なんだかんだ大晦日までブログを書いている。
先日、『仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER』の2回目鑑賞に行ってきました。1回目はテーマが持つあまりのエモーショナルな打撃にボコボコにされた感じがあったので、より細部を観察しつつ、ちょいと複雑な物語構造に関しても理解を深めようと、ゆっくり構える感じで。
平ジェネFOREVER 2回目。クライマックスのライダー登場シーンで近くの席の幼稚園児くらいの男の子が「あっ!エグゼイド!!ゴーストっっ!!」と身を乗り出して興奮している様子を見て、俺、無事に号泣。
— 結騎 了 (@slinky_dog_s11) 2018年12月29日
しかし結局、涙を流していた。むしろ初回よりツーっと涙が流れて止まらなかった感じがあって、良い作品だなあ、としみじみ。
以下、初回鑑賞直後に書いた記事では触れきれなかった点について、感想を徒然と。もちろんネタバレ満載です。
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ティードの目的は何か
大東駿介さん演じる、スーパータイムジャッカー・ティード。彼は平成仮面ライダーの歴史を根本的に破壊し、その存在をなかったものにしたいらしく、クウガの遺跡に干渉したりする。しかし、その背景や動機というか、「なぜ平成ライダーの歴史を消したいのか」については全くと言っていいほど説明が無いので、ちょっと物足りないんですよね。
⌚⌚冬映画情報⌚⌚
— 仮面ライダージオウ (@toei_rider_ZIO) November 1, 2018
『仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER』にて「平成仮面ライダー」の歴史を消そうとするスーパータイムジャッカー・テイード役に大東駿介さんが決定したジオ!
強敵ティ―ドの出現にソウゴや戦兎はどう立ち向かうジオ~!?https://t.co/imTCqSbvLj#ジオジオ #FOREVER pic.twitter.com/2qtMt978fk
ただ、彼は自分自身が「王になる」なんて台詞も吐いていて。自分自身を王にするために、平成ライダーの歴史を消していた。そもそも、TV本編のタイムジャッカーたちの行動原理は、「いずれ発生する王決定戦に向けてジオウ以外の王(仮面ライダー=アナザーライダー)を擁立する」ことにある訳だけど(補完計画より引用)、それに対するティードは、「第三者を擁立するのではなく俺自身が王になってやる」的なスタンスなのかなあ、と。
あくまで想像の域を出ませんが、例えばティードは「スーパー」タイムジャッカーなので、普通のタイムジャッカーとはちょっと違う組織や役職に相当すると思うんですよ。なので、あくまで仮面ライダー同士の王決定戦に横槍を入れるTV本編のジャッカーたちに対して、「おめぇらはヌルいんだよ」な感じで、「仮面ライダー同士」という前提そのものを崩しにかかった。しかもその真意は、自分自身を王にすること。ざっくりと、こういう背景が想像できる。
まあ、そもそもタイムジャッカーが何なのかTV本編でもほとんど分かっていないので、難しいところですね。後のTV本編や、例えば後日談のような小説版等で、スーパーなタイムジャッカーのことが補完される日もくるのかな。
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戦兎のほとばしるレジェンド感
初回鑑賞時も感じたことだけど、戦兎のレジェンド感というか、先輩っぷりがめちゃくちゃ良いんですよね。
元より彼は天っっ才物理学者で、ナチュラルに上から目線なところはあるけれど、そこに嫌味を感じさせないのが犬飼くんの演技の素晴らしさで。今回は学生というかなり若めの後輩を前に、その「嫌味のない上から目線」をかましまくってくれる。『ビルド』を一年間観ていた人は、戦兎の一挙手一投足にニヤニヤしたことだろう。
平ジェネFOREVERの戦兎の先輩風「ビュオオオオオオオオオオオ!!!!!!!オオオオオオ!!!!フォォォォォ!!!!!!!!!!ッッ!!ビビュュュ〜〜〜〜!!!!ファ〜〜〜〜!!!!!!!」
— 結騎 了 (@slinky_dog_s11) 2018年12月29日
先日届いた『ビルド』の完全公式読本を読んでいる途中なんですけど、『ビルド』はその名前が持つ「創る」というテーマについて、非常に真摯に向き合ってたドラマだったなあ、と。
主人公である戦兎自身が紛れもない「創られた存在」であり、そんな彼が万丈や美空といった仲間たちと交流していくことで人間としてより深く「創られて」いく。同時に、他でもない戦兎が万丈らを「創り」、そんな彼ら全員で「創った」ビルドが、最終的に平和が実現した新世界を「創る」。これが単なる言葉遊びの羅列に過ぎないことを、一年間のストーリーの中で描いてみせた。ここが『ビルド』の肝だよなあ、と。
そういった苦楽を全て乗り越えてきた戦兎が、「創られた虚構の存在」という現実と出会う。戸惑い、心情を吐露する後輩に対し、「お前にもいつか分かる」と、一見すると突き放すように諭してみせる。重要なのは、誰に創られたとか、どういう存在かということではなく、今ここに、誰かの記憶に立脚して自分が居ることなんだと。
肩を抱いて「俺がついてる!」などと応援するのではなく、その大きな背中を見せることで口数少なく後輩を導く。実に戦兎らしくて、今後のレジェンド出演も一気に楽しみになりましたね。
――映画の中には『ビルド』の登場人物がメインになるシーンがありましたが、その際に大森さんから何か意見を出されたことはありますか。
ひとつだけあります。今回の映画が「虚構」と「現実」の世界を行き来して苦悩するヒーローを描く、というテーマに決まった際、仮面ライダービルド/桐生戦兎にとっては「現実」も「虚構」も問題にならないし、それをソウゴに伝えたい、と提案したことです。『ビルド』で戦兎は何度も「作られた偽りのヒーローだ」と呼ばれていましたから。テレビシリーズでの戦兎の"心情"を少々反映してもらったところがあります。
