平成ライダーの「冬映画」ことMOVIE大戦シリーズ。今では『平成ジェネレーションズ』に生まれ変わり、思えば遠くまできたもんだ ・・・などと妙に感慨深くなってしまう。
そのシリーズ第3弾として2011年12月10日に公開されたのが、『仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦MEGA MAX』である。
仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦 MEGA MAX オリジナルサウンドトラック
- アーティスト: V.A.
- 出版社/メーカー: エイベックス・エンタテインメント
- 発売日: 2011/12/21
- メディア: CD
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ファンの間で根強い人気を誇る本作だが、2011年当時、映画館で本作を鑑賞した時の感動と興奮は今でも脳裏に強く焼き付いている。
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というのも、MOVIE大戦シリーズはそもそもがかなり異色な成り立ちである、というところから話が始まる。
まさかのエンディングで終わった『ディケイド』の完結編と、実質第0話を描いた『ダブル』のビギンズナイト、そしてそれらの話が融合する大戦パート。
単純に、こんな作り方をする映画は、前例が無かったのである。実に東映らしいというか、白倉プロデューサーらしいというか。東映の△がふたつ並んだあの謎のハイテンションっぷりは、非常に独特であった。
仮面ライダー×仮面ライダーW&ディケイド MOVIE大戦 2010 [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
- 発売日: 2010/05/21
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そんな『大戦2010』は、掟破りを何重にも塗り重ねてメタ展開で締めるディケイド完結編に、対照的に手堅くエンタメ性を散りばめたビギンズナイトと、両者のアピールポイントが上手くズレたおかげもあり、とても好きな作品である。
しかしこれは、最後の大戦パートで歴代平成ライダーが登場する流れも含めて、「純粋な新旧ヒーロー共演」という意味では少し弱かった。そういう枠に収まらない、もっと良い意味で荒唐無稽な性格こそが、本作の強みだ。
続く『MOVIE大戦CORE』だが、実はこれも「純粋な新旧ヒーロー共演」という切り取り方をすると、弱い。というのも、ダブル編が丸々スカルのスピンオフに当てられていたからである。
スカル編自体は、まさに翔太郎が敬愛するハードボイルドさがギチギチに詰め込まれた完成度で、何度観ても面白い。並ぶオーズ編は、映司の性格解釈にTVシリーズ本編とのズレを感じる部分もあり、私の中ではクオリティが高い方にはカウントされていない。
仮面ライダー×仮面ライダー OOO(オーズ)&W(ダブル) feat.スカル MOVIE大戦CORE【Blu-ray】
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ダブルの活躍も、オーズの活躍も、ダブルライダーの共闘も、確かにちゃんとある。しかし、個々のパートにおける主役ライダーの活躍や完成度そのものという意味で追求していくと、旗が上がりきらない箇所がどうしてもあった。
いや、好きなんですけどね、『CORE』。もし今作られていたら、スカルはVシネ展開で、ダブルはダブルのパートとして成立していたのかな、と。
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そこからの3年目が、『MOVIE大戦MEGA MAX』である。
これは、ダブルライダーが共演するMOVIE大戦シリーズが始まってから丸2年、「純粋な新旧ヒーロー共演」に飢えていた自分にとって、クリティカルにヒットした作品であった。「こんな!こんな最高なものが観れて良いのか!」と叫びたくなるほどに。
仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦 MEGA MAX ディレクターズカット版【Blu-ray】
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まずもって、オーズ編、フォーゼ編、それぞれのパートの完成度が純粋に高いのだ。
オーズ編は、「アンクには復活して欲しいけど安易には復活して欲しくない」というファンの屈折した感情に満点の答えを叩きつける最高のエピローグであり、フォーゼ編は、青春モノの鉄板である恋愛を描きながら仮面ライダー部が全員で変身に立ち会う最終回さながらの絵面をまさかのこんなタイミングで見せつけてくれた。
ふたつのパートでオーズとフォーゼがばっちりと活躍し、それがブリッジ編で上手く繋がっていく小気味よさ。映司が「友達できた?」と声をかけながら登場するカットは、まさに理想とする「先輩ライダーの登場シーン」そのものであった。
そして、開幕早々、7人ライダーが「あのBGM」で大活躍し、クライマックスでは坂本監督による必殺技現代リメイクが炸裂。これで高まらない訳がない。
更にダメ押しで、直近の先輩ライダー・ダブルもさすがの貫録を見せつける。サプライズ感もあったジョーカー登場はもちろんのこと、今なお元気にコンビを組んでいる2人がまた観れたことが嬉しい。
そして、お待ちかねのトリプルライダー集結である。
この一連のシーンの「良さ」を語ろうとするともう台詞を全部書き出すしかないので省略するが、三者三様のキャラクターを魅せつつ、ダブルがしっかり一歩引いて後輩を励ますバランス感覚には心底痺れた。何度Blu-rayで観返したことか・・・!
前述した『2010』や『CORE』のように、「歴代ライダーの出演」といった純粋な新旧コンビの魅力と食い合わせが悪いかもしれない要素は、本作『MEGA MAX』にも確かに配置されている。
しかし『MEGA MAX』が丁寧なのは、それらの要素はあくまで第二段階として一歩引いて配置されており、芯の部分では「新旧ダブルヒーローの共演」が確実に成功している部分にある。そこがまず太くあって、その上で、先輩ライダーの魅力が付与される。だから結果として、めちゃくちゃ豪華絢爛な映画に仕上がる、という構造。
思えば、本来繋がることの無かった平成ライダーの個々の世界観に『ディケイド』が串を通し、『ダブル』『オーズ』と主演映画に次作ライダーが先行登場するのも恒例化していた、その「共演の土壌」がちょうど良い温度に温まったタイミングが、『MEGA MAX』だったのかもしれない。
また、『仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ』で衝撃を与えた坂本監督の次作ということで、特有の「てんこ盛りごちゃごちゃ感」が成熟しきるほんの少し前の時期だったのも、良かったのかもしれない。なんというか、「適度」だ。
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誤解が嫌なのでことわっておくが、私は別に『2010』や『CORE』と比較して『MEGA MAX』を持ち上げたい訳ではない。『2010』には荒唐無稽さを良しとする力強さが、『CORE』にはスピンオフならではの味がある。
しかし、それと喰い合うことなく同居するように、あの2011年、純粋なる「新旧ダブルヒーローの共演」に飢えていた自分がいたのだ。だからこそ、驚くほどに『MEGA MAX』は心に響いた。
また、その翌年の2012年にはあの『仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦』が公開されたこともあり、後から後から「なぜMEGA MAXのような共演劇ができなかったのだ・・・」という惜しさがこみ上げたことも、よく覚えている。
『スーパーヒーロー大戦』も好きなんですけどね、やっぱり、「ヒーロー共演劇」という側面でいくと、決して上手くは無かった。
ここに告白すると、これ以降私は、ジャンルを問わず「共演劇」のひとつの指標が完全に『MEGA MAX』になってしまった。これを超える「共演モノ」と、これから先も、果たして出会えるのだろうか。
それほどまでに、7年経った今でもこうして恋焦がれるような作品に出会えた幸せを、永久に噛みしめていきたい。
仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー コレクターズパック [Blu-ray]
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