ジゴワットレポート

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感想『風都探偵』3巻 閉ざされた洋館で起こる連続殺人事件は、王道ミステリと仮面ライダーの見事な融合に至る

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待望の『風都探偵』3巻の感想を簡単に。

1,2巻にも増して「漫画ならでは」を推し進めた内容で大満足。

 

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前回の感想記事でも書いたのだけど、『風都探偵』という作品は存在そのものが極上の奇跡みたいな代物。

また『仮面ライダーダブル』が、あの頃と同じクオリティで体感できる。それがとにかく嬉しい、に尽きるんですよね。

 

www.jigowatt121.com

 

1巻ではTVシリーズ第1話を踏襲したときめとの邂逅編、2巻では彼女が探偵事務所に馴染んでいく流れを描きつつファングジョーカーのお披露目、という内容だった。

 

続く3巻では、豪雪に閉じ込められた山中の洋館で繰り広げられる連続殺人事件が舞台になっており、「いかにも」なミステリ、「いかにも」な探偵モノ、といった話作りになっている。

 

言うまでもなく、実写ドラマで雪を積もらせて降らせるのは相当な手間で、冬の雪山で撮影するのも同じく大変。惨殺された死体が登場するのも、近年の仮面ライダー的に原則タブー。

だからこそ、『風都探偵』ではそれをやる。あえて漫画でやるのだから、実写ではやり辛いことをやる。1,2巻以上にそれが炸裂した3巻は、同作のスタンスがより明確に伝わる一冊であった。

 

※以下、3巻のネタバレがあります。

 

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エクストリームやアクセルの本格登場、更にはトライアルまで出てくる大盤振る舞いなアクションシーンもさることながら、やはり本筋のミステリーが抜群に良かった。

 

第32話「風が呼ぶB/今、輝きの中で」

 

雪山の洋館、外部との連絡が断絶された状況、仮面舞踏会、その家に伝わる怪しげな選抜儀式・・・。

いかにも「それらしい」ピースが散りばめられた今回の舞台は、連続殺人とアルコール・ドーパントの能力が密接にリンクした展開を見せる。

 

なぜ死体の頬は紅潮していたのか、なぜ2番目の死体は風呂で浮かんでいたのか、なぜ黒髪の彼女は短期的に記憶を失ってフラフラと歩いていたのか。

その全てが「敵の能力がアルコール=お酒そのものである」で綺麗に繋がるのが、なんとも爽快であった。さすがの三条脚本である。

 

この手のクローズド・サークル(何らかの事情で外界との往来が断たれた状況を指すミステリ用語)には、殺人が起きる度に容疑者が絞り込まれていく、というポイントがある。

 

容疑者が段々と少なくなっていくため、読み手は「あー!こいつじゃなかったのかー!」などと真相に辿り着くより早いタイミングで細かく「推理の楽しさ」を味わうことができるし、作り手はそれを見越して裏をかくことができる。

外界との接触が断たれていることから、推理のための前提条件が分かりやすく出揃っており、読み手と作り手の1on1の構図が強調される。

 

オーソドックスなところだと、「殺されたと思った人が実は犯人だった」、もしくは「利害関係の死角にいる人間が犯人だった」辺りが最適解なのだけど(といっても私個人が新本格を好んで読むのでこういうやや偏った考えになってしまうのだけど)、今回の『風都探偵』はそのどちらも満たす答えを用意していた。

 

つまり、被害者はある時点では加害者でもあり、本当の犯人は花嫁争いの候補以外の人間である、という落とし所だ。

 

これらを、アルコール・風呂・泥酔、といったいかにも『ダブル』らしいドーパントの特殊能力設定に沿って展開することで、ミステリの王道であるクローズド・サークルの面白さと、『仮面ライダーダブル』特有の魅力が、高い水準で融合しているのだ。

非常によく出来ている。ぎりぎりで「奇をてらいすぎない」塩梅が素晴らしい。

 

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また、アルコール・ドーパントもあからさまに「実写では表現困難な造形」をしており、これもまた、オーロラやブラキオサウルスに並ぶ漫画ならではの挑戦にカウントできるだろう。

練られたクローズド・サークルを展開しながら、本筋である新たな組織「街」と主人公サイドの邂逅、幹部戦までもをこなしているところが隙がない。

 

あと、音楽がめちゃくちゃ脳内再生できましたね。

 

これとか・・・

 

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これも。

 

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そしてラストの「お酒飲めないオチ」の時は、もちろんこれ。

 

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世間では割と「風都探偵を実写化して欲しい」「アニメ化して欲しい」という声を目にするが、私としては、これはやはりずっと漫画のまま走って欲しいと思う。

実写でやり辛いことこそを漫画で展開している訳で、アニメにするのもなんかちょっと違うと感じてしまうのだ。もちろん、なったらなったで喜ぶとは思うが・・・。(我ながら面倒くさい)

 

現状、「漫画版だからこそのダブル」としてこの上なく理想のロードを突き進んでいるので、今後ともこのスタイルで、『ダブル』の世界を拡張していって欲しいと思う。

 

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