ジゴワットレポート

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発売から9年。今更『シュタインズ・ゲート』を初プレイしてどハマりした感想

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STEINS;GATE - PSVita

 

『STEINS;GATE』、いわゆる「シュタゲ」。完全に「名前だけはやたら聞いたことがあるタイトル」と化していた本作を、発売から9年経った2018年の正月休みを利用して、やっとこさプレイすることができた。

昨年の夏頃に友人から「これ絶対お前好きだよ!ハマるよ!ちなみに今DL版が安いぞ!」とLINEが届き、勢いで購入したものの、忙しさを理由に半年放置。幸運にも仕事が暦通りのお休みを獲得できたので、これはもう正月休みにやるしかないだろう、と。終わってみると、プレイ時間約29時間。けれども1週間近くかかってしまった。独身の頃なら2日強で終わらせていただろう・・・。

 

シュタインズ・ゲート 公式資料集 (ファミ通Xboxの攻略本)

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いわゆる「シュタゲ」には、「よく名前を聞く(人気作なのだろう)」「タイムトラベルやタイムパラドックスを扱った作品を語る際によく挙がる(それ系のストーリーなのだろう)」という印象しかなく、予備知識はゼロの状態だった。

元々、私はゲームをあまりやってこなかった人間だ。友達の家で『スマブラ』や『カスタムロボ』に触れ、発売からかなり経った頃に『ポケモン銀』を買い与えてもらい(これが我が家のゲーム黒船)、大学生になって『大神』『ダンガンロンパ』『流星のロックマン』あたりをやって・・・ という程度。未だにドラクエもFFも一作も触れたことがない。なので、この『シュタインズ・ゲート』が俗に言う「ゲーム史」的にどういう立ち位置かは全く知らない、という状態。無事全クリした後に実は驚異の物量でスピンオフや続編やメディア展開が成されていると知って開いた口が塞がらなかった。そんなに大人気タイトルだったんですね。

 

と、まあ、この程度の予備知識だった訳だが、いざ終わってみると、それはとても幸運だったのかもしれない、というのが率直な感想である。ネタバレ云々よりもっとライトな話で、何事も、「よく知らない」立場で臨んだ方がフラットに楽しめる。

とはいえ、『シュタインズ・ゲート』はイメージ通りの「タイムトラベル物」であり、過去に戻って最悪の未来を回避するとか、過去を改変すると未来が書き換わるとか、避けられぬ未来は確定されてしまうとか、その辺りのジャンル的なお決まりは無数に存在していた。そういった意味では「よく知っている」パターンも少なくなかったが、むしろこの作品は最初から「ある程度知っている人」を想定して作っているだろうし、なるほど友人が「お前好きだよ!」と進めてきたのも頷けるバランスだなあ、と。この場を借りて改めて感謝を伝えたい。持つべきものは「嗜好の守備範囲」を共有できる友人だ。

 

スカイクラッドの観測者

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実際にプレイを始めてみると、もうプロローグからこの手のジャンルにおける「よく知っている」パターンが次々と出てきてニヤニヤが止まらない。

初対面なのに先刻の出会いについて尋ねてくる相手、さっきまであったはずの物が途端に違う場所に出現している、なんらかの原因で衆人が消える、などなど。「さーて、この短いチャプターの間にどれだけの『仕込み』があるのかなぁ」と、腕まくりしたくなるほどだ。

 

厨二病な大学生である主人公は、ひょんなことから「過去にメールを送る装置」を開発してしまう。それを実験していく過程で、ラボラトリーメンバー、通称「ラボメン」が増え、秋葉原を舞台にSFな日常が進行する。しかしそのうちに、SERNがひた隠しにしていたタイムマシン開発の陰謀と直面していく。

 

