ジゴワットレポート

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この2018年に「子供向け」の番組で「戦争」を描くということ

仮面ライダービルド VOL.1 [DVD]

 

『仮面ライダービルド』に関してツイートした内容が意外とRTされていったので、半ばメモとしてブログにも感想を残しておこうかな、と。

 

前提として。

昨今Twitterでよく見られる、「仮面ライダーは!戦隊は!もはや描いているテーマや表現が子供向けじゃない!むしろ大人向けだ!」等々の文言が私はあまり好きではなくて、誰が何と言おうと、これらの作品は「子供向け」にカテゴライズされた番組であると思う。

だから、仮面ライダーやスーパー戦隊は、普通に「子供が観るもの」だ。そこはどうしたって動かない。

 

その番組を、子供だった頃からアラサーになった今でも毎週楽しみに観ている私だけど、上で挙げた文言が本質的に言いたいことそのものは理解ができる。それは、多くの人が持つ「子供向け」に属する表現のイメージから逸脱したもの・超越したものが用いられることが昨今少なくなくなってきた、ということだ。

 

つい「昨今」と書いてしまったが、これは、リアリティを病的なまでに追及した『仮面ライダークウガ』や、未来人と現代人のドラマを濃密に描いた『未来戦隊タイムレンジャー』等々がかなり前々から拓いてきた道であり、その更に前の作品群から今に続くまで、グラデーションのように変化を遂げてきている。

 

その何が面白いかというと、表現規制等が厳しい「子供番組」の中で、いかに規制の網の目をかいくぐり、そこに「これまでになかった(もしくは何度でも伝えたい)テーマやメッセージ」を “子供たちに向けて” 盛り込むのか、という部分だ。この、枠組みの中でこそ光る職人芸が、私の毎週の楽しみである。

「子供向け」というのは単に「やさしいせかい」ではなく、大人たちの真剣な創意工夫が込められてやっと「子供向け」の域に達するような、そんな面白さが仮面ライダーやスーパー戦隊には内包されているのだと、一介の特撮オタクとしてそう感じている。

 

さて、前置きが長くなったが、そんな「子供番組で何を描くか」というテーマにおいて、2018年現在面白いことになっているのが、放送中の『仮面ライダービルド』だ。

 

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「火星で発見されたパンドラボックスが引き起こしたスカイウォールの惨劇から10年。我が国は、東都・西都・北都の3つに分かれ、混沌を極めていた・・・」。そんなナレーションから始まる本作は、年が明けてからの2クール目で「ライダーウォーズ編」に突入。東都に対し北都が戦争を仕掛けてきたため、常に戦時中という設定でドラマが進行していく。

 

その「戦争」について色々と書き残したのが、以下の内容。

 

 

この「現代の恐怖は~」については、『鎧武ザ・ガイド』というムック本のインタビューに掲載されています。

 

仮面ライダー鎧武ザ・ガイド

仮面ライダー鎧武ザ・ガイド

 

 

 

街には常に瓦礫やゴミが溢れ、そこに一般市民の影はない。市民の味方・仮面ライダーが颯爽と怪人を退治する場面もなければ、当人たちは軍事兵器として利用されることに悩む毎日。武器商人のように対立する両国を行き来してそれを煽る存在もいれば、国境沿いで率いてきた軍隊が全滅し燃える大地を背に変身する者もいる。

 

――現在のハードな国際情勢のなかでは、ドラマの中での脅威をリアルが追い越すような状況もあるのではと思います。そういった中で、ヒーローが悪を倒すドラマを作る難しさ、また作品を作る意義をどのように考えておられますか。

 

そうですね……『ビルド』は戦争がテーマの一つにもなっていて、でもそれこそ今描くべきことなのかもしれないという印象をもちました。そのために今までにやれなかったような、人体実験などのハードな要素も入れています。

だからといってほかの国のことを描く番組でもない。3つに割れているのは日本ですからね。日本って、国境という概念が薄い国なので、そこに国境の概念をもたせたところが今回は面白いなというところはもちろんある。あとは武藤さんの中でも、戦争がテーマなんだけど戦争を否定するというか、要は仮面ライダーってもともとショッカーという世の中を攻撃する悪から生まれているのに、その人が正義の心をもって戦う。そういうところが今回の大きな主題になっている気がします。

3つの国に分かれて、それぞれの国が自分が強くなろうとして仮面ライダーを兵器として奪い合う、「仮面ライダーは兵器である」というところ。ただその兵器自身は正義の心をもっているのでどう転ぶか分からない。そういった意味では、今だからこそ考えるべきテーマだという気はしますが、考え方を押し付けるつもりはありません。

 

news.mynavi.jp

 

「もしかしたら戦争が起こるかもしれない」。この恐怖は小学校の社会の時間にしっかりと戦争を学んだ頃から薄っすらと持っていたものだが、ほんのここ数年、それをやけに濃く感じてしまう瞬間が少なくはなかった。

仮に戦争が起きたら、一般市民の生活はどう変わるのか。前線に立つ人たちはどういう決断を迫られるのか。多くが平和を願っていたはずなに、なぜいつのまにか被害者にも加害者にもなってしまうのか。

 

それを、「子供向け」でやれるギリギリまで踏み込んで描いてく『ビルド』は、ずっと同シリーズを観てきた私にとって、非常に新鮮である。

もちろん、例えば『ファイズ』の『パラダイス・ロスト』のように戦争やそれに準じた世界観・作劇はこれまでもあったのだけど、まさかここまでしっかり時間をかけて「戦争によって世界が変わってしまった人たちの物語」を描いてくれるとは。またひとつ踏み込んだなあ、などと感じるのだ。

 

仮面ライダーを応援する子供たちの心がちょっとだけ締め付けられて、戦争について知る・考えるきっかけとして、『ビルド』は機能しているのかもしれない。

とても、面白いことだ。これだから、やめられない。

 

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