『仮面ライダージオウ』第8話は、諸田監督が彩るウィザード編の後編。前回に引き続き、実に「ウィザードらしい」回でした。などと書いている今現在、土曜の夜22時を回りました。仕事に忙殺されていたら、いつの間にか次回の放送直前に・・・。しかも、やっと確保できた休日に観た映画が面白すぎて思わずそっちの感想記事を先に書いてしまう始末。更新は今晩中に終わるのか? 如何に!!
ちなみに今日観た映画はこれです。すごく面白かったので、オススメです。
ということで、『仮面ライダージオウ』の感想を綴る「ZI-O signal」(ジオウシグナル)、今週もいってみましょう。
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ウィザードらしい終幕
前回の感想で「ゲストキャラクターのドラマに尺を割くのが実にウィザードらしい」という旨を書いたが、後編もしっかりウィザードらしかったです。主に後味が。というのも、アナザーウィザードになってしまった早瀬は最終的にお嬢様に想いを伝えた訳だが、おそらくその恋は実らないのだろう。そして、あの見世物小屋も当初の通り閉鎖となるのだろう。彼が怒り狂った原因そのものは、なに一つ好転しないのだろう。
それでも、彼は未来の自分によって救われたのだ。人生が好転したというより、精神に希望を宿すことができた。状況が変わらなくても、早瀬という人間を変えることができた。このビターな後味が、実にウィザードらしい。『ウィザード』も、絵に描いたようなハッピーエンドというより、そこに生きる人々がいかに希望に向かって歩を進めるかに焦点を絞って物語を展開していた。今回の8話も、まさにそのバランスに落とし込まれていて、再現性が高いなあ、と感心するばかり。
むしろ『ジオウ』の物語においては、タイムトラベルでいくらでも事態そのものをひっくり返すことができる。早瀬をお嬢様と初対面のタイミングからやり直させることもできるし、未来を教えた上で見世物小屋の経営を改善することも出来ただろう。
しかし、ソウゴはそういった改善策を望まない。王として、民の精神的幸福、皆が希望に向かって人生を送ることを目的とする。タイムトラベル作品の諸刃の剣である「なんでもあり」に、ソウゴの人生観やイズムでストッパーをかける。シナリオ的にも実に扱いやすいキャラクターに育ってきたのではないだろうか。
今回、ゲイツが「導かれるままに動いただけ」と語っていたように、ソウゴの天然の人心掌握スキルは回を増すごとに強力になってきている。知略に長ける訳でも、抜群のリーダーシップを発揮する訳でも、カリスマ性で牽引する訳でもない。その人の良さと掴みどころのない性格で、いつのまにか周囲の人間を自分のペースに引きずり込む。ある意味、『アギト』の翔一くんに近いのかも、と思ったり。
あと、「未来の自分・過去の自分と通話する」シーンも良かったですね。『ジオウ』でしか出来ないやり方ながら、まさに「魔法」。ちょっと不思議な出来事が、自分を前向きに変えてくれる。重ね重ね、実にウィザードらしい塩梅である。
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ウィザードアーマー披露と3号の話
登場カットで舐めるように撮るのではなく、戦いながらひらめくスーツを若干のスローモーションで捉える演出。指輪の魔法使いはこうじゃなきゃ、という感じでしたね。両肩のウィザードリングだけでなく、羽のような造形も大柄で、ガタイが良いのにどこかスタイリッシュという、面白いデザイン。胸の造形がフレイムドラゴンっぽいのもまた良い。
ゲイツに割り当てられたアーマーは何か共通項があるのかな、と思っていたけど、単に赤系統を寄せてるのかな。ゴーストのオレンジがちょっと苦しいかもだけど、確かにドライブもファイズもウィザードもゲイツが着た方が親和性が高い。龍騎アーマー、カブトアーマーあたりも、もし出てくるのなら是非ゲイツに着てほしいところ。
ウィザードアーマー、必殺技がビッグなキックなのも面白かったですね。足裏の「きっく」文字という元のデザイン上のポイントが、文字通り何倍にも効果的になる演出。ウィザードは魔法のおかげで攻撃パターンが多彩なライダーだけど、ビッグは何かと多用される傾向にある。映画『仮面ライダー3号』でもレースシーンで使われていて笑った記憶。単純に絵的に映えますしね。