このゲームの発売が今から9年前の2009年。私も主人公と同じ大学生だった。御多分に洩れず2ちゃんを毎日のように閲覧していたし、VIPに通い、ニコニコ動画を見て、SSまとめで時間を潰す。そんな生活を送っていた。だからこそ、ダルを中心に「ねらー語」が多用されるこの作品は当時としては非常にナウいものだったであろうことが分かるし、今となってはどこか小恥ずかしくもある懐かしさを感じながらのプレイだった。

いわゆる「オタク構文」を応用した会話や展開が多く、舞台は秋葉原、しかもタイムトラベル物ということで、最初から広く浅く売るつもりがあまり感じられない、潔いタイトルということが伺える。

 

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個人的には、主人公・オカリンの厨二病があまりにも重症すぎてちょっとマジで引いてしまった部分が多く、「大学生の厨二病」というのはもっと色んな意味でアレでここまで典型的じゃないぞ、などと突っ込みつつのプレイでもあった。あまりにも念入りな厨二病だったので、「本当は本物の狂気のマッドサイエンティストで機関から追われているが周囲がそれを信じずに小馬鹿にしている」という叙述トリックを真剣に疑っていたくらいだ。

 

ストーリーの序盤は、きな臭いニュアンスを散りばめつつも、基本は知的好奇心を柱にした日常が描かれる。紅莉栖の語る科学分野のあれこれが文系の自分には雰囲気でしか理解できなかったが、別にそれでも振り落としてこないのに助けられた。こういうのは雰囲気ですよね、雰囲気。

SERNことCERNについては、ダン・ブラウンの『天使と悪魔』が大好きで何度も読んでいたので、大型トンネルの加速器とか、実験装置のイメージが湧きやすかったのは幸運だった。『天使と悪魔』は、ここで生成された反物質の奪い合いが行われて、宗教と科学の折り合いをどこに持ってくるのか、というストーリーです。

 

 

序盤の時点では、ストーリーの落とし所が中々ピンときていないので、この時点での予想(↓) も空を切るものが多い。以下、3章終了時点での覚え書き。

 

・電話レンジでのロト6騒動から考えるに、冒頭の秋葉原人混み消失の件もタイムトラベルによる別次元へのシフトがなされたと考えるのが自然。
・岡部が特異点的な能力(過去改変による記憶その他の書き換えの影響を受けない)を持っていたと仮定すれば、人混みが消失したのではなく、「人工衛星墜落により避難が行われた秋葉原」に次元移動したと解釈できる。
・安直に考えるなら人工衛星そのものがタイムマシンであり、更に安直に考えるなら、それに乗ってきたのがジョンタイターである。
・ジョンタイターが劇中を訪れた時点で過去が改変され、それ以前の彼の記録(関連本など)は無かったことになった。
・そうであるならば、死んだ紅莉栖も別次元で存在し続けることになる。タイターの来訪がなぜその事象を書き換えるに至ったのか。
・件の人工衛星は一度屋上に現れてその後わざわざご丁寧にラジ館にめり込んでいるが、正確にはジョンタイター(仮)の来訪は2回? 一度目で何か間違えて、紅莉栖が死んでしまって、もう一度やり直して... とか?
・ロト6は結果として外れたが、運命というか因果というか、劇中通りの「収束」という意味で、外れることが運命づけられていたと考えるのが妥当。そもそも当たっていないのだから。
・一階のバイトの彼女が未来人だと示唆するシーンがあからさまに出てくるが、彼女がジョンタイターだとするのは簡単すぎるか。
・紅莉栖がねらーだということよりアメリカにいたのになぜねらーなのかという問いかけがなされていたので彼女の過去にももう一捻りあると思われる。
・まゆりが星を求めて空に手をかざす癖があるというのもポイント。OPムービー等でかなり意味深に扱われる彼女なので、単なるおとぼけの賑やかしキャラではなく、例えば岡部のタイムトラベルを可能にする人体装置のような位置くらいは与えられそう。

 