・『仮面ライダービルド』大森P、最新映画で提案した戦兎からソウゴへ伝えたいこと (1) 戦兎にとっては「現実」も「虚構」も問題にならない | マイナビニュース
ちなみに、戦兎と虚構との距離感については、大森プロデューサーの意見が採用されているとのこと。
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時系列の整理と考察
物語構造について。『平成仮面ライダーぴあ』も一通り読んだけれど、キャスト陣がそろって「脚本が複雑」だとインタビューで答えていて。
これについては、映画公開にあわせてネットでも様々なインタビューが公開されていて、「脚本制作が難航を極めた」ことが至るところで語られている。その余波か、確かに「易しくない」仕上がりになっていて、複雑なのかガバなのかよく分からない感じはある。
これは私の脳内補完も多いのだけど、時系列を整理すると、おそらくこういうことなんじゃないだろうか。
①平成ライダーがクウガからジオウまで活躍していた世界が存在する(『ジオウ』TV本編の世界観と同様)。これこそが作中における真の現実である。
②ティードはスーパータイムジャッカーとして平成ライダーの歴史を消し去ろうとするが、特異点・シンゴが存在するため、歴史が修復されてしまう。そのため、まずはシンゴを封印して、それからクウガの遺跡に干渉する必要があった。
③2000年において、ティードはシンゴを誘拐し、封印(特異点を無効化、これが映画本編中盤の出来事)。クウガの遺跡に行き、アナザークウガライドウォッチを生成する。
④クウガの歴史が捻じ曲げられた影響で、世界線が分岐する。これまでの平成ライダーが活躍してきた世界線がB(便宜上の呼称)となり、そのBをフィクションの番組として楽しむ仮面ライダーが存在しない世界・Aが誕生(もしくは元より存在していた平行世界とこれを機に隣接)。Aという名の新現実は、我々実際の視聴者が住む世界と同様である。Aから見ると、Bは作中世界と言える。AとBは本来交わらない。
⑤元々イマジンが現実として存在していたB世界から、歴史を救う目的でフータロスが行動を開始。世界線を移動し、A世界のアタルに契約を持ちかける。アタルは、フィクションである仮面ライダーが現実に登場する世界を望む。
⑥フータロスは契約完了のために自身の能力でA世界とB世界の境界を一部融合させる。この影響により、ソウゴやゲイツ、ツクヨミらの歴史が度々混乱する。(映画冒頭の出来事)
⑦映画中盤でフータロスの能力が終了。ソウゴと戦兎はダブルライドウォッチを使ってBからAへ移動する。その後、A世界の人々の願いにより、ジオウとビルド以外にもB世界から次々と仮面ライダーが召喚される。平成ライダー全員で、アナザークウガを倒す。
⑧歴史は修正され、世界線は整理される。AとBは互いに交わることなく、独立した存在として進行し続ける。
・・・と、まあ、これはかなり強引なやつです。死ぬほど真面目に考察していくと、どうしても「遺跡はどの時点からどこに存在していたか」「フータロスはどこから来たのか」「ラストの兄弟そろっての写真をどう解釈するか」という問題が出てくるので、それら全てに一応の答えをこじつけるなら、こういった「世界線分岐説」を採用するしかないのかな、と。
とはいえ、これでもまだ『ジオウ』TV本編との細かな齟齬はあるんですけどね。
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アクションシーンの感想など
山口監督が彩るアクションシーン、良かったですねぇ。従来のお祭り映画に比べて再現度がびっくりするくらい高くて、しかも、当時見なかった新技もいくつか披露されたり。ライダーたちが常に研鑽を怠らなかったであろう想像の余地と、最新の映像技術が用いられたエフェクトの数々は、観ていて「おお!」となるものばかり。アギトの光の手刀やキバの鎖攻撃、ゴーストの竜巻上昇アタックも見応えありました。
クウガのバイクアクションはさすが当時の方と同じだけあって、跳ねる動きに涙腺が潤む。傾斜でのバイクスタントもそうなんですけど、平地を走ってる時の腰の浮かせ方ね。あの腰からお尻へのライン、バイクから立ち上がった脚。あれがたまらん。
あと、何においてもラストの連続ライダーキックですよね。ウィザードのキックストライクが上昇すると下から一気にキバが出てきて暗転する瞬間が本当にもう最高。キバのキックはTV本編でも後半はあまり夜にならなかったので、そういう意味でも「うわ!!暗くなった!!」の感動がひとしお。
そして、その暗い中で上空からオレンジの輪切りが重なるのも面白い。ここまでくると鎧武の姿はしっかり確認できないくらい画面が入り乱れてるのだけど、それでもあのオレンジが出てくるだけでどう観ても鎧武と分かる。ファイズとカブトの同時キックは、キックの直後にファイズがちゃんと幻影状態から復帰するのが細かい!
最後に、クウガが両手を広げてキックの構え。そしてあのBGMがアレンジされて流れる。ここでグッとこないはずがない。思わず拳を握りしめてしまう。
そして、敵を倒したあとに平成ライダーが20人そろって立っている。煙の向こうに居る虚構の、しかし現実の存在。このシーンが最後の涙腺ポイントというか、またシンゴくんの演技も上手くて・・・。
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といった感じで、『平成ジェネFOREVER』2回目の感想でした。また追って色々とインタビューや関連本等で制作舞台裏が明かされていくと思うので、補完していきたいですね。
しかし今月は平成ライダー関連の本が多すぎる・・・。嬉しい悲鳴。時間をくれ。
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