ジゴワットレポート

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日本未公開映画『メガマインド』がびっくりするほど傑作だった

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メガマインド (吹替版)

 

やはりTwitterはありがたい。趣味嗜好が近い方をフォローしているので、TLでオススメされていた作品は自分にもヒットする確率が高い。

この『メガマインド』という映画は、日本未公開&ディスク発売未定というダブルパンチな作品だが、この度こうしてSNS経由でその存在を知ることができた。本稿執筆現在、AmazonプライムビデオとNetflixでの配信を確認できているが、動画配信サービスって本当に便利ですね。すごい時代になったものだ・・・。

 

さて、そんなこんなで、『メガマインド』。ストーリーは、アメコミヒーロー映画が現在進行形で一時代を築いている今こそ存分に楽しめるような内容。

青い肌の主人公・メガマインドは、メトロシティを守るスーパーヒーロー・メトロマンと、毎日のように戦いを繰り広げていた。しかしある日、メガマインドはメトロマンに勝利を収めてしまう。張り合いが無くなり無気力に支配されていくメガマインドだったが、ライバルがいなければ作るという発想に至り、第二のメトロマンを仕立て上げようと画策する。

 

日本人に馴染み深く例えるなら、「ある日サトシとピカチュウを亡き者にして勝利してしまったロケット団の話」であり、「アンパンマンを倒してしまったバイキンマンの話」でもある。

ヴィランとして街を脅かしていたメガマインドは、確かに「悪役」ではあったが、本当に「悪」なのか。ロケット団は、バイキンマンは、根っこから「悪」なのだろうか。そういった、「パターン崩し」を発端に悪役側のパーソナルな部分に踏み込んでいくストーリーになっている。

 

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冒頭で手際よく語られるが、本作の主人公・メガマインドは、根っからの悪役ではない。皆に好かれたい・話題の中心に入りたい・喝采を浴びたい、という誰しもが持つ承認欲求を満たそうとするも、いつもいつも、同時期に地球に流れ着いたメトロマンにその立場を奪われてしまう。結果、彼は「悪役に徹すること」でアイデンティティを確立させ、そのまま刑務所の常連となっていく。

 

哀しいのは、彼が「悪役に徹すること」でしか自分を創れなかったことだ。メトロマンのような「喝采の浴び方」が出来ないならと、人々の困った顔・嫌がる悲鳴・罵声や怒号、それらを集めることで承認欲求を満たすルートに進んでしまった。それはメトロマンがいたからこその出来事だったが、その大元の原因であるメトロマンに、ある日メガマインドは完全勝利を収めてしまうのだ。

 

言うなれば、メガマインドのアイデンティティの片割れでもあったメトロマン。彼が街から消えた時、彼は自分の存在意義を見失いかける。そんな折、ひょんなことから正体を隠す形で女性記者・ロクサーヌと恋に落ちてしまうから、これまた大変。彼が本当に「なりたかったもの」は何なのか、それを96分の短い上映時間で見事に描き切る。

 

アメコミヒーロー物におけるヒーローとヴィランの関係性。そこにある数多の「パターン」を踏襲しながらも、観る側を少しずつ裏切って斜め上へ進んでいくストーリーが素晴らしい。その手のジャンルを好んで観る人ほど、「うわっ!そうきたか!」という嬉しい驚きと出会えるだろう。

そんな「パターンの応用」もありながら、しっかり物語を二転三転させ、摩天楼を縦横無尽に使ったバトルシーンや、胸が切なくなるドラマシーンをちゃ~んと配置して、最後は個々のキャラクターが納得を得る明朗なエンディングに辿り着く。グワングワンと曲がりに曲がった魔球が、最後にスパンッ!とミットに収まる。この着地が痛快だ。

 

映像もかなり凝っていて、高層ビルの中ほどに漂う雲の表現や、巨大感を演出するロボットやオブジェ、スーパーヒーローの視点で展開されるエキサイティングなカメラワークなど、とにかく見応えがある。観る側を飽きさせないサービス精神が旺盛。

また、メガマインドが手掛ける発明アイテムの数々もアイデアが面白いし、バトルスーツを装着するシーン等の「アメコミヒーロー物パロ」も上々の仕上がり。本当に隙が無い。

 

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昨晩の話ですが、観終わった後は「やべぇ・・・こんな傑作をなぜ俺は今までノーマークだったのか・・・」と慄くしかなかったです。

なぜこんなに面白くてお見事で素晴らしい作品が日本未公開なのだ・・・。せめてディスクの発売にはこぎつけて欲しい。というか、続編を作って欲しい。

 

最後に。吹替で鑑賞したのですが、メガマインドのキャストは我らが山寺宏一。ひょうきんで、かっこよくで、時に物悲しい。もはや聴き惚れるとしか形容しようがない素晴らしい吹替でした。オススメです。

 

メガマインド (吹替版)

メガマインド (吹替版)