改めてこの時点での予想を見ると、やはり同一世界線内で起こったことという前提で考察してしまっているな、と。タネとしては最初の紅莉栖死亡報告のDメールの時点で岡部はβ世界線からα世界線に移動していただめ、タイムマシンが2度現れた理屈とか、2000年に現れたはずのタイターとか、その辺りの理屈が変わってくる。同じ世界線の時間の縦軸だけで考えていた自分の浅はかさを反省。まだまだ発想が弱いな。

 

上の予想でも書いていたように、まゆりがこのまま単なるラボのマスコット的なキャラで終わるはずはないだろう、と感じながらプレイしていた。主人公の幼馴染だし、なにかと意味深なシーンがあるし。紅莉栖が中盤で「電子を注入する機器がどれなのか分からない」という疑問を投げかけるが、まゆりが実は普通の人間じゃなくて生きた電子注入機なんじゃないか、などと、突拍子も無い想像までしていた。

蓋を開けてみればその役割は階下のブラウン管テレビで、そういえばOPムービーで意味深に点灯していたので、その時点で疑ってかかるべきだった。あとOPムービーでいくと、人工衛星が宇宙から落ちてくるイメージ映像が完全なフェイクでしたね。こういうのは好き。

 

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そして、本番到来の5章。SERNとタイムマシン開発に近付きすぎた未来ガジェット研究所は、桐生らのラボへの突入を招いてしまう。その混乱の最中でまゆりが死亡(因果成立)。なるほど、ここでまゆりというキャラクターが活きるのか!と膝を打つも、そんな暇はなく物語はどんどんハードな展開へ。何度タイムリープしてもまゆりを救えない主人公はどんどん精神をすり減らしていく。

 

今となっては、ここが物語最大の分岐点であり、折り返し地点だった。ここから、あらゆる世界線を移動しながら、まゆりを助ける方法を探っていくことになる。

以下、この急展開な5章を終えた直後の感想。

 

・突然の襲撃にまゆりが死亡し岡部がタイムリープを行ったところまで。

・トンデモ科学の連続でタイムリープ装置を開発したのは良いとして、やはり見過ごせないのはラボからSERNへの直通ネットワークが引かれていたこと。こればかりはトンデモ科学でも偶然でも片付かない。
・つまり、これは「未来ガジェット研究所にタイムマシンの雛形を完成させるため」に未来からの何者かによって全て仕組まれたことではないだろうか。
・推定タイターの鈴羽の言動から察するに、紅莉栖は未来にてSERNのタイムマシン開発者として名を馳せている訳で、色々揉めはするものの「未来ガジェット研究所はそのままSERNに吸収される形でタイムマシン開発が進められた」と考えるのが自然か?
・しかしそうなると、タイムマシンを完成させるために未来から干渉して仕込みを行う、という、まさに鶏と卵のパラドックス状態に陥る...。

・ダルとまゆりからのメールでしか確認できなかったが、鈴羽が消えたタイミングで人工衛星が消えているので、やはりあれがタイムマシンと見るべきか。
・鈴羽が「@ちゃんねるに書き込んでいるタイター」であることは確定とみて良いか。
・Dメールの作動条件としてブラウン管工房の営業時間が鍵だったのは良かった。まさに盲点。
・フェイリスはDメールで何を送ったのか。父親との関係改善? その影響でアキバから萌え要素が消えた?

・岡部が幼い頃に高熱で生死をさまよったとの事だが、あの時点でタイムリープかそれに近い形で「鳳凰院」の記憶が上書きされた可能性はないか。
・厨二があまりに重症すぎてやはりただのキャラクター要素には思えない。
・「よくある展開」に当てはめるならば、岡部に意味深な画像添付メールを送っているのは未来から干渉する自分自身で、SERNは実は単に悪い組織ではない。

 

うーん、外してるなあ。終わってから読み返すと本当にまだまだだなあ、と。この時点でまだ厨二病を疑ってかかっているのに笑えるし、「タイムマシンを作らせる」というマッチポンプ的なオチを想像しているのもお門違いですね。というか、本当にタイムマシンを作りたかったら、さっさと紅莉栖や岡部を拉致った方が早いよね。

