ジゴワットレポート

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感想『パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊』 結局パイレーツシリーズは何が魅力だったのか?

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ブログも引っ越して「更新頻度上げていきます」と宣言したからには、この際短くても構わないので、兎にも角にも書いてみよう ・・・ということで、最近観た映画の感想を残しておきます。『パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊』。

 

トランスフォーマーしかり、スター・ウォーズしかり、なにかと「最後の」流行りの2017年ですが、ぶっちゃけカリビアン5作目となる今作の何が「最後の」だったのかは、かなり怪しいところ。まあ、「今作の敵・サラザールがその昔追いつめた海賊の最後の方の生き残り」というギリギリな解釈もできますが、どうやら邦題って詳しい中身が分かる前に決めなきゃならないようで、直訳の『死人に口なし』よりは宣伝的にマシという判断なのでしょう。

 

パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊 (字幕版)

 

※以下、映画本編のネタバレがあります。

 

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私は『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズが本当に大好きで、3作目公開時に行われた「パイレーツ検定」の地区大会出場に際しDVDをコマ送りで研究するくらいに熱中しているシリーズなのだけど、お世辞にもこのシリーズがいわゆる「よく出来ている」作品群だとは感じていない。

 

元がディズニーランドのアトラクションという広く知られた話の通り、観る者がアトラクション感覚で気軽に鑑賞することを前提として作ってあるようで、良くも悪くも「細かいことは気にしないでください」というオーラを感じなくもないのだ。

 

とはいえ、史実の海賊とファンタジー要素が組み合わされた世界観が多くの人を熱中させてきたことは間違いない。

誉め言葉での「よくできたB級映画」と評したい1作目、風呂敷と世界観を広げた2作目、その大風呂敷を斜め上に滑りながらなんとかまとめてみせた3作目、原点回帰を目指すも心残りな4作目、という大筋でシリーズは進行してきたが、今作『最後の海賊』は言うならば「初期三部作回帰」といったところだろうか。

 

前作『生命の泉』は今なお絶大な支持を受ける1作目を模して「ひとつの財宝ネタ(1作目で言うところのアステカの金貨)を軸としたドタバタ奪い合い劇」という構成だったが、海賊たちはほとんど陸で活動しちゃうし、どうにも1作目ほど爽快感が出てこないしで、当時映画館で観た私も「う~ん?」と言わざるを得なかった。

 今作『最後の海賊』はこの反省を活かしてか、「ポセイドンの槍」という「ひとつの財宝ネタ」という筋はそのままに、「初期三部作のエピローグともいえる物語」「実直な青年とジャックが旅に出る、という1作目と同じ構図」で脇を固め、最後に「人気キャラ・バルボッサの死」というサプライズを付加する作りとなっている。

 

特に、「実直な青年とジャックが旅に出る」というウィル&ジャックのパターンが4作目以上に原点回帰的であり、これにより1作目にあった「ジャックは主人公だけど主人公ではない」という図式が復活しているのが大きい。

 

つまりは、「物語の推進力」「本来の意味での主人公的動機」を全て青年側が担ってくれるので、ジャックは自由気まま&勝手に動き回るトリックスターとして活躍することができるのである。

1作目における「ジャック人気」を受けてか、やはり2~4作目はジャックに主人公的な役割を持たせすぎたのかなあ、という気がしなくもない。特に4作目はそれが顕著で、シリーズ再スタートの意味も強かったのだろうが、やはり彼は本筋とはズレたところでフラフラ動いている方が似合っているのではないか。

 

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そういう意味で、今作『最後の海賊』は非常に面白かったように思えるのだ。

 

ジャックは最初から最後までほとんどコレといった活躍をしないが、所々でしっかりノルマたるコメディリリーフをこなし、新キャラである若い男女がキラキラ&ギラギラと話を転がしていく。シリーズお馴染みの「コロコロ変わる勢力図」も健在で、あの手この手で交渉してうまい汁を吸おうとする海賊たちの抜け目の無さが観ていて気持ちいい。

 

また、音楽がシリーズで初めてハンス・ジマー "ではない" のだけど、彼と一緒にシリーズの音楽を作ってきたジェフ・ザネリさんが担当しているだけあって、随所に熱いリスペクトを感じるスコアだった。カリプソの愛のテーマがふっと挿入されてきたり、ウィルのテーマも復刻されたりで、こういう面でも「初期三部作回帰」だったなあ、と。

 

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まあ、べた褒めっぽく書いてますけど、ぶっちゃけて言うと、ウィルの呪いが解けてエリザベスと再会するラスト、ってだけで感涙モノなんですよね。なんかそれっぽく書きましたけど、結局これに一番やられてしまって。

 

3作目のバルボッサによる船上結婚式のシーンが本当に大好きで、「誓いますか?」「誓います!」(めっちゃ剣で敵を倒す)「誓いますか?」「誓います!」(めっちゃ剣で敵を倒す)「キスしろ~~!」(剣を交えたのが愛する相手だった)→キス(波スローモーションばしゃぁぁぁああ)の一連の流れがね、本当にもうね、アホかと、バカかと、なんだこのシーン冷静に観ると意味不明だろ何の冗談だと思いながらも、ツーっと泣けてくるんですよね。

 

1作目からふたりの凸凹なすれ違い劇を観てきたからなのか、このシーンが本当に大好きだからこそ、まさか約10年後にオリジナルキャストによる再会劇が描かれるなんて、もうね、たまらんのですよ。

 

とかなんとか、かなり脱線しましたけど、要は「ジャックというキャラクターはどういうポジションで旨味が発揮されるのか」という部分において、真の意味で原点回帰を果たしたのが『最後の海賊』だったと思うんですよね。

 

後は、ウィルやエリザベスの再登場、そして言わずもがなのバルボッサの死といい、最近のアメコミ映画に強く感じる傾向といえる「キャラクター重視の作劇」という点で、このシリーズは1作目からかなりそこが色濃かったなあ、と。もちろん、裏切り・裏切られの物語とか、見惚れるロケーションとか、すごいCGとか、魅力は沢山あるのだけど、それらの先頭に立ってシリーズを引っ張っているのは、やっぱり「登場人物のキャラクター性」だと思うんですね。

 

そういう意味で、(4作目のように)ジャックに主人公をやってもらう訳でもなく、ある程度の「適材適所」が行き届いた。ついでに、往年のシリーズファンに対しても「キャラクターの魅力」という点でサービスが盛り沢山だった。だからこそ、『最後の海賊』は、最新作ながらどこか懐かしい香りのする塩梅に仕上がっていたのではないかな、と。

 

まあ、もちろんツッコミどころは死ぬほどあって、コンパスの入手経路の過去シリーズとの食い違いとかそういうところ毎度だけどいい加減どうにかしようぜ、という感じなのだけど、単純に「面白かったなあ」、と。シリーズファンとして、「いいもん観れたわ」に尽きる最新作でした。

 

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