ジゴワットレポート

映画とか、特撮とか、その時感じたこととか。思いは言葉に。

感想『仮面ライダージオウ』第9話「ゲンムマスター2016」ZI-O signal EP09

FOLLOW ME 

f:id:slinky_dog_s11:20180828164256p:plain

 

『仮面ライダージオウ』第9話は、柴崎監督+毛利脚本のオーズ編前編。後編まで二週間の間が空いていましたが、なんとこの文章を打っているのは日曜早朝。あと数時間で10話が始まってしまう・・・!言い訳がましいのですが、最近びっくりするくらい仕事が忙しく、体調も崩し、そして娘も体調を崩してしまい、ブログの更新頻度が下がりに下がる停滞期に突入中。しかし、このジオウシグナルだけは意地でも継続したい。嫁さんと娘を布団の中に残し、二週間前の録画を流しながら書いています。さあ、間に合うのか!?(何度目かのこの導入)

 

ということで、『仮面ライダージオウ』の感想を綴る「ZI-O signal」(ジオウシグナル)、今週もいってみましょう。

 

スポンサーリンク

     

スポンサーリンク

 

 

 

檀黎斗、オーズの世界に参戦

 

檀黎斗は、言わずと知れた『仮面ライダーエグゼイド』のキャラクター。番組開始当初は毒にも薬にもならないような印象でしたが、どんどん毒素が増していき、お馴染みの怪演で番組を引っ掻き回すトリックスターへ成長。脚本的には、全ての根源でありながら、その常軌を逸したプライドや価値観は非常に面白いものがある。彼については、『アナザーエンディング』と『マイティノベルX』を履修しないと語りきれない部分があるので、未履修の方にはオススメです。

 

小説 仮面ライダーエグゼイド ~マイティノベルX~ (講談社キャラクター文庫)

小説 仮面ライダーエグゼイド ~マイティノベルX~ (講談社キャラクター文庫)

 

 

以前感想記事も書きましたね。

 

www.jigowatt121.com

 

前回の感想でも触れましたが、おそらく偶然とはいえ、オーズが活躍した2010年は黎斗にとって重要な年。永夢を拉致し、バグスターウイルスの適合手術を受けさせ、そこで生まれたパラドと計画に着手し、母・櫻子にウイルスを感染させ、そのままポッピーが誕生(櫻子死亡)。『マイティノベルX』付録の「エグゼイド前史」によると、この全てが2010年で起きたことになっている。

 

アナザーエグゼイドは2016年で発生しているので、2010年時点ではまだエグゼイドは正史を辿っていたはずである。そんな正史のエグゼイド史に、タイムジャッカーが二度目の介入。エグゼイド世界は二度も歴史改変を受け、もはや何が何だか分からない状態へ。黎斗はアナザーオーズとなり後の2018年の独立・建国のための計画に動き出す訳だが、それが元の歴史でもゲームマスターへの道を本格的に歩み始めた2010年ということで、非常に皮肉な話でもある。

 

黎斗のキャラクターの面白いところ、そして、難しいところは、決して「欲望」一辺倒ではない部分にあると思っている。彼はからなりの命に対する倫理観というものがあり、それは母を亡くしたことで形成された歪んだ価値観から成り立っている。それを時間をかけて世界に配置しようとする用意周到さ、クレバーな側面、計画性の高さも魅力で、決してガハハと口を開いて変態的な行動を取るだけが黎斗というキャラクターではない。

 

つまり、欲望という大渦に身を委ねているのではなく、ともすればそれをコントロールしていく理知的な側面も持っているのが、檀黎斗という人間なのだ。とはいえ、今回のオーズ編では原典『オーズ』でも重要なキーワードだった「欲望」にリンクさせたレジェンド出演なので、彼のサイコな部分がよりフィーチャーされるのは当然ともいえる。

 

フォーゼの時代に生きる乾巧とか、オーズの時代に生きる檀黎斗とか、やはり『ジオウ』における平成ライダーは2000年のクウガから地続きという設定なんだよなあ、と改めて感じさせてくれる。登場人物の本編の「その後」は映画等でよく描かれるが、「その前」が他作品中(この場合の『オーズ』)に出てくるというのは、中々に新鮮である。

 

スポンサーリンク

     

スポンサーリンク

 

 

 

オーズと歴史改変

 

『オーズ』は仮面ライダー40周年記念作品ということで、色んなコラボが多かった作品。今回の『ジオウ』のような歴史改変でいくと、やはり映画『レッツゴー仮面ライダー』が思い出される。この映画では、改変された歴史の中で奮闘するオーズや電王が描かれる、という縦筋で、ヒーローショーをそのまま映像化したようなクライマックスの展開には当時映画館でボロ泣きしたものである。

 

オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー コレクターズパック【Blu-ray】

オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー コレクターズパック【Blu-ray】

オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー コレクターズパック【Blu-ray】

 

 

また、黎斗が独立を宣言したのはお城で、彼自身も和装(というより南蛮?)に身を包んでいる訳だが、この手の要素でいくと思い出すのはやはり『MOVIE大戦CORE』である。まだ番組開始直後で映司の性格描写にブレがあったりする訳だが、蘇った織田信長を軸に欲望の扱い方が描かれた一編。『オーズ』と戦国武将という組み合わせは、今回のお城周辺のロケーションを見ているとなんとなく思い出されてくる。懐かしい。

 

 