 

非線形ジェニアック

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さて、本作はここからが「怒涛の本番」で、あらゆる世界を渡りながら過去に送られたDメールを削除していく長い長い旅が始まることとなる。

 

面白いのが、ゲームならではの「マルチエンディング」という方法論が、シナリオそのものとこれでもかと符合すること。単なる選択肢分岐ではなく、「世界を渡り歩くこと」が必然としてマルチエンディングの可能性を生み続け、辿り着くトゥルーエンディングではその全てが無駄では無かったと(未来の自分から)力強く断言される。マルチエンディングは細かくセーブを繰り返して攻略法とにらめっこして網羅していく訳だが、その細かな作業も主人公が体験したいくつもの帰結も、「その全てが今のためにあった」と言われては、そりゃあカタルシスを感じざるを得ない。

つまりは、プレイヤーが躍起になってマルチエンディングを解放・収集していくゲームならではの作業が、作中の主人公が苦悩しながら何度も世界を渡っていくストーリーと面白いくらいに重なっていくのだ。そして、厨二病でウザったい口上を叫んでいた主人公は、次第にその演技が鳴りを潜め、数々の犠牲の上にトゥルーエンディングを目指していく。「マルチエンディングによる作業性」をストーリーそのもので肯定し、主人公に深く感情移入させることで、トゥルーエンディングのカタルシスを何倍にも高める。何とも計算された作り方である。

 

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以下、各エンディング終了直後の感想。

 

 

鈴羽エンディング「不可逆のリブート」

 

・鈴羽が過去で記憶を失い、IBN5100入手に失敗した後に自殺したことを知る。岡部は、鈴羽もまゆりも犠牲にできず、延々と遡れる2日間を繰り返す生き地獄を味わう。段々と人としての正気を失っていた岡部だったが、その後、勘付いてくれた鈴羽の提案で2人で過去に飛ぶことを決意する。

 

・鈴羽から店長経由で貰った手紙があまりにも酷で目を覆った。なんと浮かばれない人生なんだ。
・鈴羽は正体を明かしてからグッとキャラクターが魅力的になったので、鈴羽ルートにそれなりの達成感はある。
・が、そもそも何も解決していないのて、消化不良レベルはMAX。

・そもそもタイムマシンの修理中にまゆりが「タイムマシンに私も乗れたら良いのに」と発言しているが、2人乗ることは機能的に可能だったのか?
・鈴羽が記憶を失いIBN5100入手の時期を逸してしまったのなら、自らの生い立ちと目的全てを書いたノートなりを持参して過去に飛べば良いのでは。せめて記憶を思い出すきっかけにはならないのか。それを一度も試さなかったのは解せない気が。

・途中、鈴羽に性欲を抱くシーンはやけにリアルで良かった。永遠ループなら確かにその考えに堕ちそう。とはいえ、あの時点で鈴羽を襲うなりしていたら心的ショックで紅莉栖がタイムループマシン製作を断念した可能性があるので、やらなくて正解だったとも言える。

 

これはエンディング直後に書いた感想だが、終わってみて改めて振り返ると、おそらく鈴羽に記憶喪失防止のためのノートなりを持たせても、「IBN5100を入手できない」という因果に収束してしまっただろうな、と。記憶喪失の原因は雨によるタイムマシンの故障なので、やはりこのエンディングではない「鈴羽との思い出を犠牲にして雨が降る前に過去に飛んでもらう」という選択しかあり得なかっただろう。「IBN5100を入手できない」という因果は、おそらく「タイムマシンの故障」によって成立していたのだから。

前述の通り鈴羽はタイターである正体が明かされてから一気に魅力が増してきた印象があり、明るくスポーティながら時に見せる影の部分とのバランスが良かったなあ、と。トゥルーエンディング的に紅莉栖ルートなのは勿論だけど、個人的には鈴羽のような女の子が好きですね。(唐突な表明)

 

 