ちょっと話は脱線しますが、『仮面ライダー3号』って、『ジオウ』の雛形?みたいなところがあるんだよなあ、と先日気付いた。平成ライダーにおける歴史改変モノはかなりやり尽くされた感もあるけど、『ジオウ』はそこを今一度ロジカルに組み直している印象。
久々にふと思い立って『仮面ライダー3号』を観てるんだけど、これ、言ってしまえば「アナザーV3が出現したことによる歴史改変を正史に戻す戦い」だよな......。『ジオウ』の方が『3号』よりはロジカルに組まれてるけど、構造的に近いものを感じる。同じ白倉さんプロデュース作だしね。
— 結騎 了 (@slinky_dog_s11) September 30, 2018
要は『3号』も『ジオウ』も、仮面ライダーシリーズやその放送の歴史をメタ的に解釈した上で歴史改変を行うことで、レジェンドの活躍・ライダー同士の戦い・夢のマッチアップなど、「やりたい絵」「見せたい展開」「実現させたいアイデア」から逆算して最低限の理屈を持ってこれるんだよな。
— 結騎 了 (@slinky_dog_s11) September 30, 2018
上でも書いたように、タイムトラベルネタの最大の敵はそれ自身であり、悪い意味で「なんでもあり」が加速してしまうと、一気に冷めてしまう瞬間が生まれてしまう。その点『ジオウ』は、「なんでもあり」を担保しながらも期待値が破綻しないギリギリのラインで物語を構築している印象があり、逆に言えば、それがいつ破綻してしまうんじゃないかというハラハラ感もある。これがリアルタイムで追いかける面白さよ・・・。
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久々のランチタイムと補完計画
仁藤の変身が見られたのは何よりでしたね。そして、番外編である補完計画の内容(アナザーライダーを一時的に倒すことで正史が復帰する <補完計画2.5話> )をここで持ってくるとは。私も含め、設定面が気になってしまうウルサ型のオタク向けに有料配信サービスで先に設定を説明しておいて、本編では物語に余裕ができたタイミングでドラマに組み込んでそれを描写する。
放送が終わってから設定資料集等を読んで「あれはこういうことだったのか!本編で説明して欲しかった!」となることはままあるものの、よもやそれをリアルタイムで同時進行させるとは。なんとクレイジーなやり方。アクロバティックすぎる。
4話まで観た時点でこの記事のようにまとめたけれど、その理解は概ね間違っていなさそうで何より。やはり、「アナザーライダーを倒すと一時的に正史に復帰する」という概念は、「アナザーライダーは歴史を上書きする」という捉え方と相性が良い。
今回すでにビーストライドウォッチが生成されている状態で正史に復帰した仁藤が変身していたけれど、思い起こせば2話時点でもビルドとビルドライドウォッチは共存していたので、このあたりのタイムラグ(テイクオーバーゾーン?)の都合はある程度寛容に理解しておいた方が良さそう。「ライドウォッチ=そのライダーの力そのもの」ではなく、「ライドウォッチ=そのライダーの力が封じ込まれたもの」という理解。
そしてそれが更なる歴史改変(仮面ライダーという概念の消失)を招くのならば、「ライドウォッチが譲渡されること」が要因ではなく、「ジオウもしくはゲイツがそれを所持し続けること」の方が重要なのかもしれない。
ビーストのスーツは久々に観たけれど、やはり白い手袋が印象的。ウィザードの黒とも対比になってるんだけど、「猛獣使い」「動物園の飼育員」的な手袋っぽさもあって、すごく面白いデザイン。ファルコ! やバッファ! とかも観たかったし、何なら彼の中のキマイラが歴史改変においてどういう扱いになったのかにも触れてほしかったけど、さすがにそこまでは無理だったかな。
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素晴らしきカット演出
