ジゴワットレポート

映画とか、特撮とか、その時感じたこととか。思いは言葉に。

HIP HOPが無知すぎるアラサー、ライムスターにハマる

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何度かブログでも書いているように、ご多分に漏れず宇多丸さんのラジオはずっと聞いていて。

 

www.tbsradio.jp

 

アトロクになってからは単純に追いかけるのが大変!もちろん嬉しい悲鳴なんですけどね。なので、ライムスターというHIP HOPグループのことはずっと知ってはいて、何度かいくつか聴いて「かっけ~」とはなっていたけど、本格的にハマるまでには至らず・・・ というのをここ数年繰り返していました。

 

音楽に限らず出会いには謎のタイミングというものがあって、ふとYouTubeを眺めていた時に見つけた『人間交差点』というナンバーにショックを受けたんですね。「な、なんてかっこいいんだ・・・!」、と。後日調べると生演奏をデジタル処理した楽曲らしく、そういうアプローチもあってか、すごく自分の好みに突き刺さる感じがあって。これが今年の夏の初め頃の話。

 

www.youtube.com

 

学生時代から社会人になった今でも吹奏楽やオーケストラに触れる生活をしていて、そういう半生だったからか、音楽に関してはかなり意識的に「食わず嫌い」がないように心がけていて。まずはなるべく偏見なく聴きたいスタイル。しかし一番好きなアーティストがLArc-en-Cielということで、HIP HOPの分野はほぼ無勉強の状態。「食わず嫌い」の前に、何よりまずよく知らないという。

 

唯一というか、SOUL'd OUTが以前より好きで、今でもよく聴くし何ならカラオケでも歌いますけど。私の知る「HIP HOP」は、そのほとんどが彼らという状態。

 

VOODOO KINGDOM

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前置きが長くなったけれど、要はライムスターについては本当に無知だったので、まずはとにかく聴いてみよう、と。日本語ラップの文脈とかそういうのも少しは仕入れつつ、でも何よりまず曲を聴かねば始まらない。

 

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まずは前述の『人間交差点』を一週間ほど狂ったように聴いて、ふたりのMCの歌い方のアプローチの違いとか、歌詞のクセとか、サウンドの運びとか、自分なりに「ここが好き」「あそこがかっこいい」を熟成させる。後々崩すためにイメージを作る感じ。

 

人間交差点

人間交差点

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そして次はアルバムを聴く。新しいアーティストにハマりたての時は、まず「その時点での最新ベストアルバム」を聴くようにしている。

 

The R~The Best of RHYMESTER 2009-2014~

The R~The Best of RHYMESTER 2009-2014~

 

 

『ラストヴァース』『そしてまた歌い出す』の音の厚みや世界観に何度も頷き、『余計なお世話だバカヤロウ』の歌詞に爆笑し、『フラッシュバック、夏。』でバリエーションの幅に驚き、『The Choice Is Yours』の見事なサンプリングに体を揺らす。

 

宇多丸さんのラップはとってもロジカルで、歌詞の作り方もびっくりするぐらいに理知的。音楽って芸術の分野にカテゴライズされるけれど、やはりHIP HOPに限らずある程度は数学というか、ロジカルなものなんだよなあ、と久々に痛感。

 

日本語ラップは平均的なJ-POPに対して当然のように文字数が多いので、ひとつの楽曲の中で繰り広げられる物語がとにかく厚いなあ、と。「テーマ」ももちろんあるけど、それに勝る「展開」がある。だから、歌詞やサウンドやその他諸々全てにアンテナを伸ばして聴くと、たった一曲なのに(良い意味で)ものすごく疲れたりする。

 

私は「手数(てかず)」という表現が好きなんだけど、まさに日本語ラップは楽曲が持つ「手数」が多い。ライムスターは、膨大なそれを理路整然と打ち出しつつ、一方でそういったアンテナを取っ払って無心で聴いてもサウンドや音の面白さに浸れる「飲み込みやすさ」がある。この双方を持ち合わせているのって、ズルいなあ、強いなあ、と。

 

ロジカルで、かつ殴るように言葉を重ねてくる宇多丸さんのラップに対して、Mummy-Dさんはエモーショナルかつ職人肌というか。「いかにも」なラップというより、さらっと何でもないようにスルスルと音を並べていく。一見すると普通に聴き流してしまうようなフレーズが、よくよく聴くとびっくりするようなリズムの構成になっていたり。ふたりとも歌い方が違って本当に面白い。

 

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で、ベストを聴いたので、次はオリジナルアルバムに移行。まずは最新アルバムを入口に、順にさかのぼっていくことにした。現状、『ダンサブル』『Bitter, Sweet & Beautiful』『ダーティーサイエンス』『フラッシュバック、夏。』ときて、今日現在は『POP LIFE』を聴き込んでいる最中。

 

ダンサブル(通常盤)

ダンサブル(通常盤)

 

 

面白いのは、アルバムによって雰囲気がびっくりするくらい変わるところ。それぞれ、ネットで当時のインタビューや楽曲解説を読みながら聴き進めているのだけど、非常に楽しい。『ダンサブル』はタイトル通りのバラエティ感とノリがあるんだけど、その前作『Bitter, Sweet & Beautiful』は驚くぐらいコンセプト性が高い。逆順で聴いている自分が悪いのだが、さっきまで笑顔で踊っていた人がいきなり眉間にしわ寄せて語り出すほどのギャップ。

 

続いて、楽曲を聴いたらライブ映像が観たくなる。ベストアルバムから入ったこともあったので、シングル『人間交差点 / Still Changing』付属のライブBDを購入。「初回盤とはいえシングルに付いてくるボリュームかよ!」と驚きつつ、初めてライブを拝見。

 

人間交差点 / Still Chainging (初回限定盤A)

人間交差点 / Still Chainging (初回限定盤A)

 

 

何に驚いたかって、前述のふたりのMCの魅力がライブだと逆転するんですよ。楽曲で感じていた宇多丸さんのロジカルさは良い意味で捨てられて、観客を煽りに煽って、感情を込めに込めて、エモーショナルさを爆発させる。対するMummy-Dさんは、比較的楽曲に忠実に、音源で披露した職人芸をステージでも完璧に再演してみせる。

 

「ロジカルさ・クレバーさ」と「エモさ」が、音源で聴いていた印象と逆の方に付与される感じ。脳汁が溢れる交差っぷり。これにはたまげました。超インタレスティング。

 

続けて『ダンサブル』を引っ提げたツアーのBDも購入。同様の魅力を感じながらも、観客とも掛け合いのパターンや曲順が作る構成の妙を楽しむ。『スタイル・ウォーズ』からの『Still Changing』とか熱すぎるでしょ。 『Back & Forth』の掛け合いも生で観ると(映像だけど)臨場感がすごい。

 

KING OF STAGE VOL.13 ダンサブル RELEASE TOUR 2017-2018 [Blu-ray]

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てな感じで、ここ数ヶ月、ずっとライムスター聴いてます。取りあえずは、このままどんどんアルバムをさかのぼっていきたいな、と。

 

この歳になるとどうしても「新しい何か」にハマるのが(精神的にも時間的にも)以前より難しくなってくるので、今後も意識していきたいところですね。無知は発見の入り口。

 

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