フェイリスエンディング「分離喪失のシャメヴュ」

 

・岡部と紅莉栖は、まゆりの死を回避する世界に行くには、過去に送った全てのDメールを取り消し、元の「IBN5100を入手できた世界」に戻すことが必要、という仮説に至る。その為に、過去に取引で秘密のDメールを送ったフェイリスと接触。Dメールの中身は事故死した父親を救うものであり、それを取り消すことは父親の死を意味していた。その選択を選びきれなかった岡部は新たなDメールで賭けに出るが、まゆりの命は助かったものの、ラボメン全員との関係を失ってしまった。フェイリスとの公私共々のパートナーとして、新たな人生を歩む。

 

・そもそも、過去のDメールを全て取り消して元の世界に戻すのが目的ならば、第1章の最初の時点の岡部に「絶対にDメールを使うな」とDメールを送れば良いのでは?
・ピンチを作る目的なのは分かるが、カードゲームで負けただけで執拗に追い回してタコ殴りにしてくる集団はトンデモ科学以上に現実離れに感じた。
・フェイリスはあざとさ路線でストレートに可愛いのでその彼氏に収まった満足感が無いかと言ったら嘘になる。
・とはいえ、まゆりを守る為にまゆりとの関係を失うのは、本末転倒すぎて胸糞。

・この後も、各キャラクターとの思い出や諸々を犠牲にしながら改変を続けて(Dメールを削除し続けて)いくという流れだろうか。
・鈴羽との記憶を犠牲にした結果、鈴羽がちゃんとIBN5100を手に入れて秋葉に持ち込んでいたというオチは良かった。未来の秋葉の大地主に渡すという選択も悪くない。

・フェイリスはなぜ改変前と改変後の記憶を同時に持つに至ったのか。いきなりこれまでのルールが捻じ曲げられて混乱した。その記憶を引き継げるのは岡部だけの能力だったのでは。
・フェイリスルートはこれで終わってしまった訳だが、この「記憶の復活と同居」が個別ルート用の都合の良い展開だったというオチにならず、後の他のエンディングで何らかの形で補完されることを願う。

 

ここでは疑問点として挙げているが、「リーディング・シュタイナー」について、後に「岡部だけの特殊能力ではない」ことが判明した。あらゆる人にその可能性があるが、特にフェイリスやまゆりなど覚醒度合いの高い主人公と近しかった人間には、後天的に「記憶の復活と同居」が起きていたということだ。

フェイリスは何というかまあ、普通に可愛いですよね。あざと可愛い。「鼻に付く」感じをそれを上回る「甘ったるさ」で圧していくキャラクター。

こちらも、トゥルーエンディングに辿り着くためにはフェイリスの父親という犠牲が必要だった訳だけど、フェイリス自身がそれを受け入れてくれたのが良かったですね。これは、後のルカ子も同様に。主人公は「(精神的に)救われる可能性」を何度もヒロインたちに提示される訳だけど、それをことごとく折っていった先に真のゴールが待つ、と。たいしたドM時間旅行ですよ。

 

 

ルカ子エンディング「背徳と再生のリンク」

 

・鈴羽の記憶やフェイリスの父親を犠牲にして辿り着いた次の消去対象Dメールは、ルカ子を男に戻すというもの。正直に打ち明けて懇願すると、ルカ子と期間限定の恋人関係を結ぶことになる。他者を犠牲にし続ける事に疲弊した岡部は、女であるルカ子を選び、まゆりの死を受け入れる。

 

・まさかここまできて「まゆりの死を受け入れる」パターンが出てくるとは。
・ただ個人的には、すでに2人の女性を犠牲にしてきた訳だから、ここで諦めてしまうのは筋が通らないよなあ、とも。まゆりを見殺しにしただけでなく、鈴羽やフェイリスにも申し訳が立たないのでは。何のための犠牲だったのか。
・つまりは、「可愛いは正義」ということか。なんてこったい。