今回、すごく諸田監督の演出で好きなポイントがあって。それは、カットの切り替え。バンク映像でウィザードが力を失って、立ちすくむ晴人。黒と赤がヒラヒラするロングコートをたなびかせてその場を去ると、次のカットでは同じく黒と赤がヒラヒラするロングコートのアナザーウィザードが得た力に酔いしれる。失った者と得た者、その力が仮面ライダーという同質のものであることを暗示するカットの切り方。これには痺れた。
また、ウィザードアーマーをまとったゲイツがアナザーウィザードを蹴り飛ばすと、切り替わった次のカットでは2018年でジオウがアナザーウィザードに攻撃を与えた直後。「この力さえあれば全部上手くいくはずだったのに!」という彼の嘆きも、ゲイツが介入する直前のビルを消して喜ぶ姿を思い起こさせて物悲しくなる。対比が美しい演出の数々でした。
あと細かいところで好きだったのは、ビーストを前に変身するゲイツくん。変身の時に後ろに出る紋章が、画面左部分、木の後方に位置してるんですよね。たったこれだけで合成の手間がすごくかかってしまうと思うのだけど、でもこのおかげであの紋章の立体感がすごく伝わってくる。変身エフェクトに凝った技巧派なカットでした。坂本監督回でも紋章が回り込む演出があって、あれも好きでしたね。
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改変されたエグゼイド史と2010年
さて、次回はオーズ編。OOOの3つの王ということで、レジェンドであるオーズと、最新の主人公ジオウ、ここに加えて檀黎斗を王として登場させるまさかの展開に。何かと話題に事欠かない岩永氏の出演解禁を隠れ蓑に、我らが火野映司と比奈ちゃんの登場を予告まで秘匿にするサプライズも炸裂。やってくれますねぇ。
⌚⌚キャスト発表だジオ!Part7⌚⌚
— 仮面ライダージオウ (@toei_rider_ZIO) October 14, 2018
「仮面ライダーエグゼイド」より檀黎斗役岩永徹也さんの出演が決定ジオ〜!
”神”と自称した黎斗が持つ扇子には、”王”の文字が…?!
ひィ〜。どうなっちゃうジオ〜。#宝生永夢ゥ #ジオジオ #モルモット #ゲンム #仮面ライダージオウ #オーズ #エグゼイド pic.twitter.com/2aGIScOFJM
⌚⌚キャスト発表だジオ!Part8⌚⌚
— 仮面ライダージオウ (@toei_rider_ZIO) October 21, 2018
「仮面ライダーオーズ」より火野映司役の渡部秀さん、泉比奈役を演じた高田里穂さんの出演が決定ジオ〜!
檀黎斗との関係は?!来週の放送をお楽しみにジオ〜。#オーズ #ジオジオ #タトバ #ゲンム #仮面ライダージオウ #ふにゅ〜 pic.twitter.com/BCK9uh1bzE
映司くん、また胸に赤い羽根なんかつけちゃって・・・。君はまったくいつもそうやって・・・。また『平成ジェネレーションFINAL』のようにオーズ愛を爆発させたのだろうか。そして、次回は毛利脚本。毛利さんは「作品の持つ要素やテーマを再構築して魅せる」のがすごく上手な方という認識なので(『ドライブ』最終回など)、サブで参加されるのは期待が高まりますね。ここまで辿られてきた『ジオウ』の物語に、どのようにアプローチするのか。
あと、エグゼイドの歴史は3・4話のエグゼイド編で更なる改変を迎えた訳で、仮面ライダーという概念が消失し、幻夢コーポレーションも異なる発展を遂げているはず。すでに『エグゼイド』本編とは大きく分岐している、ということですね。
加えて、『小説 仮面ライダーエグゼイド』付録の全史によると、オーズの2010年は、永夢が手術を受けてパラドが誕生し、黎斗が母をウイルス感染させポッピーを生み出した、エグゼイドの核となるイベントが発生した年。
まあ、さすがにそこまで絡めてはこないと思いますが、そういう余白まで想像しちゃうのがお祭り作品の楽しいところですよね。
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アナザーオーズのデザインはまさにSICのオーズという感じで大好き。・・・といった感じで、寝落ちを挟んで現在日曜の朝7時半!ま、間に合った!間に合ったぞ!!!
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