脚本を務める毛利さんは、直近だと『宇宙戦隊キュウレンジャー』を手がけてきた方。私としては、「作品の持つ要素を再構築して演出する」のが上手い方という印象で、そのMVPが『ドライブ』の最終回だと思っている。そんな毛利さん、今回も「王」についての意気込みがあるようで、その辺りは公式サイトのこの辺りを引用しておきたい。

 

9話からの脚本は毛利さん。
1話から8話までジオウワールドをつむいできた下山健人さんに、まっこうから勝負を挑みます。

「ジオウって要素盛りだくさんだけど、いちばん大事なのは、『ソウゴが魔王になる』というメインプロットだよね?」
「ならば、俺がソウゴを立派な魔王へと導いてやる!」

と毛利さん、言ってることがまるでウォズ。
ただしウォズさんと違って、「立派な魔王になるには、ライバルが必要だ……」とスパルタ教育ですが。

平成仮面ライダー20作品記念公式サイト | 東映

 

スポンサーリンク

     

スポンサーリンク

 

 

 

オーズと欲望

 

『オーズ』が面白いのは、欲望を肯定したところにある。欲望というのはとにかく否定されがちで、ワガママ、自己中心的、と罵られることが多い。『オーズ』はこれを「誰しもが持っているもの」と定義し、その上でいかにその欲望を発露させるのか、誰かと手を取って具現化することはできるのか、というテーマに持って行っている。非常に、小林靖子脚本の旨味が効いた物語だ。

 

主人公・火野映司は、議員の息子でありながら目の前で救えなかった命を苦にその身分を捨て、放浪の旅に出ていた青年。本当は誰よりも誰かを救いたいのに、その欲をひた隠しに、一見すると無欲で掴み所がないような、そんな人間になっていた。しかし、一度危機に直面すると、誰かを自らの手で助けることに躍起になり、他者からは神様のように崇められるほど自己犠牲を厭わない。

 

そんな浮世離れした、下手をすれば悟りの境地に達していた仏のような青年が、最終回で人の地に堕ちる。それを誘ったのが、欲望の怪人ことアンクであり、青年は晴れて人として「誰かと手を繋いでいく」ことを覚えた。

 

そんな物語であるからして、今回のオーズ編、黎斗の欲望をただ切って捨てることだけはして欲しくないなあ、というのが本音である。彼の欲望、それ自体を観察し、理解しようとし、なんなら半ば肯定し、その上でソウゴや映司の欲が正面から戦いを挑む。そんな筋が理想なのかもしれない。

 

黎斗は、ある意味で映司なのだ。欲望への解釈を誤った、欲望の飲み込み方を歪ませてしまった人間として、2人は近いところにいる。そんなアナザーオーズの前に、歴史改変の結果、国会議員になっていた火野映司が登場する。そして、王を目指すソウゴがその両者の間に立つ。なんとも、魅力的なシナリオではないか。

 

2010と2016

 

今回のシナリオで面白かったのは、アナザーオーズが生まれた2010年を2016年に誤認するくだり。アナザーオーズの背中の年代表記、0がひび割れていて6に見えて・・・ などと、なんとアクロバティックな話運びなんだ。ちょっと笑っちゃいましたけど、とはいえ感心しました。黎斗が2016年のキャラクターで、大人の事情でキャンペーンしたいゲンムライドウォッチも2016年表記。色んな意味で練られたシナリオでした。

 

細かいのが、黎斗がアナザーオーズになった回想シーン。タイムジャッカーによる「今日から君が〜」のくだり、壁にあるポスターの2010が絶妙に隠されているんですよね。で、実際の2916年でゲイツが戦うシーンでは、これでもかと2016の表記が映る。脚本・美術・演出の妙技ですよ。実に細かい。

 

スポンサーリンク

     

スポンサーリンク

 

 

 

ソウゴという人間

 

今回のポイントは、ソウゴがゲイツに完勝するくだり。これおそらく、黎斗の王としての素質や真意を見極めるためにあえて敵の懐に飛び込む作戦だとは思うが、とはいえ割と本気で向かってくるゲイツにちゃんと勝っちゃうソウゴには驚いた。

 

以前、「魔王になりそうなら倒して欲しい」と言っていたソウゴだが、いざ本当にそうなると「倒して欲しいとは言ったが黙って倒される訳にはいかない」的なパワープレイを発動。ゲイツがアーマーを装着しないのはちょっとシナリオの都合が垣間見えたが、とはいえしっかり勝ってしまったのはすごかった。

 

ソウゴがあそこでゲイツを倒してしまうのも、自分の目的のためなら仲間とはいえ一時的にそういう扱いにできるクレイジーな側面のようで、ちょっと背筋が凍りましたね。高岩さんのアクションも、カブトや電王ウイングフォームのような「静の動き」。完全に敵をいなすタイプのやつ。久々に観た気がするな、この動き。懐かしい。

 

スポンサーリンク

     

スポンサーリンク

 

 

 

そんなこんなで毎回よりちょっとボリュームが少なくなってしまいました。やっぱりもっと時間をかけて書くべきだった・・・。まあ、予告で観せられた映司が本編の最後に出ただけだったので、本番は後編という感じもあるのですが。時間確保を反省しつつ、もうちょっと更新のタイミングを改善していきます。

 

それではオーズ編後編、この後すぐ!(もう放送まで30分ない)

 

仮面ライダージオウ DXタイムマジーン&オーズライドウォッチ

仮面ライダージオウ DXタイムマジーン&オーズライドウォッチ

 
仮面ライダージオウ DXコダマスイカアームズ

仮面ライダージオウ DXコダマスイカアームズ