・共犯者として互いを慰めあって生きていくルートはビターなエンディングとして嫌いじゃないが、やはり根本的な謎解明の部分が全部置き去りなので、釈然とはしない。
・男から女になったことで清掃場所が変わり、ルカ子がIBN5100に干渉するようになった、というオチであった。

・この場合はフェイリスの父親が事故で死んだ世界線だが、フェイリスがIBN5100を神社へ奉納したのは何故だろう。単純に、亡くなった父親が大事にしていた遺品を奉納したということで、深く考える必要はないのかな。
・前回のフェイリスに続き改変前の記憶が蘇ったルカ子。これはどういう理屈だ?
・さらっと「男の頃から岡部が好きだった」ことが確定していたが、これは2周目以降をやる際にかなり視線が泳ぎそうだ。

・最後、ルカ子のタイムループが成功。岡部でなくとも成功したのか。紅莉栖の理論は間違っていなかった。
・ルカ子ルートにも関わらず、紅莉栖と童貞だの処女だの罵り合うシーンが割としっかりあって、半ば紅莉栖ルートかよと良い意味で苦笑い。

・さて、次はルカ子を男に戻すルート。残りのDメールはあといくつだったか。

 

なんというかまあ、ルカ子のキャラクターで引っ張ったエンディングだったかな、というのが本音。そりゃ確かに可愛いけれども、まさかここにきてまゆりの救済を諦めるパターンがあるとは。

女となったルカ子が壊してしまったIBN5100はコインロッカーに隠されたが、それが本来の歴史でのFBが指定した引き渡し場所だった、というのは良かった。こういう、あまり本筋に絡まない部分で「歴史の符合」が描かれると、タイムトラベル物をやっている実感が湧く。

 

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まゆりエンディング「透明のスターダスト」

 

・桐生やFBとの一連の騒動を経て、ついにIBN5100を手に入れる岡部。しかし最初のDメールを削除して世界線を渡るということは、まゆりを救う代わりに紅莉栖を見殺しにすることを意味していた。岡部は苦悩するが、他ならぬ紅莉栖自身の後押しもあり、まゆりの生存を選び、紅莉栖を犠牲にする。

 

・個人的に、圧倒的に 紅莉栖>まゆり なので、なんとも釈然としないエンディングだった、というのが本音。
・というか、最後に岡部とまゆりが恋仲になったのがどうにも受け入れ難い。この2人は恋仲じゃないから良いんじゃないのかなあ。『仮面ライダーウィザード』の晴人とコヨミみたいな。
・ここで恋愛に帰結させてしまうと、鈴羽もフェイリスもルカ子も紅莉栖も、「女として」まゆりに負けた、的な感じになってしまうような気が。岡部のまゆり救済への執念は気付けば恋愛感情だった、とするには... あまりにも、なんというか、濃かったと思うんだけどね。共依存に近い保護欲だと思っていたし、恋愛の一線を超えない方が好みだったなあ。
・まゆりを救うこと自体は良いし、それは過去3つのエンディングを回避したこの世界でずっと目指してきた目標だったのだから、それは良い。目的達成。でも、2人が恋仲に収まってしまうのは、自分としてはちょっと違うかなあ、と。これまでの壮絶な戦いのゴールは恋愛感情で良かったの...?

・店長がFBの正体だったのは面白かったし、なえちゃんの中身が15年後だったのも良いショックだった。
・桐生ともみ合うくだりはちょっと長かったけど。

・目的通りまゆりを救えた訳だが、しかしこのエンディングでも何も解決していない。やはり、キャラクター云々より、ストーリーの仕掛けの解決を自分は何よりも望んでいる。残り2つのエンディングに期待。
・パッと思い返せるのは、「紅莉栖殺害犯」「当初屋上に一度出現したタイムマシン」「ラボの建物からSERNに伸びる直通ネットワーク」「岡部に送られてきた脅迫メール」...あたりが未消化だったかな?

