平成ライダーの音楽展開は多岐に渡っていて、その円熟期あたりにあったのが『フォーゼ』という印象がある。
『龍騎』からエイベックスになり、『電王』のキャラソン手法が大炸裂。『キバ』が真面目過ぎるアルバムを作ったり、架空のアーティストやラジオ展開まで行われた『ダブル』があったり。そしてコンボソングとしてコード進行とBPMを共通にした『オーズ』と続き、『フォーゼ』に至る ・・・という大筋。
『フォーゼ』の挿入歌は、劇中でもかなり印象的に使われることが多くて、その楽曲の完成度も相まって、かなり印象に強く残っている。
まず、この『Giant Step』。
「この一歩は小さいが、人類にとっては偉大な一歩である」というアームストロング船長の名言にちなんだと思われるタイトルで、それを歌うオリジナルアーティストの名前が「アストロノーツ=宇宙飛行士の複数形」というのも最高にイカしている。
楽曲は、エキセントリックな電子音の打ち込みで前へ前へ進んでいくアップテンポの構成。イントロの浮遊感と高揚感あふれる入りから、緩急がつく間奏まで、もはや聴き所しかないくらいだ。
個人的には、平成ライダーの挿入歌のひとつの完成形だとも思っている。
そもそも、歌っているのがMay'nと椎名慶治というのがすごい。ドリームチームすぎる。
こちらは椎名慶治のソロバージョン。
続く『Shooting Star』はメテオのテーマ曲。
eversetによるゴリゴリのロックナンバーで、メテオが扱う拳法に合わせて所々に銅鑼が鳴ったりする。
メテオがばったばったと敵をなぎ倒すMVも面白い。
群れたヤツらなんかに 戦う資格はない
本気で叶えたけりゃ 自分ひとりで挑みゃいい
この曲は、真に仮面ライダー部の仲間入りを果たす前の尖りに尖った頃の流星の心情が上手く歌詞に反映されていて、さすが預言者の異名を持つ藤林聖子氏である。
孤独決め込んで進むより 繋がる強さをthat’s what I need
空駆ける星のおとなりに 型破りRocketが飛ぶ
特に好きなのはこの部分。弦太朗を「型破りRocket」と表現するのが微笑ましい。
続く『Bounce Back』はマグネットステイツのテーマ曲。
マグネットの変則的なフォルムに沿ってか、曲もかなり変拍子の構成になっている。
サビでうまーく引っ掛かりが生まれるリズム構成になっていて、そこが最大の魅力だ。クセになる。
歌うは、栗林みな実と山下洋介によるオリジナルユニット、SoutherN。SとNが大文字になっているのがポイントである。
歌詞はまるで弦太朗と賢吾の友情(とケンカ)を指しているようで、マグネットステイツ登場回のドラマを踏まえると、なお感慨深い。
これは、私としては『仮面ライダー クライマックスヒーローズ フォーゼ』のテーマ曲の印象が強い。
とにかくイケイケドンドン、戦闘シーンに流すにはぴったりである。
プロムでお馴染みの『咲いて』は、実は前述のeversetのカバー曲。
原典のはバンドのカラー通りロックな仕上がりだが、こちらは卒業式に合うようにしんみりとしたダンスナンバーにアレンジされている。
とはいえ未だに思うけど、ガールズの面々のリーゼント、あまり似合ってないよね・・・。
メテオストームのテーマ、『Evolvin' Storm』。
ポイントは歌詞で、もう完全に改心してデレデレになった流星が堪能できる。
信じてみたいと 思わせるような出会いが
無意識閉じ込めてた眠ってた力を 呼び起こしていく
『Shooting Star』のような若干早口でまくし立てるスピード感は保ちつつ、全体的にゆったりとした広がりを持たせたサウンドになっている。
抜いて!刺す!
最強のフォーゼ・コズミックステイツのテーマ曲、『COSMIC MIND』。
ここにきてAstronautsが再登板しているのがゲキアツダイオーである。
弦太朗の バカさ 直球さを思わせるサビの「コズミック」連呼が印象的。
「ひとりよりもみんなで、大規模ボルテックス」という問答無用のパワーワードが並ぶ中、最後に必殺技を叫ぶのも楽しい。
キャラクターソングを廃して、実際に活躍する歌手やアニソン分野から結集したアーティストたちによる豪華な共演。今でも思い出して聴くと、あの学園の日々を思い出してワクワクしてくるんですよね。
ちなみに以前、偶然に偶然が重なってコズミックエナジーが炸裂し、天ノ川学園のロケ地にお伺いできる機会があったのですが、真昼間からちょっと泣きそうになりましたね。
(この他に、校内の写真も撮らせていただけたのですが、これがまた最高だったんですよ・・・ 弦太郎が歩いてたあの廊下・・・ 廊下ですよ・・・)
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