ジゴワットレポート

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『剥き出しの白鳥』1巻感想。鳩胸つるんが描く「木曜日のやべーやつ」

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剥き出しの白鳥 1 (ジャンプコミックス)

 

「ジャンプ+」で連載中の漫画、『剥き出しの白鳥』。ついに待望の単行本が発売されてしまった。

 

本作は、「キラキラのイケメンがゴリゴリの露出狂」という出落ち覚悟の一発ネタをあの手この手で魅せていくギャグ漫画。「ジャンプ+」のコメント欄では、毎週木曜日に更新されることから「木曜日のやべーやつ」の異名で親しまれている。

 

 

  

成績優秀、スポーツ万能、容姿端麗、おまけに親は外交官。そんなエリート高校生・白鳥飛(かける)は、実はゴリゴリの露出狂。毎日のように、放課後の学校で露出を楽しんでいる。

全裸で音楽室のピアノを弾き恍惚の表情を浮かべ、雨の日は傘をさしながら木の上で露出に勤しみ、校内を全裸で走り抜け、屋上で全裸のまま座禅を組む。ありとあらゆる露出スタイルを追求する主人公のたゆまない努力がすさまじい。

 

ストーリーは基本的に、①露出がバレそうになる、もしくは白鳥を捕まえようとする存在が現れる → ②ピンチ! → ③必要以上にスタイリッシュに回避! のパターンの繰り返し。こんなに単純なのに、驚くほど面白い。

 

ポイントはやはり、主人公・白鳥が驚異のイケメンであること。どちらかというと少女漫画に出てくるタイプの線の細いイケメンで、その立ち振る舞いは上品。いいとこのお坊ちゃんで、お弁当でサラッとステーキを食べていたりする。

そんな上品なイケメンが全裸大好きの露出狂という大きなギャップ。八頭身の裸体がバレエを踊るかのように追っ手をかわしていく美しさ。作者もこだわったというポーズの数々や指先の繊細さに思わず笑いがこぼれる。

 

作者は、鳩胸つるん氏。本作がデビュー作だが、実は驚くことに男性である。

絵柄的に絶対に女性だと思っていたが、これには、「別冊マーガレット」の絵柄を模写していたという背景があった。以下、単行本発売に合わせて公開されたインタビューを引用したい。

 

白鳥くんもそうなんですが、女の子のキャラクターの描き方が、すごく女性っぽいなって。

 

それは僕が「別冊マーガレット」をほぼ全作品模写してたからですね。

 

「別マ」を!? それはなぜ?


読み切り版『剥き出しの白鳥』を描くにあたって、玉田さんから「絵柄を見つけたほうがいい」ってアドバイスをもらって。それで露出狂の漫画だけど、あまり下品にならないように、その対極にあるものは何かって考えたときに「別マ」かなって。

 

『剥き出しの白鳥』鳩胸つるんインタビュー 「『ToLOVEる』よりも裸」から白鳥くんは生まれた

 

「少女漫画の絵柄で描かれるキラキラのイケメンがゴリゴリの露出を美しく披露する」という異次元一発ネタは、このようにして誕生したのだ。

 

また、露出ポーズの美しさだけでなく、作者のワードセンスが光るのも本作の魅力である。

露出について思い悩むことを「ス裸(ら)ンプ」と表現したり、「全全全裸(ぜんぜんぜんら)」「裸裸裸ンド(らららんど)」といったパロディネタも豊富。

露出という原則NGな行為がこうも上品に面白く読めてしまうのは、言葉選びを含めた作者のキレッキレなセンスによるものだろう。

 

幼馴染である堅物の生徒会長に正体を隠したまま追われ、外国の特殊部隊に追われ、最新のロボットに追われながら、白鳥は露出を続けていく。

単行本1巻のラストではついに外交官の父親が登場し、白鳥がなぜ露出に目覚めたのかを回想で語ってくれる。自身も露出狂だった父の、「露出は麻薬だ」という戒めの名言。果たして、白鳥は露出をやめさせようとする父親を越えることができるのか?(単行本2巻に収録されるであろう親子対決は名シーンの連続である)

 

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「露出は麻薬」。思えば非常にメタ的な台詞である。

私自身もこの露出漫画を麻薬のように求めてしまい、ついには単行本にまで手を出してしまった。すでに「剥き出しの白鳥中毒」になってしまったのだ・・・。

 

出落ちの一発ネタが執拗に繰り返されるテンドンの面白さは連載中の最新話でも衰えることを知らないので、ぜひ多くの方に単行本を手に取って欲しい。ある種の王道少年漫画、王道ギャグ漫画、それでいてキワモノ。本当に、絶妙なバランスだ。

 

剥き出しの白鳥 1 (ジャンプコミックス)

剥き出しの白鳥 1 (ジャンプコミックス)