり力を入れれば良いかというと、そうではないんですよ。ちょっとコツがあるんです」とか「レタスの芯を捨てるのは勿体ないので再利用できるレシピを教えますね」とか、そんなことばかり教えられたようだ。目指すは「ハンバーグとレタスのサラダ」というオチで、全体の流れで考えれば、瓶のフタとかレタスの芯とかはさほど重要でないことが分かる。

全体像を先に説明することなく、ひたすらに「点」でコツや応用パターンを説明されるのは、苦痛だったろうな、と。別にそれらを説明するなとは言わないが(上司がレタスの芯にうるさい人かもしれないので)、せめて「線」で全体を説明してからやるべきだったと思う。あと、もっとひき肉の話に重点を置くとか。

相手が知らないものを説明する時は、「大きい部分(全体像)→細かな部分」の順で説明することを心掛けろと、昔の上司に教わったのを思い出す。

 

 

・結局「その仕事」を自分で体験できていない

 

これが一番致命的だったと思う。前任者は後任者とデスクを並べながら、結局「引き継がなければならない仕事」をほとんど自分でやっていたようだ。

前述のように、あくまでQ&A集だったとはいえ引き継ぎ書はあったし、「点」の説明だったとしても説明そのものは行われていた。しかし肝心の「実際にやってみる」を体験させず、ほとんどをそれまで通り自分でやり、その補助的な役割(書類を綴ったり整理したり言われるがままに数字を入力したり)だけを後任者に振っていたというのだ。これで引き継ぎがなされるはずがない。びっくりである。

最初に目の前でやってみせて、次に目の前でやってもらって、「補助的な役割」が後任者から前任者にゆるやかにシフトしていかなければ、「その仕事」を引き継いだことにはならないだろう。最終的には、前任者は後任者のお守りとして居てもらうだけと化すのが理想形だ。そうして晴れて「さようなら」ではないのか。

 

 

・疑問に対する答えを貰えていない

 

後任者は「その仕事」の素人だったので、当然のように、「え?なんでそう処理するんですか?こうした方が良いのでは?」が頭に浮かぶ。そして、それを何度か前任者に質問したようだ。その答えは往々にして、「いや、こういうことに決まっているので」、だったそうだ。んな馬鹿な。

以前からの流れで、様々な意見や事象が集約されて、王道・正道であるべき処理から変形したモノが確立されているパターンは、よくある。それはそれで先人の知見の集合体なので、尊重した上で臨まなければならないだろう。とはいえ、それを理解・説明せずに、「そういうものだから」で済まされては、そりゃあ納得できないだろう。納得度が低い仕事に発生するモチベーションは、低い。モチベーションが低い仕事が生み出すクオリティも、低い。

察するに、前任者はただ黙々と「右からきた数字を左に流す」的な、型が決まったベルトコンベアのような仕事をしていたのだろうな、と。その背景に疑問を持たず、その流れに意識を向けず、ただ黙々と、淡々と。そういうスタンスが望まれる業務もあるだろうが、残念ながら今回のケースはそれには該当しなかった。

 

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ということで、与えられた1.5ヶ月を無駄にする「悪魔の引き継ぎ方法」は、以下の通りである。

 

・引き継ぎ書は自分が会得したコツや方法論をQ&A形式でまとめるのみに留める

・仕事の全体像より、個別の業務をひたすらに説明する

・ギリギリまで自分で仕事をこなし、後任者にはその補助に回ってもらう

・後任者から疑問や質問があっても、「そうと決まっていること」なのでとにかく処理の方法だけを伝える

 

恐ろしい・・・。本当に恐ろしい。私だったら最初の一週間くらいで上司にヘルプを出していたことだろう。自分も遠くない将来に引き継ぎがありそうな感じなので、これを反面教師に、しっかりと準備をして臨みたいと思う。

 

とはいえ今回のケースでの最大の問題点は、「おそらく前任者と後任者が人間的に馬が合わなかったのだろう」ということである。南無。

 

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