・さて、4章から分岐だ。

 

好みの話だと前置いておくが、私は、まゆりのようなキャラクターにてんで惹かれないタイプなので、やはりそういうキャラクターのエンディングは「面白く」はない。岡部のまゆりへの感情を恋愛オチに持っていっちゃうのは、「違うだろ〜〜」と。紅莉栖を犠牲にしてまゆりを救うのは良いけど、そこは付き合っちゃ駄目でしょうよ。・・・などと、エンドロールを見ながらグチグチ言ってました。

この辺りで、α世界線・β世界線の概念がしっかり絡んできたのが面白かったですね。まゆりを救うことに一生懸命で、冒頭の紅莉栖の死をプレイヤーが忘れかけていた頃に、ガツンと殴ってくる。鈴羽は便宜上、この時点での岡部が居る世界線をαと説明したけど、これ厳密には、αがβでβがαだよなあ、と。いわゆる「元の世界」から順に数えるなら、紅莉栖が死に、タイムマシンが屋上に無事に着いていたのがα世界線。そこから、紅莉栖の死亡報告メールによって世界線移動が起き、岡部が辿り着いたのが紅莉栖が死なないβ世界線。物語の大半がこの場合のβで進行するから、便宜上「そっち」がαと呼称された、と。いやほんと、この辺りのロジックをこねくり回すのが楽しい作品だなあ。

 

 

紅莉栖エンディング「因果律のメルト」

トゥルーエンディング「境界面上のシュタインズゲート 」 

 

・紅莉栖と互いの想いを確認した岡部だったが、まゆりを救うために、紅莉栖を犠牲にする。消える直前、紅莉栖はラボに駆けつけた。

・紅莉栖を犠牲にし、β世界線に辿り着いた岡部。しかしそこに、未来の鈴羽から連絡が入る。紅莉栖の殺人事件の真相と、それにより引き起こされる第三次世界大戦。岡部は、未来の自分からのビデオメールを受け取り、世界を騙すミッションに挑む。そして、無事にそれを成し遂げシュタインズゲートに突入した世界で、過去の記憶を同居させる紅莉栖と再会する。

 

トゥルーエンディングが紅莉栖エンディングを前提としているのが何より良かったですね。いやー、やっぱり紅莉栖ですよ、うん。わずか20日でキスする仲まで発展しちゃったのはアレですが、まあゲームですし、うん。

まゆり・紅莉栖エンディングで主人公を悩ませた「α世界線とβ世界線」の問題が、種明かしを含んで再展開される面白さ。紅莉栖を殺したのは他ならぬ岡部であったし、悲鳴をあげたのも自分自身だった。聞こえた銃声は鈴羽がドアの鍵を壊すためのもので、屋上にあったタイムマシンは鈴羽と自分が乗ってきたもの。そして、初対面であるはずの紅莉栖と邂逅していたのは未来の岡部。だめ押しで、無くしたメタルの「うーぱ」までもがポイントであった。

中鉢こと紅莉栖パパに「論文はコピーくらい取っておけよ!!」と突っ込みつつも、この『バック・トゥ・ザ・フューチャー Ⅱ』的な「裏でこんなことになってました(だから表ではああだったのです)」という種明かしにはゾクゾクきた。良いよねぇ、こういうの。同じストーリーが別の視点から語られて、そして、それに過去の自分と未来の自分が密接に関わる。

前述の通り、未来の自分に「これまでの度重なる世界移動は無駄じゃなかった!」と断言され、これまでのプレイそのものが急速にトゥルーエンディングに「収束」していう流れは本当に良かった。また、最初は私自身も引いていたはずの岡部の厨二病な口上が、錯乱する紅莉栖パパを挑発する際に本当にかっこよく思えてくるからずるい。「俺は狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真だ!」と叫ぶシーンに、まさか万感の思いと共に達成感を覚えるとは。濃すぎる厨二病キャラが、まるで嘘から出た誠のように、最後にしっかり活きてくる。というか、そもそもその「嘘」は、他ならぬまゆりを助けるために出てきたものだった。この辺りにも無駄がなかったですね。

