ジゴワットレポート

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エヴァがエウレカで、エウレカがハイエボへ。『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1』の、観れなかったもの。

交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション 1 [Blu-ray]

 

私にとって『エウレカセブン』は特別な作品だ。

 

何かと斜に構えたがる十代の頃にこのアニメと出会い、レントンとエウレカの赤面連発なイチャイチャに目をそらしながらも、この作品を通して「フィクション作品とはどのように作られるのか」という観点を持ったような記憶がある。

 

それまでは比較的純粋(?)に作品そのものを鑑賞していたような気がするが、『エウレカ』の作り込まれた(ある種の「気取った」)世界観を目の当たりにして、「これはどんな人たちがどういう意図で作っているのだろう」という好奇心が湧き、自らアニメ情報誌を読んだりネットで製作者のインタビューを探したり ・・・という行為をするようになった。

 

この少し前にドハマりしていた水島監督版『鋼の錬金術師』は、原作が漫画ということもあり、そこからどうルート分岐するか・アニメ版では何を描きたかったのか、ということを当時の自分なりに考察していた記憶がある。

対する『エウレカ』は原作がアニメ制作会社そのもので、しかも「エウレカプロジェクト」と称したアニメ・ゲーム・漫画・フィギュア等々の同時進行&露出というものであり、主にウルトラマンや仮面ライダーといった特撮ばかりを観て育ち、アニメ文化に積極的に触れてこなかった自分にとって、それはとっても新鮮で、斬新で、興味を引くものだったのだろう。

 

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後に自他共に認めるオタクとなり、大学時代の有り余る時間を使って色んな作品を鑑賞して(『エヴァ』もこの頃に初めて観た)、そうしてやっと「『エウレカセブン』には無数のオマージュ・リスペクト・お遊び・王道要素が詰め込まれている」ことを実感したのだが、やはりどうしてもそれは順序的に「あと」の話で、こと私自身に限っては、いつまでも『エウレカセブン』のそれが「オリジナル」に思えてしまう。

 

話が飛躍するが、そういう意味で、私は『エヴァンゲリオン』と『エウレカセブン』に勝手な共通項を感じている。

もちろん、物語的に似ている要素や演出の話もあるにはあるが、ここで言いたいのはそういう話ではない。

『エヴァ』も、庵野氏を初めとする作り手の膨大な趣味嗜好の上に築かれたもので、その演出の細部に至るまでオマージュやリスペクトが詰め込まれている訳だが、どうしようもなく今やひとつの「オリジナル」と言えてしまうほどに大きな知名度を誇っているし、とはいえ、作品を好きになるのにいわゆる「元ネタを知っていること」は必須でも何でもない。

 

つまりは、私が『エウレカ』を観てそそられた好奇心や興味を後からオタク知識として補完したような流れを、当時『エヴァ』を十代で観た先人たちも辿ったのではないのかな、と。勝手に、そういう妄想をしてしまうのだ。

 

この演出にはこういうオマージュ元があった、聖典やそれに準じるもののこの辺りをストーリーに引用している、視聴者を突き放す演出意図はどこにあるのか、独自の世界観はどういう文化背景をピースとして作られたのか、主人公は・ヒロインはいわゆる「なに的」なキャラクターなのか、アニメ的によくある展開としてどういうものがあるのか、この作品は前後の作品群からしてどういう影響を受けて・後に与えたのか、etc・・・。

 

そういった、「好き」の上に築かれた斜め上のあれこれが時を経てひとつのスタンダードになってしまう幸せな錯覚を、私は『エウレカセブン』に今も強く感じているのだ。『エヴァ』世代の方々から「一緒にするな」と一蹴されるかもしれないが、確かに私の中ではこうだったので、仕方がない。

 

TVシリーズ 交響詩篇エウレカセブン Blu-ray BOX2 (特装限定版)

 

・・・という意味で、私の中で『エウレカセブン』はとても特別な作品なのだ。

 

そんな、自分のオタク史とは切っても切り離せないシリーズが再始動するということで、こりゃあもう、映画館に観に行かない訳には行かないのですよ。

 

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行きの車の中ですでにハイになりながら劇場に辿り着き、周囲を見渡すと、私と同年代か少し上の世代の観客ばかり。

私と同じような「当時組」の面々が駆けつけているという訳だ。

 

そんなこんなで幕を開けた『ハイエボリューション1』は、率直に、賛否両論を展開する内容だと感じた。

 

eurekaseven.jp

 

※以下、映画本編のネタバレがあります。

 

 

