ジゴワットレポート

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感想『バンブルビー』 奇をてらわない素直さと様式美こそが、マイケル・ベイとの距離を創る

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日本公開から約3週間、やっとこさ鑑賞することができた。Twitterで映画好きな方を多くフォローしていると、公開日を含めたその週末が話題のピークで、よっぽどの大ヒットでない限りは次々と新作に話題が移っていく。3週間も新作に乗り遅れると、もはや観ていないのは自分だけなんじゃないか・・・ という錯覚も覚えるほど。

 

なので、本作『バンブルビー』についても、あらかたの感想はTwitterで目にしていた状態。もちろん大きなネタバレを喰らったことは無かったが、実際に観てみて納得したのは、そもそも大きなネタバレを抱えるタイプの映画ではなかった、ということ。言うなれば、「予告から感じられる観たいモノ」を「過不足なく丁寧に提供する」、という作りであった。

 

Bumblebee (Motion Picture Score)

Bumblebee (Motion Picture Score)

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実写トランスフォーマーシリーズは、私もご多分に漏れず全作映画館で鑑賞してきた。『ビースト・ウォーズ』世代ということもあり、トランスフォーマーは昔から大好物である。「トランスフォーマーを実写映画にする」と最初に聞いた時はどうなるのか不安も大きかったが、作り込まれたCGで描かれる「変形」には目を丸くした。とにかく細部の書き込みがエグい。『仮面ライダーカブト』の制作において、キャストオフする直前のアーマーが浮いた箇所をいかに書き込むか、という過程があったが、それを海の向こうの技術で何倍にも気が狂ったようにこだわったのだろう。

 

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そんな、「変形」の映像表現としての面白さ、純粋な「ワンダー」で殴り抜ける感じは、シリーズを重ねるごとに悲しいかな薄くなっていく。

 

もちろん、それが一概に悪いとは思っていない。続編が出る度に、合体するトランスフォーマーや、対を成すマスコットな存在、動物や恐竜の変形など、様々なバリエーションが提示されたからだ。そしてそれらは、脳を蹂躙して麻痺させていく怒涛のデスマーチに組み込まれていく。いつからか、実写トランスフォーマーの新作鑑賞には、数時間前から飲食を控え、体調を万全に整えてから臨むようになった。

 

 

そんなこんなで、本数も演出も爆発も、どこか飽和状態が漂ってきた実写トランスフォーマーシリーズ。そこに一石を投じるかのように制作されたのが、スピンオフ作品『バンブルビー』だ。監督は『KUBO / クボ 二本の弦の秘密』のトラヴィス・ナイト。

 

冒頭でも書いたように、本作は、何か大きな隠し玉があるようなタイプではない。意外にもシビアだったり、予想以上にハートフルだったりもしない。予告や事前の情報で感じられた、「異星人と少女のジュブナイル」。「ひと夏のノスタルジー」的な味。それらが、過不足なくスクリーンの向こうから提供される。始めて観る映画なのに、まるで通いの定食屋のように、納得感と満足度がゆるやかに積み重なっていく作品に仕上がっていた。

 

もちろん、トランスフォーマーなので、鉄と鉄とのガチンコぶつかり合いもしっかり描かれる。異星人、もとい異星ロボと少女のKIZUNAだけでない辺りが、しっかりトランスフォーマーである。また、オプティマスを含めたトランスフォーマーたちのデザインが、マイケル・ベイシリーズと、かの原典アニメ『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』の、両者融合なフォルムになっており、造形面ではシリーズ決定版にも感じたところである。絶妙な「箱」フォルム!

 

そんなオイルの臭いもしっかり漂わせながら、本作は、同シリーズが続編を重ねるごとに薄まっていた「変形要素へのトキメキ」をこれでもかと全面に押し出してくる。これぞ、1作目で感じたプリミティブな魅力。腕だけ、上半身だけなど、部分変形を多用することで、「変形」が持つ「ワンダーさ」を何度も厚塗りしていくのだ。「そうそう、変形に胸をトキメかせた1作目、懐かしいよね」。観た人の多くが、こういった感想を抱いたのではないだろうか。

 

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バンブルビーを、とにかく可愛く、そしてかっこよく。細部の動きにまで気を配る、キャラクターの息遣いまでもを感じさせるアニメーションの技術は、それこそ、『KUBO / クボ 二本の弦の秘密』で見事なまでのストップモーションアニメを創り上げたトラヴィス・ナイト監督の得意とするところだろう。そして精神年齢を若干低めに設定することで、「可哀そう感」も伴わせる。様式美としての、『E.T.』パターンである。

 

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この手のパターンは、純粋無垢な存在と知り合ったティーンが、互いに互いを必要としていく流れで、軍事利用だの研究材料だの野次馬だのが横やりを入れ、その魔の手から一緒に脱して涙で別れるまでがワンセットである。『バンブルビー』も、しっかりとその黄金律を踏襲する。仲良くなる段階、失敗するフェイズ、引き裂かれるふたり、脱出劇と逃走劇。そして、互いが互いの心の穴を埋め合う存在にまで至る。余計なものを足さず、同時に、ノルマをしっかりとこなす。欲張らず、変化球を投げず、素直に丁寧に。『バンブルビー』は、良い意味で「教科書通り」であった。

 

それは反面、予想を覆す展開がほとんどないので、意地悪に言えば「予定調和」なそれである。カルト的な人気を獲得するには至らないだろう。ただ、本作が面白いのが、その「予定調和」たる「教科書通り」で丁寧な作りが、実写トランスフォーマーシリーズにおいてはこの上なく新鮮であるということだ。こんなにもあらゆる映画で観たパターンなのに、それを同シリーズの設定の上でやるだけで、こうもフレッシュなのかと。

 

これも、トラヴィス・ナイト監督が目指したバランスなのだろう。実写トランスフォーマーシリーズの歴史を振り返れば、綺麗に回転がかかった球を真っすぐに投げ込むことが、むしろ最高に「新鮮」なのだ。トランスフォーマーというコンテンツのプリミティブな魅力である「変形」、そして、誰もがパターンを知っている『E.T.』路線の様式美。最後に、懐かしの80's要素で味を整える。これらを奇をてらわずに素直に組み合わせることで、ちゃんとフレッシュに仕上がる。欲張らない姿勢こそが、むしろ、同シリーズ過去作との距離を取るための最たる手段なのである。

 

実写トランスフォーマーシリーズの、「混沌」な要素へのカウンターとして成立する本作は、カメラアングルや構図も「観やすさ」がしっかり確保されており、マイケル・ベイの作る画とは全く違ったものになっていた。「実写トランスフォーマー=マイケル・ベイ」の構図が満を持して崩れたので、今後は、また毛色の違った監督を起用しつつ、オプティマスやスタースクリームのスピンオフも観てみたいなあ、などと、ついつい欲張ってしまうのであった。

 

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