 

終わってみて、ここまで混沌を極めたにも関わらず大団円に着地して、本当に良かったと思う。何より、岡部が報われて良かった。上では「感情移入」と書いたが、プレイヤーが岡部自身として行動するというよりは、岡部というキャラクターをそれこそ「観測者」として観測していた感覚の方が近い。でもだからこそ、岡部の決断や行動に息を飲むことができる。作中でも「世界をまたがって観測できるのは、そんなのは神の力だ」と評されていたが、このゲームにおいて神がいるならば、それは他ならぬプレイヤーなのだ。いわゆる「神の視点」として、リーディング・シュタイナーすら超えてあらゆるエンディングすら観測することが出来る。

そういったメタ的な思考や考察をぐるぐるさせたくなるほどに、この『シュタインズ・ゲート』という作品は、私にしっかりとした中毒性をもたらせてくれた。久しぶりにしっかりと時間をかけてゲームをやったけども、本当に面白かったです。

 

STEINS;GATE - PSVita

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最後に。このゲームを勧めてくれた友人から「全てのエンディングを観る方法」をレクチャーされたおかげで無駄なくストレートにトゥルーにまで辿り着くことができたが、いつかの未来の私がまたイチからプレイする日に向けて、セーブポイントまで盛り込んだ完全版を書き残しておきたいと思う。

 

◆『シュタインズゲート』全エンディング推奨順鑑賞最短ルート


1〜3章
普通にプレイする。

 

4章
紅莉栖からのメールへの返信を以下の単語から行う。「サイエンティスト」「バッドサイエンティスト」「オヤジギャグ」「部外者」「屈辱」 。ここまででセーブ作成(A)。続く紅莉栖からのメールに「なんでここにいるんだろう」以外を選んで返信し、そのままストーリーを進行させる。

 

6章
終盤、中止するDメールを送るか否かで迷うので、ここでセーブ作成(B)。その後、メールを送る行動を取らず、テキストを読み進める。→【鈴羽エンディング】

 

セーブBから再開

 

6章
中止するDメールを送る。→7章へ進行。

 

7章
終盤、電話レンジにメールを送るか否かで迷うので、ここでセーブ作成(C)。その後、メールを送る行動を取らず、テキストをを読み進める。→【フェイリスエンディング】

 

セーブCから再開

 

7章
電話レンジにメールを送る。→8章へ進行。

 

8章
終盤、神社で電話をするか否かで迷うので、ここでセーブ作成(D)。その後、電話をかける行動を取らず、テキストを読み進める。→【ルカ子エンディング】

 

セーブDから再開

 

8章
神社で電話をかける。→9章へ進行。

 

9〜10章
→【まゆりエンディング】

 

セーブAから再開

 

4章
紅莉栖からのメールに「なんでここにいるんだろう」で返信し、そのままストーリーを進行させる。

 

5章
紅莉栖からのメールに「交通費」で返信し、そのままストーリーを進行させる。

 

6章
中止するDメールを送る。→7章へ進行。

 

7章
紅莉栖からのメールへの返信を以下の単語から行う。「鍵がない」「セキュリティ」「現実」。電話レンジにメールを送る。→8章へ進行。

 

8章
神社で電話をかける。→9章へ進行。

 

9章
紅莉栖からのメールに「不安」で返信し、そのままストーリーを進行させる。→10章へ

 

10章
セーブ作成(E)。紅莉栖からのメールには返信せずにストーリーを進行させる。→【紅莉栖エンディング】

 

セーブEから再開

 

10章
紅莉栖からのメールに「居場所」で返信(着信音が鳴らないので注意)。→11章へ

 

11章
→【トゥルーエンディング】

 

(一応「映画ブログ」の端くれとして、本作に近い面白さのある映画をひとつご紹介。近年のもので挙げると、やはりここは『プリデスティネーション』。短くスパッと観れて、ちゃんと頭を殴られます。)

 

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