テレビシリーズ本編では描かれることのなかった「過去の大惨事」=「サマー・オブ・ラブ」が初映像化され、伝説の存在とされていたレントンの父親・アドロックがついに喋る。

戦線で活躍していた頃のビームス夫妻や、まだ世界の真実に近づいていなかった頃のノヴァク兄弟など、往年のファンにとっては「これが観たかった!」なポイントが多く、それだけで大満足だと言えてしまえる造りにはなっている。

 

が、ぶっちゃけ「サマー・オブ・ラブ」の凄い映像に気圧されながらも、その実何がどうなっているのかは分かるようで分からないし、なんとなく「アドロックが」「直前で自ら立案したスカブコーラル殲滅作戦に反旗を翻し」「自らの命を賭して沈静化させた」という大筋だけが理解できる程度であった。

この辺りの「雰囲気と断片的な台詞だけで綴ってわざわざ説明しない」あたりは、相変わらずの「エウレカ節」だなあ、と。(まあ、この方法論がまたオタクの考察意欲を必要以上に煽る訳だが・・・)

 

で、新規作画パートが終わったその後は、基本的に総集編となる。

 

しかも、単なる総集編ではなく、本編とは部分部分の設定を変えながらも、時系列を小まめにシャッフルした作りという、意図的に混乱を招くような描き方になっていた。

これまた良くも悪くも「エウレカ節」だなあ、と苦笑いしながら、テロップで明示される日付や時刻をもとに脳内でタイムラインを組み立て、カットインされる英字から過去へ飛ぶのか未来に戻るのかを逐次整理しながら、「漏らす」「取りこぼされる」ことがないように頑張って鑑賞した。

 

再現集の意図としては、「エウレカセブンの総集編」という感じではなく、「レントンの物語に焦点を当てる」といった感じだろうか。

 

テレビ本編も言うまでもなく主人公・レントンの物語だったが、エウレカという謎の美少女の出自をミステリーの要素としながら、恋愛を軸に異種族との可能性を追求していく粗筋となっていた。

今回のハイエボでは、正真正銘の「レントンの物語」に比重が調整されており、実の父・アドロックが死亡し、義理の父・チャールズと別れ、そうして「少年」が「男」に成長するまでの歳月を積み上げる形になっている。

だから、「エウレカとの恋愛」はあくまで「レントンの精神的挫折の要因」として処理され、エウレカのキャラクター性がほとんど映画本編で露出されないという、タイトルもびっくりの仕上がりになっていた。

 

十年来のエウレカファンにとって、「レントンとエウレカがイチャコラしてニルヴァーシュを駆る」というポイントはどうしても期待したいものであり、まさかのそれを全部省いてしまうという今回の作り方は、良く言えば「挑戦的」、悪く言えば「相変わらずの拗らせっぷり」という印象だ。

こういう部分が、私が再三言っているような、「エウレカ節」の正体とも言える。

 

せっかく過去と現在をカットバックして描くのであれば、最後の最後に、「エウレカとレントンの出会いのシーン」と「モーニング・グローリーの再会シーン」がほぼ同時に描かれるような、そういう演出的な爽快感が欲しかったのが本音だ。

しかもそこで「DAYS」なんか流しちゃったりしたら、それだけで号泣したくなっただろう。

仮にそういうシーンがあったらカットバック多用のシャッフル演出にも意味があったと思えるのだが、「レントンのふらふらと迷える心を模したような」この出来栄えだけでは、正直、「妙なオシャレ感を求めた結果、単に分かり辛くなっただけでは?」という疑念を完全には払拭できない。

 

徹底的に「テレビ本編でメインだった魅力ポイント」を観せないことで、「レントンの物語はここから始まる!!」という帰結にのみ絞ったところは、一種の潔さを覚えると同時に、清々しい諦めすら感じさせてくれる。

「ほーら、またこっちを突き放して引っ張り回すあの『エウレカ』がやってきたぞ」。

そういうふうに思えてしまうのは、好きになった方が負けの恋愛と同じである。

 

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今回徹底的に「レントンの物語」に絞ったのだから、続く『ハイエボリューション2』は、エウレカの出自をアネモネを絡めながら描いてくれるのか、はたまた、原典とはかけ離れた方向性に突っ走ってくれるのか、色んな期待と不安がうごめく。

ただ、私にとっての「オリジナル」が最終的にどんな形になっていくのか、それは、たとえどんな内容になろうと、観ない訳にはいかないのだ。

 

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この主題歌のあまりの「エウレカっぽさ」には見事にやられた。

 

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